天姫side
突然ですが、カーテン開いた途端外が雪景色一色に染まっていたら貴女だったらどうしますか?そりゃあ、私は勿論雪合戦しかあるまい!と意気込むわけである。こう、血が騒ぐというか動きたくなる衝動を抑えきれないのだ。
己の体力、スピード、そしてチームワーク、戦略それらすべてが合わさって出来上がるもの。久しぶりに私のテンションはMAX状態だった。
ツナの部屋に駆け込み、ノックはちゃんとしたよ?
だが、私のウキウキした表情を見て彼はビックリした様子。
「ツナ!外に行こうよ」
「えっ?なんで」
「いいから、いいから!」
沢田君からツナと呼び名を変えたのは心境の変化からだ。ディーノから吐き出すことを学んだ私は少しでもこの世界を楽しみたいと思ってのこと。それと沢田君、ツナからの要望にもよる。無理矢理ツナにパーカーを着させ、ぐいぐいと手を引っ張り外へ。
玄関で燐華が見送り体勢になってたのが不思議だった。いつもならついてくるのにと。
「姫様、はしたのうございますよ?」
今日に限って彼女はなんだか笑ってばっかりだ。それがなんだか不吉なような……
一抹の不安を抱きながら一応彼女にうかがった。
「燐華も行く?」
「いえ、わたくしは遠慮しておきますわ」
「え?そうなの………怪しい……」
「ふふふ、身辺、気をつけてくださいませ。綱吉様」
「えっ!?俺なの!?」
果たして燐華のこの微笑みはなんなのか、その答えを知る者は……きっと本人だけだ。
「まぁ、いいや。行ってきまーす!」
「いってらっしゃいませ」
ランボとイーピン、そしてフゥ太を共に連れていく。もちろん、ゴーラちゃんも一緒だ。
ビアンキ姉の姿は何処にもなく残念だが、先に行っていよう。
勿論、私たちが向かうのは、広くのびのびと遊べる場所。
学校のグラウンドだ。一面銀世界!うーん、いいねぇ。雪合戦が楽しみだぁ。どうやら他のメンバーの顔触れもある。隼人に武に笹川兄にディディ。ツナはなんかびっくりしてるしね。
「あれ?みんな……?」
「よう!天姫にツナ。待ってたぜ」
「遅かったな、ツナ。…天姫。待ちくたびれたぜ」
武にニカっと笑いかけられて条件反射で私もにこっと微笑んだ。
「てめっ!」
隼人がなんか慌てた様子で(なぜに?)私に向かって「…やる…」と差し出したもの。
「ホッカイロ……」
私はそれを両手で受け取りじっくりと眺めた後、隼人を見た。彼はそっぽを向きながら
ぼそぼそとしゃべる。
「……寒いだろーが、…今日は…」
「………うん、ありがと…」
なんかこうさりげなさがポイント高いっすよ。
君は将来女にウハウハですな。おねーさん嬉しいよ。
満面の笑みを彼に送ったら何のツボにはまったのかわからんが
「うっ!」
と呻きながら顔を真っ赤にさせたまま数秒固まってしまいました。
おいおいどうした隼人よ!
「…獄寺君……」
「やるじゃねーか、獄寺…」
うぅ、なんか寒気が…。後ろを盗みみたら…………怖いよう……!
なんかなんか知らんけど、邪悪なオーラを漂わせる二人がいました。
うわーん、半泣きでディディのとこに突っ込んだ。
ディディの手が私の頭の上にぽんっと乗っけられ、なでなでしてくる。
「獄寺しばらく動きそうにないな。チビどもにいたずらされても気づいてないみたいだしな?」
まだ、動いてなかったのか、隼人よ!?
うぅ、恐ろしい。男の子の反抗期に突入しちゃったのかな、あの二人。
「ディディ、ロマーリオとかは?一緒じゃないの?」
「あ、あいつらか。どっかにいるはずだけどなぁ」
そういう彼の前で私とツナはディディにばれないように内緒話な感じで。
「じゃ、今はへなちょこだ」
「そうだね、へなちょこディーノさんだね」
「?」
わからなくていいんだよ、ディディ。そんな貴方が大好きです。
でもやっぱり雪が降っていても熱い男が乱入してきました。
「なんだとぉ!?ならば俺が鍛えてやろう!」
「笹川兄は黙っててくださいませんか?」
素早くそう冷徹に切り替えし私は彼に発言を許さない構えでいきます。
じゃないと、突っ込みばかりしなくてはならないから。
「極限!なんと、冷たいではないか!?共に女子会をした同士だというのにぃ!?」
「アンタいつから女になったんですか」
やばい、条件反射でツッコミをしてしまった。
くそ、これがボケの為せる技……恐るべし。
「おせーぞ。ツナが」
「リボーン、ゲッ!」
ツナがリボーンに呼ばれ振り返った瞬間、嫌そうに叫んだ。つられて私も振り返ってみたら、そこにはもはや彼らしい恒例の変装スタイルになっていた。今回は雪合戦ということもあり、武者姿で登場。彼に視線を合わせるためしゃがみ
「似合ってるよ、リボーン」
「サンキュ、天姫ならそういってくれると思ってたぜ」
なんとなく抱きしめたくなったので抱っこしました。
そしたら男どもの視線がなぜかこちらに集中してくるのだが。
「………フッ……」
なんかリボーンが勝ち誇ったような余裕に満ちた笑みを浮かべてました。
ここからリボーンの説明によると、今日はやっぱり雪合戦しようということになっているようで。
各々リボーンが組み合わせたチームで分かれた。
「ルールは簡単だ。このレオンボールをとったチームが優勝だ。ちなみに雪にあたってもいいが気絶した奴は即リタイア扱いな」
「あの、リボーン。私はどっちですか?」
そう、私はちょうど真ん中、リボーンを抱っこした状態で雪の上に用意してあった椅子に座ってます。なぜ、私は含まれていないのか。
そう、抗議したら彼は至極あっさりと
「お前は俺を抱いてればいい」
と言いましたのよねぇ奥様?こんなのってありですかね?
拷問以外のなにものでもねぇ。
皆が楽しんで雪合戦しようとしてるのにどうして私は君を抱っこしたまま、ぼけっとただ眺めていなければいけないんですか。
「天姫、なんで燐華が来なかったかわからないのか」
「………あ、あの微妙な笑みを思い出すわ」
そう、わざわざツナに忠告していた燐華。あんな躊躇半端な優しさを出すとき。あれは自分が関わりたくない時のサインだ。
「出たいか?雪合戦」
「やめときます」
身の危険を感じ、即刻私の考えは変わりました。
…フッ、所詮我が身が大事よ……。
時には感情に流されない冷静な対応も必要だ。うん。私は皆を公平に応援する側に回りました。それから怒涛な展開を見せた雪合戦。
笹川兄がツナ組に単身突入して自滅かと思いきやそこは極限にストレートで行きます。マッハを超えるパンチで目前に迫りくる雪玉を叩き壊していく。
ディディはやっぱりへなちょこで彼が投げていく雪玉は彼の意思とはまったく違う方向へ飛んでいくのだから、それはそれで祖語彙ことだと感心した。
イーピンもすばやい動きでなかなかの活躍をみせるしフゥ太もランキング能力で雪の防御壁を作るなど器用なことをしていた。
ビアンキが途中から参加した理由が遊びに誘ってもらえなかったからというのが悪いなぁと思ったり。
雪中に隠れていたロマーリオたちには度胆抜かれたけどなんだか後半は楽しそうでした。
けど、天姫。
ここはどこだかわかってませんでした。
そう、ここは並盛の聖地。彼がここにいるはずないと思い込んでいたのがそもそもの間違いだったのよ。
皆がたのしそう?に第2ラウンドに突入しレオンボールからレオンのラジコンモードに進化した状態に。
色々おもろい展開になってきたぞなんて
ドキドキしていたら……うふふ、今すっごく聞きたくない声が。
「何してるの、天姫」
背後からしました。
ぎぎぎっっと音が鳴る感覚で後ろを振り向くと
「ゲッ!?きょきょきょ、恭弥様!」
そこにはやはり、なんか不機嫌そうな恭弥の御姿が。
「何そのわざとらしいどもりかた。天姫、君携帯家に置いてきてたね。奈々さんに電話したら学校に行ったなんて聞いたからおかしいと思ったんだ。ちゃんと携帯は常に持ち歩いててって言ってあるはずでしょ」
「………そーりー……」
「何百回かけても繋がらないから変だと思ったよ。約束したよね?呼び出しをかけたらどんな理由があろうとも僕の所へ来るって」
「…………」
完全に蛇ににらまれた蛙状態。
恭弥の手が私の手首を掴み、彼の方へと引っ張られる。
「問題が発生してるなら、僕が対処するから平気だよ。あいつら咬み殺せば終わるから」
ノォォォオオオオオーーーーー!?
雪が真っ赤に染まってしまう。雪景色殺人事件。
そんなテロップが頭を過ぎ去った。断固阻止しなければっ!
私はブンブン首を横に振り必死に否定した。
「駄目駄目駄目大丈夫大丈夫大丈夫だからぁぁあぁああああ!」
「凄い早口だね」
そうだよ、息継ぎしないくらい必死なんだよ!わかってくれよ!
「みんな私恭弥様の仕事手伝うからここで消えます!ゴーラちゃーん行くよぉぉぉぉおおおお!」
グォングォングォン!
とりあえず緊急避難。
ゴーラちゃんの腕に掴まり、校舎の方へ全速力で飛んでいってもらった。
ゴメン、みんな。君達の命を守る為だから。
わかってくれ……!
涙をかみしめながら私はかっこよく去っていた。
応接室へとたどり着けばなんとも目を見張る光景が待ち受けていた。
「コレ、溜まってる書類」
呟くというか、素直な感想を一言彼に言う。
「どんだけ溜めてたの」
「これで、一日分だけど」
「はぁ!?」
これで一日分というか!?
だったら、普段はこれの倍処理してんのかと疑問が浮かぶ。そしたら彼は私の顔をみながら
「なんだか、最近揉め事が多いんだよ。その所為で色々と報告書とか請求書の整理に追われて」「さぁ張り切ってガンバロー!」
私は恭弥の台詞を途中で遮った。何故私が尻拭いしなければいかんのだ?
これには、山よりも高く海よりも深い理由があるのだ
まず一つの理由は…ゴーラちゃんの暴走だ。彼は普段基本的に大人しい。
だがある日温厚な彼がキレた日があったのだ。私がゴーラちゃんになんとなくあげた2丁チェンソーを子供らがいたずらをして壊してしまった事だ。
彼のパワーアップと思いプレゼントしたのだがゴーラちゃんはそれをすごく大切にしてくれて使わずに箱にしまったまま大事にしていた。
グォングォングォン……。
こんなゴーラちゃん見たことないよ!?私のショックは相当なものでした。
子供らも普段の彼とは違うあまりの怒り方に震えもとに戻った後のゴーラちゃんでさえもやっぱりしばらくはビクビクしていたし。
今は温和なゴーラちゃんが怒った時にもたらす被害というのはそら恐ろしい。
八つ当たりの仕方が半端ないわ。
彼って空を飛べるから空から破壊とかしちゃって手のつけられないものでした。
その謎の破壊工作みたいな感じで新聞とかに取り上げられたのが、いずれ恭弥がその後始末に追われる理由になっている。
二つ目は……これはあえて秘密にしとこう。言うのも怖いので。
疲れたなぁと思ったとき、ゴーラちゃんが二人分のコーヒーを入れてきてくれた。
ああ、ほっとするなぁ。
思わずこんなくらいでへこんでいる自分がアホのような気がして自分に言い聞かせた。
「世界はもっと広いのさ……」
「なに急に」
「………ううん、世界はもっといろんなことに満ちてるんだろうなって」
こんな始末書に追われてる私って結構健気だよなと考えたら、ああ
イタリア帰りてぇ~。ディディで癒されたいな……って校庭にいるか今。たぶん雪だるまにでもなってたりして。部下がいないと運動音痴だからね。
「天姫は世界をみたいの?」
「……、確かにいろんな世界はみたいね」
ディディと世界一周旅行とかいいかも。おじい様とか誘ってもいいな。
そんな暇があればの夢物語さ、所詮。
「僕が世界を見せるよ、だからそんな顔しないで」
「ん?」
「僕が君の手を取って一緒に歩くから」
「……恭弥も一緒でいいの?」
「僕は君と一緒がいいんだよ」
「そっか、わかった」
世界一周旅行なんて贅沢を簡単にできるとは思ってないけどそんな時がきたら一緒に旅行に行こうね?ぎゅっと私の手を握ってくる彼に私はそのことを考え、その真意が伝わったものとして彼の手を握り返した。
結局、雪合戦の優勝者はリボーンだったとか?なんでやねん。