闇ニ花ヒラク蒼薔薇   作:サボテンダーイオウ

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標的95バレンタイン包囲網『前編』

バレンタイン。

日本でのスタイルは好きな人にチョコを渡し愛の告白をする日である。外国だと意味合いもちょっとちがうかもしれないが、某お菓子メーカーの策略により日本に定着した一大意ベンド。このバレンタインというのは男子にとってもたってないチャンスである。

好きな女の子にアプローチする……ことができる少年もいるかもしれない。

でもそれも相手によりけりである。好みの子が鈍ければ、なおさらのこと……。

 

沢田綱吉君の場合。

 

ズイッと手を差し出して催促してみたツナ君。

 

「天姫、俺にチョコちょーだい?」

「ツナって甘党だったけ?」

 

だが彼女は一筋縄ではいかない。

 

「…………そういうことじゃないよ」

「あ、じゃあ急に甘いものが欲しくなったんだね?」

「急にってわけでもないけど、確かにまぁ、そうだね」

 

歯切れ悪く頷くツナ君。

 

「わかった、じゃあ作って」

「くれるの?」

 

期待込めた眼差しを送るツナ君。

 

「ビアンキ姉に作ってもらうね?」

 

ダッシュで逃げるツナ君。

 

「あれ?」

 

こういう時は素早いツナ君である。

 

 

リボーンの場合。

 

「………何、このリストみたいなの」

「何が欲しい?その中から好きなものを選んでくれ」

 

大人の余裕(見た目赤ん坊)で好きな女にアタック。

 

「………いや、宝石とかブランドものの品物とかあんまり興味ないし、車って、一応私未成年っすよ?」

「なんだ、その中にないのか?じゃあ別のを」

 

大人の余裕(見た目赤ん坊)で別の物を用意しようとする。

 

「いや、だからなんでいきなり欲しいものないかって聞いてくるのさ、話の主旨を説明してくれよ」

「気にするな、近いうちにわかる。それで天姫の欲しいものはないのか?」

 

大人の余裕(見た目赤ん坊)で軽やかに質問をすり替える。

 

「………欲しいものねぇ~。あっ!」

「なんだ、何かあったのか?」

「うん、ゴーラちゃんに追加装備しようかと思って色々カスタムアイテムほしいなぁって思ってた」

 

大人の余裕(見た目赤ん坊)で……解決できないこともある。

 

「…………………」(好きな女が欲しているのがペットと言い難い金属の追加装備!?

どうする、究極の選択だぜ……)

「?どうしたの、リボーン。だんまりしちゃって?」

 

大人の余裕(見た目赤ん坊)でどう解決するのか見ものである。

 

 

獄寺隼人君の場合。

 

弟想いなビアンキから逃走中の焦り顔な隼人君。

 

「あ!隼人」

 

そこに天姫が駈け寄ってくる。

とたたたたっ!

 

「なっ!なんだよ、びっくりするじゃねーか!?」

 

と言いつつ、内心嬉しい隼人君。

 

「ねぇ隼人。隼人は甘党な方?」

「…っ俺か!?」(もしかしてチョコのことか!)

「うん、嫌い?」

「いや、そんなことねぇよ!!むしろ好きだ!」

 

鼻息荒く強く答える隼人君に少し引き気味な天姫。

 

「…そ、そっか。熱烈に好きなんだね」

 

隼人君の熱意は伝わったらしい。

 

「ああ!!」(お前の手作りチョコがな)

「じゃあ、このビアンキ姉が作ってくれた特性ブラック?ケーキあげる!!いや~。よかったよかった。私にはちょっと強烈だからさ」

 

でも違う意味で期待は裏切られた。

 

どーん!

「ガハッ!」

ばたり。

「あれ?隼人!なんで倒れるのさ!?ちょ、隼人ぉ~?」

 

頑張れ、隼人君。

 

山本武君の場合。

 

ストレートな彼はストレートな質問をぶつける。

 

「なあ、天姫ってさ」

「うーん?」

「今までに好きな男とかにチョコやったりとかしたことあるか?」

 

でも今回は遠回りな催促をしてみた。

 

「……うーん?チョコは妹とかにあげたりしたしな。肉まん、は作ってもらったことはあるけどチョコはないなぁ……。っていうかない」

「肉まん?チョコじゃないのか」

 

チョコじゃなくて肉まんもらえそうな気配。

 

「うん肉まん。……何、武も食べたくなった?」

「………食べたいけどよ、なんか違うような…」

 

ストレートにチョコ食べたいと言えない武君。

好きな女子からもらえるものならなんでもいいと思うが、一応イベント的にはチョコレートが欲しいところ。でも彼女の頭にはすでに肉まんがセットされていた。

 

「そっか、わかった。今度肉まん作ってくるね」

「……サンキュ…」

 

チョコじゃなくて肉まん予約された。

 

 

雲雀恭弥君の場合。

 

素直じゃない風紀委員長サマは押しかけ女房状態でした。

 

「僕はまったく興味ないよ」

「いや、いきなり家に押しかけてきて開口一番いう台詞がそれですか」

「天姫はそんな下らないイベントをいちいち気にする必要なんかないからね」

「いやだから話の内容を理解してないんですよ私」

 

風紀委員長サマは鈍感な天姫に気が付いてもらおうと必死でした。

 

「そんな関心がない素振りをして僕を試してるんでしょ!?わかってるからね!」

「どうしよう勝手に会話切ったらやばいかな?だからさとにかく落ち着け恭弥」

 

でも気持ちの方が空回ってうまく伝わってませんでした。

 

「落ち着けだって?そんな事できるわけないじゃないかっ!僕は夜も眠れなくて最近不眠症っぽいんだよ?全部天姫が僕をおかしくさせてるんだ」

「不眠症だったら病院行ってみてもらったほうがいいね」

「僕を治せるのは天姫だけなんだよ!……お願い、僕を助けて……見捨てないで…!」

 

最終手段、泣き落としを発動するも、これも空振りに終わったようでした。

 

「私医者じゃないんだけど、じゃあ疲れてるみたいだからこれあげる。ほら飴玉?ね、いちご味。おいしいよ?」

「……………やっぱり、天姫の意地悪」

 

ダッシュでバイクで華麗に消え去る風紀委員長サマ。

ヘルメットは装着したほうがいいです。

 

「なんで!?」

 

ちなみにさっといちごの飴は持って行かれました。なんて無駄のない動き!

 

ディーノの場合。

 

本当は直接顔を見たいけど忙しいので電話で我慢。

 

『悪いな、仕事が忙しくてなかなかそっちに顔みせられなくて』

「そんなに気にしないで?ディディたちが怪我なく過ごしてるって聞けただけ嬉しいから」

『天姫……』

 

可愛い可愛い義妹に想われた胸がいっぱいになりそうなにーちゃん。

 

「そうだ、ディディは甘いの大丈夫な方だっけ?」

『あ?あぁ大丈夫な方ではあるが、あんまり好んで食べたりはしないな』

「そっか、なんか仕事が忙しいそうだからファミリーのみんなに差し入れでもできたらなって思ってたんだけど……残念」

『即行で日本に飛ぶからな!』

「え!?仕事が忙しいんでしょ?」

『お前の手作りお菓子が食べられるなら仕事なんかほっておいてすぐに行くさ!』

 

可愛い可愛い義妹の為ならばマフィアとの会合も放り投げるにーちゃん。

 

「駄目だよ、そんなの」

『俺はお前を優先したいんだよ』

「そんな事言ってもダメ。……そんなディディ……嫌いになるよ」

『ガーンッ!』

 

可愛い可愛い義妹に嫌われたら生きていけないくらいショックなにーちゃん。

 

ドンガラガラガッシャッーン!

『ツー、ツー、ツー』

「あれ?もしもし?もしもーし」

がちゃっ!

 

可愛い可愛い義妹にショックなこと言われて倒れ伏したにーちゃんに代わっておっちゃん登場。

 

『よう、天姫!元気にしてるか?』

「あれ、ロマーリオ?うん、元気だけど、なんでロマーリオなの。ディディは?」

『ああ、ボスな………。お前の一言で伸びちまった』

「はいっ?」

『……いいや、気にするな。それよりも仕事は順調にいけば明後日には終わるはずだ。それが終わったら日本にいくぜ』

「ちゃんと、仕事するなら別にかまわないけど…」

『おう、ボスのことは気にするな。すぐに気が付くし。じゃあな。いい子で待ってろよ?』

「うん、ロマーリオも気をつけてね?ディディによろしく伝えて」

『わかった』

 

電話を終えた後、おっちゃんは溜息ついて伸びてるボスを起こしにかかるのであった。

 

 

六道骸君の場合。

 

愛に飢えてる少年は愛を求めに走った。

 

「天姫、僕に愛をください」

「いきなりストレートに来たね」

「天姫は鈍感なのでこうも言わないと伝わらないと思いました」

「そういばんな」

バシッ!

「はうすっ!?」

「それ私のセリフだから盗るなよ」

「ああ、天姫の愛は痛いです」

 

痛い愛もいいらしい。

 

「いや、愛のかけらさえこもってないから」

「フッ!照れなくてもいいですよ。天姫は僕にぞっこんですから。貴女の心の内は手に取るようにわかります、ええ!わかっていますとも。隅から隅まで!」

 

行き過ぎた愛に天姫じゃ思わず、

 

「きしょっ!?」

 

体中に鳥肌が立つのを感じながら叫んだ。

 

クローム髑髏の場合。

 

おねがり上手な少女はおねだりしにいった。

 

「天姫のチョコほしい。ちょーだい?」

「なんか、前の人と似たり寄ったりにストレートだね」

「?」

「ああ、気にしなくていいよ。それで凪はチョコが食べたいの?ごめんね、私チョコもってないや」

「違うの、天姫がバレンタインに作るチョコがほしいの、ね?作って?」(きゅーん)

「はう!?」

 

ずきゅーんと狙い撃ちされた天姫はガシッ!と凪の両手を掴むと、

 

「作りますとも!凪のために作りましょう!」

 

と熱く意気込みを語った。

 

「やったっ」

 

凪は素直に喜んだ。

 

ザンザスの場合。

 

海外通話。ちなみに通話代は向こうもちである。当たり前。

 

『…………こっち、来ねぇのか………』

「うん、行かない」

『………そうか……』

「うん」

 

そこで会話が一旦終了。あまきはあえてザンザスの言葉を待った。

そして、ザンザスは催促してきた。

 

『………………アレ、取りにこいよ』

 

アレとは、アレである。

前にあげた、プレゼント。あまきが

 

「うん、学校とか休みに入ったら、一旦そっちに帰ろうかと思ってる」

 

というと、ザンザスは無言になった。

たぶん嬉しいんだろうと勝手に想像。

 

『……………』

「ザンザスは肉まんとか食べたい?」

『…なんで肉まんなんだ?』

「それともチョコの方がいい?」

『……お前が作るのならなんでもいい』

「そっか、じゃあゴーラちゃんに届けてもらうね。楽しみに待ってって」

『…ああ……』

 

ぷちっ、つー、つーつー………。そこで電話は終了。

ぽいっと携帯を机に投げたザンザスは高そうな椅子にどっと背中を預けた。

近くでとある作業していたルッスーリアが話しかけた。

 

「あら、ボス?さっきの電話は天姫ちゃんだったの?なんだか嬉しそうじゃない♪」

「…………」

 

次いで、スクアーロが興味深そうにザンザスに尋ねた。

 

「うおぉぉい!天姫は何て言ってたんだァあ!?」

「……ゴーラを寄越すだとよ……」

 

億劫そうにそう教えるとルッスーリアが驚いて大声をあげた。

 

「なんでゴーラがこっちにくることになるのよっ!?」

「まさか、またゴーラの暴走とか?」

 

お金の勘定をしながらぼそっと呟くマーモン。

ルーッスリアーはマーモンを発言に顔を青くさせた。

 

「マーモン、不吉なこと言わないでちょーだい!」

「王子は別にいいけど。だってあのガラクタムカツクもん」

 

と言ってベルが鋭利なナイフをびゅっと目にも止まらぬ速さで壁に向けて投げた。

ナイフは見事壁に貼られていた写真のターゲットの男の心臓に命中。ルッスーリアは金切り声で「壁に穴開けないで!」と叫んだ。ベルは当然無視。

 

「ゴーラの蹴りもなかなかにいけているが……」

「レヴィあんたは黙っててちょうだい」

「…………」

 

レヴィの発言はないものだった。

 

ぶちっ。

ザンザス、あまりにもにぎやかすぎてむかついたので

 

どぉぉぉおおん!

 

アジト崩壊させた。

色々と自分の周りが騒がしくなってきたので憤怒したザンザスでした。

 

九代目の場合。

 

海外通話。ちなみに通話代は向こうもちである。ザンザスの電話から数分後。

 

『天姫ちゃん久しぶりだね。元気にしているようで安心したよ』

「おじい様もお元気そうで良かったです」

「そういえば、ザンザスと連絡はとっているかい?」

『はい、さきほど電話をかけましたけど。なんでおじい様が知ってらっしゃるんですか?」

『うん、さっきヴァリアーの方の建物が木端微塵になったという情報が届いてね。天姫ちゃんがらみじゃないかと思ったんだよ』

「ザンザスってば、なんで破壊活動が大好きなの!?ってか、おじいさまどうして私がらみになるとザンザスが憤怒するんですか?」

『………やっぱり気が付いていないんだね。そんなぽややんとした所も好きだが、少々君が心配になってきてしまうよ。そうだ、いっそのことイタリアに来なさい。その方が安心だ』

「おじいさまが私を日本に寄越したはずでは?今更ですよ、それになぜにそんな事に発展してしまうのですか。極端すぎます」

『君が心配し過ぎて、胃に穴が開きそうだよ』

「…………それじゃあおじい様は私のバレンタインのチョコと肉まんは食べられないということですね。わかりました。残念ですけそ今回はあきらめ」

『わしは全然元気だから遠慮なんかしないで送ってほしいな?』

「…………さっき、胃に穴が開きそうだとか」

『軽いジョークだよ。真に受けちゃ駄目だよ。天姫ちゃん』

「…………ゴーラちゃんに頼んで持って行ってもらいますから」

『楽しみにいているよ』

 

こうして天姫のチョコづくりは始まった。

様々な思惑の中、果たして無事に出来上がるのか!?

 

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