闇ニ花ヒラク蒼薔薇   作:松魚

95 / 160
標的96バレンタイン包囲網『後編』

クローム髑髏の場合。

 

「はい、チョコだよ」

「ありがとう、天姫!」

 

満面の笑みを浮かべ天姫に抱き着いてくるクローム髑髏。

 

「そんなに喜んでくれるなら何より」

 

天姫の順位の中では最高位にいるのは今の所女の子たちだった。

なので、男連中は後回しになる。

 

「あ、あのね?私もその、チョコ作った、の」

 

なぜかもごもごと赤面しながらも一生懸命天姫に伝えようとするその動きが天姫の心にどストライクした。

 

「もう!なんで凪はそんなに可愛いのぉ~~!」

「むぎゅ」(すりすり)

「ああ、私のお嫁さんにしたいくらいだわ」

「天姫のお嫁さんよりも本当の娘になりたい………」

「あれ?凪。どうかした?」

「う、ううん。なんでもない。…それより、もっとぎゅってして?」(きゅぅうん)

「よしきた!」(ズキューン☆)

 

男どもは呼び出して直接手渡しすることに。

それぞれにチョコと肉まんを配布して、そこにloveがあるかどうかは、わからない。

 

※

沢田綱吉君の場合。

ツナの部屋にやってきた天姫。ツナは見るからに渡されたチョコを見てホッと安堵した。

 

「よかった、普通だ…」

「そういえば、京子からもらえた?」

「?いや、義理チョコなら京子ちゃんやハルからもらったけど…なんで?」

「義理チョコ?……そっか、どんまい!ツナ。大丈夫まだ望みはあるよ」

「…………」(勘違いしてるな)

「そう落胆しなさなんなって」

がしっ!

「おわ!?なにす」「いい?天姫。俺が本当に好きなのは…」

 

綱吉一世一代の告白をする!の巻ってタイトルもイケる!と思ったが、

 

ごんっ!

 

と扉が開きツナの後頭部に直撃。

 

「ぐえっ」「ツナっ!?」

「あら、綱吉様ったら。そんなところにおられたのですか。まったく気づきませんでしたわ」

「燐華…なんてタイミングで登場するかな」

 

まったく悪びれた様子もなく、燐華が畳んだ洗濯物を抱えながら現れた。

ツナは涙目で睨みつけた。

 

「………わざとですね」

「何のことやら、おほほほほほ!」

 

しれっととぼけた燐華にツナにしては珍しく怒りモード。

しばしツナと燐華の双方は険悪な雰囲気で居た堪れない天姫はさっさと逃げたのでした。

※

リボーンの場合。

 

「お前にはこれを送るぜ」

 

そういって天姫に渡したのは、彼女の背丈くらいもありそうな大きな包みに入った

綺麗にラッピングされ赤いリボンがあしらわれた箱。

 

「メンテナンスセットだ。天姫。お前ゴーラのメンテで大変だろうと思ってな。ジャンニーニに言って特注で作らせたものだ」

「ありがとう!本当に嬉しいわ。さすが愛人何人も囲ってる赤ん坊ね」

「……言っとくが、俺は本命に対しては一途だぞ」

「へぇ、そう。意外ね」

「ちゃんと聞け」

「えへへへ、これでゴーラちゃん改造しまくろー!」

「聞いてねぇな」

 

もはやプレゼントに夢中で人の話などまったく聞く耳もたずの天姫であったが、喜んでいる様子なのでリボーンは満足だった。

 

※

獄寺隼人君の場合。

 

天姫に並盛公園に呼び出され渡されたチョコを手に、隼人は疑り深い視線を向けた。

 

「これはお前が作ったんだよな!?」

「そうですよ、私のお手製です」

「姉貴のじゃねえよな!?」

「だからそうだって」

「本当にそうなんだよな、俺に嘘ついてねぇよな!」

「だからさっきから私が作ったもんだって何べん言わすんじゃい!」

 

あまりにしつこいのであげたチョコを奪って食べてやろうとした天姫だったが、慌てて隼人が謝ってその場は許してあげることに。

 

※

山本武君の場合。

 

山本寿司まで出向き、仕事の手伝い中の武を店の前に呼び出して天姫はチョコを手渡した。

 

「サンキュ!めちゃくちゃ嬉しいぜ」

「うんうん、素直でよろしい。隼人みたいにしつこいのは勘弁だわ」

「…あいつには何やったんだ?」

「ん、武とおんなじだけど……それがどうかした!?まさか武までビアンキ姉に作ってもらったもんだって勘違いしてるの?」

「獄寺じゃあるまいしそれはねーな」

「じゃ、中身が不満?肉まんやっぱり嫌いだったとか…」

「いや、なんでそんなに肉まんにこだわるのかなってさ。疑問だったから」

 

武にとっては何気ない疑問だったが、天姫にとってはどうにも言いにくい答えだった。

本当は思い出すのも辛い思いで。

 

「…あー。それね、うん。まぁー、それが『思い出』だからかな」

「…………劉牙さんとの、か?」

「………まぁね……」

「そっか、ごめんな?変なこと聞いちまって」

「ううん、気にしないで」

 

天姫は笑って誤魔化そうとした。だが武には辛そうにみえて胸が痛んだ。

 

※

雲雀恭弥君の場合。

 

天姫は恭弥の真向いのソファに腰かけラッピングされたチョコを差し出した。

 

「はい、恭弥。チョコだよ」

「……僕以外にあげたね」

 

とそのチョコを受け取ろうとはせず、わかりやすく拗ねる並盛最強の風紀委員長。

部下の風紀委員たちがこの光景をみたらきっと……天変地異の前触れだと恐れるに違いない。

 

「そんな拗ねないでよ。あの時はっきり言ってくれなかった恭弥が悪いんだから」

「…ちゃんと言ったよ。理解しない君が悪いんだから」

 

ぶすっとした顔でふてくされる恭弥。

天姫は苦笑して恭弥の隣に座りなおした。

 

「それはすいませんね、鈍くて」

「…………」

「きょん、悪かったって」

「……………」

「恭弥ってば」

 

最終手段と、天姫は恭弥の頬に手を伸ばしてむにゅっとつまんだ。勿論、痛くなように軽くだが。そうしたらようやっと恭弥は天姫と視線を合わせた。

 

「…………一緒に食べようよ。そしたら多少は許してあげる」

「はいはい、じゃお茶いれるね?」

「うん」

 

一緒に天姫がもってきた恭弥用のチョコと肉まんを半分個して一緒に食べた。

 

※

六道骸君の場合。

 

黒曜センターまで出向いた天姫を迎えたのは、準備万端と言わんばかりに腕を広げて待っていた骸だった。

 

「さぁ天姫、いつでもオッケーです。僕の胸に飛び込んできてください!」

「投げつけてやるわ」

 

本気で投げてやろうと思ったが、食べ物は粗末にするべきではないと思いとどまって「はい」と手渡した。

 

「そんな、酷いです。でも嬉しいですよ」

「お返しは三倍返しでよろしく」

「期待していてください。僕の全てを天姫に差し上げますから」

「あ、いらないわ。気持ちだけで遠慮しておきます」

「そんな!?酷いです。僕の気持ちだけ欲しくて僕の身体には興味ないなんて…」

「変な言い方しないでくれる?」

「あの夜のお仕置き、僕、覚えてますよ」

「ぐっ、痛いとこ突きやがる」

 

ちょっとからかい過ぎたと反省。というかこれ以上の会話の継続は自分にとって不利になることばかりと判断した天姫。

だから今回は出血大サービスということで、抱き着いてあげることに。

 

「天姫~!愛してますっ!」

「はいはい。私も愛してますよ~」

 

するとなおさら骸の方からギュッと抱き着いてきた。

でも今回だけは甘えさせてあげようとおもった天姫だった。

 

※

ディーノの場合。

 

仕事終えてプライジェット機使って日本に飛んできたディーノ。

 

「天姫ー!」

 

がばっ、ぎゅうぎゅうと思う存分天姫を抱きしめてシスコんぶりを披露する。

 

「ディディ、苦しいから」

「にーちゃんは嬉しいぞ!!」

「そんなに喜んでもらえて私もうれしいよ」

「ああ!まさか俺のためだけにこんな手の込んだものをくれるなんてな」

 

ディーノの手にはさきほど天姫から渡されたチョコがあった。

だが彼は勘違いをしている。

 

「いや、あの。それ違うよ」

「えっ?」

「皆にもあげたし」

 

天姫の否定にディーノは、まるでこの世の終わりを全て背負ったかのような顔をして

 

「ガーンッ!」

ドンガラガラガッシャッーン!

 

盛大に倒れた。

 

「ちょ、ディディ!?」

「天姫、気にするな。いつものことさ」

 

ロマーリオがタバコふかしながら慌てた様子もなく説明した。

 

「ディディの倒れることって日常化してたの!?ロマーリオ、それって大変なことなんだけど……」

「ボスのはシスコンだから全然かまわねぇさ」

「シスコン、なの?」

 

そのまま気を失ったままのディーノをを介抱しつつ、天姫はロマーリオと楽しくお茶をした。

 

※

ザンザスの場合。

 

海外通話。ちなみに通話代はまた向こうもちである。

 

『…よう』

「うん」

『さっきゴーラが来たぜ…』

「そっか、で。中身見た?」

『ああ、肉まんだな…しかもほかほかだったな……』

「でしょ、だって冷めたの渡すのはなんか悪いし」

『だからってゴーラの中身改造したのか?』

「うん、一部、保温できるようにしてあげたんだ。

電子レンジでチンしなくてもよかったでしょ?」

『………こっち、来ないのか?』

「うん、暇できたら行くってば」

『……最初と言ってること違うじゃねぇか……』

「予定が狂った」

『…そうかよ、…ッチ』

「そういえば、聞きたいことあったんだった」

『あ?』

「ザンザス、まだ破壊活動してんの?ダメだよ。修理費も無料じゃないんだから!」

『は?』

 

なんだかんだでようやく電話を切ったザンザス。

目の前には…

 

グォングォングォン……とゴーラ・モスカが待機していた。

 

「まだいたのか」

グォングォングォン……

「お前が天姫に届けるってのか?」

グォングォングォン……

「いや、これはアイツが直接取りにくるって言ってんだ。直接渡す」

 

意志疎通できているのはザンザスがヴァリアーのボスだからだろうか。

 

ガチャリとドアが開き、ぞろぞろと見慣れたメンバーが顔を現す。

ちなみに入っていいとザンザスは言っていない。

 

「あら♪来てたのね?ゴーラ」

グォングォングォン

「ルッスー、何、奇声あげて…お、ガラクタ来てた!」

「ベル、アンタはなんでそう一言多いのよ。素直に久しぶりって言えばいいのに。素直じゃないわね」

「天姫は元気にしてんのかぁぁああ?」

「これって天姫が僕たちにくれるの?」

グォングォングォン

「まぁ、肉まんじゃない♪おいしそうだわ」

「あ、王子が先にお姫の手作り肉まんもらった!」

「ヌッ!?ベル!横から奪うとは…」

「とろい奴が悪いんだよっ!!」

 

ドスンバタンゴギャメキャグニュ!!

 

「「「「「あ!?」」」」」

 

肉まんがつぶれた肉まんにレベルダウン。

 

ズゴゴゴゴゴゴ!どぉぉぉおおん!

 

アジト崩壊&、ヴァリアー面々行方不明。

 

ゴーラは特製ボディなので怪我なし。

天姫からもらった肉まんをつぶされて憤怒したザンザスだったが、すぐに新しい肉まんをゴーラちゃんがチン!してくれたので機嫌は元に戻った。

 

※

九代目の場合。

 

「もしもし、おじい様ですか?」

『やあ、天姫ちゃん。さっそく頂いているよ。ありがとう。とてもおいしいよ』

「良かった、お口に合うかどうかわからなかったので」

『いやはや、まったく天姫ちゃんはいいお嫁さんになれるね』

「…そんなぁ。おだてても何も出ませんよ?」

『いや、本音だよ。君なら、……ん、なんだって…?』

「え、どうかされましたか?おじい様」

『…ふむ、今部下から情報が入ってね。どうやらまたザンザスのアジトが壊滅したらしい』

「また破壊活動がっ!?」

『…天姫ちゃん、ザンザスに何か言ったのかい?』

「?いえ、ただあんまり破壊ばっかりしないようにって。無料じゃないんだからって叱っときましたけど」

『天姫ちゃんは変わらずにずっとぽややんでいて欲しいね。

うーん、イタリアに来ないかい?まだわしの傍にいてほしいし。うん、結婚も見直そうかな。そうしよう。さっそく手配させようか』

「ストップ赤信号!」

『それは日本で流行っている新しいジョークか何かかな?』

「そんなわけないじゃないですか!?おじい様がまたアホなこと言いだすからですよ!」

『アホだなんて、わしの繊細なハートが傷ついたよ』

「嘘は嫌いですよ」

『軽いジョークだ。真に受けちゃ駄目だよ天姫ちゃん』

「次はないと思ってください」

『頭が固いね、天姫ちゃん』

「一般人と言ってください」

『そういえば、言ってなかったけど』

「はい?またジョーク言ったら即行に切りますから」

『ぶっちゃけ、君はまだ正式にはツナ君のものじゃないからね?』

「はい!?」

『仮で決まってるけど、『虚像の花嫁』の所有者は本来、現存しているボンゴレのトップが所有できるんだよ』

「……それって、すなわち……」

『ホントはわしが天姫ちゃんの婚約者なんだよ』

 

ガチャッン!

つー、つーつー………。

 

「あれ、切れちゃった。今度はジョークじゃないのに……ま、いっか。君も一緒にどうかな?ゴーラ君」

 

グォングォングォン

九代目はしばらくゴーラちゃんと談笑することに。

そこで色々と天姫情報を仕入れたり。結構抜かりない九代目。

 

※※※

 

ったく、おじい様ったら変な冗談ばっかり言いやがって!!

さて、怒りはこれくらいにして燐華にも渡したし、奈々ママにも渡した。

もちろん、千種と犬にも。チビちゃんたちにもあげたし、ビアンキ姉や京子とハル、花にもあげた。

笹川兄にもその分を京子に託して渡してもらった。

 

後は揚羽と……最後はやっぱり狗楽です!

あー届いたかなぁ?

と愛しの妹に想いを馳せている頃……。

 

遥か遠い地では愛しの妹、狗楽が大層ご立腹&嫉妬してた。

 

「何、この大量の肉まん……。愛が重い…おなかすいてるからいいけどさぱくっ!美味い!?…くっま、負けた…なんだよなんだよねーちゃんばっかり料理の腕はいいのになんでわたしが作るのは奇天烈ばっかりかな…」

 

狗楽ようにと送られた肉まんの山に手を伸ばして勝手にもぐも食していたヒナが余計なことをぽろっと言う。

 

「……素直じゃないな……本当は心底嬉しい癖に」

「クソばばあは黙ってろ。つか食っていいって誰が言った?許可した覚え一mmもないけど」

「またやる気か?」

「やるか?コラ。受けて立つわ」

 

喧嘩勃発。しそうになったけど、

 

「またですか!?」

「「何もしてません」」

 

陸遜が駆けつけた時に始まる前に終わった。

さて、これでホントにバレンタインはひとます、終了にて。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。