天姫side
我が愛しの狗楽にバレンタインに送った私の愛がたくさんつまった贈り物。
なんとその狗楽からお返しとばかりに届いたのはなんと……。
手紙一つだった。
でも!狗楽が一生懸命心を籠めて書いたんだろうなと期待を込めてその手紙を開いてみればただ一言しか書いていなかった。それも『処理に困った』だけだった。
何?!これ。私の愛は狗楽に伝わらなかったのかと、嘆き悲しんでいたら、ぼそっと燐華が
「重たすぎたのでしょうね」
と言いのけた。何が重いの?もしかしてもしかして私の愛がですか!?
それから三日三晩泣き暮れた。おかげで目がウサギさん状態です。
ああ、どうか夢の中では狗楽に拒否られませんようにと祈ったのに。やっぱり私の夢には定番と化している二人が乱入してきました。
「動物園行きませんか?」
「天姫動物見に行こう?」
またまた夢の世界で私は二人同時に誘われた。
その二人とは、切っても切れない関係となった骸と凪である。
そりが合わないみたいなのに意外と似たり寄ったりな部分があることは二人には内緒にしている。言ったらうるさいので。
「…………骸、髪型。変化してるわよ」
私が親切で教えてやったことで彼はようやく自分に変化があったことが分かったようだ。
諸悪の根源である凪に向かって怒鳴った。
「なんですって!?クローム!」
「今度はアフロにしてみました」
悪びれもなく凪はあっさりと白状する。私も軽い気持ちで言ったつもりだったんだけど
「だんだんバリエーション増えていくわね。楽しいわ」
「天姫!?」
彼を泣かせてしまった。すまん、骸。だってあんたいじると面白いんだもん。
このやり取りも結構面白いものだななんて気持ちになってきた。
目の前で喧嘩しだした骸と凪を横目で見つつ並々と注がれたカップに口をつける。
夢の中なんだけど、アップルティーの口いっぱいに広がる味は夢とは思えないほど
現実そのもののようだった。
さて、夢の世界といえど、この二人は私が待ったをかけないとめちゃくちゃにするので
そろそろストップをかけなければ。
「それでなんでいきなり動物園に行こうだなんて言いだしたのさ」
私が俊敏に動いていてもはや肉眼では確認できないくらいのスピードの二人にあえて問いかける。
そしたら二人同時に。
「「普通なデートっぽくしてみたいから!」です!」
やっぱりこの二人は仲いいんだよね。シンクロ率高すぎる…でもこの二人に振り回されるのは体がもたないかもしれない。なので妥協案をで提案する。
ぱくりとアップルパイを一口でほおばりむしゃむしゃと食べ、ごっくん。よし、準備はおっけー。批判を食らうのを覚悟で。
「………三人でデートするのね」
「違います!」「私は嫌だ」
即答で同時に答えた二人。いやホント見事ですな。拍手を送ろう。
やっぱりダメですか…。不満顔で文句をぶーぶー言いまくるのだが
「じゃあ、千種と犬も入れて五人でデートしようか」
「「えええ―――――――!?」」
これでも精一杯努力した結果出たんだよ。否定意見は受け付けておりません。
なのでさっさと我が道を行こう。ごちそう様と私は手を合わせ
「そうしよう、そうしよう。決めた。もう決めた。そうだ、皆でどっかに言った事なかったもんね。家族みんなで出かけよう」
「「ぶーぶー」」
「お前らはぶたさんか?」
ガタンとテーブルの淵で両手をつき、よいしょと立ち上がる。
そんなことを言いつつ、やっぱりみんなで行くことに決めました!
「そんな…」「骸さまの所為だから…」
文句言う二人を無視して、私は先にこの夢の世界を出てきた。
去り際にみんなのお弁当作っていくからと
二人に言ったら、嬉しそうな声をだしていたのでまぁみんなで行くのはいいんだなと
勝手に解釈したしだいです。
いや~。いい天気ですな。今日は久しぶりに楽しい気持ちで行こうとみんなのお弁当も作っていましたわ。燐華にはちょっと遠慮してもらって今回はいないっす。ごーらちゃんはおりますけどね。肩にシロを乗っけ、しっぽゆらゆらさせながらなんて奴だと思いつつもそのままにしている私。時折、犬がシロにちょっかいだして顔を爪で引っかかられていた。
電車の中、おとなしくしていない皆をたしなめつつ、千種はおとなしかったな。
なんて手のかかる子だろうともってきておいた救急セットで手当しといた。
「天姫、…痛い…」
「痛いですんでよかったね。ホントだったら引き裂かれてるはずだから」
「ゲッ!?」
「クハハハ。犬。学習しなくてはいけませんね?」
「そりゃあんただろ」
今のお前の姿で言っても説得力は皆無だと思うがな。もういちいち説明するのも嫌なんで省略しよう。ただ、他の乗客から白い視線を送られていることだけ伝えるとしよう。
さて、騒がしい一行で動物園へつきました。いやはや、やっぱり混んでますねぇ。家族連れとかカップルとかでにぎわってるよ。
「みんな、はぐれないようにね?」
そういって、ちゃんと人数いるかどうか確認しようとしたら凪が一言。
「ゴーラちゃんがいないよ?」
「なんですって!?」
確かによく見たらいつも私の後をくっついて歩く存在が影も形もないのだ。私は慌てて周囲に目を配る。だが、まったくと言っていいほどあの巨体が見当たらないのだ。
「……そんな、ゴーラちゃん…」
「天姫、気を落とさないで?」
「あいつ、金属だから人ごみには流されないって!」
「そうです、天姫。迷子の放送でもかけてもらいましょう」
凪と骸が私をそう元気づけてくれた。
「そうだね!じゃあ迷子アナウンスしてくれるとこ行こう!」
私たちはぞろぞろと迷子預り所へ行くことにした。
※
さて、実は動物園に来ていたのは彼らだけではなかった。
リボーンから無理やり京子とのデートをセッティングされたツナ。
本人が来てしまった以上、ツナが断るわけにもいかず、天姫にばれたらなんて密かにひやひやしていたのだが、その心配は皆無だった。
なぜなら、天姫は天姫で用事ができたからと朝、早くに出かけてしまったのだ。
そして、京子と差しさわりのない普通な会話を重ね、動物園とへと来た。
だが、来たはいいが、なぜか行けども行けども知り合いにばかり遭遇することに。
しかも偶然以上のものを感じた。
主にリボーンの。そして極めつけはこれだ。
ピンポンパンポン♪
『迷子の男の子を探しています。全身金属で出来上がっている殺戮兵器。#name1#天姫さんのペットで名前は、ゴーラちゃん、ゴーラちゃん。天姫さんが探しています。迷子案内センターまで連絡ください』
ピンポンパンポン♪
「わぁ、天姫ちゃんのペットのゴーラちゃんて動物園に来てたんだね」
と京子が驚いた様子でツナにしゃべり掛ける。
だが、ツナは聞いていなかった。なぜなら
「まず、迷子じゃないから!」
と、突っ込みたかったからである。それからというのはとにかく怒涛の展開だった。
ボンゴレのメンバーが動物園で暴れるから檻からライオンが逃げ出し、ちょうどその場面に遭遇してしまったツナと京子にそのライオンが襲い掛からんと迫ったその時、
グォングォングォン…
「あれ……?」
「あ!ゴーラちゃん、助けてくれたの?」
京子が歓喜の声をあげた。そう、いつの間にか、迷子の呼び出しをうけていたゴーラが二人の前に立ち、かばっていたのだ。
ゴーラは二人の無事を確認すると、ライオンにとどめを刺そうとミサイルランチャーを起動させた。
「駄目だから、ホントに殺戮は禁止だから!」
でもツナがあわてて止めに入り事なきを得た。
「さっき、ゴーラちゃん、迷子のアナウンスで言われてたよ?もしかして天姫ちゃんも動物園に来てるとか?」
グォングォングォン…
「いや、わかんないよ」
ツナがそう返した。
だが京子はゴーラの言いたいことが理解できたようで会話が成立している。
「そっか、みんなで食べるように作ったお菓子持ってくるの忘れてたのね?だから家まで飛んで取りに帰ったんだ」
笑顔で納得したといわんばかりの京子。
ツナは二人についていけず、唖然とするしかありませんでした。
それから、必死にゴーラを探していた天姫たちとも遭遇。
骸たちといるとはびっくりだったが、本人はゴーラを叱っている最中なので文句は後でいうことにした。お昼は天姫が多めに作ってきたというお弁当をみんなで分けて一緒に食べた。そのなかで、一部抗争なども起こりそうになった。(お弁当のおかずの取り合いで)
天姫が呆れ気味な表情をしていたらゴーラが気を利かせて圧縮粒子砲でその争いの根本を消そうとしていたので、無理やりみんなに仲良くさせた。
その時いかに仲の良くないツナたちだけどその時ばかりは意見は一致した。
生き残る為に………!
とにかく、今日は気疲れした日とツナの中で記録されたのである。