狐が拾ったヤンデレ娘   作:なっち様

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教えて

「それでお父さん、どうやったら神様になれるの?」

 

あれから少しして落ち着いた森愛りんなは私の膝の中に体を収めていた。

私も娘である森愛の思いに面食らっていたが親として森愛を愛する気持ちに従うことにした。

あくまで娘としてなのは森愛には少し申し訳ないが。

 

「方法としてはいくつかあるんだ。

それこそ私だって昔は神になれる手前だったぐらいさ」

 

「お父さんが神様に?」

 

「そうさ、今でこそ一本だがその時は尻尾だって八本もあったんだぞ」

 

「えー! 凄い!

じゃあその方法で私も神様になれるの?」

 

 森愛は振り向いて驚いた。

 

「いや、人間の森愛には難しいだろうね。

第一私でさえ失敗してるわけだし」

 

「なんだー、ただの自慢だったのか」

 

 そう言われると返す言葉もない、過去に私が試みる程度の方法もあると言いたかったんだが、結局人間の森愛にできないなら自慢のようにきこえても仕方ないか。

 嫌だね歳をとると昔のことばっか話したくなってしまう。

 

「ううん、また一つお父さんの事知れて嬉しいよ」

 

「あれ? 口に出てたかい?」

 

「お父さんの顔を見ればそれくらい分かるよ」

 

 私限定でなければそれも方法として考えられたんけどなぁ。

 

「それで? 私が神様になる方法早く教えてよ」

 

「そうだね、まず一つは人に崇められることだ。

これは人間からの信仰心とか感謝の心を糧に自分を高めることで神に到達する方法だ。

険しい道だけどね」

 

「仙人様とか僧侶とかがやるやつ?」

 

「イメージとしてはそんな感じかな」

 

厳密にはちょっと違うけど。

僧は自分の信じる戒律に基づく行動を模範とする人間のことだし、仙人は俗世間から離れて自由に生きるための術すべを手に入れた人間の事だ。

 仙人で不老不死になるものもいるようだがそれはただ死んだことがないから生きているだけだ。

 神仙と呼ばれるものも大体そんな苔の生えたような体を持っただけに過ぎない。

 ほんの一握りだけが神の境界に足を踏み入れている。

 

「もう一つは力のある奴から奪うことだね」

 

「奪うって?」

 

「そのままの意味さ。

神仙と呼ばれるようなものや神具法具といったものから力を奪うことさ」

 

「そんなことできるの!?」

 

「できるよ。

手っ取り早さで言えば一番早い方法だよこれは。

なにせ神から力を奪えば一発で神になれる」

 

「簡単ってこと?」

 

「いや、一番難しいかもね。

なんせやってることは神殺しにほかならない」

 

 神話や伝説に出てくる存在から力を奪うというのは難しい。

 その存在の眷属となることで貸し与えられることはあるが、それは森愛のいう永遠ではないだろう。

 

 「……神殺しって本当に殺さなきゃいけないの?

もしかして奪うって殺して奪うってこと?」

 

 顔を曇らせて聞いてくる森愛。

 殺しだけでなく奪うというのだって心苦しいのだろう。

 本当に優しい娘に育ってくれたよ。

 それでも否定しないのは彼女の愛ゆえか。

 

「なに心配しなくてもいい。

根こそぎ奪ってしまえば殺してしまうだろうが少し残してやれば神格を落とす程度にとどまる筈だよ」

 

 そうすれば恨まれて後々面倒なことになるだろうからやるなら根こそぎのがいいと私は思うがね。

 

「お父さんが神様になって私を神様にすることってできないの?

私できたらそれがいいなぁ」

 

「賢いね。

それも説明しようと思ってた方法だよ」

 

「ほんと!?」

 

 さっきまでの暗さはどこへやらといった様子の森愛、彼女からすれば殺しも奪いもしないこの方法は魅力的なのだろう。

 私もできれば森愛にそんなことをして欲しくない。

 

 しかし、私が神になるのは一度失敗している。

 九本まであと一本だったのに。

 いまならなれるのだろうか?

 

「ねぇねぇ、お父さんはどうやって神様になろうとしたの?」

 

 興味津々といった様子の森愛。

 いいだろう昔のことを話すのは得意だ。

 

「妖怪である私が神になるには力をつける、そうだな、分かりやすく言えば格を上げると言えばいいかな。

その方法をとったんだ」

 

「格をあげる?」

 

「木っ端妖怪から大妖怪になるとでもいえばいいかな。

妖怪として純粋に力をつけたんだよ」

 

「強くなるってこと?

強くなれば神様になれるの?」

 

「妖怪の場合はね。

神の力も妖怪の力も極めれば同じようなもんなのさ」

 

自慢じゃないが当時の私はかなりの名の知れた妖怪だったんだぞ。

妖力だけで木っ端妖怪ごときなら塵にできたし、人を化かすのだって狐じゃ私の右に出る者はいなかった。

当時の私と対等な口を利けたのは狸の奴くらいのもんだった。

 

「そんなお父さんに拾ってもらえて私は幸せだねぇ」

 

「森愛を拾ったときには尻尾はもう一本しかなかったけどね」

 

「お父さんと居れるだけで幸せだもん」

 

ムッとして言い返してくる森愛。

幸せならいいさ。

 

「だからこの幸せを手放したくないの」

 

「……単純な子だ」

 

「単純でいいの。

そんなことで私は幸せなんだよ、お父さん」

 

「いつか私に伴侶ができてもかい?

私の隣は埋まってしまうが一緒にいれると思うよ」

 

 意地悪だったかな?

 そんな私の言葉に森愛は即座に答えた。

 

「そんないつかあり得ないよ。

ここは私の場所だから」

 

 そして私の膝の中から抜け出して私の腕に力強く抱きついてきた。

 キツイくらいの締め付けが森愛の存在を主張してくる。

 

「お父さんの娘も妻になるのも私だよ」

 

 私の膝にはまだ森愛の温もりが残っている。

 

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