ありふれた職業で世界最強~シンゴジ第9形態とか無理ゲー~   作:ユウキ003

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今回は、世界の真相を知るのとプラスアルファの
おまけ的な話です。
ここ最近、この作品に対する意欲がブーストしているので
作品を挙げる速度がめちゃくちゃ速くなっていますが、
何時失速するか分かりませんので、ご了承下さい。


第14話 最奥の真実

~~前回のあらすじ~~

ついに200層を目前に控えた司達。

司は、仲間であるハジメ達の為に武装や

ジョーカーを強化し、最終決戦に望んだ。

7つの頭を持つヒュドラとの決戦は

これまで以上の強敵との戦いであったが、

ゴジラたる司の活躍で無事これを撃破。

5人は、ヒュドラを倒した扉を通って

反逆者の一人の物と思われる広大な

空間、楽園のような場所へと足を踏み入れた。

念のためにとあちこちを探索する司たち。

そして司は、住居と思われる建物の3階の

部屋に踏み込んだ。

彼はそこで、骸となった人物の若かりし頃

の姿と対面したのだった。

 

 

突然目の前に現れた存在に、私はノルンを

構え直す。

「司!」

そして、後ろからハジメが入ってきて私の

隣に並ぶ。

「大丈夫ですハジメ。それより……」

「うん。誰、この人?」

私達二人は警戒心を強めながら、青年を

警戒しつつ観察する。やがて、その青年は

自らを『オスカー・オルクス』と

名乗り、話し始めた。

 

まず最初に話したのは、これが記録映像の

類いである事だ。私は内心、そんな技術が

あるこの世界に驚いていたが、その次に

話された真実は、驚愕に値する物だった。

 

オスカーの話をまとめると、こうだ。

 

遙か昔のトータス世界では、争いが

絶えなかった。

人族、亜人族、魔族は様々な理由で争いを

繰り広げていた。しかしそのもっとな理由

が、『神の敵』だから、と言う物だった。

どの種族も何かしらの神を崇め、同時に

それ以外の種族を邪教徒として争った。

 

そんな争いを止めようとしたのが、反逆者

と言われた、7人の『解放者』達だった。

彼らは、神々の直系の子孫であり、ある日

神達の真意を知ってしまった。

 

神々の真意。それは、人や亜人達、魔族達を

遊戯として戦わせる事だ。

 

つまり、神々にとってトータス世界は

ゲームの盤上。そこに生きる全ての命は、

奴らの遊びの『駒』だったのだ。

 

これを知った解放者達は、祖先である神々

への先祖返りと呼べる程の力を持っていた

為、神の居る場所、神域を突き止め、

人々を神の呪縛から解放しようとした。

 

しかしそれを良しとしない神は、解放者たち

を、世界の破滅を狙う神の敵とし、彼らが

守ろうとした人間に討たせようとした。

解放者達は、守るべき人間の攻撃を受け、

彼らは中心的存在だった7人を残し、他は

全滅。そして7人は世界の果て。七大迷宮

を創り、そこへ逃れた。

 

そして迷宮とは、言わば試練の場だった。

現在の自分達では神を倒せないと判断した

7人は、自分達の力を託すに足る存在

であるかどうかを試す場として、迷宮を

創り上げた。それが迷宮の存在意義だった。

 

そして、全ての話が終わりオスカーの映像が

消えると、私と、魔法陣の中に入っていた

ハジメの中に『情報』が流れ込んできた。

「うぐっ!?」

「ッ、これは」

頭を抱え、膝を突くハジメと、一瞬フラつく私。

 

「ハジメくん!大丈夫!?」

慌ててハジメに駆け寄る香織。

私はハジメと共に一旦魔法陣の外へと

出た。しばらくすれば、私もハジメも、

痛みが引いた。

 

しかし、これは……。

「どうやら、あの魔法陣は彼らの言った

 力。神代魔法を、試練を突破した者に

 授ける為の物のようですね」

「え?って事はもしかして二人とも……」

「うん。授かったみたい。神代魔法を」

首をかしげる香織に説明するハジメ。

 

このオスカーの迷宮で授かったのは、

『生成魔法』のようだ。

これは、魔法の効果などを鉱物に付与

したり、特殊な性質を持った鉱石を

生成出来る物だ。

その内容からして、錬成師のハジメには

ぴったりな魔法だ。最も……。

 

「って言っても、こんなのあっても司が

 アーティファクト級の武器とか

 創れるし、何の役立つかは分からないけど」

とハジメ本人がそう言った。

 

しかし……。

 

その後、念のため魔法が使えるユエと香織が

魔法陣の上に立ち、オスカーの映像を

もう一度見た後に生成魔法を取得した。

とは言え、やはりこう言った物には適正

があるのか、二人ともハジメほど力を

使えるわけではなさそうだ。

 

その後、オスカーの遺体は、私達の手で

畑の側に墓を創り、棺に収めそれを埋めると、

上に十字架を立て、そこに

『オスカー・オルクス ここに眠る』と

刻んでおいた。

 

黙祷を捧げた後、私は掌の中にある

オスカーがしていた指輪に目を向けた。

この指輪には、封印が施されていた

2階の書斎や工房の、封印の文様と

同じ物が刻まれていた。そしてその

指輪を使う事で、案の定封印は解けた。

どうやら、これは一種の鍵のようだった。

 

同時に、地上に帰還する術として、あの

3階の魔法陣が使える事が分かった。

どうやら指輪を持っていると、帰還用

の転移魔法が発動するようだ。

 

しかし、問題はあった。

 

 

リビングに集まり、ハジメ達は

ジョーカーを解除するとソファに

腰掛け、深々と息を吐き出した。

そんな中で、ルフェアの表情は

特に冴えない。

 

まぁ、当然と言えば当然だ。神の真実は、

例え神を信じていなかったとしても、

驚愕ものだ。

「……ねぇ、皆はさ。あの人の話、

 って言うか神について言ってた事、

 どう思う?」

と、最初に口を開いたのはハジメだ。

「……。最低の、奴だと思う」

香織は、汚い言葉を押さえ込みながらも

まるで絞り出すようにそう呟く。

「たくさんの人の命を、何だと

 思って……!」

 

彼女の瞳の奥では、激情の炎が

ユラユラと揺れていた。

「香織さん」

そんな彼女を心配してか、隣に居たハジメ

が優しく彼女の肩に手を置いた。

 

「……私も、許せないです」

そしてルフェアも、憎悪にも似た感情を

滾らせていた。亜人を排斥する聖教教会。

そしてそれを裏から操る、神エヒト。

彼女の憎悪も最もだろう。

 

「私も、神のやった事は許されない事、

 だと思う。……でも、どうするの?」

そしてユエの言葉だが、彼女の、

「どうするの?」という言葉に3人は

何も言えなくなる。

 

彼女の言葉の意味は、もちろん

『神と戦うのか?』という意味だ。

やがて、3人は私の方を向く。

 

だが……。

「私は、神殺しに興味はありません。

 我々の目的は、あくまでも元の世界

 への帰還。その障害となるのなら排除

 しますが、こちらか打って出よう、とは

 思って居ません。積極的にエヒトと

 戦う理由はありません」

 

私は、非情とも取れる発言をした。そう、

私にしてみれば、この世界の事などより

ハジメ達の方が大事なのだ。極論を言えば、

私にはこの世界を守る理由も、救う理由も無い。

その言葉に項垂れるハジメ達。が……。

「皆は忘れていませんか?」

「え?」

と、疑問符を浮かべるハジメ。

 

「私は好きにする。諸君等も好きにしろ。

 以前、私はハジメや香織達にそう

言いました。皆は、私を隊長だと

言ってくれました。しかし、だからと

いって、我々の行動を私の一存で

決定する物ではありません。意見や

意思は、貴方達が決めるのです。

私は、それを尊重します」

 

そんな私の言葉に、ハジメと香織、

ルフェアはしばし考え込む。

やがて……。

 

「確かに、司の言うとおり僕達には

 この世界を守る理由なんて無いの

 かもしれない。

 ……けど、知ってしまったから」

そう呟くハジメは、真っ直ぐに私を

見据えている。

「知った所で、戦う義務が発生する訳

 ではありませんよ?」

「うん。分かってる。……でも、これだけは

 言える。エヒトが『気に入らない』。

 だからもし、奴が僕達の前に敵として

 立ちはだかった時は、『ぶっ潰す』」

獰猛な、しかし覚悟を持った瞳のままに

そう語るハジメ。

 

「……私は、エヒトが許せない」

そして、彼に続くように呟くのは香織だ。

「人の命をもてあそぶなんて、絶対に

 許せない。私も、ハジメ君の言う通り

 エヒトが『気に入らない』。だから、

 もし機会があれば、倒したい。

 ううん。必ず『倒す』……!」

香織も、エヒトの所業に怒りを覚えている

ようすだった。

 

「……私は、戦う」

そして、ルフェアも小さく呟く。

「もし、エヒトがツカサお兄ちゃんや

 ハジメお兄ちゃん、カオリお姉ちゃん、

 ユエちゃんに手を出したら、私は

 全力でエヒトと戦う。私の

 家族を守る為に……!」

 

「……私も」

そして最後はユエだ。

「……私にはエヒトと、積極的に戦う

 理由は、無い。でも、もしハジメや、

 皆に手を出したら、潰す……!」

 

皆の言葉を聞いた私は、一度目を瞑る。

 

皆の意見を聞き、考えた私は静かに

目を開き、4人を見回す。

 

「ならば、もし仮にエヒトが我々の

 行動を妨害、或いは攻撃してきた場合、

 エヒトを『敵』と認定し、排除を

 目指す。……これでどうですか?

 向こうが無関心ならば良し。攻撃

 してきたならば、敵として撃滅する。

 と言うのでは?」

私が提案すると、4人は頷いた。

 

「まぁ、あれだね。自分に従ってれば

 良し。じゃなきゃ排除しようとする

 神様なんて、多分思い通りに

 動かなかった僕達を快く思ってない

 と思うよ。だから……」

「仕掛けて来る、と?」

ハジメの言葉に私が問い返すと、彼は

静かに頷いた。

 

「そうですか。ならば……」

 

立ちはだかるのも良いだろう。

我々を敵と定めるのも別に構わない。

 

だが、ハジメ達を傷付けようとする

とするのなら、我らの道を阻むと

言うのならば……。

 

「例え神が敵であろうと、戦い、

 倒し、その命を粉砕して我々は

 進む。それだけです」

 

こうして、私達の方針は決まった。

 

第1目標は、これまで通り元の世界への

帰還方法などを探る事。

そして新たに第2目標が追加された。

それが、エヒト神の討伐。

しかし優先順位は帰還だ。エヒト神の

討伐は、可能であれば、と言う事で

我々は一致した。

 

とは言え、ハジメの言葉からして、

トータスに生きる命は全て自分の駒、

とでも思って居るのだろう。

ならば、思い通りに動かない私達に

対して仕掛けて来る可能性もある。

更なる装備の拡充などをしておく

べきか。

 

とにかく、今後の方針が決まった私達は

出入りが可能になった書斎と工房を

もう一度調べた。

書斎ではここがこんなにも綺麗に

保たれている理由や、他の迷宮や

仲間の解放者についてを綴ったオスカー

の手記を見つけた。

工房の方では、オスカーの創ったと

思われるアーティファクト類が

保存されていたが……。

 

「これ、すんごい力とか持ってそう

 なんだけど……」

と言いつつ、何故かこっちを見ているハジメ。

「司が居るとこんなの要らないん

 だろうな~」

ハァ、とため息をつくハジメと彼の

言葉にうんうん、と頷く香織達3人だった。

ちなみに、そこで結構便利な物を見つけた。

 

『宝物庫』というアーティファクトだった。

これは指輪の形をしたアーテァファクト

だが、それはまるでド○えもんの

四次元ポケットのようにどんな物でも

収納出来た。これがあれば一々大きな

リュックを背負ったりする必要が無い

ので、ありがたい物だ。宝物庫の

アーティファクトは、見つけた物を

私の力で解析、複製して全員に配った。

ちなみにこの時、ハジメに、

『アーティファクトコピー出来るとか、

 流石司だね』と

疲れ気味に言われてしまった。

 

その後、手記を読み、私達の当面の

目的は決まった。手記によると、この

オルクス大迷宮と同じで他の6つの

迷宮も、それを突破し神代魔法を

授けるに足る人物かを試す試練の場で

ある事が分かった。

 

「つまり、7つの試練を全部突破すれば、

 7つの神代魔法が手に入るって事?」

「えぇ。ハジメの言うとおりでしょう。

 現在トータスで使用されている魔法は、

 言わば神代魔法の劣化版とでも言える物。

 私達の世界風で言えば、失われた技術、

 『ロストテクノロジー』とでも言われた

 物です。そして、エヒトはそれを使い

 我々をこの世界に呼び寄せた」

「つまり、もし司くんに頼らない帰還方法

 があるとしたら…」

「えぇ。香織の予測通り、神代魔法以外に

 無いでしょう」

「じゃあ、これから私達は迷宮を

 巡るの?」

と首をかしげるルフェア。

 

「えぇ。少なくとも私はそのつもり

 ですが、皆はどうですか?」

「いや、僕は反対意見無し」

「うん。私も」

「私もです」

「んっ、私も」

皆、どうやら私の提案に賛成のようだ。

 

「では、我々は1週間ほどここで

 体を休めてから、外へと脱出。

 次の迷宮へ向かいたいと思います」

「「「「了解」」」」

これで、私達の当面の目標は決定した。

 

 

やがて、時間が経ち、天井の人工太陽が

月となった頃。

 

私とハジメは1階にあった風呂に入っていた。

 

「ハァ~~。それにしても、長かったね~

 オルクス大迷宮」

「えぇ。正直、2ヶ月もかかるとは

 予想していませんでした」

「そっか~」

と、他愛も無い話をするハジメと私。

「それにしても、司の創った

 G・ブラスター。結局出番無かったね」

「あれは今のジョーカーの最大火力です。

 むしろ出番が無くて安心しました。

 まだまだ改良と小型化、チャージの

 速度向上などなど、改良点はいくらでも

 ある代物ですから」

「そっか。……にしても、神と戦う、か~」

 

ハジメは、天井を見上げながら呟く。

「……。怖いですか?」

と、私は静かに聞いた。が……。

「全然」

 

ハジメは笑ってそう答えた。

「だって司が一緒なんだよ?

 司が隣にいて、一緒に戦ってくれるなら、

 怖い物なんて何も無いよ、僕は」

「……そうですか」

ハジメの言葉と笑みに、私もまた

笑みを浮かべていた。

 

その時。

ヒタヒタと足音が聞こえてきた。

「「ん??」」

私達が足音のした方に目を向けると……。

 

そこには一糸まとわぬユエの姿が。

 

「Oh~~」

「ふぁっ!?」

私は咄嗟に両手で目を覆い、ハジメは

戸惑い変な声を上げる。

そしてユエはそんな事を気にせず

ハジメの隣に座った。

 

「んっ。気持ちいい」

ふぅ~、極楽。と言わんばかりのユエ。

しかしハジメはそうは行かなかった。

 

「なななな、なんでユエちゃん

 入ってきてるの!?今って

 僕と司の男湯の時間にするって

 さっき言ったよね!?」

「うん。言ってた。……だが断る」

「ホワァァァァイッ!?」

ハジメはユエを何とかしようと

奮闘しているが、ユエは逆にハジメを

誘惑しはじめた。

 

「ハジメ。……大人の階段、

 上らせてあげる」

「ちょっ!?待って~~~~!!!」

 

と、その時。

「こぉらぁぁぁぁっ!

 何やってんのユエ~~~~~!!!」

風呂場に、バスタオルを体に巻き付けた

香織が入ってきた。

「ツカサお兄ちゃ~ん!私も一緒に

 入る~!」

更に、ユエと同じく一糸まとわぬ姿で

私の側に駆け寄ってきて、湯船に体を

浸けるルフェア。

そして私と彼女が肌を寄せ合っている

側では……。

 

「ユエ!ハジメくんの初めては譲らない

 からね!」

「……そんなの、早い者勝ち。ハジメの

 初めては、今日私が貰う。今日、ハジメを

 私の魅力でメロメロにする」

「なっ!?……ふ、ふん!でもユエ、

 ユエには出来て私には出来る事だって 

 あるんだからね?」

そう言うと、胸を強調する香織。

「ッ……!香織、言ってはならぬ事を……!」

 

と、二人は火花を散らしていた。

そしてハジメは、目で必死に、私にSOS

を発信していたが、私はそれを

全力で無視した。

 

決して香織とユエの放つオーラを前にして、

関わるのが面倒だと思ったからではない。

二人の恋路を邪魔するのは良くないと

思ったからだ。

 

そして……。

「こうなったら……!

ハジメに決めて貰う……!」

「望むところだよ、ユエ!」

何やら二人の間で勝負の決め方が

決まったようだ。

 

「ちょ、ま、待って待って!」

二人を止めようとするハジメ。しかし

時既に遅し。ユエと香織は止まらなかった。

 

「ま、待って待って!お願いストップ!

 ま、まだ心の準備が!

 あ、あぁ、あっ!

 あ~~~~~~!!」

 

ハジメは、その日DTを卒業した。

 

 

ちなみに……。

3人の営みが始まるとルフェアは

その様子を、顔を真っ赤にしながら

見つめていた。

しかし、私としては余り興味も

無かったので、3人の声や音をBGM程度に

思いながら、湯船に浸かっていた。

 

のだが……。

 

「ね、ねぇ。ツカサお兄ちゃん」

「ん?何ですルフェア」

「あ、あぁ言うのって、好きな人同士

 がする、事なんだよね?」

すぐ側で繰り広げられる攻防戦を、

チラチラとチラ見しながらそう私に

問うルフェア。

「えぇ。そうですよ」

 

「じゃあ、じゃあ、ね。私、

 ツカサお兄ちゃんと、したいな」

「……え?」

これには、流石の私も戸惑った。

「私と、ですか?」

「うん。……私、ツカサお兄ちゃんの事、

 大好きだよ。カオリお姉ちゃん達が

 ハジメお兄ちゃんを想う気持ちにも、

 負けない自信あるよ?」

「ルフェア。……そこまで、私を慕って

 くれるのですか?」

 

「うん。だって、ツカサお兄ちゃんが、

 私を絶望から救ってくれた人だから。

 守ってくれて、私に誰かを守る力を

 与えてくれた。怖いときは、勇気づけて

 くれた。……私は、そんなツカサ

 お兄ちゃんが、大好き」

そう言うと、ルフェアは私に口づけを

した。

 

「ルフェア」

「お兄ちゃん、大好き。愛してる」

 

……それが、ルフェアの意思ならば……。

「ならば、私もその想いに答えましょう」

 

その日、怪獣王もまた、初めて女を、

雄として雌をその腕に抱くのだった。

 

 

数日後。

私とハジメは、ルフェア。香織とユエ

と言う美少女達と一夜を共にした。

しかし、休んでばかりは居られないので、

私は、神エヒトとの戦闘も見据えて、

新兵器の開発、既存武装の改造、更に

今後どうすべきか等など、色々と

考える事ややる事は多かった。

 

のだが……。

「お兄ちゃ~ん!」

リビングでPCをいじっていると、

ルフェアが背後から抱きついてきた。

「こらこら、危ないですよルフェア」

「あっ!ごめんなさい。でも、お兄ちゃん

 がそこに居たから、抱きつきたく

 なっちゃった♪」

と言って、私の首元に手を回すルフェア。

 

初夜を終え、翌日からルフェアはこれまで

以上にスキンシップを求めた。

所構わず手を繋ぐ、抱き合う、キスを

求めてくるようになったのだ。それも、

彼女の気分でだ。

 

これは、悪い意味で『お手本』がすぐ側に

居るからだ。

そう、ユエと香織だ。

 

二人はあの風呂での一件以来、ハジメという

恋人を巡る、恋のライバルとなり、

ここが安全圏という事もあって人目

(と言っても私とルフェアしかいないが)を

憚らずにハジメにアピールするのである。

おかげでルフェアも二人を真似るように

なってしまった。

 

ユエは、300年という長い寿命で培った

妖艶さを武器に。

香織は、日本の同○誌に載っているような

アブノーマルな発想を武器に。

 

それぞれの武器を使ってハジメを誘惑していた。

 

この前など、私が2階で書斎の本を

読み漁っていたのだが、物音が聞こえたので

1階に降りると、ハジメが裸エプロンの香織と

していたのであった。

 

迷宮に潜り始めた頃の初々しい二人が

まるで嘘のようであった。

 

まぁ、私自身ルフェアと毎晩のように

床を共にしているし、3人の関係について

とやかく言う気は無い。

 

言う気は無いのだが……。

 

「……」

今、私の前でハジメがぐで~~と

なっている。何というか、

口元から白い煙が発生しているように

見えるが……。

「……。ハジメ、大丈夫ですか?」

「……だいじょばない」

「つまり、ダメなんですね」

と言うか、そんな日本語初めて

聞きましたよ。

 

とか思いながら私は片手でPCを操作し、

もう片方の手で隣のルフェアの頭を

撫でた。

 

「しかし、相当疲れているようすですね」

「そりゃ疲れるって。……ハーレムなんて、

 日本に居た頃はちょっと羨ましいな~

 程度には思ってたけど、実際は逆

 だったよ」

「と言うと?」

「いや、その。二人とさ、してる

 訳じゃん?で、やっぱりやる以上は

 ちゃんと二人を、その、気持ちよく

 してあげないとだし、慣れないしでさ。

 体力が持たないんだよね」

と、顔を赤くしながら呟くハジメ。

 

ふぅむ。

では……。

私は指をパチンと鳴らした。

そして、生み出した『それ』をハジメの

前に差し出した。

 

「ならばこれを渡しておきます」

と言って私が差し出したのは、

地球で市販されていた栄養ドリンクと

精力剤だった。

それを受け取って引きつった笑みを

浮かべるハジメ。

「あ、アハハ。ありがたく、

 使わせて貰うよ」

と、乾いた笑みを浮かべるハジメ。

 

そして夜。

「ねぇハジメくん。これ、どうかな?」

「どうハジメ?似合う?」

「えへへ、どう?お兄ちゃん」

女性陣の後に風呂に入った私とハジメ。

そして風呂から薄着で上がると、

そこにはスッケスケのベビードールを

纏った3人が居た。

 

ハジメは顔を真っ赤にして狼狽した後。

「さ、早速あれのお世話になりそうです」

と、私に呟いてから、香織とユエに

連れて行かれた。

ちなみにあのベビードールは私の力で

生産した物だ。3人に頼まれて私が

創った。

加えて、ベッドルームも新しく追加した。

最初のベッドルームはハジメ達が

使い、新しい方を私とルフェアが

使って居る。

そして、私とハジメはそれぞれの思い人

と一夜を共にしていた。

 

我ながら、私もハジメも、随分甘い生活

をしている物だと、つくづく思う。

自らを慕ってくれる、見目麗しい女

達と共に、誰にも邪魔される事無く、

楽しき日々を過ごす。

 

そんな日々が、とても尊い存在であると

私は思っていた。

……だからこそ、今は戦おう。

私達の日々を害する者、エヒト。

 

阻めるものなら、阻んで見せろ。

エヒトよ。誰を敵に回すか、良く

考えておくのだな。

 

我が名はゴジラ。

 

生命の理を捨て、頂きへとたどり着いた

者である、と。

 

私は、戦う。私の大切な人々を守る為に。

その為に、私は進化を続ける。

神をも超える存在へと至るために。

 

そう、私は決意していた。

 

     第14話 END

 




次回は、旅立ちのシーンと帝国からの使者の話を
まとめた物を上げるかもしれません(確定じゃないです)。

感想や評価、お待ちしています。

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