ありふれた職業で世界最強~シンゴジ第9形態とか無理ゲー~   作:ユウキ003

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今回はハルツィナ樹海でのストーリーです。


IF・ライダー編 第4話

司たちは、オルクス大迷宮の中で戦い、ついに

最後のボスであるヒュドラを倒すのだった。

 

そして、その後に訪れた反逆者の隠れ家で、

彼等はエヒトの真実を知るのだった。

狂乱の神と戦う決意を固めるハジメ達。

 

その後、彼等は隠れ家で戦いの疲れを癒やし

ながらも絆を深めた後、次なる大迷宮へ

行き、新しい神代魔法を手に入れるための

冒険に出発した。

 

 

そして、私達はオルクス大迷宮の、秘密の

通路を通って、2ヶ月ぶりに本物の

太陽の下へと出た。

その感動に、ハジメが騒いでいて、ユエ

も便乗している。

まぁ、彼女にしてみれば数百年ぶりの

太陽だ。気持ちも分かる。

 

その後、襲いかかってきた魔物を、皆で

変身してぶちのめした。

 

その後、私達は今後の予定を決めると

全員が変身した姿のままバイクに跨がった。

 

私、ジオウとツクヨミは『ライドストライカー』。

ゼロワンは『ライズホッパー』。

キバは『マシンキバー』。

バルキリーは、設定の中で仮面ライダー

バルキリー用のバイクが出てきていないので、

私たちと同じ『ライドストライカー』に

乗って貰っている。

 

「……では、行きましょう」

私の言葉に皆が頷く。

そして、私達はそれぞれのバイクの

エンジンをスタートさせると、5つの

砂煙を上げながらライセン大峡谷の

迷宮を探すために移動を開始したのだった。

 

 

だが、彼等の予定は、大きく狂う事になった。

 

 

彼等は動き出したその矢先、『シア・ハウリア』

と言う兎人族の少女と出会い、彼女の部族、

ハウリア族を助ける為に、司たちはライセン

大峡谷を進んだ。

 

そして、その先でハウリア族を助けたり、

帝国兵士を皆殺しにしたり、大迷宮の

一つであるハルツィナ樹海へ足を運んだり、

亜人の国フェアベルゲンへ赴いたりと、

いろいろな事があった。

 

そして、今。

「シア。あなたにこれを」

「え?」

 

今、司たちは樹海の一部にベースキャンプ

を作り、そこを拠点にしていた。

そして司の意思によって兎人族は鍛え

られる事になった。

 

そして、その1日目。司はシアに一つの

ベルトを渡した。

 

「それは、『ビルドドライバー』。ハジメ

 の持つゼロワンドライバーや私、

 ルフェアのジクウドライバーと同じ、

 仮面ライダーの力を生み出すベルト

 です」

 

ちなみに、司からシアたちには既に

仮面ライダーの説明がなされていた。

 

「あの、司さん?どうしてこれを、

 私に?」

そう言って首をかしげるシア。

「以前、シアは言っていましたね。

 私達に付いて来たいと」

「ッ。はい」

司の言葉に、シアは表情を引き締める。

 

「ならば、私から貴方に一つの課題を

 出します」

「課題?」

「えぇ。シンプルな物です。シアには

 これからユエと香織に付きっきり

 で魔法と戦闘技術の訓練をして貰います。

 そして、1日の締めくくりとして

 キバに変身したユエと戦って下さい。

 要は、模擬戦です。期限は周期が

 やってくる9日後まで。それまで

 の間に、ユエに少しでも傷を付ける。

 あるいは、変身解除にまで持ち込んだ

 場合、シアの同行を認めましょう」

 

「ッ!本当ですか!?」

「えぇ。二言はありません。……ですが、

 ユエと貴方では戦闘に対する経験値が

根本的に違いすぎます。それでも、

この課題に挑戦しますか?」

そう、彼が問いかけると……。

 

「やってやるですぅっ!」

シアはやる気を見せた。

 

こうして、シアの特訓の日々は始まった。

 

特訓開始1日目。

まずは、ドライバーの使い方と力の概要

の説明からだ。

「それじゃあシアちゃん。仮面ライダー

 ビルドについて、色々説明するね」

「は、はいっ!よろしくお願いします!」

「仮面ライダービルドって言うのは、

 今シアちゃんの手元にある小瓶、

 『フルボトル』の力を使って鎧を

 作り、それを纏って戦うの」

「これを、ですか?」

シアは、自分の手の中にある赤と青の

ボトルに視線を落とした。

 

「そう。フルボトルの総数は

 合計60本。ビルドはその能力を

 組み合わせて戦うんだよ」

「ろ、60本!?そんなにあるんですか!?」

「うん。理想を言えば、シアちゃんがその

 全ての特性を理解して、自由自在に

 ボトルチェンジが出来るようになれば、

 きっと負け無しだと思うよ?」

「ま、負け無し、ですか?」

最初は驚いていたシアだが、香織の言う

『負け無し』という言葉に惹かれた。

 

「もっとも……」

と、そこに声を掛けたユエ。

「貴方がボトルの力を理解し、それを

 生かし切れなければ、宝の持ち腐れ」

「ッ!」

 

そう。如何に性能が良くても、その力を

生かし、上手く使えなければ彼女の

言うとおり、宝の持ち腐れだ。

「だからこそ、そのベルトとボトルは、

 持つだけでは意味がない。これから

 みっちり、覚えて貰う。『仮面ライダー

 の力』という物を」

ユエは、鋭い視線でシアを射貫く。

 

その視線に、一瞬萎縮するシア。

だが、彼女はギュッと右手の、2本の

フルボトルを握りしめた。

 

「お願いしますっ!」

 

そして、彼女は決意の表情で叫ぶのだった。

 

 

その後。

「それじゃあ、まずは変身してみて」

そう言って、シアの変身を促す香織。

彼女は今、変身してバルキリー・

ラッシングチーターに変身している。

その隣では、ユエも既にキバに変身

している。

 

「わ、分かりました!」

シアは初めての変身に戸惑いながらも頷き、

両手に一本ずつ握ったボトルを見つめると、

前を向きながらボトルをシャカシャカと振る。

 

すると、周囲に彼女が見た事も無い数式が

現れる。

「ふぇ!?な、何ですかこれ!?」

「驚かなくて大丈夫。そのまま続けて」

驚くシアを落ち着け、先へと促すバルキリー。

 

「は、はいっ!えっと、ここを、こうっ!」

 

『『カシュッ!』』

 

シアは、ボトルのキャップを正面に向ける。

「それで、次は確か……」

そして、それをベルトへと装填する。

 

『ラビット!タンク!』

 

すると、ベルトから電子音声が鳴り響く。

ベルトの正面に、RとTの文字が浮かび

上がる。

 

『ベストマッチ!』

 

そして更に響く電子音声。すると、ベルト

から待機音声が鳴りだす。

「ふぇっ!?え、えっと、確か次は……」

その事でテンパってしまうシア。

 

「落ち着いてシアちゃん。やり方を

 思いだして」

「は、はい、香織さん。えっと、確か……」

 

シアは、ドライバー右側に付いているハンドル

に手を掛け、それをグルグルと回し始めた。

 

すると、ドライバーからプラモデルの

プランナーのような物が現れ、彼女の

前後に、赤と青の鎧を形作った。

 

そして……。

 

『Are You Ready!?』

 

ベルトから聞こえる問いかけ。

『準備は良いか?』と、ベルトがシアに

問いかける。

そして、シアはその問いかけに、大きく

息を吸い込み、そして……。

 

「変身ッ!」

 

あらん限りの声で叫んだ。

 

すると、それを合図とするかのように、

前後の鎧、『ハーフボディ』が動き出し、

シアをまるでプレスするようにして、

彼女を『仮面ライダービルド』へと

変身させた。

 

のだが……。

 

「ッ~~~!?痛いですぅっ!」

 

『鋼のムーンサルト!ラビットタンク!

 イエーイ!』

 

電子音声が響き渡り、体の各部から蒸気

を吹き出しながらも、ビルドはその場に

膝を突いた。

 

「な、なんですかこれ。変身って、

 こんなに痛い物なんですかぁ?!」

戸惑いながらも何とか立ち上がるシア、

改めビルド。

 

「いや~、それはその、ビルドだけの

 仕様みたい。私達の時には、そう言う

 の無いけど」

「そ、そうなんですか」

「ともかく、これで準備完了」

 

その時、キバがビルドに歩み寄る。

「貴方にはこれから、学んで貰う。

 仮面ライダーの力を」

「はいっ!よろしくお願いします!」

 

こうして、シアの、仮面ライダービルド

になるための試練の日々が始まった。

 

まずは、ボトルの力や武器に慣れる所

から始まった。

各フォームのスペックや武器の使い方を

体に覚え込ませつつ、香織やユエと

戦闘の訓練が、序盤のメニューとなった。

 

この頃はまだ、模擬戦でユエの変身する

キバに手も足も出ずに、すぐに変身解除

に追い込まれてばかりだった。

 

だが……。

 

10日目のその日。シアは大きく成長していた。

今は最後の試合として、キバとビルドが

戦い、それをバルキリーが見守っていた。

加えて、バルキリーの傍には、3人の人影が

あった。

1人は着崩したタキシードの青年。

1人はセーラー服姿の少年。

1人は燕尾服を着たガタイの良い男性。

 

彼等は、ユエ、即ちキバに従う従者だ。

 

「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 

ビルド、ラビットタンクフォームが森林の

木や枝を蹴ってキバへ肉薄する。

「『緋槍』……!」

ビルド目がけて、キバが魔法を放つ。

 

「ッ!」

それを見たシアは、武器の一つ、

『ドリルクラッシャー』をガンモード

にすると、そのスロットに一本の

ボトル、消防車フルボトルを突き刺した。

 

『Ready Go!ボルテックブレイク!』

 

電子音声が響き渡ると、ガンモードの

銃口から高圧の水流が、まるで槍の

如く放たれ、緋槍と真っ正面から

撃ち合う。

 

炎の槍と水の槍がぶつかり合い、水が

蒸発。深い霧で覆われた樹海の視界を、

更に悪い物にした。

 

「どこ?」

着地したシアは、周囲を警戒していた。

 

その時。

 

『ぶっ飛びモノトーン!

 ロケットパンダ!イエーイ!』

 

「逃がさないですぅぅっ!」

霧の中から響く音声。それはビルドが

別のフォームに変化した事を意味

している。

そして、霧を突き破ってユエ、キバに

突進するビルド。

 

今のビルドは左腕を覆うロケットを

スラスターにしてキバに接近。ビルドは

大きく右腕の爪を振り上げる。

 

が……。

「キバット……!」

「おうよっ!行くぜっ!」

キバが指先で弾いた、宙を舞う青い

狼のレリーフを持つフエッスルを、

飛び出したキバットがパクッと

咥え、吹き鳴らす。

 

『ガルルセイバー!』

 

響き渡る笛の音に、タキシード姿の青年

が反応する。

「行くかっ」

そう呟いた直後、彼、『ガルル』が真の

姿を取り戻す。それは、青い狼男、

と表現出来る存在だった。

 

即座に駆け出すガルル。そして彼が

跳躍すると同時に、その姿が彫像態と

呼ばれる姿に変化し、一直線にキバの

元へと向かっていく。

 

そして、左手を伸ばしたユエがそれを

掴んだ。

すると、彫像だったそれが、ガルルの

顔を模した鍔を持つ、曲刀、

『ガルルセイバー』となった。

同時に、キバの左腕と胸部、目が青く

変化し、キバットの目も青くなる。

 

そして……。

「はぁ……!」

キバの持つガルルセイバーが、ビルドの

爪、『ジャイアントスクラッシャー』を

受け止める。

 

「ぐっ!」

とは言え、相手はロケットの加速を

生かして突進してきた。受け止めるのは

容易でなく、キバが後ろへと押し込まれ

始めた。

 

「このままぁっ!」

シア、ビルドはキバを押し込もうとする。

が、直後にガルルセイバーの狼の

レリーフに内蔵されていた音波砲、

『ハウリングショック』が放たれ

ビルドを吹き飛ばした。

 

「ぐぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!?」

吹き飛ばされ、木に叩き付けられるビルド。

「はぁっ……!」

そこに斬りかかってくるキバ。

「ぐっ!?」

ビルドは何とかそれを回避した。

 

「それじゃぁっ!」

直後、ビルドは左腕のロケットを発射

しそれをキバにぶつけて距離を取った。

そしてその隙をついて、ボトルを

チェンジするビルド。

 

『忍者!コミック!ベストマッチ!』

 

「次はこれですぅっ!」

グルグルとドライバーの反動を回す

ビルド。

 

『Are You Ready!?』

 

「ビルドアップ!」

 

『忍びのエンターテイナー!

 ニンニンコミック!イエーイ!』

 

ビルドは忍者とコミックの力を持つ

『ニンニンコミックフォーム』へと

チェンジ、ビルドアップした。

ビルドはその手に『4コマ忍法刀』を

手にかけ出す。

 

更にビルドがその忍法刀のトリガーを

一回引く。

 

『分身の術!』

 

すると、ビルドが分裂するように4人

に別れた。

すぐさま周囲に分散し、直後にユエの

キバに襲いかかる。キバはそれを

ガルルセイバーでいなし、隙を突いて

距離を取る。

 

「『緋槍』……!」

直後、ユエは緋槍をいくつも出現させ、

ビルドたちの周囲に打ち込んだ。

衝撃で蹈鞴を踏み、動きが止まるビルド達。

ユエはその隙を逃さず、一気に接近。

すれ違い様に2人、3人とビルドを

切り裂くが……。

 

『1人、居ない』

分身は本体を含めて4人。最後の

1人がいつの間にか消えていた。

直後。

 

「はぁぁぁぁぁぁっ!」

 

後ろから聞こえた声に振り返るユエ。

そこには、忍法刀を構え、振り下ろす

寸前のビルドが居た。

「ッ!」

驚きながらも、キバがカウンターの

斬撃を繰り出す。

 

互いに迫る攻撃。お互い、攻撃

モーションに入っている。もはや

防御や回避は不可能。

ならば、相手を攻撃するだけ。

 

そして……。

『ズババッ!!!』

 

2人の刃が、相手を切り裂いた。

 

ビルドとキバは、互いに背中合わせの

格好でしばし動きを止める。が……。

 

「ぐっ、うぅっ!」

シア、ビルドの体に火花が散り、

その場に膝をついた。更にそのまま

変身が解除されてしまう。

 

その背後で、静かに立ち上がるキバ。

だったが……。

 

「ぐっ!?」

直後に彼女の体にも火花が走り、膝を

付いてしまった。

「どうやら、ここらが限界だな」

と、キバットが言うと、彼がベルト

から離れ、ユエも変身解除されて

しまった。

 

「2人とも、それまで」

 

そこに、2人の元に歩み寄ってくる

バルキリー、香織と、ガルルと同じ

ユエの従者である人間態のドッガとバッシャー。

更にガルルも、剣の姿から狼男の形態を

経て、次郎という名の人型へと戻る。

 

一方、シアは悔しそうに地面の土を

握りしめていた。

『ま、負けた。ユエさんに。これが、

 最後の勝負だったのに』

最後となる今日の戦いで、ユエのキバに

変身解除に追い込まれたシアは、自分が

負けたと思って居た。

 

『やっぱり、私じゃダメなのかな』

そう、ネガティブに思ってしまうシア。

しかし……。

 

「おいおい?何だその顔は」

彼女の眼前に回り込んだキバットが

シアノ顔をのぞき込んだ。

「キバット、さん」

彼に気づいて顔を上げるシア。

「折角『合格』したんだから、んな顔

 してないで笑えっての。んでねぇと

 負けた俺等の立つ瀬が無いって

 もんだぜ」

「え?」

 

シアは、キバットの言う合格や負けた

と言う単語の意味が、一瞬理解出来なかった。

そこに、変身解除した香織が歩み寄り、

シアに手を差し出す。呆然としながらも

その手を取り立ち上がるシア。

 

「あ、あの。香織さん」

「ん?どうしたの?」

「今、キバットさんに合格って、言われた

 んですけど、嘘、じゃないですよね?」

自分の耳で聞いた言葉が信じられず、

シアはそう聞き返してしまった。

 

すると、香織は笑みを浮かべながら答えた。

 

「うん、嘘じゃないよ」と。

 

「え?で、でも私、今、ユエさんに、

 負けて……」

「シアちゃん。勘違いしてない?」

「え?」

不意に聞こえた香織の声に、シアは首を

かしげた。

 

「司くんが出した合格条件は、ユエに

 傷を付けるか変身解除させるか、

 って事だよ?この模擬戦で勝つ、が

 条件じゃないよ?」

「え?で、でも、今私の方が、先に

 変身解除されちゃって……」

 

「うん。確かにそうだね。……でも、

 その後ユエもしてたよね。

 『変身解除』」

「あっ」

香織からその事を伝えられ、シアは

ハッとなる。

 

確かにシアのビルドが先に変身解除に

なったが、ユエのキバも数秒の差で

同じようにダメージから変身解除と

なった。

 

つまり……。

 

「ユエを変身解除に追い込んだシアちゃん

 は見事に合格、って事だよ」

「ッ!」

香織の言葉に、シアは目を見開いてから、

やがてその瞳に涙を溜め始めた。

 

「じ、じゃあ、私、私……!」

 

今にも泣き出しそうなシア。

そこへ。

 

「合格、おめでとう。シア」

 

ユエが静かに、笑みを浮かべながら声を

かける。

そして、彼女がシアに右手を差し出す。

 

「ッ、ユエ、さん。ありがとう、ござい、ます」

 

シアは、大粒の涙を流しながら、その手を

握り返すのだった。

 

こうして、シアは、司たちと共に旅を

する事になった。

 

 

一方で、場所は移り変わり、ハジメと

司がカム達の訓練を担当していた場所では……。

 

「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!」

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 

雄叫びを上げるカムとハジメ。

 

2人の『ライダー』の拳が激突し、爆音と

共に大気が揺れる。

 

今、カムは司から与えられたベルトと

アイテムで変身していた。

 

狼を彷彿とさせる白と青の戦士。

『仮面ライダーバルカン』に。

 

司、ジオウは少し離れた所から、

バルカンとゼロワンの戦いぶりを

見守っていた。

 

この十日間、地獄のような訓練を経て

ハウリア族の面々はジョーカーを与えられる

に足る戦士となった。

そして昨日の夜。司がカムに対して、

直々にアイテム、『エイムズショット

ライザー』と『シューティングウルフ

プログライズキー』を与えたのだ。

 

今は、互いに拳と足で戦うゼロワン

とバルキリー。

「はぁっ!」

「なんのっ!」

そしてゼロワンの連打を防ぎ、更に

足払いを後ろに飛んで回避する

バルカン。

 

「今度はっ!」

『ドンドンッ!』

そして距離を取ったバルカンが

ショットライザーから徹甲弾を放つが……。

 

『ガガキィンッ!』

それをアタッシュモードのカリバー

で防ぐゼロワン。

 

『ブレードライズ!』

 

そして一瞬の隙を突いてブレード

モードに変形させると、ゼロワンは

銃弾を刀身で防ぎながら一気にバルカンに

向かって行く。

 

「なっ!?」

これに驚いたカム。そして、それが隙

となってしまう。

「はぁっ!」

『ガキィィンッ!』

 

「うぐぅっ!?」

バルカンの装甲に火花が散り、大きく

後ろに吹き飛ばされる。

 

しかし、バルカンは空中で体勢を立て直す

と何とか着地する。

 

すると、バルカンは手にしていたショット

ライザーをベルトに戻し、プログライズキー

のスイッチを押し込んだ。

 

それを見たゼロワンも、すぐさまベルトの

プログライズキーを押し込む。

 

『バレットシューティングブラストフィーバー!』

 

『ライジングインパクト!』

 

それぞれのベルトから電子音声が響く。

 

と同時に2人が駆け出し、跳躍する。

 

「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!」

バルカンの右足に、狼の頭のような

青いエネルギーが生成される。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

ゼロワンも同様に、右足に黄色の

エネルギーが収束する。

 

『『バキィィィィィィィンッ!』』

 

そして、2人の必殺技が空中で交差する。

 

互いに背を向けた状態で着地する

バルカンとゼロワン。

 

だが……。

 

『バチバチッ!』

「ぐぅっ!?」

直後、バルカンの装甲から火花が散り、

その変身が解除されてしまった。その場に

膝を突くカム。

 

「族長!」

そこに私の傍で戦いを見守っていた

ハウリア族の面々が駆け寄る。ハジメ、

ゼロワンも振り返ってその様子を確認

するとベルトからキーを抜いて変身を

解除した。

 

そして、私もゆっくりとカムの元へと

歩み寄る。

 

「カム。どうであった?仮面ライダーの

 力は」

「はい。とてつもなく、強大な力で

 ありました。破壊力で言えば、

 ジョーカー以上かと、私は考えます」

「……そうだな。仮面ライダーの持つ、

 必殺の一撃は時にジョーカーの

 攻撃力を瞬間的に上回る」

「はい。……しかし、そんな力を

 使っても、やはり経験は覆せ

 ませんな。ハジメ殿に、コテンパンに

 されてしまいました」

そう言って静かに俯くカム。

 

「そうでもない」

しかし、彼の言葉を私が否定する。

「ハジメは既にライダー、ゼロワン

 として3ヶ月近い戦闘経験がある。

 対して、殆ど初変身のカムがあそこ

 まで食らいついて行けたのだ。

 ……十分であろう。『それ』を持つ

 資格は」

そう言って、私はカムの手にしている

ショットライザーに視線を落とす。

 

そして再び、私を見上げるカムへと視線

を向ける。

私とカムの視線が交差する。

 

「カム・ハウリア。今日からお前は、

 『仮面ライダーバルカン』となるのだ」

 

「ッ!?私が、仮面、ライダー?」

 

「そうだ。……もはやお前は、いや、

 お前達はただ虐げられるだけの弱小

 種族ではない。切札を与えられた

 戦士だ。そしてカム。お前は

 今日から、その屈強な戦士達を

 まとめるのだ。……仮面の戦士

 として、今度こそ大切な家族を

 守り抜くのだ。良いな?」

 

そう問いかける私に、カムは……。

 

「はいっ!仰せのままに……!」

 

男泣きをしながら、その場に頭を下げる

のだった。

その周囲でも、ハウリア族の者達が

涙を流している。

 

その様子を傍で見守っていたハジメは、

思った。

その姿が、まるで王の前で頭を垂れる

家臣達のようであった、と。

 

こうして、新しくシアは仮面ライダー

ビルドに。

カムは、仮面ライダーバルカンへと

なったのであった。

 

そして、バルカンの力が振るわれる

その瞬間は、存外すぐそこまで迫って

いたのだった。

 

    ライダー編 第4話 END

 




次回は多分本編を投稿出来ると思います。

感想や評価、お待ちしています。

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