ありふれた職業で世界最強~シンゴジ第9形態とか無理ゲー~   作:ユウキ003

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今回でフューレンでのお話は終わりです。

本当はもっと早く投稿するつもりだったんですが、私、千葉県民
なんです。ここ数日、地獄でした。
9日の朝に電気が止まって、丸一日復旧せず、翌日も回復の
めどが立たず、仕方ないので大丈夫な場所のホテルを予約して、
家族全員ホテルに退避して、今朝調べて、何とか復旧したから家に戻って……。
エアコンも使え無いので、マジ地獄でした。

長々と愚痴、失礼しました。


第39話 怪獣王の娘

~~~前回のあらすじ~~~

ウルでの戦いを終えた司たちは、新たな仲間

としてティオを加え、依頼の目的である

ウィルと共にフューレンへと帰還するのだった。

そして依頼達成の報酬の一部として、ユエ、

シア、ルフェア、ティオがステータスプレート

を手にするのだった。

元々ウル方面へ行く事は予定外だった為、

しばしフューレンで休む事にする彼等。

しかし、ハジメ達がミュウという海人族の

女の子を保護した事で、彼等は人身売買

組織、フリートホーフと戦う事になるの

だった。

 

 

今、私達はギルド支部に向かって移動して

いる。出来るだけ人通りの多いところを

移動し、ミュウにはフード付きの上着を

纏って貰い、顔を隠して貰っている。

海人族の耳は、人間とは違いヒレのような

見た目をしているため、人との区別は簡単だ。

なので、出来るだけ見られないようにしつつ

ギルドに向かう。

 

ギルドで、フリートホーフの殲滅を正式な

依頼として出して貰えれば、ガーディアン

部隊を、8個師団、およそ8万のガーディアン

を動員し、フリートホーフの本拠地及び支部、

それに協力する全ての拠点に対し、同時攻撃を

行う。

そのためにまずはイルワから依頼を受けなければ

ならない。

 

 

そして、前方のギルドが見えてきたとき。

「……止まれ」

私が呟くと、皆が止まり、周囲に視線を向ける。

周囲には多くも無く、少なくも無い程に

人通りがある。

しかし、近くからこちらを見ている、いかにも

カタギには見えない、薄汚い男がチラチラと

居るな。

 

「……全員、ノルンを抜けるようにしておけ。

 ティオは、ミュウを頼むぞ」

「「「「「「了解」」」」」」

「任されよ」

彼等の返事を聞きつつ、私はホルスターに

手を伸ばしつつ歩き出す。

 

そして、数メートル歩いたところで、男が3人。

私達の前に立ち塞がり、更に周囲から幾人かの

男が出てきて私達を囲む。

 

「……何だ、貴様等は」

ハジメ達が周囲を警戒し、私は前の3人を

睨み付ける。

「よぉガキ共。早速だが、そこの女が抱いてる

 ガキ、返して貰うぞ」

……やはり、フリートホーフか。

私がノルンを抜き掛けた時、3人の内の、

二人目が一人目に何かを耳打ちし、私と対峙

している一人目が、ユエやシア、香織達に

目を向ける。

 

「へへ。確かに上物揃いだな。……よぉし

 ガキ共。お前とそっちのガキは見逃して

 やってもいい。だが、女は全員置いて行け。

 そうすりゃ、命だけは助けてやる」

 

……やはり、そう来たか。奴らに私の仲間と

妻を渡すだと?冗談じゃない。

 

「失せろ」

「あ?」

「聞こえないのか?失せろと言ったのだ。

 ……消えろ。クズ共が。お前等のような

 三下風情に用はない。死にたくなければ、

 とっとと失せろ」

「ッ!舐めてんじゃねぇぞガキがぁっ!」

男は怒鳴り散らすと、腰元からナイフを

取りだし、他の男達もナイフや短剣を

取り出す。

 

それを見た市民達が、悲鳴を上げながら離れて

行く。……好都合だ。

 

「……抜いたな?武器を。ならば……」

「ごちゃごちゃうるせぇ!」

ナイフを手に、男が私に突進してくる。

「ティオ、結界を」

「御意」

ティオは、事前に渡していたスイッチ型の

シールドジェネレーターを起動する。

すると彼女とミュウが結界で覆われる。

 

これで外の様子はミュウには分からない。

おかげで、気兼ねなく殺せる。

 

『パパパンッ!!!』

次の瞬間、私はノルンを抜き、3発を放った。

放たれた3発の弾丸は、寸分違わず前方の

男3人の脳天を貫いた。

 

糸の切れた操り人形のように、男達は地面に

倒れ込む。

そして、銃を知らない、他のフリートホーフ

構成員達は、驚き、何が起ったのか理解

出来なかった。

 

それが、命取りだとも知らずに。

『『『『パパパパパンッ!!!』』』』

次の瞬間、ハジメ達もノルンを抜き、銃弾を

放った。

幸い、一般市民達は既に退散済みだ。銃弾は

周囲の男達の体を貫いた。音を立ててその場

に崩れ落ちる男達。

見ると、2人ほど腿を撃ち抜かれただけで、

まだ生きていた。それを撃ったのは、ハジメ

と香織だ。

 

「……ごめん、司」

そう言って謝るハジメ。香織も、どこか歯がみ

していた。しかし……。

「いえ。好都合です。イルワへの手土産が

 出来ました」

『パンッ』

そう言って私は片方を射殺すると、生きていた

もう片方をロープでグルグル巻きにした。

あと、五月蠅そうなので猿ぐつわを

噛ませておく。

 

「さぁ。行きますよ」

そう言って、私は男を引きずりながら

歩き出し、皆もそれに続いた。

ちなみにミュウは……。

 

「どうしてお兄ちゃんは男の人を

 引きずってるの?」

と、ティオに聞くが……。

「うむ。彼奴は悪い奴じゃからの。

 マスターが捕まえたのじゃ」

「……悪い人?」

と、ミュウは怯えたようにティオに抱きつく。

「安心せい。マスターに掛かれば、あの

 ような者、何百何千と来た所で

 瞬殺じゃよ」

ティオは、怯えるミュウを安心させようと

優しく彼女の頭を撫でていた。

 

 

そうこうしている内に、ギルドが見えてきた

ので、私は皆を伴って中に入った。

以前、ここで私は盛大に殺気を放った事も

あってか、ギルドに入るなり、大半の人間が

驚いたような表情を浮かべる。

まぁ、人をズルズル引きずっているのも原因

かもしれないが。

 

私達はそれを一瞥しつつ、空いている受付に

行く。

「すまないが、大至急支部長のイルワ・

 チャングと話がしたい。フリートホーフの

 件で、話があると伝えてくれ」

と、私がオーラを滲ませながら言うと……。

「は、はひっ!」

受付嬢の女性が飛ぶような勢いで奥へと

行ってしまった。

 

そして数分後。

「これは一体、何の騒ぎですか?」

何だかデジャブを感じるような登場の仕方で、

ドットが現れた。

「ドット秘書長か。ちょうど良い。

 ……ギルドへの土産だ」

そう言って、私は足下の男を蹴る。

 

「土産、ですか?」

「あぁ。……人身売買組織、フリート

 ホーフの構成員だ」

「ッ。フリートホーフの?」

「あぁ。先ほど襲われたので、殲滅して

 土産として生きているのと連れてきた。

 そして、そのフリートホーフについて

 イルワに話がある。先ほど職員にも話したが、

急ぎ取り次いで欲しい」

「……分かりました。ではとりあえず男の身柄

 は我々で預かるので、こちらへ」

 

 

その後、私達は男の身柄をギルド職員へ預け、

いつもの応接室に通された。

そこで待っていると……。

「……」

無言でイルワが入ってきた。そして席に

着くなり……。

「ハァ。君たち、今度は何がどうなって

 フリートホーフとやり合う事になった

 んだい?」

と、ため息交じりに呟いた。

 

「えぇ。そのことについてですが、順番に説明

 します」

そう言って、私はミュウの事を一通り説明

した。

 

「成程。海人族の子供を誘拐し奴隷として……」

「えぇ。そして逃げ出したミュウを保護し、 

 ここへ来た、と言う訳です。そして、

 イルワ・チャング支部長。折り入って

 貴方に頼みたい事があります」

「……。何かな?」

「貴方の名前で、フリートホーフ殲滅の

 依頼を私達に出して下さい」

「……本気かね?」

「えぇ。本気です」

 

確かめるようなイルワの視線に、私は

臆することなく頷く。

「我々には、いざとなれば、世界を滅ぼす

 事だって容易い程の戦力を用意出来る。

 ……それに比べれば、町一つに巣くう

 闇組織など、2時間程度で滅ぼして

見せますよ」

「確かに、君らならやりかねないな。

 ……正直、フリートホーフには手を

 焼いているのが現状でね」

イルワは、静かに話し始めた。

「証拠は残さず、仮に現行犯で検挙

 してもトカゲの尻尾切り状態さ。

 ……それを、君たちはどうにかして

 くれると言うのかい?」

「えぇ。……お任せいただければ、

 数時間で綺麗にして見せますよ」

「……。やはり、君という男は恐ろしいよ。

 司君」

数秒、私の目を見てから呟くイルワ。

 

「……そんな君を敵に回したくは無いし、

 連中を見逃す理由も無い、か。

 ……良いだろう。私の権限で君たちに

 依頼を出す。内容は、フリートホーフの 

 壊滅だ。市民や無関係の人に被害が

 でない範囲で、好きにやって良い」

「了解です。では、害虫駆除を始めると

 しましょうか」

そう言って立ち上がる司。

 

 

ここに、フューレンの大虐殺が始まった。

 

 

時間帯は夕暮れ前。あと少しで空も夕焼け

に染まるか?と言う時間帯だ。子供が家

に帰るにはまだ早く、店じまいをするのにも

早い時間だ。そのため、観光地としての

側面もあるフューレンは今も賑わっていた。

 

だが、その賑わいは戸惑いへと変わっていく。

『ザッザッザッザッ!』

その時、ギルドの方から大多数の足音が

聞こえてきた。

その音に人々は足を止め、音が聞こえる方に

目を向ける。

 

しかし、人々は足音の主を見るなら道の脇に

避ける。

その主とは、傍目には魔物とも見える異形、

ガーディアン達だからだ。それもその数は、

数千、いや、数万に届く数だ。驚かない

と言うのは無理な話だ。

人々は、ガーディアンを魔物か?!と

疑うが、肝心のガーディアン達は市民に

目もくれず、足音を響かせながら市街地を

疾走している。

 

やがて、ガーディアン達は路地などで別れ、

更に進んでいく。

その様子は差ながら、黒い濁流が町を覆い

尽くそうとしているようにも見えた。

 

そして、ガーディアン達がとある建物の

前で停止する。一部は通り過ぎて先へと

向かうのに、なぜ?と人々は内心思っていた。

「な、何だテメェら!」

すると、建物の中から如何にもガラの悪い

男が出てきた。

 

と、次の瞬間。

『『『『『ジャキッ!!』』』』』

ガーディアン達が、手にしていた武装、

セーフガードライフルを構え、そして……。

『『『『『『『ガガガガガガガッ』』』』』』』

それらが一斉に火を噴いた。

 

建物に撃ち込まれる無数の弾丸。外に出てきた

男の体は、まるで紙を引き裂くが如く、

手足が千切れ、頭が吹き飛び、腹が千切れ、

腸の肉片が周囲に飛び散った。

 

周囲の人々は、銃撃が始まった途端に

蜘蛛の子を散らすように逃げ出した。

やがて、射撃が終わると、数体の

ガーディアンが穴だらけでボロボロの建物

の中を掃討していく。時折、生きていた

のか悲鳴と、それをかき消す銃声が聞こえる。

 

内部の掃討を終えたガーディアン達は有無を

言わさず建物から離れていった。

 

遠くから事の次第を見ていた人の一部は、

肉片と成り果てた男を見るなり嘔吐して

しまったと言う。……そして、たまたま

近くにいた冒険者は、無謀にも建物の

中へと踏み込んだ。

 

しかし、彼は数秒後に血相を変えて飛び出して

来た。戻ってきた彼曰く、『中は血と肉の海』

だったらしい。

 

そして、彼等は気づいた。遠くで聞こえる

銃声と悲鳴の嵐。

……これほどの虐殺が、あちこちで行われて

いる事を。

 

 

私は、ガーディアンの各隊から上がってくる

情報を見ながら街中を、ジョーカーを纏った

状態で歩いていた。

側には、同じくジョーカーを纏ったルフェア

とティオが居る。ユエとシアはペアを組み、

他の場所を、ガーディアン隊を率いて

襲撃している。ハジメと香織は念のため

ギルドでミュウの護衛をしてもらっている。

 

ガーディアン達は、イルワから提供された、

フリートホーフの物と思われる拠点を制圧し、

そこに偶々いた幹部クラスの記憶データを

ダウンロード。本拠地と支部と呼べる

重要度の低い拠点の位置を確認。そして今

は全ての拠点を制圧、いや、破壊し蹂躙

しつつ、本拠地を全方位から囲み、

方位の輪を縮めるようにジワジワと追い詰めて

行っている所だ。

 

実に腹立たしい事に、奴らは香織やユエ、

シア、ティオ、そして私の妻ルフェアにまで

目を付けていた。

……おかげで、頭の中はいつになく燃えている。

生かしておくなど論外。単なる射殺などでは

生温い。……いっそ、溶鉱炉にゆっくりと

浸して、足先からジワジワと溶かして殺して

やろうかとも考えたが、非効率的だ。

なので、やむなく射殺という一瞬の、苦痛の

無い死を与えてやっている。

……酷く不本意だが。

 

私とルフェア、ティオは北側から。

シアとユエは南側からだ。

 

敵は犯罪者集団。生かしておく価値などない。

ガーディアン達には、『フリートホーフの

構成員と分かった時点で射殺せよ。組織の

建造物内部に居た人物も、同様に射殺を

許可する』、としている。

闇組織に入ってくるような人間だ。

組織に属していないとしても、カタギとして

命を保障してやる必要は無い。

 

マスクを取り、耳を澄ませば銃声と悲鳴が

あちこちから聞こえる。

風に乗って血と硝煙の匂いが鼻腔をくすぐる。

……あぁ、そうだ。これこそ、戦争の匂いだ。

 

かつて、私のオリジナルが人類と生存を

賭けて戦った戦場も、こんな匂いに

満ちていたな。

 

などと考えつつ歩いていると私達は

フリートホーフの本拠地である建物の前に

たどり着いた。

 

いかんいかん。気を引き締めなくてはな。

そう考え、私はメットを被り直し、ノルン

のスライドを引いて初弾を送り込む。

 

建物の入り口には、即席のバリケードのつもりか、

いくつもの家具や何かが、扉を塞ぐようにより

掛かっていた。

しかし……。

「無駄な事を」

私は右手部分の装着を限定的に解除し、掌を

露出させると、そこからG・アシッドを放ち、

バリケード諸共、扉を融解させた。

 

「行け。リーダー格以外は全員殺せ」

そして命令を下すと、周囲に待機していた

ガーディアン隊が突入。すぐさまあちこちで

悲鳴と銃声が聞こえてくる。

そして、最上階の部屋にたどり着くと、中では

ただ一人生き残っていたフリートホーフの

首魁、ハンセンという男が、ガーディアン2体

に取り押さえられ、床に組み伏せられていた。

 

「クソッ!?クソクソクソッ!?テメェ、

 こんな事してただですむと思うなよ!?

 俺達は!」

「黙れクズが」

喚くハンセンの口にジョーカーのつま先を

ねじ込む。

いくつも歯が砕け、奴の口の中はボロボロだ。

 

そして、私は奴の頭を踏みつける。

「フリートホーフはもうおしまいだ。

 ここ以外に存在する貴様等の拠点を、

 私の部下がしらみつぶしに破壊している。

 ……そして、お前も今日ここで死ぬ」

そう言うと、私は指を鳴らす。

 

と同時に、ハンセンを抑えていたガーディアンが

離れた。次の瞬間。

『『『『『グサグサグサッ!!』』』』』

周囲に待機していたガーディアンのセーフ

ガードライフル。それに装着されていた銃剣

がハンセンの体を貫く。

「ぎゃぁぁぁぁっ!」

悲鳴を上げるハンセン。しかしガーディアンは

躊躇すること無く、何度も何度も何度も、

ハンセンの体に銃剣を突き刺す。私は、

何も感じない。隣に目をやれば、ルフェアも、

大して思う所など無いのか、臆したり

怯えたりする様子が全く無い。

 

やがて数秒もすれば、ハンセンは動かなくなり、

肉体はボロボロ。唯一、首から上だけは、私に

蹴られた口元以外、普通のままだ。

 

私は、アレースでハンセンの首を切り落し、

一旦袋に収める。その時。

「マスター。こやつの机の中から、このような

 物が」

と言って、ハンセンのデスクを漁っていた

ティオが、紙の束を私に渡した。

 

それは……。

「『品目』か。奴隷の」

どんな奴隷をどこに売ったのか、或いは

何時オークションしたのかを記載した

データだった。

そして真新しいページには、今日の日付と

夕方から行われる闇オークションの場所が

記されていた。

 

闇のオークション、か。

「マスター、進言したい事があります」

「何だティオ?言ってみろ」

「はっ。……闇のオークションならば、

 出展されるのは、恐らくミュウと同じ

 ように捕まった人族の子らと思われます。

 ……そのような奴隷を買う下郎共など、

 フリートホーフのクズ諸共、消し去る

 べきかと」

……そうだな。

 

「ここまでやったのだ。今日は、精々

 派手に殺しまくるとしよう。

 ティオ、お前の進言、受け入れよう。

 シア達もすぐそこまで来ている。

 合流次第、すぐに会場に向かい、

 奴隷以外の出席者を、皆殺しにするぞ」

「御意」

「ルフェア、ティオと共に、周辺の

 残敵掃討をお願い出来ますか?」

「うん。良いけど、お兄ちゃんは?」

「……少し、我々の存在を誇示してこようと

 思います」

 

と言う事で、私は一旦ルフェア達と別れ、

空中を跳躍して向かったのはフューレンの

中央区にある公園の、更に真ん中だ。

……ここなら目立つだろう。そう考えた私は、

ハンセンの頭を袋から取りだし、更に

長い槍を創り出すと、穂先にハンセンの頭を

突き刺し、柄の部分を石畳の床に突き刺した。

 

そして更に……。

 

私は指先にエネルギーを集め、床を削って

文字を描いた。

 

≪フリートホーフ首魁、ハンセン、死す≫

 

と言う文字を刻み、その下に……。

 

≪漆黒の死神、見参≫

 

とも書いておく。そしてそれを書き終えた私は

ルフェア達の所に、飛行して戻っていった。

戻ると、合流したシアとユエの姿があった。

 

「あっ、司さんお帰りなさい。どこ

 行ってたんですか?」

「いえ。ちょっと中央区の公園まで行って、

 フリートホーフの首魁の生首を、さらし首

 にしてきた所です」

「うわぁ。司さん、やるときはホント徹底的に

 やりますね。……まぁ確かにこんなクズに

 はお似合いですけど」

と言いつつアータルを担いでいるシア。

「……ティオから話は聞いた」

「そうですか。では、改めて。……恐らく、

 ミュウが出されるはずだったと思われる

 オークションが今日この場所で開催

 されている」

そう言って、私は空中にフューレンの地図を

投影し、地図の上に光点を一つ付ける。

光点の場所がオークション会場だ。

「そのオークション会場をこれより襲撃

 する。目的は、奴隷として監禁されている

 であろう子供達の救出。……そして、

 救出の為に手段を選ぶ必要はない。

 会場を全方位から包囲。同タイミングで

 突入。……オークション会場を警護している

 者、参加者、フリートホーフの構成員と

 思わしき者は、全て殺せ」

「「「「……了解」」」」

4人とも、決意の表情を浮かべながら静かに

頷く。

 

その後、私達は別々のルートで会場に接近。

私はガーディアン達を引き連れ、会場に

真っ正面から接近。……入り口には、黒服の

巨漢が二人立っていたが、どちらも数百に

届くガーディアンと、漆黒のジョーカーZを

纏う私に、驚いている。

 

「……殺れ」

そう言って私が手を振ると、側に控えていた

ガーディアン2体が、男達を射殺する。

「……行け、殺せ」

そして私が命令を下せば、ガーディアン達は

正面の扉から次々と、まるで獲物に群がる

蟻の如く、突入していく。

私もゆっくりと中へ足を進める。直後、

あちこちで銃声と悲鳴が響き渡る。

 

戦闘、とは名ばかりの虐殺。

会場内は、酷い物だ。人間『だった』肉片と

血飛沫が、建物の壁や床をべっとりと汚し、

壁際には頭が吹き飛び、腹が破れ、臓器と

肋骨をはみ出した死体や、半分無くなった

頭で、虚ろな目をした死体などが

転がっていた。

そのうちのいくつかは、どこかの貴族か

何かなのか、良い服を着ていた。

と言っても、血と臓器に汚れて台無しだが。

 

その後も、ガーディアンによる殺戮は続き、

時折悲鳴と銃声が聞こえる。

『司さん。捕らえられていた子供達を

 発見しました』

その時、別行動をしていたシアから

通信が入った。

「了解。すぐそちらに行きます」

私はガーディアン達に残敵の捜索と射殺の

作業を任せ、建物の地下へ向かった。そこには

いくつも牢屋があり、その牢屋を出た所で、

シアとティオが子供達を宥めていた。

 

「あっ。司さん」

そんな中私に気づいたシアが私に声を

掛けた。

子供達は、私の姿を見るなり怯えるように

肩を寄せ合う。

それを見た私は子供達の前で膝立ちの

姿勢を取り、メットを取った。

 

「もう大丈夫だ。私達は、君たちを

 助けに来た」

「ほ、ホントに?」

「あぁ。本当だ。外に居る悪人、悪い奴らは

 既に倒した」

「で、でも。……あいつら言ってたんだ。

 助けなんか来ない。この街で、フリートホーフ

 に喧嘩を売る奴なんか居ないって」

と、少年の一人が呟くが……。

 

「だとしたら、そいつらは知らないだけだ。

 フリートホーフなどと言う組織を簡単に

 潰せる人間が居ることをな。そして、

 それが私だという事をだ。

 心配せずとも、フリートホーフの首魁も、

 そのメンバーも、既に倒した。

 フリートホーフは、既に壊滅状態だ」

「ホントに?あいつらを、やっつけたの?」

「あぁ。……あとは、ここから出るだけだ」

そう言うと、私は立ち上がる。

 

「さぁ行こう。もう、君たちを奴隷として

 縛る物はない」

私は、シア達、ガーディアン達と共に子供達

を連れて会場の外に出た。もちろん

スプラッター映画ばりのグロテスクな

廊下などは避けてだ。

 

そして、私達は外に出ると事態を聞きつけて

駆けつけた保安署の署員に子供達を託した。

そんな子供が……。

 

「あの……」

「ん?何か?」

男の子が一人、私に声を掛けてきた。

「どうやったら、貴方みたいに強くなれる

 んですか?」

……強さへの問いか。こういうのは、私への

憧れのような意味があるのかもしれない。

ならば……。

「少年。君には、私と同じ強さを身につける

 事は出来ない。私と君は違うからだ。

 分かるな?」

「……はい」

「だが、強くなる事。それ自体は可能だ。

 だからこそ、少しアドバイスをしておこう。

 強さとは、単純な力だけではない。

 頭の良さも、また強さだ。だが強くなる

 ために必要なのは、決意と、覚悟だ」

「決意と、覚悟?」

「そうだ。……その二つがあり、君が

 強くなりたいと思い、前に進み続ければ、

 きっと君は強くなれる。強くなりたければ、

 進み続けろ。……分かったか?」

「……まだ、良く分かんない」

「そうか。……だが、これだけは忘れるな。

 決意と覚悟が、大事なのだと」

「うん。……ありがとう、お兄さん」

 

少年は、その言葉を最後に、他の子供達と

共に保安署の署員に連れられ去って行った。

それを見送る。

 

 

ちなみに、その後『漆黒の死神』の別名として、

『殺戮の魔王』という新たな名前が付けられた

一方、子供達は彼の事を、『黒の王』と呼び

称え始めた事など司たちには知る由も無かった。

 

 

「存外、マスターは子供には優しいのじゃな」

子供達が保護され安全な場所に移動するのを

見送った後、側でやり取りを見ていたティオ

が声をかけてきた。

「……先生のおかげだ。あの人の言った

 言葉を、誰かに少しでも優しくなれ。

 そんな先生の言葉を実行しているだけだ。

 ……ただ」

「ん?」

「……悪い気はしないものだな」

私は、最後の少年の、ありがとう、と言う

言葉を、頭の中で繰り返していた。

 

 

一方その頃、香織やイルワと共に、応接室で

ミュウの面倒を見ていたハジメ。そんな

彼の元に、司から連絡がメールで届いた。

ハジメは、窓際に立つイルワの側に

歩み寄る。

「……終わったみたいですよ、司。

 フリートホーフの壊滅作戦」

「そうか。……呆気ない物だ。三大闇組織

 と言われたフリートホーフが、こうも

 あっさりと」

「敵に回しちゃいけない人間を、敵に

 回しましたからね。あいつらは」

そう語るハジメに、イルワは司の顔を

思い浮かべた。

 

「ともあれ、この街の厄介事の一つが

 片付いたようだな」

「はい」

と、ハジメが頷くと……。

『クイクイッ』

「ん?」

誰かがハジメの服の裾を引っ張った。

見ると、ミュウが彼の側に立っていた。

「どうかしたの?ミュウちゃん」

ハジメはその場に屈み、彼女の視線の高さを

合わせる。

 

「終わったの?悪い人退治」

「え?う、うん。そうみたいだよ。だから

 もう大丈夫。ミュウちゃんに悪い事を

 する奴らは司たちがやっつけてくれたから」

「……そう、なんだ」

ハジメの言葉に、どこか哀しそうなミュウ。

「ミュウちゃん?」

その様子にハジメは首をかしげた。

「ハジメお兄ちゃん達、行っちゃうの?」

「え?」

「悪い人達、やっつけたんでしょ?

 もう、行っちゃうの?お別れ、なの?」

と、ミュウは涙目でハジメを見上げる。その

視線にうぐっ、と言葉に詰まるハジメ。ミュウの

後ろの香織も、どうしたものか?と言わんばかり

の表情だ。

 

「えっと、それは、その~~」

ハジメは、言葉に迷っていた。自分達の旅が

過酷なのは、百も承知。それにミュウを同行

させるなど、彼女を危険に晒す行為だ。

彼女を守る為には、一緒に居ない方が良い、

と言っても言い過ぎではないだろう。

ましてや、彼等はエヒトに対し、時が来れば

戦う。ハジメの予想では、十中八九エヒトとの

戦いは避けられないだろう。そしてミュウと

仲を深める、と言う事は、万が一にもエヒト

との戦いに巻き込む可能性が高くなってしまう

と言う事だ。

しかし……。

 

「お兄ちゃん?」

ウルウルと瞳を滲ませ自分を見上げるミュウに、

ハジメは『一緒には行けない』と言えるほど、

メンタルは強くなかった。

「う~ん。う~~ん」

頭を抱え、悩むハジメ。

 

一緒に行けない、と言う事はミュウを悲しま

せる事に他ならない。一方、ハジメ達がエリセン

まで送り届け、その道中仲を深めてしまうと、

それが返ってミュウやその周囲を危険に晒し

兼ねない。

一番良いのは、ミュウや周囲を危険に晒さない

為に、一緒に居られないと彼女に説明出来る

事だが……。

 

『僕らの世界じゃまだ幼稚園生レベルの子供

 に、どう説明しろって言うんだ~!』

と、ハジメは頭を抱えていた。

 

 

その時。

「ハジメ、香織、ミュウ、ただいま戻り……。

 何をそんなに頭を抱えているのですか

 ハジメは」

ドアが開いて、司達が戻ってきた。

「あっ!司、ちょうど良い所に!」

 

 

ハジメ達の居るギルドの応接室に戻ると、

何やらハジメが大いに頭を抱えていたので

理由を聞いたが……。

 

「成程。……私達と、ですか」

ミュウが私達と一緒に、と言い出した話を

聞いた。

「うん。……ごめん司。僕がはっきりと

 断れれば良いんだけど……」

「仕方ありませんよ。誰だって、あんな

 表情で迫られれば、はいそうですかと

 断れはしません」

そう言うと、私はミュウの前で屈む。

 

「ミュウ、私達の旅は、とても危険です。

 分かりますか?」

『コクン』

ミュウは無言で頷く。

「貴方をエリセンに送り届けるまでは

 一緒です。そして、ここからエリセン

 まで一緒に行く、と言う事は、そのエリセン

 で尚更別れにくくなる、と言う事も、

 分かりますね?」

『コクコクッ』

ミュウは無言で何度も頷く。

「……それでも、私達と一緒が良いのですか?」

『コクコクコクッ!!』

彼女の心境を現すように、ミュウは何度も首を

縦に振る。

 

そうまでして、か。

「……分かりました。一緒が良いと言うのなら、

 私は構いません」

「ッ!ホントに!?」

「えぇ。まぁ確かに危険ですが、私達が一緒

 なら、大抵の事は何とかなります。むしろ、

 他の連中などに護衛されるより、私達と一緒

 の方が安全だと私は思います。

 ……皆はどうですか?」

と、私はハジメ達に問う。

 

「まぁ、確かにね。僕達以上にミュウちゃんを

 確実に、安全にエリセンに送り届けられる

 人間が居るとも思えないし。……僕は

 司に賛成するよ」

「そうだね。……ここでお別れ、って言うのも

 ちょっと寂しいよね。私も賛成」

「そうですっ!私達で守れば良いだけの事

 ですぅっ!」

「ん。私も、もっと一緒に居たい」

「マスターの意見じゃ。反対はせぬよ」

「うん。私も賛成。私達で、ミュウちゃんを

 送り届けてあげよう?」

と、ハジメに続き、香織、シア、ユエ、

ティオ、ルフェアが賛成する。

反対意見は無し、と。

 

「では、決まりですね。そういうわけで、

 イルワ支部長、依頼として彼女の送還は

 私達に任せて下さい」

「あぁ、分かった。早速手配しておこう」

と言うと、イルワは一旦部屋を後にした。

 

「ミュウ、みんなと、一緒?」

「えぇ」

私は頷きながら、再びミュウの前に膝立ちの

姿勢で視線を下げる。

「私達7人が、ミュウをエリセンまで必ず

 送り届けます。一緒に行きましょう、ミュウ」

そう言って、私は右手を差し出す。

すると……。

 

「ありがとう!『パパ』ッ!」

ミュウは私に抱きついた。

 

彼女が満面の笑みを浮かべているのは、私として

も微笑ましい。……のだが。

「…………。ん?パパ?」

不意に、そう呼ばれた事を理解し私は首をかしげた。

「ミュウ、何故私がパパなのですか?」

何故そう呼ぶのか聞いてみたが……。

「ミュウね、パパ居ないの。……ミュウが

 生まれる前に神様のところへ行っちゃったの。

 キーちゃんにもルーちゃんにもミーちゃんにも

 いるのにミュウには居ないの。……だから、

 お兄ちゃんがパパなの」

はっきり言って、何が『だから』なのか謎で

ある。彼女が母子家庭で育った事から、父性の

ような物を求めている可能性はあるが……。

 

しかし、何故私なのだ。

「え~。……ハジメはどうですか?ハジメも

 優しいですし、パパと呼ばれるのには

 十分では?」

「ちょっ!?司なんでこっちに話題振るの!?」

ハジメが狼狽しているが、今は無視する。

 

「……確かに、ハジメお兄ちゃんも優しいの。

 でも、お母さん言ってたの。パパは、

 強くて、かっこ良くて、家族の為なら

 なんだってする。それがパパだって。

 パパは、ミュウを守る為に悪い人達を

 やっつけてくれたの。だから、パパなの」

成程。……分からん。

 

そもそも私はミュウと血縁関係などではない。

それをいきなりパパと言われても……。

理解出来る訳がない。

 

しかし……。

「パパは、ミュウのパパになってくれないの?」

と、ミュウが涙目で私を見ている。

……私は、存外子供に弱いなぁ。

「ハァ。分かりました。パパで良いですよ」

私は、そう考えため息をつき、諦めた。

 

そして後ろでは……。

「つ、司が、負けた……!?」

「み、ミュウちゃん!恐ろしい子……!」

ハジメと香織はもちろん、シア達がとても

驚いていた。

 

こうして、何の因果か、荒ぶる神の名を持つ

獣、ゴジラたる私に、義理の娘が出来ました。

 

ちなみに、夜は夜で、川の字で寝たいと言い出した

ミュウ。私とルフェアに左右を挟まれながら、

彼女はとても心地よさそうな表情で眠りに

ついたのだった。

 

しかし、まだ幼いミュウが付いてくるとなると……。

彼女の『護衛機』が必要だな。

そう考えながら、私は頭の中で設計図を描く。

 

そして、翌朝。

「と、言うわけでミュウの護衛機を創りました」

「早いなっ!?まだ一晩しか経って無いけど!?」

翌朝。私は人影の無い公園に来ていた。その傍ら

には、コンテナが置かれており、中にはミュウの

護衛機が収められている。

ここに居るのは、私を含めた7人とミュウだ。

ミュウは、まだ眠いのか瞼を手の甲で

擦っている。

 

「ミュウ、朝早く来てくれたお礼に、私から

 プレゼントです」

「え!?プレゼント!?なになに!」

プレゼント、と言う単語に目を輝かせるミュウ。

「私達の旅は危険ですから、ミュウを守る

 鎧を創りました」

そう言って、私は後ろにあるコンテナの

テンキーを操作し、扉を開く。

ハッチが開き、中から護衛機が姿を現す。

「これは……。エンハンスドジョーカー?」

護衛機を見て呟く香織。

「いや。細部が違うよ。それに、Eジョーカー

 より、二回りくらい大きい」

更にハジメが細部を観察し、呟く。

 

彼の言うとおり、この護衛機は普通の

Eジョーカーよりも大型だ。特徴的なのは、

まずその頭部だ。

私のZも含めて、ジョーカーの頭部は、基本的

に同じだ。ツインアイを装備したメカニカルな

顔を持っている。しかしこの護衛機の顔は、

のっぺりとした黒いディスプレイが顔一面を

構成している。さながら妖怪ののっぺらぼうだ。

次に、その四肢と胴体の太さが、Eジョーカーを

更に上回っている。

今の姿勢も、ゴリラのナックルウォークのように

両手を地面についている。

 

「この機体は、Eジョーカーをベースに更に

 大型化させた、ミュウのためだけの護衛機。

 機体コードは、『セラフィム』です」

「セラ、フィム」

と、ミュウは機体コードを繰り返す。

 

「このセラフィムは、胸部コクピットの中に

 ミュウを乗せるポッドを格納しています」

そう言ってセラフィムの前で手を振ると、その

胴体が上下に割れるように開き、更に中に

あったポッドの扉が開く。

「万が一の時は、ここにミュウを格納します。

 このポッドの中は重力制御装置を応用した

 重力場が発生しているので、どれだけ

 セラフィムが殺人的な機動を行ったと

 しても、ミュウに一切の負担はかかりません」

「けどさ司。もしかしてミュウちゃんに

 セラフィムを操縦させる気?」

「まさか。セラフィムは護衛機です。

 まぁ装甲と防御力、シールド強度などを

 確保する関係で、パワーはEジョーカー

 以上になってしまっていますが、兵装は

 装備していません。それに、セラフィムは

 操縦する必要がありませんから」

「……どういうこと?」

と首をかしげるユエ。

 

「セラフィムのもう一つの特徴は、これです」

そう言って私はもう一度手を振る。すると、

ハッチが閉まった。直後、セラフィムの

頭部に絵文字で描かれたような顔が映し出された。

「何じゃ!?顔が浮かび上がったのじゃ!」

驚くティオ。

 

すると、セラフィムが一人でに周囲のハジメ達を

キョロキョロと見回す。

 

『(・_・ ) ( ・_・)』

 

「司、これって……」

「セラフィムには、私が設計した次世代AIを

 装備しています。発声機能が無いので

 対話による意思疎通は出来ませんが、

 セラフィムAIには喜怒哀楽を感じ、

 表情を顔文字で表現する機能があるの

 ですよ。後は首の動きでYES・NO

 の表現をします」

あの絵文字は、子供のミュウでも

セラフィムの『感情』を読み取るために

表示されるのだ。

 

と、私が話していると、セラフィムは

ミュウをジーッと見つめ始める。

「うぅ……」

それに恐れを感じたのか、数歩下がるミュウ。

「ミュウ」

私は彼女の側に膝立ちで立つ。

「怖がる事はない。この子はセラフィム。

 今日からミュウを守ってくれるナイトだ」

「私を、守るナイト?」

と、彼女は首をかしげた。

私はセラフィムに通信で指示を出す。

 

すると、セラフィムが右手の人差し指を

ミュウに向かって差し出した。

一瞬驚くミュウだが、彼女は自分に差し出された

人差し指とセラフィムの顔を交互に見ている。

 

「握ってあげなさい」

「う、うん」

そんな彼女に、私が声を掛ける。

ミュウは、恐る恐るという感じでセラフィムの

人差し指を、両手でギュッと握った。

 

『(^_^)』

すると、セラフィムの絵文字が笑みを現す物に

代わり、僅かに人差し指が上下する。

それを見て、ミュウも表情を明るくする。

 

「ミュウ。これが私からのプレゼントです。

 旅は危険ですから、今日からセラフィムが、

 私達と一緒にミュウを守ります。

 セラフィムと、仲良くしてあげて下さい」

「うんっ!ありがとうパパっ!

 よろしくね!『せらちゃん』!」

『(*^o^*)』

どうやら愛称を付けたようだ。そして

セラフィムも喜びの感情を絵文字で表現

している。

 

そしてハジメ達はセラフィムもとい、せらちゃん

と戯れているミュウを見て、微笑ましそうに

笑みを浮かべていた。

 

こうして、私達の旅に、一時的とは言え新たな

仲間、ミュウが加わったのだった。

 

     第39話 END

 




って事で、ミュウの護衛に新型のセラフィムが付きました。
セラフィムの言葉として、時折顔文字が入ります。
また、次回はちょっとオリジナルで、清水や愛子の
話を上げようと思って居ます。

感想や評価、お待ちしています。

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