ありふれた職業で世界最強~シンゴジ第9形態とか無理ゲー~   作:ユウキ003

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今回は愛子や清水達のオリジナルのお話です。
オリジナルなので、いつもの半分程度の短いお話です。


第40話 護衛隊、動く

~~~前回のあらすじ~~~

遠い西の海から誘拐されてきた海人族の子供、

ミュウを保護した司たちは、ミュウを奪おうと

襲ってきたフリートホーフのメンバーを撃退。

更にイルワからそのフリートホーフ壊滅を

依頼として出させた司は、ガーディアン部隊

を率いてフューレン各地のフリートホーフ支部

を強襲。夕暮れのフューレンで虐殺を行う。

更にフリートホーフの首魁ハンセンや

オークション会場でも虐殺を行った司。その後、

ミュウは司たちと一緒に居る事を望んだ事から、

司は護衛機として新型の自立式ジョーカー、

『セラフィム』を開発しミュウに与え、共に

旅をすることになったのだった。

 

 

ハジメや司たちがフューレンの町で大暴れ

していた頃。ウルの町にて。

 

 

~~~

『パンッ!パンッ!』

まだ早朝と呼べる時間帯。ウルの町を囲う防壁の

上で、断続的に銃声が鳴り響く。

その銃声の主は、薄紫色のジョーカー。

コマンドモデル・G/07の持つノルンだ。

 

「……ふぅ」

コマンドモデルを装着していた男、清水は息を

付くとノルンのセイフティを掛け、射撃の

練習のために置かれている的へと歩み寄る。

「……命中率は、まだ6割って所か」

的に空いた穴を見つめながら呟く清水。

「まだまだ、鍛えないとな」

そう呟くと、清水は新たな的を設置し、射撃

訓練をしていた。

 

それから大凡20分後。射撃練習を終えた

清水は宿に戻る為に、トレーニングがてら

大きく迂回するルートでランニングしながら

宿に戻っていった。

 

その道中で……。

「おっ?お~おはようさん清水!」

「あぁ、おはよう相川、玉井、仁村」

向こう側から相川達3人が走ってきた。短い

挨拶だけをしてすれ違う4人。

ウルの戦いから既に数日。

既に清水は、愛子先生の尽力と、『愛子先生を守る』

と言う、7人の共通する目的意識を持った事から、

彼は園部達6人とはすっかり打ち解けていた。

 

そして、宿に戻ると……。

 

「う~ん」

一階のレストランの一角で、お茶を飲みながら

女子の一人、宮崎が大量の書物と睨めっこ

していた。

「ん?あぁお帰り清水君。朝練お疲れ様」

「あぁうん。ただいま。宮崎さんは魔法の

 勉強?」

「うん。一応私、後方支援要員だからね。

 ……そう言えば清水君は闇魔法極めてた

 けど、何かアドバイスってある?」

「え?う~ん。……アドバイスになるかは

 分からないけど、やっぱりまずは基本を

 極めてから、かな?」

「基本かぁ。まぁありがと清水君」

「う、うん。まぁ、どういたしまして」

と、清水は女性に礼を言われるのに慣れて

いないのか、若干顔を赤くしながら頷くと、

そそくさと自分の部屋に戻っていった。

 

 

それから数時間後。

 

ウルの町は防衛戦において傷一つ付かなかった。

しかし、戦場となった周囲の平原は違う。

ミサイルで爆撃され、炎に焼かれ、雷に抉られ。

正に惨憺たる有様だ。

なので、現在は町の住人や依頼という事で

参加している冒険者。更に愛子達が協力して

整地作業を行っていた。

 

その中でも群を抜いて働いているのが……。

「A班、そこの作業は良いから遅れてる第2区

 を手伝って。B班とC班は作業続行。

 D班、物資を第8区へ」

清水の操る、ガーディアン部隊だった。

彼のガーディアン、コマンドモデルの機能を

生かしてのことだ。

 

清水は部隊をいくつかの班に分け、更に周囲

の土地をいくつかに区分け、そこにガーディアン

達を分けて配置し、作業していた。

人間とは違い、疲れ知らずでパワーも人間以上。

更にその数の多さもあって、整地作業は予想

以上に早く終わることになった。

 

加えて、超人的なパワーを発揮する園部や相川

達がジョーカーを纏って動き回った事も

作業を早く終わらせる一因となった。

 

 

ハジメと司たちがウルの町を出発してから

既に3日。清水のガーディアン部隊や、

園部たちの活躍もあって、大凡の整地作業は

終了。愛子は最後まで手伝う、との事だった

が、清水達のおかげで殆どの作業が簡単に

終わった事と、防衛戦の英雄である愛子に

これ以上働かせるのは悪い、と言う周囲の

気遣いもあった為、残りはウルの町の人々が

行う事になった。

 

宿に戻った愛子と清水達は、時間が時間という

事もあり、昼食を取る事になった。

「は~。労働の後のカレーは美味しいね~」

と呟きながら食べる園部。

今では北の山脈の問題も解決したので、

宿の料理も復活していたのだ。

「あれ?そう言えば、騎士達は?」

と、園部と同じカレーを食べながら周囲を見回す

清水。

すると、相川があそこあそこ、と言わんばかり

に近くのテーブルを指さす。

「え?」

そっちに視線を向ける清水。

 

そこでは……。

「愛子が、愛子が、俺達を、邪魔と……」

「「「「ハァ~~~~~」」」」

意気消沈とし、落ち込んだ顔で食事を取る

デビッド達の姿があった。

「え?何アレ」

騎士達の姿に戸惑う清水。

「彼奴ら、防衛戦の前に先生に邪魔って

 言われたんだよ。それをまだ引きずってる

 んだよ」

「男でそれも騎士なのに。だらしないわよね~ 

 ホント」

呆れ気味に呟く仁村と菅原。

「ささっ。飯だ飯。彼奴らの事はほっとけ。

 立ち直るのは自分次第なんだからよ」

「お、おぉ」

玉井の言葉に、清水は戸惑いながら食事を

再開した。

 

その後、清水は部屋に戻った。のだが……。

「……魔人族、か」

清水はベッドに体を倒し、天井を見上げながら

呟いた。

『奴らの目的は、人族との戦争に勝つこと。

 ……そうなってくると……。まさか……』

彼は、考える。そして一つの仮説にたどり着いた。

『飯の時、一応先生達に話しておくべき、

 だよな』

そう考えながら、清水は日課になっている、

コマンドモデルの中にあったストラテジー

ゲームを始めた。

清水の持つ、コマンドモデルはジョーカーを

操り、大部隊を指揮しながら戦う。

装着者である清水は知らない事だが、元々

タイプ・コマンドの開発コンセプトは、

『対軍団指揮官用ジョーカー』だ。

つまり、コマンドモデルはこの世界の

国の兵士、もっと言えば王国軍兵士や

帝国軍兵士など、数で襲い来る敵と

戦う為に開発したものだ。

 

司を始め、G・フリートとGフォースの武力

は他を寄せ付けないが、だからといって

それを過信する司ではない。単純な数で勢力

の強弱を考えれば、司の仲間であるG・フリート

とGフォースは、弱い部類に入る。

そこで、数の不利を縮めるためにコマンド

モデルが創られたのだ。

 

コマンドモデルと、それが指揮する

ガーディアン隊。コマンドモデルは、

最大で1億のガーディアンを配下とする。

しかしそれを完全に生かすには、パイロット

の戦術眼が必要だ。

どこにガーディアンを配置するのか。

どう動かすのか。

戦闘の様子によって繰り出される戦術はガラリ

と変わる。防御か、攻撃か。守るとして、

陣形は?装備は?それら全て、指揮官の

選択に掛かっている。

 

そして、今ガーディアン達を指揮する立場にある

のは、清水だ。

『……俺は、先生によって命を助けられたんだ』

彼は、空中投影されたゲーム画面を見つめながら、

戦術を練り上げる。

『あいつも、新生も言ってたじゃねぇか。

 ……今度は俺の番だって』

映し出される敵に対し、清水は味方NPCに命令を

送る。

『今度は、間違わねぇ。俺を闇の中から

 助けてくれた、正真正銘の恩師を、

 守ってみせる』

 

清水は、あの時のように濁った瞳では無く、

決意を浮かべた表情で盤上を見つめる。

 

現実世界に、リスタートボタンも、セーブ機能

も無い。全ては一度きり。故に、清水にも、

護衛隊の面々にも、愛子を守る上で一度の敗北

も許されない。

だからこそ、強くならなければ意味が無い。

だが、『敵を知り己を知れば百戦危うからず』、

と言う言葉があるように、自分を鍛えるだけ

では無い。敵を知る必要もあるのだ。

 

だからこそ、清水は考える。敵の目的から

導き出される、その行動を。

 

 

そして、夕食時。

相変わらずの騎士達を後目に、8人で集まって

食事をした後の事だった。

「あ、あの。先生、皆。少し良いか?」

「はい?どうしました清水君」

清水が皆を呼び止め、首をかしげる愛子。

 

「……こんな時に言うのもあれなんだけど、

 俺なりに魔人族の動向について考えて

 見たんだ」

と、清水が言うと、園部たち6人は表情を

引き締め、立ち上がり掛けていた腰を

椅子の上に下ろした。愛子も、一瞬驚いた

後園部たちに続いた。

「聞かせて下さい。清水君の考えを」

そう言って、先を促す愛子。

 

「あぁ。……彼奴らの最終目的は、戦争に

 勝つことだ。そのために、俺を使って

 先生を狙った。それで考えたんだ。

 彼奴らにとって、この戦い、いや、作戦

 は失敗に終わったって事になる」

「確かにな。狙いだった愛子先生はこうして

 無事な訳だし、魔人族からしたら、

 作戦失敗って事だよな?」

「あぁ。相川の言うとおりだ。そこで、

 改めて考えたんだ。……もし、もし仮

 に俺が攻撃する側だったら、どうする

 って。そこでたどり着いたのが、次の

 作戦だ」

「次の作戦?どういうこと?」

と、首をかしげる菅原。

 

「彼奴らのゴールは、戦争に勝つこと。

 そのために色んな作戦や計画を練ってる

 はずだ。そして、俺を使っての先生暗殺も、

 その計画の一つだったと思う。でも、

 それは失敗した。だったら、奴らは、

 別の方法でこっちの戦力とか士気とかを

 削りに来るんじゃないか?って思ったのさ」

「つまり、魔人族の計画その1が潰れたから、

 次の計画その2が動き出してる、って事か?」

腕を組みながら呟く玉井。

「あぁ。恐らくな」

「けど、その計画2って、一体何なの?

 まさかまた愛子先生を狙ってるとか?」

「いや、それは無いと思う」

そう園部の言葉を否定する清水。

 

「魔物5万の軍勢は、いっちゃなんだけど俺が

 居たから成立していた。あれは、俺のチート 

 級のスキルがあってこそだ。それに、今は

 俺達がその二度目を警戒して警備している

 以上、奇襲は取りにくい。夜だって、

 暗殺を警戒して宿の周囲にガーディアンの

 パトロール部隊を何十と配置している。

 暗殺と奇襲が無理だとしても、真っ正面から

 来る物量が、魔人族に数日で用意出来るとも

 思えない」

「じゃあ、先生は今のところ狙われてない、

 って事で良いのか?」

首をかしげる仁村。

「絶対、とは言い切れないが、リスキー

 過ぎる。被害を出す事を前提にしてまで

 先生を狙うとは思えないな」

 

「じゃあ、先生以外となると、光輝君達?」

「でも、彼奴らは俺等の中でも飛び抜けて

 チートな連中だぜ?早々やられるとは

 思えないけどな」

宮崎の言葉にそう呟く相川。

 

「いや。……いつだか、新生も言ってた

 じゃねぇか。俺達は強いだけで不死身

 じゃない。やりようはある。例えば、密閉空間

 で体力が切れるまで、物量で攻め続けて、

 弱った所を更に本命で襲いかかるとか」

「それじゃあ、まさか天之河君達が狙われて

 居るって事ですか!?」

驚き立ち上がる愛子。

 

「天之河は、魔人族から見れば人類側の

最大戦力だ。それを殺した、となれば魔人

族側の士気は高まるし、逆に人間側の士気は

 ガタ落ち。……多少のリスクは侵しても、

 狙うだけの価値は、あると思う」

清水の言葉に、愛子は目を見開き、園部たち

6人は神妙な面持ちだ。

 

その時。

「……先生は、どうしたい?」

「え?」

突然の清水の言葉に、愛子は驚く。

「先生は、言ってたじゃないか。皆で元の

 世界へ帰ろうって。それが、先生の望み

 なんだろ?」

「……はい。それが、私の望みです」

「……そうか」

 

 

やがて、数秒の沈黙。そして……。

「じゃあ、行くしか無いんじゃないのか?」

「え?」

「これは俺の推測だけど、先生の暗殺が失敗

 した以上、次の手として天之河達を狙う

 可能性は十分にある。どっちみちウルの町

 での事は終わってるんだし。……念のため

 天之河たちと合流して警告しておく、

 ってのもやっておいて損は無いと思うけど……」

「清水君」

 

愛子は、目の前の清水の変わりように内心

驚いていた。

 

そして……。清水は立ち上がり、真っ直ぐ愛子

を見つめる。

「……俺は、先生に助けられた。だから、今度は

 俺が助ける番だ。……先生の望みを叶えられる

 ように、俺は先生への協力を惜しまない

 つもりだ。護衛隊の一人として。先生に、

 助けられた者として」

「清水君」

 

愛子は清水が大きくなったように、『男』として

成長したように感じていた。

「先生」

その時、近くにいた園部たち6人が立ち上がる。

 

「私達も、清水君と同じです。ウルでの戦いで、

 先生が私達の事をどれだけ思って居てくれて

 いるか、はっきりと分かりました。

 ……そして、だからこそ。私達は先生の

 剣であり、盾です」

園部の言葉に、相川達が決意を浮かべた表情

で頷く。

「園部さん」

普段の口調から外れた、真剣な口調に愛子は

驚き、7人を見回す。

 

そして……。

「皆は、私に力を貸してくれますか?」

「はい。もちろんです」

愛子の言葉に園部が応え、他の6人が力強く

頷く。

それを見た愛子は……。

 

「あのっ!皆の力を、私に貸して下さい!

 私は、皆で元の世界に帰りたいんです!

 そのためには、清水君や、園部さん。

 相川君、仁村君、玉井君。菅原さんや

 宮崎さんの協力が必要なんです!」

「分かってるよ、先生」

そう言って、園部は笑みを浮かべる。そして……。

 

「行こうっ!みんな!」

「「「「おぉっ!」」」」

「「うんっ!!」」

園部の声に、男達が気合いの入った声で。

女達が透き通る声で頷く。

彼等の目には、決意の炎が揺れていた。

 

「皆……!ありがとう……!」

そう言って、愛子は涙を浮かべながらお礼を

言っていた。

 

こうして、愛子と清水、園部達は動き出した。

 

彼等は、愛子の願いを叶えるために天之河

たちと合流する為に動き出した。

これから向かう先で、戦いが待っているとは

知らず。

 

しかし、彼等はもう恐れない。なぜなら、

勇ましき者として、覚醒しているのだから。

 

勇ましさ。その意味は、意気が盛んで

勢いがあり、危険や困難に向かっていくさま

を現している。

そして彼らには、その困難に立ち向かう

だけの理由がある。

清水は、自らを助けてくれた恩師へと、

その恩を返すために。

園部達は、自分達のために尽力してくれた

恩師の、その想いに報いる為。

 

彼等には、戦うだけの理由がある。

それだけの事だった。

 

そして、清水達は一刻も早く天之河たちと

合流するために夕方の内にウルの町を

ジョーカーの召喚システムで呼び出した

バジリスクで出発したのだった。

 

 

それぞれの意思で動く者たち。

 

そして、オルクス大迷宮という戦いの舞台に、

彼等が集おうとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

ちなみに、思いっきり愛子達から忘れられて

いたデビッド達が、町を出て行くバジリスク

を慌てて馬で追いかけると言う一幕があった事

をここに追記しておく。

 

    第40話 END

 




って事で、オルクスに全員集合ルートです。
……あぁ、これもうカトレア終わったな。

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