ありふれた職業で世界最強~シンゴジ第9形態とか無理ゲー~   作:ユウキ003

58 / 87
今回でグリューエン大火山は終わりです。加えて、彼女が登場します。


第52話 再会の街、エリセン

~~~前回のあらすじ~~~

グリューエン大火山の大迷宮を進むハジメと司たち。

彼等はついにボスのいる部屋までたどり着くが、

そこには魔人族の男、『フリード・バグアー』が

待ち構えていた。しかし、司の能力の前に待ち伏せ

をあっさり見抜かれたフリードは司に惨敗。

辛くも逃げるだけに終わるのだった。

一方で司は、ティオやミュウにも自らの

姿、第4形態の姿をさらすが、無事彼女達から

受け入れられたのだった。

 

 

扉が開き、念のため私やハジメがノルンを

構えながら中へと入る。しかしトラップの

類いは無い。

「……クリア。どうやら大丈夫そうですね」

私の言葉に、ハジメ達は息をつきノルンを

ホルスターに収めた。

 

「……あ、皆。あれ」

その時ふと、地面の一角を指さすユエ。

彼女が指さす先では、相変わらず複雑な文様の

魔法陣が描かれていた。

「あれが魔法陣ですか。ルフェア。貴方は

 ミュウと一緒に下がっていて下さい」

「うん」

私の指示に従って僅かに下がるミュウと

ルフェア。

 

そして、私、ハジメ、香織、ユエ、シア、

ティオの6人が魔法陣の上に立った。

と同時の、例の頭の中の記憶を覗いて

クリアしたかの確認作業が行われると

同時に、私達6人は新たな神代魔法、

『空間魔法』を入手した。

「ぬ、ぬぅ。なんじゃ、これは……。

 嫌な感じじゃ」

「ティオは初めてでしたね。どうやらこの

 魔法陣には、大迷宮をちゃんと攻略した

 かを確認するシステムが組み込まれている

 ようです」

「成程。それで記憶を。……しかし気分の

 良い物では無いのじゃ」

と、呟くティオ。

 

その時、カコンと音がして壁の一部が

開いたのと同時に、正面の壁に文字が浮かび

上がった。

 

『人の未来が、自由な意思のもとにあらん事を、

 切に願う。ナイズ・グリューエン』

 

たった一言。それだけだった。

「何だか、シンプルイズベストみたいな一言が

 あるだけだね」

苦笑気味に呟くハジメ。

「そう言えば、オスカーさんの手記にあったね。

 ナイズさんって人、寡黙だったって」

香織は、オスカーの日記に書かれていた事を思い

出したようだ。……そう言えば、そんな事も

書いてあったな。

改めて周囲を見回せば、ここには魔法陣以外の

物が無い。非情にさっぱりした部屋だ。

 

そこへ、開いた壁から何かを取って戻ってくる

ティオ。

「マスター、これを」

「ありがとう」

彼女から差し出された物を受け取る。

「……ペンダント、か」

それは、これまでの指輪の証と違い、ペンダント

の形をしていた。そして先ほどフリードが、

これと同じ物を掲げていたのを見逃しては

いない。

私はペンダントを宝物庫の中に収めると

皆を見回した。

 

「さて、これで無事グリューエン大火山は攻略

 した事になりました」

「ふむ。……事前にマスターから大迷宮は危険

 じゃと聞いておったが、この程度とは。

 正直、拍子抜けじゃな」

「いやいや。ティオさん?これだけ楽勝で

 来られたのは司のおかげだからね?」

肩をすくめるティオに、ハジメが窘める

ように声を掛ける。

 

「それで、どうするの司くん?静因石も

 集めたし、一度アンカジ公国に戻る?」

「いえ。ミスタービィズやランズィ公には

 申し訳ありませんが、静因石の納入は少し

 待って貰いましょう。我々はこのまま、

 西へ、海上の町エリセンへ向かいます」

「えっ!?じゃあ、ママに会えるの!」

私の言葉に、ミュウは驚きセラフィムの

ハッチを開けて中から出てきた。

「えぇ。可能ならば、今日中には」

そう言って私はミュウに微笑む。

 

「司さん、理由を聞いても?」

そこへ問いかけてくるシア。

「はい。理由としては、フリード、先ほどの

 魔人族の男による大迷宮の破壊活動を危惧

 しての事です。奴は大迷宮が神代魔法を

 手に入れる場である事を知っています。

 神代魔法の強さも、です。そして先ほど

 突然マグマが増加した理由。恐らく奴が

 この大迷宮の破壊を前提として何かを

 仕掛けたのでしょう」

「そうか。奴らにとって、強力な力を持つ僕達

 がこれ以上神代魔法を入手するのを

 防ぐため、か」

「えぇ。ハジメの推察通りでしょう。そして 

 付け加えるのなら、エリセンの町の近くには

 ミレディから聞いた『メルジーナ海底遺跡』

 と言う大迷宮があります。もし奴ら、

 魔人族がその存在を知っていた場合、苦肉の策

 で大迷宮を破壊してしまう可能性があります。

 そうなると神代魔法の入手は困難になって

 しまいます」

私がハジメに続いて答えると、皆は納得した

ように頷いた。

 

「つまり、魔人族が大迷宮を破壊しちゃうかも

 しれないから、出来るだけ早く確認の意味も

 兼ねてエリセンの方に行きたい、って事で

 良いんだよね?司くん」

「えぇ。皆はどうでしょうか?反対意見などは?」

と、意見を募るが……。

 

「僕は大丈夫。確かに魔人族の破壊工作が無いと

 言えない以上、すぐにエリセンに向かうべきだと

 思う」

「うん。私もハジメくんに賛成」

「ん。私も」

「右に同じくですぅ!」

ハジメ、香織、ユエとシアは賛成のようだ。

「ミュウ、早くママに会いたいの!」

「マスターのご指示とあらば、妾は従う

 のみじゃ」

「そうだね。それに、私もミュウちゃんを

 お母さんに会わせてあげたいし」

ミュウ、ティオ、ルフェアも賛成。

どうやら反対意見は無いようだ。

 

「分かりました。では、上に『船』を用意します。

 全員、外にヴァルチャーを用意したので

 それで大迷宮の外に脱出。上空で船に搭乗し、

 すぐさま西のエリセンに向かいます」

「「「「「「「了解(なの!)」」」」」」」

 

その後、私達は建造物の外に出ると、ミュウ

以外はジョーカーを纏って宝物庫から取り

出したヴァルチャー7機にそれぞれ搭乗。

ミュウはあの時と同じように私の膝の上に、

待機状態のセラフィムを抱きしめながら

座っている。

 

「全員傾注。これより上空の穴から大迷宮を脱出。

 その後砂嵐の上まで上昇。待機している

 新型母艦、『アルゴ』に着艦後、すぐにエリセン

 へ向けて出発します」

「「「「「「「了解(なの!)」」」」」」」

 

「では、離陸」

まず、私のヴァルチャーが背面のスラスターから

ピンク色の炎を吹き出しつつ離陸。皆の機体が

それに続く。そして私達は、先ほどの私の熱線で

開けた穴から大迷宮を脱出。そのまま砂嵐の

上へと向かって上昇していく。

 

そして、砂嵐の上まで上昇した時、周囲を

見回していたハジメ達の目にすぐ傍を旋回

している、黒い巨大な船が飛び込んできた。

その見た目を一言で表せば、巨大なB2爆撃機、

だろうか。

「あ、あれは……」

驚嘆に満ちたハジメの声が無線機越しに

聞こえる。香織やユエ、シア達も驚いている

のか、無線機から息を呑むような音も聞こえる。

 

「マスター、あれが……」

「そうだ。以前の揚陸艇に代わる、我々

 G・フリートの旗艦となる船」

私は周囲を旋回する巨大な空の船を

見つめながらその船の名を口にする。

 

「『アルゴ級大型航空母艦』、1番艦、

 アルゴです」

皆、初めて見るアルゴに驚いていた様子だ。

「さぁ、行きますよ」

 

そう言って私がヴァルチャーを前進させると、

皆も少し遅れて付いて来た。

ヴァルチャーが1機ずつ、アルゴの管制

ビーコンに従って着艦していく。

そして着艦後、私達はアルゴのブリッジへと

上がった。

 

「おぉ……!」

「す、すごいですね~!」

「凄いの!周りが良く分かんないので

 いっぱいなの!」

「な、何に使うのかさっぱり分からんのじゃ。

 姫は如何かの?」

「あ、あはは。流石に私も分かんないかな~」

ブリッジに入るなり、ユエやシアが驚嘆の声を

漏らしている。ティオやミュウ、ルフェアなどは

困惑気味だ。

「まるでSFアニメの母艦だね」

「司くん、なんでアルゴを?揚陸艇じゃ

 ダメなの?」

ハジメはキラキラした目で周囲を見回し、

香織は首をかしげている。

「揚陸艇も確かに使えますが、あれには

 ヴァルチャーを7機も格納するだけの

 スペースがありません。本体も非武装

 ですからね。居住性もあまり良いとは

 言えません。アルゴは、艦隊指揮を

 目的とする旗艦として設計しました。

 内部にはヴァルチャーや、私が独自に改良

したV-22改、オスプレイMkⅡを搭載。

 艦種前部にもミサイル発射管兼魚雷発射管を

装備。加えて、着水、潜水機能も装備しており、

 いざと言う時は海へ潜る事も可能です」

「何だか、揚陸艇より戦闘を視野に入れてる

 みたいだね」

「えぇ。ハジメの言うとおり、揚陸艇も

 物資輸送の面などでは十分なポテンシャル

 を持っています。が、かといって旗艦に

 相応しいかと言われれば、NOと言わざるを

 得ないでしょう。そこで開発したのが、

 このアルゴ級です」

 

さて、と。

「皆、集まって下さい。今後の予定の確認

 などをしますよ」

私が皆に呼びかけると、ブリッジ中央にある

テーブルを囲むように皆が集まる。

ちなみにミュウは身長があるので、背の高い

椅子に座らせている。

 

「では……」

皆を見回した後、テーブルをタッチする私。

すると、黒一色だったテーブルのモニターが

色づき、それはトータス世界の世界地図を

映し出した。

「おぉ!マスターこれは!」

真っ先に驚いたのはティオだ。だがシアや

ルフェア、ユエ、ミュウなどの驚きの度合い

も、彼女には負けていない。

「これって……。地図?」

「す、凄いです!」

「あっ!ねぇパパっ!ここっ!ここが 

 エリセンだよ!」

「アハハ、流石はお兄ちゃん。こんな事まで

 出来ちゃうんだね」

驚くシアとユエ。ミュウは小さく映る

エリセンを指さし興奮している。ルフェアは

苦笑気味だ。

 

「今観て貰った通りです。この絵はこの

 世界、トータスの精巧な地図です」

「凄いけど、司これどうやって創ったの?」

「簡単ですよ。私達がまだオルクスに潜る前、

 こっそりこの星の衛星軌道上に人工衛星を 

 いくつか打ち上げておいたのです」

「「はい?」」

 

 

人工衛星、その言葉の意味を理解していた

ハジメと香織は、揃って首をかしげる。

司はそれを無視してモニターを叩く。すると

地図データが移り変わり、それは球形の物体を

等間隔で包囲する人工衛星の図が表示された。

 

「トータスの上空、静止軌道に人工衛星を設置。

 そこから光学観測などによってトータスの地表

 データを取得。しかし、データは取得した

 だけではバラバラのままです。それを調整し

 結合し、出来上がったのが、この地図です」

そう言って、再びテーブルのモニターを指で

叩くと、あの地図が再び浮かび上がった。

ちなみにと言うか、ルフェアを初めとした

トータス組は何を言ってるのか分からない

のか、首をかしげていただけだった。

 

「我々の現在地はここ」

そう言って、司はどこからか伸縮式の棒を

取りだし、現在地を示す。

「付け加えるのであれば……」

と言うと、司は手にした棒で、アンカジ公国や

ハイリヒ王国、ウルの町、フューレンや

Gフォースの基地、ハルツィナベースや

フリードの頭から入手したシュネー雪原の

大迷宮の正確な座標を指し示していく。

 

「お、おぉ。こうも正確な位置を……」

「私達の世界って、こんな風になってた

 んだね」

「何だか、全てを見下ろす神様になった

 気分ですぅ」

ティオは地図の正確さに驚き、ルフェア

やシアは、自分達の暮す世界を、普段とは

違う角度から認識した事で驚いていた。

 

「それにしてもさ司。もしかしてアルゴで

 このままエリセンに向かうつもり?」

「えぇ。このアルゴには海上での航行

 機能もありますからね。まぁ街の

 人々は驚くでしょうが、好都合です。

 我々の力を知らしめる意味でも、ですが」

「は、はは。……驚かれるだけで済めば

 良いんだけど……」

と、ハジメは一抹の不安を抱えていた。

 

 

その後、アルゴは順調に飛行し、海岸線に

到着するとある程度飛行してから着水。

これはエリセンの街の近くで着水すると、

その衝撃で津波が発生する恐れがあるからだ。

 

アルゴは海上をゆっくり進んでいくのだが……。

 

「止まれっ!止まれぇぇぇぇぇっ!」

「このっ!止まれぇっ!」

 

そのアルゴの周囲では、海人族の男達がアルゴ

を制止しようとしていた。彼等の目には、アルゴ

が巨大な鋼の魔物に見えたのだろう。

しかし司の操縦で進むアルゴは止まる事無く

海人族の男達を物ともせず海原を突き進んでいく。

「あの、司?良いの?思いっきり無視して

 進んでるけど……」

「良いのですよ。流石にミュウの同胞ですから、

 傷付けるような事はしませんし。前方に

 重力場を展開しているので、アルゴが

 近づくと自動的に左右に流れるように

 してあります」

「いや、それもそうなんだけど……」

『何も無ければ良いんだけどなぁ。不安だ』

と、ハジメは不安を募らせていた。

 

そして、それはエリセンに上陸した時に現実

となった。

 

アルゴがエリセンの至近距離まで接近すると、

彼の予想通り街の住人達は大慌てになった。

一部の者は、魔人族の襲撃では!?と騒ぎ出す

くらいだ。

しかしアルゴはエリセンに近づくと減速し、停止。

人々がその様子を訝しんでいると、アルゴの

上部ハッチが開き、中からジョーカーを纏った

完全武装の司やハジメ達が現れた。そして

一番の問題は、(住人達から観て)奇妙な格好の

司たちに周囲を囲まれている海人族の幼女、

ミュウの姿を見て、一部の者達が、

彼女が誘拐されたミュウだと気づいた事だった。

 

司達はアルゴから司のエネルギーロードで

桟橋まで橋を作り、そこを歩いていく。

その途中で、ミュウに万が一が無いように

ハジメ達が周囲を固めているが、それが

不味かった。

 

彼等が桟橋に足を踏み入れた直後、海水を

割って現れた、三つ叉の槍で武装した

海人族の男達。彼等は先ほどからアルゴを

追っていた者達だ。

「止まれっ!」

そう叫び、槍の切っ先を先頭の司に向ける

海人族の男達。

 

その時、ティオが司と男達の間に割り込み、

腰に携えた玄武を抜こうと構える。

「よせ、ティオ。……ミュウの同胞だ。

 出来るだけ穏便に済ませたい」

「……御意」

司の言葉を聞き、下がるティオ。

「我々はフューレンのギルド支部長、

 イルワ・チャング氏より正式な依頼を受けた

 冒険者だ。内容は、人身売買組織

 フリートホーフに誘拐された少女、

 ミュウの護送だ」

「冒険者だと!?それを信じろと言うのか!」

海人族たちは、人間達にミュウを誘拐された事から

人間に対し、かなり殺気立っていた。

「……事実を言っている。証拠なら、これで

 どうだ。ギルド支部長直々のサイン入り書類だ」

そう言って、司は宝物庫から、イルワのサイン

入りの依頼書を取りだし、提示した。

海人族の男の一人が、恐る恐ると行った感じで

それを受け取り、内容に目を通していく。

 

「……本当に、彼女の護送を?」

まだ疑うような視線の海人族の男達。

「だからそう言っているだろう。でなければ

 ここに彼女は連れてこない。ミュウ」

「う、うん」

 

周囲の目に晒され、戸惑いながらも私の足に

しがみつくミュウ。

「この通り、彼女は五体満足、傷一つ

 付ける事無く連れてきた。ギルドの正式な

 書類もある。……これでもまだ信じられない

 とでも言うのか?」

「う、うぅん」

海人族の男達は、司から突き付けられる証拠の

数々に戸惑う。

しかし彼等にしてみれば、司たちは奇妙な

連中だ。だから一刻も早く、彼等とミュウを

引き離したかった。

 

「ま、まぁ良い。ミュウちゃん。こっちに

 おいで。俺達がお母さんのところへ……」

そう言ってミュウに手を伸ばす海人族の男。

しかし、それが返ってミュウにとってある種の

トラウマを思い起こさせた。

 

考えてみて欲しい。ミュウを攫ったのは、

裏家業の、ガタイの良い男だ。司たちは

常日頃からミュウにストレスなどを感じさせない

よう、話すときは出来るだけ姿勢を低くして、

目線の高さを合わせるようにしている。

 

対して、この男は殆どミュウの上から手を

伸ばしたのだ。見ず知らずの男の手が、

まるで圧迫するように上から迫ってくれば、

子供は恐怖を感じるだろう。似たような経験が

あれば尚更だ。

それもあり、ミュウは咄嗟に涙目に

なりながら司の傍のティオの元に駆け寄った。

 

「ミュウちゃん?」

これに戸惑ったのは、圧迫する気など

無かった海人族の男だ。

ティオは駆け寄ってきたミュウを

抱き上げると、ジョーカーの装着を

解除し優しく彼女の背中を叩く。

 

「お~よしよし。何か怖い事を

 思い出したのかの?大丈夫じゃよ~。

 ここには妾やマスターたちも居るぞ~。

 お~よしよし」

そう言って、優しくミュウをあやすティオ。

何だかんだで、ここまでの旅の中でミュウを

あやす機会が多かったのはティオだ。

年長者という事もあったのだろう。

香織やシア、ユエやルフェアはミュウに

とって、どちらかと言えば『姉ポジション』

だった。だから母の代わりとして、ティオを

頼った。一方のティオも、ミュウの可愛さに

母性本能がくすぐられたのか、実の母親の

ように甲斐甲斐しく世話をしていた。

 

 

「ぱ、パパぁ」

「大丈夫ですよ、ミュウにはセラフィムが

 ついています。それに私達もここに

 います。怖い事なんてありませんよ」

「うん」

私は、涙目のミュウを落ち着けようと、

ジョーカーを解除しその頭を優しく

撫でる。

 

しかし、どうやらそれに反抗心を持つ者が

いたようだ。

「おいっ!何をしている!ミュウちゃんは

 俺達が預かる!早く引き渡せ!」

どうやら人間の私が海人族のミュウと一緒に

いるのが面白くないのか、声を張り上げる

海人族の男。他の男達もそれに続き、続々と

声を張り上げるが、ミュウがそれで逆に

怯えてしまった。

 

 

と、次の瞬間。

「子供の前でどなるな」

司から殺気が放たれ、海人族の男達の声が

ピタリと止まった。

「守る側の存在が、守るべき子供を

 怯えさせてどうする。……どけ。

 彼女は我々が責任を持って家まで

 送り届ける。……さっさと道を空けろ……!」

声こそ張り上げていないが、周囲に向けて

放たれた殺気の濃密さに、海人族の男を

初め、野次馬たちも皆膝を震わせながら

司たちに道を譲った。

 

それは、さながらモーゼが海を割ったかの

ような光景だった。

 

 

その後、私達は泣き止んだミュウの案内で

彼女の家に向かっていた。

そして、あと少しと言う所で声が聞こえてきた。

 

「レミア、落ち着くんだ!その足じゃ無理だ!」

「そうだよ、レミアちゃん。ミュウちゃんなら

 ちゃんと連れてくるから」

「いやよ!ミュウが帰ってきたのでしょう!?

 なら、私が行かないと!迎えに行って

 あげないと!」

男達の声に混じって聞こえる女性の声。

ミュウから名前は聞いていたが、恐らく

このレミアと言う女性がミュウの母親

なのだろう。

そして母親らしき声を聞いたミュウは

ティオから降りると、玄関口で倒れている

女性を見つけると、表情を輝かせながら

駆け出した。

 

「ママーーー!」

「ッ!?ミュウ!?ミュウ!!」

ミュウは、母親の元に飛び込むと互いの存在を

確かめるように抱きしめ合った。

どうやら、無事に再会できたようだ。

ハジメや香織たちは、二人の感動の再会に涙を

浮かべている。が……。

 

「マスター、彼女の足ですが……」

一人ティオは、真剣な表情で私に耳打ちを

した。

「あぁ」

私も真剣な表情で頷き、レミアの足を

スキャンする。

……足の辺りに重度の火傷の跡がある。

神経系がやられているな。あれでは歩くことも

ままならないだろう。

恐らく、火属性の魔法か何かで攻撃を

受けたようだ。

推察だが、ミュウを攫った連中の仲間か

何かにやられたのだろう。……成程、

確かに海人族たちが殺気立つのも分かる。

ミュウの誘拐と、彼女の重度の怪我。

それが海人族の怒りをたき付けた、と言う訳か。

 

そして、どうやらミュウも母親であるレミアの

傷に気づいたようだ。

「パパぁ!ママを助けて!ママの足が痛いの!」

すぐさま私を呼ぶミュウ。対してレミアは

大量の?を浮かべている。

「えっ!?ミ、ミュウ?今なんて……」

「パパぁ!早くぅ!」

「あら?あらら?やっぱり、パパって

 言ったの?ミュウ、パパって?」

理解が追いつかないレミアと私の事を

呼んでいるミュウ。

 

一方周囲で見守っていた群衆達は、何やら

「レミアちゃんに新しい春が!」とか

「ぱ、パパって俺かな?」とか、果てには

「温かく見守る会のメンバーを招集しろ」、

とか言って居る奴まで居る。……二人は

どうやらかなり人気があるようだ。

 

正直、これは色んな意味で目立つだろうが、

彼女に父親と呼ばれ慕われている以上、

助けない理由は無い。

私を先頭にハジメ達は群衆をかき分け

進んでいく。

 

「あっ!パパ!」

そして群衆の前に出ると、ミュウが私を

見つけて叫び、レミアと言う母親を初め、

周囲の者達の視線が私に突き刺さる。

私はレミアと言う女性の前に膝を突いた。

 

「はじめまして。私は新生司と申します。

 フューレンギルド支部長、イルワ・チャング

 氏より、ご息女、ミュウちゃんの護送の

 依頼を請け負った冒険者です」

「冒険者さん、ですか?あの、どうしてウチの

 ミュウが、その……」

「パパ、と呼ばれている件ですね。ですが

 それは後ほど。まずはその足の傷の治癒が

 先です」

そう言って、私が指を鳴らすと、傍に車椅子が

現れた。それに周囲の人間が驚くが、無視する。

「香織、シア。この人を」

「はい。シアちゃん手伝って」

「了解ですぅ!」

香織とシアは、レミアを持ち上げゆっくりと

車椅子に乗せる。すると、ミュウがレミアを

乗せた車椅子を押し、家の中に入っていた。

「パパ!パパ達も早くぅ!」

 

最初は他人の家に上がるのに迷ったが、住人

であるミュウが招いているのだから問題は

無いだろう。

私達は彼女達の家にお邪魔する事にした。

 

ちなみに、外では事態についていけない

男達が呆然とし、女たちはレミアの新しい

春を話題にして盛り上がっていたのだった。

 

 

家に入れて貰い、ソファにレミアを座らせた

香織は、彼女の足の様子を見る。レミアは

その状況に戸惑っているようだ。しばらくして

香織の検診が終わった。

「どうですか?」

と、私が問いかけると、香織は静かに首を

左右に振った。

「私でも治療自体は出来るけど、後遺症を

 残さないようにするには、最低でも3日

 はかかるかも。司くんなら、一瞬で

 治療出来るよね?」

「えぇ」

「パパならすぐに治せるの!?

 じゃあ早くして!パパ!ママの足、

 ちりょうしてあげて!」

「分かりました」

頷くと、私はソファに座るレミアの前に膝を

ついた。

「あ、あらあら?えっと、何を?」

「貴方の足を治癒します。出来れば動かないで

 下さい」

「は、はい」

突然の事に戸惑うレミア。だが、治療は単純だ。

ただ、指を鳴らすだけでよかった。

 

パチン、と乾いたフィンガースナップの音だけ

が響いた。

「……どうですか?」

「え?」

私の問いに、キョトンとしているレミア。

やがて……。

「あ。……動く?」

神経系をやられて、まともに動かなかった

はずの足が動いている事に気づいたレミア。

すると、静かに立ち上がるレミア。

 

しかし……。

「あっ」

これまで何日も、まともに歩けずにいた彼女

が急に歩けるようになったのだ。上手く立ち

上がれず、前のめりに倒れそうになる。

 

しかしそれを、目の前にいた私が優しく抱き

留めた。

「大丈夫ですか?」

「は、はい。ありがとうございます」

戸惑う彼女を、私はソファに座らせる。

「攻撃によって受けた傷、火傷の跡、損傷

 した神経系。全ての治癒が完了していますが、

 急な変化によって頭の理解が追いついてない

 ようです。今後は、リハビリを続けて下さい。

 そうすれば、再び歩く事も、泳ぐ事も

 出来るようになるでしょう」

「ッ!本当ですか!?」

「えぇ。私が保障します」

「大丈夫だよママ!」

私の言葉をフォローするように、ミュウの

言葉が続く。

 

「だってパパ!凄く強くて、カッコいい

 んだよ!ミュウの事だって、助けてくれた

 んだもん!」

そう言って、ミュウはレミアに抱きつく。

「えぇ、えぇ。そうね」

そして、彼女は娘との再会に改めて涙を

流すのだった。

 

 

その後、レミアとミュウが落ち着くと、私達は

事のあらましを話した。

フューレンに滞在中、偶々フリートホーフから

逃げ出したミュウを保護した事。フリート

ホーフを壊滅させた事。ミュウ本人の意向も

あり、ここまでの護衛の役目を自分達が受けた

事。ミュウが自分をパパと呼び始めた事などを

説明した。

 

これまでのあらましを聞き、レミアはその場で

何度も頭を下げながら礼を述べていた。

ちなみにミュウはレミアの膝の上でうつらうつら

している。

「本当に、何とお礼を言えば良いか……」

「どうかお気になさらず。我々が自主的に

 首を突っ込んだだけですから」

私の言葉に、ハジメたちがうんうんと頷く。

 

「ですが、娘とこうして再会できたのは、全て

 皆さんのおかげです。このご恩は一生を

 かけてもお返しします」

「そ、そんな一生だなんて。ねぇ司」

「えぇ。そこまでする必要はありませんよ。

 私達は、自分自身の意思に従って行動した

 だけです。確かにギルドから報償は出ますが、

 それだけで十分です。我々は、貴方から

 何かを貰おうなどとは考えておりません」

「そうですか。……高潔な方々なのですね。

 であればこそ、娘も貴方をパパと慕っている

 のかもしれません」

 

高潔、私が、か。……違うな。

「……残念ながら、私は高潔な存在では

 ありませんよ」

「え?」

私の言葉に、レミアは首をかしげる。

「私のこの手は、既に血で紅く汚れている。

 今更かもしれませんが、私は本当に父親

 と慕われるに相応しいのか、疑問に

 思います」

そう言って、私は自分の右手を見つめる。

しかし……。

 

「差し出がましいようですが、それは

 大丈夫だと思いますよ?」

そう言って、レミアは私に笑いかけた。

「と言うと?」

「子供と言うのは、存外しっかりしている

 ものです。だからきっと、この子も

 分かった上で貴方をパパと慕うように

 なったのでしょう」

「……そうですか」

確かに、ミュウはグリューエンの迷宮の

中で、自分の意思を示した。そこに年齢は

関係無いのかもしれない。

『私が、父親か』

 

長く、永く、番いも無く、子供を持つ事も

無かった、ゴジラ。即ち私。

孤独だった。生命とは本来、生まれ、成長し、

やがて番いを創り、子をなし、老いて、

子供達を次代へ託して眠りにつく。

それこそが、本来の生命のあり方。

だが私はそこから外れた存在。

 

それでも、そんな私をパパと慕ってくれるミュウ。

彼女を受け入れた私。表面上かもしれないが、

私は彼女のパパになった。

もしかしたら、私は心のどこかで、家族を

欲しているのかもしれないな。

 

私はふと、そんな事を考えてしまうのだった。

 

 

その後、私達は時間も時間だったのでレミアに、

エリセンの街の宿について良い所はないか

聞いてみた。すると、これ幸いと彼女が

『この家を使って欲しい』と言い出したのだ。

最初はハジメ達とどうしようか迷ったが、

ミュウといきなり距離を置くのは可哀想、

と言う女性陣の提案もあり、しばらくは

この家でお世話になることになった。

 

のだが……。

 

夕食時。これもレミアのお世話になってしまった。

それ自体は別に悪くは無いのだが……。

「はいパパ!あ~ん」

「…………」

何故か私の隣に座っていたミュウが、そう言って

私にフォークを突き出している。

「あ、えっと。……ミュウ?私には自分の分が

 あるので……」

一瞬、どう言う状況なのか理解出来ず対応が

遅れてしまうが……。

「パパ、あ~んしないの?」

とっっても悲しそうな顔をされてしまう。

誰がこれを拒否出来ると言うのだ。

ハジメ達に助けを求めようとしたが、どうやら

彼等も良いアイデアが思いつかないのか

誰も目を合わせてくれない。

 

「し、仕方無いですね」

「良いの!?はいっ!じゃあパパ!

 あ~ん!」

「あ、あ~ん」

いい歳(?)して幼女にあ~んをしてもうら

なんて。……改めて私は羞恥心というものを

感じていた。

ちなみに、チラリと視線を移せば、ルフェアは、

『ミュウちゃんならまぁ許せる』、と言いたげな

表情をしていた。

 

「パパ?美味しい?」

「え、えぇ。美味しいですよ」

「良かった~!」

と言うと、ミュウはそのまま食事を再開した。

って、ミュウは今私の口に入ったフォークを

そのまま使って……。これでは、間接キスに

なるのでは……!しかし、それを言った所で

無意味そうなので、私は小さくため息を

突くと自分の食事を再開しようとした。

 

『スッ……』

それもミュウと反対側の席に座るレミアが

フォークを私に差し出した事で阻止されたが。

「……。レミア?これは?」

私は呆然としつつ、フォークと彼女に交互に

目をやる。

「あら?何か可笑しいですか?私達は夫婦、 

 なんですから。私はミュウの母であり、

 司さんは父なのですから」

「いや、それは……」

父親のふり、と言いかけて言葉を呑み込む私。

「さぁ?どうぞ?」

「む、むぅ」

彼女の対応に驚きつつ、後ろをチラ見すれば、

微笑ましそうに笑みを浮かべるミュウと、

更にその奥には、必死に怒りを抑えながら

フォークの柄を握りつぶしているルフェアの

姿があった。

 

すまない、ルフェア。

私は心の中で彼女に謝りながら、レミアの

差し出すフォークに口を付けた。

しかし、それが悪かった。

直後、レミアはフォークで食事をすると……。

「ふふっ。これで間接キスですね。

 あ・な・た♪」

そう呟いた。

 

『ブワッ!』

次の瞬間、ルフェアから殺気が溢れ出し、

ハジメと香織、ユエやシア、ティオなどが

ガタガタと震え出す。

のちにティオは皆を代表してこう語った。

『あれこそ正しく鬼神』、と。

 

どういうわけか、レミアの私に対する態度が

可笑しい。どう考えても出会って数時間の

男にする態度ではない。

食後、ミュウの遊び相手をしているハジメ達を

後目に、彼女にそれとなく聞いてみた。

 

「ミュウにとって、司さんがパパなん

 ですよ。……あの子にとって、父親は

 いないに等しいのです。そんな中で、

 貴方に出会った。ミュウにとっては、

 司さんが本当のパパなんです」

「……そうですか。しかし、何故貴方

 まで私を?」

「私も、もう夫を亡くして5年。

 …新たな夫を迎えても、罰は当たらない

 と思いますが?あの子も、貴方をパパと

 慕っている事ですし。本当の夫婦になる

 のも、悪く無いと思いませんか?」

「い、いや。私にはルフェアという、

 将来を誓い合った相手がいるので、

 残念ながら。……ミュウの父親の

 ふりは出来ても、本当の父親には……。

 それに、私達は出会ったばかりです」

「そうですか。……ですが……」

その時、レミアが私の手に自分の手を重ねた。

 

「娘を助けるために手を尽くしてくれた

 男を、一人の女として、母として、

 慕うのは、可笑しい事ですか?」

「……」

彼女の言葉に、私は黙り込んでしまう。

正直、慕ってくれると聞いて悪い気はしない。

だが、もしミュウがこれから真っ当な生活

をしていくのだとしたら、恐らく私は、

その傍にいない方が良いだろう。

『血に汚れた父親』など……。

 

だが、私は彼女の手から自分の手を離す。

「あっ……」

「……私の手は、血で汚れている。

 あまり気安く触るべきではありません」

それが、ミュウのためでもあるかもしれない。

私はそう考えた。しかし……。

彼女は再び私の左手に、自らの手を重ねた。

 

「貴方の手は、血で汚れているかも

 しれません。ですが、この世界で、力の

 無い者は奪われるしかない。あの日、

 私はそれを強く実感しました」

彼女の言うあの日とは、ミュウが誘拐された

日の事だろう。

 

「貴方は、大切な人を守る為にその手を

 血で汚す事が出来ますか?」

「えぇ」

彼女の問いかけに、私は迷う事なく頷く。

 

「力が無ければ、戦う意思がなければ、

 人生は失ってばかりです。特に、力が

 物を言う世界ならば、尚更です。奪われ

たくないのなら、戦うしかない」

そう言って、私は右手を握りしめる。

 

すると……。

「そうですね。……私は、その生き方を

 正義と肯定する事も。悪と否定する事も

 しません。ですが、『必要な事』だとは

 思います」

私は、黙って彼女の話を聞いていた。

彼女は、力を否定しなければ、肯定もしていない。

しかし必要だとは言った。

 

ある意味、愛子先生とも異なる答えだろう。

先生は力、悪く言えば暴力を明確な悪としている。

だがレミアは、それを理解した上で、必要な

存在だと言って居る。

力もまた、人によって捉え方が違う、と言う

事か。

と、私は内心思っていた。その時。

 

「だから……」

彼女の両手が、私の左手を包み込んだ。

「司さんのこの手は、誰かを守る為に

 汚れたのだと、私は思います。そして、

 それこそが、司さんの強さの証であり、

 魅力だと思います?」

「魅力?……血に濡れた、私が?」

 

「えぇ。どれだけ気丈な女でも、時には

 誰かに守って貰いたいと思う時はあります。

 司さんのような、強い男性に」

「……成程。つまり、レミアは強い男性、

 と言う存在に宛てはまる、私に

 惚れた、と?」

「はい♪……ですので、お望みとあらば、

 いつでもお声がけ下さい。その時は、

 喜んで貴方の本当の妻になりますから」

「そ、そうか」

 

と、私はその時、それだけしか言えなかった

のだった。

 

ちなみに……。

『ミュウちゃんが傍にいるから我慢。

 ミュウちゃんが傍にいるから我慢。

 ミュウちゃんが傍にいるから我慢。

 ミュウちゃんが傍にいるから我慢。

 ミュウちゃんが傍にいるから我慢。

 ミュウちゃんが傍にいるから我慢』

ミュウと遊んでいたルフェアが頭の中で

そう連呼しながら、ミュウの手前必死に

ポーカーフェイスを浮かべていたが、

その周囲ではハジメ達がガタガタと震えて

いた。

 

『司ぁっ!お願いだからルフェアちゃんを

 何とかしてぇぇぇっ!』

頭の中で叫ぶハジメ。

しかし彼の願いは届く事は無かったのだった。

 

更に夜。流石に、ミュウとレミアの二人に加え、

ハジメ、司、香織、ルフェア、ユエ、シア、

ティオと9人も居たのではベッドの数が

足りず、男の司とハジメはリビングにある

二つのソファを一つずつ使って寝よう、と言う

話しに一度はなったのだが……。

 

 

「折角ですから、夫婦と娘、3人水入らず

 で一緒にどうですか?」

「ミュウ、パパとママと一緒に寝る~!」

レミアの言葉にルフェアから殺気が

ほとばしり、それに当てられガクブルな

ハジメ達。そしてミュウにせがまれ、

断り切れなくなった司は、レミアと

ミュウ、二人と同じベッドで寝る事に

なり、その時には二人から腕枕を

せがまれ、二人は司の左腕を枕にして

眠りについたのだった。

 

そしてそんな中で司は……。

 

『今度、ルフェアに何か埋め合わせを

 しなければ』

 

などと考えていたのだった。

 

     第52話 END

 




劇中に登場したアルゴは、ゴジラKOMのアルゴです。
次回からはメルジーネ海底遺跡に突入すると思います。

感想や評価、お待ちしています。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。