ありふれた職業で世界最強~シンゴジ第9形態とか無理ゲー~   作:ユウキ003

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今回、戻ってハルツィナ樹海でのライダー編です。


IF・ライダー編 第6話

ハルツィナ樹海にて、ハウリア族を鍛える

司やハジメ達。そんな中でシアは仮面ライダー

ビルドの力を。カムは仮面ライダーバルカン

の力を司より与えられたのだった。

 

 

こうして、無事に各々の鍛錬を終え、シアは

私の出した条件に合格した事もあって、

一緒に旅をする事になった。

正直、この条件はかなり難しい物だろうと

私自身思って居た。それをクリアしたと

言う事は、シアには戦士としての素質が

あるのと同時に、それだけ私達と一緒に

旅をしたいと言う思いの強さの表れで

あろうと私は考えていた。

 

今は、全員がキャンプ地に集まっている。

のだが……。

「あの、元帥?そちらの方々は……」

カム達は次郎達を前にして首をかしげていた。

 

「あぁ、そう言えばカム達は初対面

 だったな。彼等はユエの従者のような

 者たちだ。3人とも、挨拶を」

「あぁ。俺は次郎だ」

「僕はラモンだよ。初めまして」

「俺、力(りき)」

 

「彼等はユエの従者であると同時に、 

 彼女の仮面ライダーとしての姿、

 キバを支える仲間でもある。

 今は人間の姿をしているが、本来の

 姿は違う」

と、私が言うと、彼等3人の姿が、

それぞれ怪人とも言える姿へと変化

する。

 

「そして付け加えるのなら、彼等は

 今の段階で既に並みの魔物以上の

 戦闘力を誇る」

狼男のようなガルル。

半漁人のようなバッシャー。

フランケンシュタインのようなドッガ。

 

彼等3人はキバを支える仲間、

『アームズモンスター』だ。

「か、かっけぇ……!」

「つ、強そうだ……!」

そして、そんな彼等を前にしてハウリア

の者達が小さく呟いている。

 

どうやら無事受け入れられたようだ。

 

その後、私達は休憩もかねてキャンプ地で

色々話し合っている。シアはカム達と

この10日間の話で盛り上がっている。

 

と、そこへ、偵察に出ていたハウリア

の小隊が戻ってきた。

彼等には大樹、ウーア・アルトへ続く

道の偵察を、念のために頼んでいたのだ。

 

そして、私の予感は当った。

 

彼等が言うには、進路上で熊人族の部隊が

展開しているとの事だ。

恐らく、私がぶちのめした族長の仇討ち、

と言った所だろう。

 

だが、フェアベルゲン側に警告はした。

ならば守らない奴らが悪い。

私はハウリア兵達に戦闘態勢を取る

ように指示を出し、4分の3の数の

ハウリア兵が装備を手に駆け出し、

残りとカムを連れて私達は大樹へ

向けて移動を開始した。

 

そして……。

「カム」

「はっ。何でありましょうか、元帥」

「良い機会だ。お前のライダーとして

 の力。存分に奴らに見せつけてやれ。

 もはやお前達を、弱小種族などと

 呼ばせぬようにな」

「はっ。分かりました元帥」

「では、行くぞ」

 

司を先頭に歩き出した一団。彼の周囲

はジョーカーを纏って武装した

ハウリア兵たちが固めている。

 

そして、歩いていると不意に霧の中

から彼等の前に屈強な男達。

熊人族の部隊が現れた。

 

「ッ、貴様だなっ!黒髪に黒の服っ!

 貴様がジンをあのような姿にした

 人間だなっ!?」

部隊の先頭に居た熊人族の男、レギン

は憤怒の表情で司を睨み付ける。

周囲の男達も、同じような表情で

司を睨み付ける。

 

しかし……。

「邪魔だ」

「何ッ!?」

「聞こえないのかでくの坊。邪魔だ。

 死にたくなければそこを退け」

「ッ!?人間風情がぁぁぁっ!!」

すると、司の見下すような言葉にキレた

熊人族の男の1人が飛び出して司に

突進してきた。

 

「阿呆が。カム」

「はっ、お任せを」

隣に控えていたカムに声を掛ける司。

「ジン殿の仇ぃぃぃぃぃっ!」

剣を手に突進してくる男。だが……。

 

『ドンッ!!!!』

『ブチィィィッ!!!』

「ぐっ!?あぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

カムの手にしていたショットライザー

から放たれた50口径の徹甲弾が、

男の右足を、腿の辺りから吹き飛ばした。

 

バランスを崩して地面に倒れた男はその場

でうめき声を上げていた。

だがそれで終わりでは無い。

『ドンッ!ドンッ!ドンッ!』

カムはショットライザーで残った左足と

両手を付け根辺りから吹き飛ばした。

 

達磨にされ、無くなった手足をバタつかせ

ながら呻く熊人族の男。

だが、それだけだ。そして……。

「……死ね」

『ドンッ!』

 

小さく呟いたカム。直後に放たれた

徹甲弾が男の頭を跡形も無く

吹き飛ばした。

熊人族の者達は、それを呆然と見ていたが、

すぐさま我に返って武器を構えた。

 

「カム」

「はっ」

それを見ていた司が静かにカムに声を掛けた。

「好きに蹂躙しろ。お前達の力を、驕った

 奴らに見せつけてやれ」

「はっ!!」

 

カムは、そう言うとショットライザーを腰元

のベルトに戻し、懐からシューティング

ウルフプログライズキーを取り出した。

 

「聞けぇっ!ハウリアの者達よ!」

そして、カムはプログライズキーを

掲げながら叫んだ。

「我が名はカム・ハウリア!ハウリア族

 の族長である!だが、今はそれと同時に、

 我らが恩人、元帥の僕である!

 そして私は今日!その元帥より力を

 賜ったっ!その力を、今ここで

 使おうっ!そして愚かにも我々の

 前に立ち塞がる熊人族を倒し、

 狼煙を上げる!弱小種族と罵られて

 来た我々の歴史に、終止符を打つのだっ!」

 

「「「「「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」」」」」

カムの宣言に応じてハウリア兵達が

雄叫びを上げる。大地が、森が震えん

ばかりの声量に、熊人族の戦士達も

驚いている。彼等は内心、これがあの

ハウリア族か?!と現実を疑っていた。

 

そして……。

 

「我らハウリアの未来っ!こじ開けて

 見せるっ!」

カムは叫ぶと、手にしたオーソライズ前の

プログライズキーをこじ開けようと力を

込める。

 

本来プログライズキーはドライバーによる

認証、オーソライズを行わなければ

展開する事が出来ない。そうロックが

かけられている。

だが……。

 

「ぬぅぅぅぅぅっ!!ぬぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」

『カシュッ!』

 

カムのバカ力が、そのロックを、文字通り

こじ開けたのだ。

そして彼の叫びが、獣の雄叫びのように

樹海へ響き渡る。

 

『バレット!!』

 

そしてカムはボタンを押し、キーを起動する。

「はっ!な、何をこけおどしがぁっ!」

すると熊人族の男達数人がカムに向かって

駆け出した。

 

だが遅い。

 

『オーソライズ!』

 

『Kamen Rider……Kamen Rider……』

 

既に開かれた鍵、プログライズキーは

ショットライザーに装填されている。

そしてカムはベルトからショットライザー

を外すと、それを向かってくる熊人族の

男達に向け……。

 

「変身っ!」

 

『ショットライズ!』

 

かけ声と共に放たれたSRダンガーが

男達を弾き飛ばしながら周囲を飛び回り、

カムの元へと戻っていく。

「はぁっ!」

 

戻ってきたSRダンガーを殴りつけるカム。

直後、内包されていたアーマーが展開され

彼の体を包み込む。

 

『シューティングウルフ!』

 

『The elevation increases as the bullet is fired』

 

彼を包み込んだアーマーから蒸気が噴き出し、

カムは変身を完了する。

「姿が変わっただと!?」

「そんなこけおどしぃぃぃぃっ!」

変身に驚く熊人族のレギン。だがそんな事

などお構いなしに、数人がカム、バルカン

へと向かっていく。

 

だが、無意味だった。

「はっ!」

『ドンドンッ!』

両手でショットライザーを握った

バルカンの射撃が次々と熊人族の胴体を

抉るように吹き飛ばし倒していく。

それでも何人かがバルカンに肉薄した。

 

「おぉぉぉぉぉぉぉっ!」

手にした大斧を縦に振り下ろす男。

だが、バルカンはサイドステップでそれを

避けるとローキックを男の足に放った。

蹴られてバランスを崩して男がその場に

膝と手を突いてしまった。しかし、

それが命取りとなって次の瞬間には

ほぼゼロ距離から徹甲弾で頭を吹き飛ばされた。

 

「おぉぉぉぉぉぉぉぉっ!」

「このぉぉぉぉぉぉぉっ!」

そこに次々と襲いかかる熊人族の男達。

しかしカムはそれを華麗に、的確に

避け、弾きながらカウンターの一射で

相手の頭や胴体を撃ち抜いて行った。

 

「あれって……。ガン=カタ?」

やがてその動きに見覚えがあった

ハジメが静かに呟いた。

 

「えぇ、その通りです」

彼の疑問に私が答えた。

そして今、カムは迫る敵の攻撃を、避けるか

受け流すかした直後にカウンターの一撃で

相手を倒している。

銃器を生かした近接格闘術、と言う事で

カムにはガン=カタを私なりにアレンジ

した物を教え込んでいた。

 

それもあり、熊人族達は瞬く間にその数を

減らしていった。

そして、その数が半数ほどにまで減った時。

「そこまでだカム。一旦ストップだ」

「はっ」

私の指示に従って銃口を下げるバルカン。

 

その後、熊人族達は悔しそうな表情を

浮かべながらも私達の命令を受け入れる

以外に生き残る術が無い事から、これを

受諾し、樹海の霧の向こうに消えていった。

 

その後、無事に大樹の元にたどり着いた私達

だったが、そこにあった石版を調べた結果、

今の私達ではこの大迷宮に挑めない事を

知り、あえなく攻略を断念。それもあり、

今はともかく樹海を離れることになった。

 

付いて来たいと言うハウリア族に私は

基地を創り、彼等をGフォースとして

私の仲間に加え、樹海防衛の任務を

与えた。

 

その後の事だった。

「元帥、一つ、お願いがあります」

カムが私の元に来て、そう言って頭を

下げたのだ。

「何だ?言ってみろ」

「はい。皆様がここをお発ちになる前に、

 最後に、娘と戦わせて欲しいのです」

「え?」

彼の言葉に驚いたのはシアだ。

 

カムはシアと戦いたいと言うのだ。

まぁ、おおよその見当は付く。

「……娘の成長を、自分の目で見たいか?」

「はい。可能であれば」

「そうか。……シア、あなたはどうしますか?」

「え?」

私の言葉に一瞬戸惑うシア。

 

「私達の旅はそこまで急ぐものでも

 ありませんから。模擬戦をしたいと2人が

 言うのなら別に構いません。なので、 

 後はあなた次第です。どうしますか、シア」

私の問いかけに、しばしシアは迷った

様子だったが……。

 

「分かりました。父様と、戦います」

彼女も決意を浮かべた表情で頷いた。

 

 

そして、シアとカムがそれぞれのベルト

を腰に巻いた状態で向かい合い、それを

私達が離れた所から見守っていた。

 

「シア。ユエ殿たちに鍛えられたお前の

 力を、この父に見せてくれ」

「はい。たっぷり見せてあげますよ父様!」

 

そう言うと、2人はそれぞれのアイテムを

取り出した。カムはプログライズキーを。

シアはフルボトルを。

 

シアがボトルをカシャカシャと振るのを

合図に、カムもまた強引にプログライズ

キーをこじ開けた。

 

そして、それをショットライザーに

装填するカム。

 

『バレット!』

 

シアもボトルをベルトに突き刺す。

 

『ラビット!タンク!ベストマッチ!』

 

カムは、静かにショットライザーの銃口を

シアへと向ける。

 

『Kamen Rider……Kamen Rider……』

 

ショットライザーから待機音が鳴り出す。

シアもグルグルとベルトのハンドルを回し、

周囲にスナップライドビルダーを展開

ししている。

 

そして……。

 

『Are You Ready!?』

 

ベルトから響く問いかけ。だがしかし、

それはこの場においてシアだけではない。

カムへの問いかけでもあった。

そして……。

 

「「変身っ!!」」

 

2人は同時に叫んだ。

カムが引き金を引き、シアもまた形成

されたビルドのアーマーを纏う。

 

『ショットライズ!シューティングウルフ!』

 

『The elevation increases as the bullet is fired』

 

『鋼のムーンサルト!ラビットタンク!

 イエーイ!』

 

2人の体から蒸気が溢れ出し、その複眼が

光り輝く。

 

 

私は静かに両者の中間辺りに立つ。

 

「今から、この硬貨を弾く。それが地面に

 ついた瞬間を模擬戦開始の合図とする。

 また、試合の勝敗の判定は私が下す。

 双方、良いか?」

 

私の問いかけに、2人は静かに頷く。

「では……」

親指に力を入れ、キィンッという甲高い

音と共に硬貨が宙を舞う。それと同時に

私は後ろに下がる。

 

一瞬の静寂。重力に負けた硬貨が落下し、

舗装された基地のコンクリに当ると、

再びキィンッと甲高い音を鳴らした。

 

そして……。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

「おぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」

 

バルカンとビルドが同時に駆け出した。

どちらも右手を振りかぶった。

『『ドドォォォォォォォンッ!!』』

ぶつかり合う拳。大気を震わす爆音が

鳴り響く。

「はぁっ!」

更にパンチを繰り出すビルド。

「くっ!?」

だがバルカンはそれを紙一重で避け、右手

でベルトのショットライザーを抜き、ビルド

の腹部に突き付けた。

「ッ!?」

 

『ドンッ!』

 

直後に響き渡る銃声。ビルドは大きく後ろに

飛び、更に左手を盾にする事で胴体への攻撃を

避けた。

「ッ~~~!」

しかし左手で防いだせいか、痛みとしびれを

振り払うように左手を振るビルド。

「や、やりますね父様」

「ふっ。私も、ハジメ殿や元帥に鍛えられた

 からな。これくらいは当然だ」

一旦距離を取った二人は、静かに睨み遭う。

 

すると、ビルドがベルトからドリル

クラッシャーを取り出し、同時にドリル部分

が音を立てながら回転をはじめた。

一瞬の静寂。

 

「ッ!」

『ドウッ!』

ラビットフルボトルの脚力を生かして

前に出るビルド。

「そこっ!」

ビルド目がけて徹甲弾を放つバルカン。

だがビルドは徹甲弾を、回転させた

クラッシャーのドリルで弾きながら

接近してきた。

 

「くっ!?」

「はぁっ!」

咄嗟に後ろに飛ぼうとするバルカンだが、

間に合わずに振り下ろされたクラッシャー

のドリルがバルカンを斬り付け大きく

火花が散った。

大きく飛ばされながらも、空中で態勢を

立て直し、着地。更に反撃の徹甲弾を

見舞うが、ビルドはそれをクラッシャー

で防ぐ。

 

「くっ!ならばっ!」

このままでは埒が開かないと感じたのか

バルカンは新たなプログライズキーを

取り出した。

 

『パワー!』

 

「ふぅんっ!」

そしてそれをライダーの握力を生かして

強引に開くと、それをショットライザーに

装填した。

 

『オーソライズ!ショットライズ!』

待機音を挟むこと無く、即座に引き金を

引くバルカン。

SRダンガーが発射され、バルカンの周囲を

回った後に炸裂、新たなアーマーをバルカン

に装着させた。

 

それは、巨大な黒い両腕と、同じく黒い

重装甲の上半身が特徴の派生フォーム。

『仮面ライダーバルカン・パンチングコング』だ。

 

『パンチングコング!』

 

『Enough power to annihilate a mountain』

 

フォームチェンジを終えると、ゆっくりと

歩き出すバルカン。

「はぁっ!」

対して距離を詰め、もう一度クラッシャー

で斬りかかるビルド。

 

『ガキィンッ!』

「ッ!?」

だがその刃はバルカンの両腕に装備された

ガントレット、『ナックルデモリッション』

に防がれてしまった。そのことに驚く

シアビルド。

「はぁっ!」

『ドガッ!!』

「ぐっ!?」

そして怯んだ一瞬の隙を突かれて殴り

飛ばされてしまうビルド。

 

しかし彼女はすぐに立ち上がると、

クラッシャーを投げ捨て別のボトルを

取り出した。

 

「ユエさんにはスピードで追いつかない

 からって使わなかったけど、今の父様

 とやりあうには、ぴったりですぅっ!」

 

『ゴリラ!ダイヤモンド!ベストマッチ!』

 

グルグルとハンドルを回すビルド。

 

『Are You Ready!?』

 

「ビルドアップッ!」

 

『輝きのデストロイヤー!ゴリラモンド!

 イエーイ!』

 

茶色と水色のビルド。特徴的なのは、その

巨大な右腕だ。その右腕、『サドンデス

トロイヤー』はパンチの威力を2倍に

する力がある事に加え、低確率で相手を

即死させる事が出来る。だが、今回は

模擬戦なのでその機能はリミッターを

掛けて止めている。

 

「行きますよ、父様っ!」

「来いシアっ!」

 

2人は同時にかけ出し、その巨大な腕

を振りかぶる。

そして……。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁッ!」

「おぉぉぉぉぉぉぉッ!」

『『ドゴォォォォォンッ!!!!』』

2人の拳がぶつかり合い、凄まじい

爆音が響き渡った。

 

そこからはもう、殴り合いだった。

2人の拳がぶつかり合う度に火花が散る。

壮絶なるラッシュのぶつかり合い。

両腕が剛腕のバルカンの方が有利かと

思われるが、ビルドもダイヤモンドハーフ

ボディの特性を生かして、攻撃を

受け止め、確実にカウンターを返している。

 

『ドゴッ!!』

「ぐっ!?まだまだですぅっ!」

『バゴンッ!』

「ぐあぁっ!?それは、こちらも同じだっ!

 シアァァァァッ!」

 

その光景はさながらボクシング。

お互いに相手の攻撃を躱すだけの機動力は

無い。故に単純なる腕力の打ち合い。

バゴンッ、ドゴンッと凄まじい音が響き渡る。

そして……。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁっ!」

「うぉぉぉぉぉぉぉっ!」

『『ドゴォォォンッ!!!』』

2人の拳が互いの胸を打った。

「ぐぅっ!?」

「がっ!?」

お互い数メートル吹き飛び、そこで膝を突く。

 

「「ハァ、ハァ、ハァ!」」

2人とも既に息が荒い。そろそろ決着が付くだろう。

 

すると、ビルドがベルドのハンドルに手を掛けた。

それを見たバルカンもベルトに付いたままの

ショットライザーに装填された、プログライズ

キーのスターターを押し込んだ。

 

『パワーッ!』

 

電子音声が響き渡る中、グルグルとハンドルを

回すビルド。

そして……。

 

『Ready Go!』

 

ビルドの方も電子音声を響かせた。

 

シアビルドの右腕に、茶色のエネルギーが

収束し、一回り大きな、エネルギーで

出来たサドンデストロイヤーが精製される。

 

対してカムバルカンの右腕にも、黒い

エネルギーが収束し、そのパワーを

高めている。

 

お互い、腰を落として構えを取る。そして……。

 

「「おぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」」

2人は雄叫びを上げながら突進する。

 

『ボルテックフィニッシュッ!』

 

『パンチングブラストフィーバー!』

 

電子音声が響き渡った直後、2人の剛腕が

ぶつかり合い、行き場を失ったエネルギー

が火花を散らす。

「おぉぉぉぉぉぉぉっ!」

「はぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 

2人とも、一歩も引かずに拳をぶつけ合う。

だが、均衡は突如として破れた。

 

『グググッ!』

シアビルドの方が僅かに押し込んだ次の瞬間。

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

ビルドの右腕が一気にバルカンを押し込んだ。

弾かれたバルカンの右腕が宙を舞い、ビルドの

右腕がそのままバルカンの胸を打つ。

『ドゴォォォォォォンッ!!』

 

爆発と爆音、それによって発生した砂煙が

辺りを覆うが、直後それを突き破って

吹き飛ばされたバルカンが地面を数回転がって

から止まる。そして、その衝撃で彼の変身が

解除されてしまう。

ここまでだな。

 

「そこまでっ。勝者、仮面ライダービルド。

 シア・ハウリアっ」

そこで私は勝者宣言を行って試合を止めた。

シア、ビルドは肩で息をしていたが、

やがてハッとなると、慌てて変身を解除して

カムの元へ走った。

 

「父様っ!大丈夫ですかっ!?」

慌ててカムを抱き起こすシア。私達も傍に

歩み寄る。カムは、あちこちに擦り傷など

を作って少し血を流していたが、幸いな

事に重傷ではなかった。

 

「ふふっ、大丈夫だシア。落ち着け。

 少し怪我をしただけだ」

そう言うと、カムは立ち上がった。

シアも安心した様子で立ち上がる。

 

しばし見つめ合う父と娘。やがて……。

 

「シア、見違えたぞ。よくここまで

 強くなったな」

「ッ、はいっ、ユエさんたちに、鍛えて 

 貰いました、から」

父に褒められたシアは、嬉しそうに涙を

目尻に溜めながら頷く。

 

「そうか。そして、今のお前なら、

 きっと大丈夫だ。だからこそ、自信を

 持っていけ。ハジメ殿達との旅へ」

「ッ!はいっ!父様っ!」

 

彼の言葉に、シアは涙ながらに頷く。

すると、カムがハジメの方に向き直った。

 

「ハジメ殿。どうか、娘をよろしく

 お願い致します」

そう言って深々と頭を下げるカム。

「必ず、彼女の事は僕が守ります。

 仮面ライダーゼロワンとして」

 

対してハジメも、決意に満ちた表情で

頷いた。

 

これで、私達の旅に新たな仲間が加わった。

 

仮面ライダービルド、シア・ハウリア

と言う仲間が。

 

     ライダー編 第6話 END

 




ダイジェストなので、基本本編と対して変わらない所は書かないので、次回は
一気にライセン大迷宮になるかも、しれません。

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