ありふれた職業で世界最強~シンゴジ第9形態とか無理ゲー~   作:ユウキ003

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って事で書き上がってるんで深夜のノリで第2話上げます!


第2話 説明とステータスプレートと無限大

~~前回のあらすじ~~

人間として異世界で生活している存在、

シン・ゴジラ第9形態こと、新生司。

彼は少ない友人である南雲ハジメ、

白崎香織と学生として生活していた。

しかし、ある日司は他のクラスメイト達

と共に謎の光に飲まれてしまうのだった。

 

 

……。ここはどこだ?

次に私が気づいた時、そこは教室では無かった。

周囲を見れば、そこには壁画が描かれていた。

私はすぐに周囲を警戒し、必要があるのなら、

『自らの内にある力』を行使し、戦う

用意をしていた。

 

そして、同時に私はポケットに入れたまま

だった通信端末、スマホを取り出すが……。

「……圏外、繋がらないか」

画面の端には、『圏外』の文字が浮かんで居た。

 

そして、皆が皆、黙ったままだったので私の

声が良く聞こえたのだろう。皆、私の

方を向いた。

しかし私はそれを一瞥すると、GPSを

起動する。しかし……。

「GPSも、反応無し。電波が届かない

 ような地下にいるのか、或いは……」

言いかけ、私は口をつぐむ。

 

「或いはって、何?新生くん」

その先が聞きたいのだろう。香織は

心配そうに私に問う。

最初はそれに答えようか迷った。

だが、その時こちらに歩み寄る人影

に気づいて、私は咄嗟にハジメと香織の

前に出た。

 

「止まれ」

私は、その人影、白を基調とした法衣を纏った

老人に呟いた。

「貴様、何者だ。ここはどこだ」

私は敵意を滲ませ、問いかける。

このような状況だ。何が起こるかは

分からない。

 

すると、老人は口を開いた。

「ようこそ、トータスへ。勇者様、そしてご同胞

の皆様。歓迎いたしますぞ。私は聖教教会にて

 教皇の地位に就いております『イシュタル・

 ランゴバルド』と申す者。以後、よろしく

 お願い致しますぞ」

老人、イシュタルは好々爺とした様子で

語りかけてくる。

 

しかし、私の中の本能が、警戒を強める。

 

この者に、心を許すな、と。

 

その後、私達は聖堂のような場所を出て

別室へと向かっていた。

 

先頭を歩くのは、私だ。

イシュタルが説明すると言い出した時、

私は、警戒心をむき出しにして奴に

言い放った。

 

「こちらの安全は保障されているのか?」

「安全、ですかな?」

「そうだ。今我々に起こっている状況は、

 到底我々の理解が及ばない物。

 こんな状況では、安心しろと言うのが

 無理な話だ。だからこそ問う。

 我々の安全は保障されているのか?」

「はい。それはもちろん。ここには

 皆様を害する者などおりません」

と、イシュタルが言うと、後ろで生徒数人が

ホッとしたように息をついた。

 

「では更に聞く。貴様は何故我々がここに

 居る理由やここについて。全ての理由を

説明出来るのか?」

「はい。それはもう」

「……現状を理解するには、奴の話を

 聞くしか無い、か。愛子先生」

「は、はいっ!」

私が振り返り声を掛けると、先生は

飛び上がらんばかりに驚いた。

 

「申し訳ありませんが、今は先生が最年長の

 立場です。まとめ役をお願いします」

「は、はいっ!」

私の言葉に頷く先生。だったが……。

 

「と言うか、新生君の方がとても

 頼りになりそうですぅ」

『『『『確かに』』』』

と、先生が涙目で呟き、生徒達は頷くのだった。

何故?

と思う私だった。

 

その後、イシュタルの後ろを私が付いていき、

更に愛子先生やハジメ、香織、他の面々が続く。

 

そして、時折スマホを確認するが……。

 

「やはり圏外。繋がらないか。

 ……異世界、と言うのは本当の

 ようだな」

「ど、どうしてそう思うんですか?

 新生君」

すると、後ろにいた愛子先生が私に

問いかけてきた。

 

「今の我々の現状、起こっている事態は、

 二つに仮定出来ます。

 一つ。これが、誰かによって巻き起こされて

 いる茶番とする説。

 二つ。あの老人が言うように、我々は

 異世界へと召喚されたと言う説」

「じ、じゃあ、どうして異世界だって

 思うの?」

 

「理由としては、二つほどあります。

 まず第1にあの魔法陣。あれが強烈な光

 を放った後、皆が気絶していたのなら、

 眠った間に運び出したと言う話しも

 ありえます。

 しかし、誰一人として気絶せず、光が

 収まった時点であそこに立っていた以上、

 眠らせて運び出すのは不可能。少なくとも、

 私達の世界でテレポート技術が生み

 出されたと言う話しは聞いたことが

 ありません。

 ですが、異世界の魔法の類いなら、

 あるいは……」

「な、成程」

「なら、第2の理由はなんなんだい?」

と、今度は近くによってきた天ノ河光輝が

問いかけてきた。

 

私は後ろの彼や愛子先生に見えるように

スマホの画面を向けた。

 

「第2の理由は、先ほどからネット、電話回線、

 GPSの全てが繋がらない事。ここが電波の

 届かない場所ならばそれもあり得る。

 だが、そもそも通信基地局や衛星が

 無ければ、 通信など出来ない。異世界

 の文明レベルがもし我々の地球と

 違うのなら、衛星などまずあるはずが無い。

 あったとしても、規格が合致する訳もない」

「つまり、使えない事=異世界、と?」

 

「あくまでも、ここが異世界かもしれない、

 と言う可能性を肯定する根拠の一つだが」

と、私は冷静に告げた。

 

するとすぐ側で……。

 

「何で、何で新生君そんなに冷静なんですか~。

 先生、もうスゴくテンパってて……」

何故か涙目の先生。

「うぅ、やっぱり先生より新生くんの方が

 頼りになりそうですよぉ」

そんな事まで言い出してしまった。

更に後ろで頷いている生徒達。

……だから何故なんだ。

と、私は思うのだった。

 

その後、長方形のテーブルが並ぶ大広間の

ような場所に通された私達。

上座には愛子先生や天之河光輝たちが座る

だろうから、ハジメと同じ下座の方へ

行こうとしたのだが……。

 

『ガシッ!』

「ま、待って下さい新生くん!お願い

 ですから先生の隣に居て下さい!

 新生くんは、この中で一番冷静

 ですから!」

と言われ、私は戸惑いながらも先生の

隣に腰を下ろした。

 

その後、イシュタルによる説明が成された。

 

この世界には、人族、魔族、亜人族なる3つの

種族が存在していること。

人族が大陸の北側を。

魔族が逆に南側を、勢力圏とし、亜人族は

東の樹海でひっそり暮しているようだ。

 

人族と魔族は数百年に渡る戦争を続けており、

数の有利を誇る人族と、個人の力で勝る魔族。

今は小規模な小競り合いを繰り返し拮抗した

状態が続いていた。

 

しかし、最近になって魔族は、魔力を吸収して

異形化した生物、『魔物』を使役し

出したとの事。

それによって、人族の有利とされていた、

数のアドバンテージが崩れた事。

 

そして、自分達は聖教教会の崇める神、エヒト

と言う輩に召喚された事が語られた。

 

イシュタルの言葉通りなら、滅びに向かう

人族を助ける為にエヒトが私達を遣わした、と。

 

それを恍惚とした表情で語る辺り、あの老人の

狂信的な一面が垣間見えると言う物。

 

そして愛子先生はイシュタルのやり方に、

もっと言えば私達を戦争の道具にしようと

しているやり方に反対した。

 

そして我々を元の世界へ帰して欲しいと

主張した。が、こう言うのはハジメに

借りた本の展開で見た事があった。

 

案の定、『イシュタル達では』、無理

と言う物だった。

 

帰るのならば、エヒトの力が必要、

だと言うのだ。

 

途端にパニックになる周囲の生徒達。

 

そしてその様子を見つめるイシュタルの目には、

それを蔑むような物が込められている。

やはり、狂信者か。

 

などと考えていると、天之河光輝が、何と

戦争に参加するとのたまいだした。

 

私は黙ってそれを聞いていた。

 

坂上龍太郎が何の躊躇いもなくそれに同意し、

香織や雫も、戸惑いながらも賛成する。

他の生徒達も、まるで現実逃避の

ように賛同していく。

 

その時。

 

「バカか貴様等」

 

私の声で、やる気を示していた生徒達は

シンと静まりかえった。

 

「今の話を聞いて、なぜ戦争に参加しよう

 などと思う?殺し合いだぞ?銃も剣も握った

 事の無い、殺し合うスキルも知らない素人の

 貴様らが戦争だと?止めておけ。

 1年と経たず屍をさらすだけだ」

「そ、そうですよ!皆さん危険です!

 だから止めましょう!」

どうやら私の意見を戦争反対派とでも

思ったのだろう。先生が同意する。

 

「だが、現にこの世界で困っている人達が

 居るんだ!そして俺達にはそれを救える力が

 あるんだろう!?ならば、戦うべきだ!」

……。こいつは簡単にそう抜かす。

やはりバカだな。

「先ほどの説明、我々はこの世界の人間より

 能力的に上だ、と言われているがそれは、

 『死なない』という事では無いぞ?

 刃で貫かれれば死に、頭を砕かれれば

 絶命する。

 我々は例え強くとも、無敵では無い。

 戦争で死ぬ可能性は0ではない。

 それでも戦うか?」

 

死する可能性。

 

この言葉に、天之河に賛同していた生徒達数人が

視線を下げる。

「そ、そうだ!俺達は勇者なんだっ!

 だから、魔族と戦うべきだ!魔族によって

 苦しめられている人々を助けるために!」

 

「だから、魔族を滅ぼす、と?」

「そうだっ!」

即答である。……浅はかな。

 

「では、そうだな。貴様の前に魔族が現れた

 とする。その男はこう言いながら貴様に

 斬りかかった。『よくも家族を』、とな」

「な、何?」

「まだ分からんか?魔族とて、生命である

 以上、父と母が居て、子を、子孫を生み

 種族を繋いできた。先ほどイシュタルは、

 滅ぼす、と言って居た。

 貴様等に問おう」

そう言うと、私は立ち上がり、周囲を見回す。

 

「戦士だけではない。泣き叫ぶ赤子、女、老人。

 それら全てを殺せるのか?自分より若い

 命を殺せるのか?その身を、血で真っ赤に

 汚す事が出来るか?家族を殺された、数百、

 数千の魔族から向けられる憎悪に

 耐えられるか?

 勇者、などと呼ばれ、プロパガンダとして

 利用され、数多の魔族から恨まれ、

 命を狙われる。

 そして、多くの命を、その手で奪っていく。

 その覚悟が、貴様等にあるのか?」

 

「だ、だがっ!魔族は人に酷い事をしてきた!

 俺達が、人を守らないと!」

なおも反論する天之河。

「酷い事、か。では聞くが、逆に人が魔族に、

 貴様の言う酷い事をした事は無いと、

 断言出来るのか?」

「え?」

「今ここで、私たちに与えられた情報は

 そこのイシュタルが語っただけの事。

 彼の口から言われた事を、真実だと

 思い込んでいるのなら、浅はか、と

 言わざるを得ないな。

 良いか?戦争をしている以上、

 そのどちらの勢力にも正義はある。

 正義を持たない戦争など、ありはしない。

 故に、戦争とは正義のぶつかり合い。

 よもや貴様、魔族を完全な悪だと

 思ってはいまい?」

「そ、それは……」

私の言葉に、言い淀む天之河。

 

そして、私は下座に居る面々へと視線を

向けた。

「結論からして、私が言いたいことは二つだ」

 

「ここから帰るためには、イシュタルが

 言うようにエヒトという神の力が

 必要のようだ。そのために魔族を滅ぼせ、

 と言うのなら帰るために魔族を滅ぼすしか、

 我々に選択肢は無い。……しかし、戦争だ。

 殺し合いだ。血で血を洗う、殺戮の場所に

 我々は足を踏み入れようとしている。

 下手をすれば、死人が出るだろう。いや、

 戦争をする以上、死人が出ない方が奇跡に

 近い。だからこそ、戦争をすると

 言うのなら、覚悟を決めろ。

 恐怖ゆえに、戦いに参加する事を拒むか。

 或いは、元の世界へ戻るために、人殺しに

 なる決意を固めるか。そして、最後に……。

 『撃って良いのは撃たれる覚悟の

  ある奴だけだ』。

 これは、アメリカの小説の一節を日本語に

 意訳した物だ。これを当てはめて言えば、

 戦争に行く以上、『殺す覚悟』と共に、

 『殺される覚悟』をしておけ、と言う物だ。

 これはゲームではない。死ねばそこで

 全てが終わりだ。

 ……それでも、戦争に参加すると

 言うのなら、もう止めん。後は死のうが

 どうなろうが、全て貴様等個人の

 自己責任だ。良く考えておけ。

 生半可な覚悟と決意では、戦争など

 出来はしない」

 

そう言って、私は席に腰を下ろした。

見ると、数人の生徒達が震えており、

女子に至っては恐怖から涙を流し、側の

友人と手を握り合っている。

その時。

 

「やる、やってやるさ!俺達は元の

 世界に帰る!」

と、天之河が何か叫び始めた。

「魔族を倒して、俺は、皆を元の世界に

 戻してみせる!」

彼の言葉に、怯えていた生徒達が彼の

方を見ている。

彼にはカリスマがあるのだろう。

 

しかし、彼のその決意が生半可な物で

無い事を祈るばかりだ。

 

結局、元の世界へ戻るために、と

皆戦う意思を示した。

その後、私達はイシュタルの案内で

ここ、神山の麓にある『ハインリヒ王国』で

受け入れられ、訓練を行う事になった。

 

そして、我々は神山からロープウェイの

ような物で王国へと向かった。

その際、本物の魔法に生徒の数人が

騒いでいるが……。

これからそれを、殺すために行使するかも

しれないと、彼らは理解しているのだろうか?

そこが心配だ。

 

そんな時。

「ねぇ、新生くん」

近くにいた香織が私に声を掛けた。

「私達って、大丈夫、だよね?生きて、

 元の世界に戻れるよね?」

そう、彼女は不安そうに問いかけた。

すると……。

 

「大丈夫さ。香織は俺が守るから」

何故か会話に混じってくる天之河。

それに香織が困ったような表情を

浮かべる。

「あ、いや、その、私今は新生くんに……」

「はいはい。光輝は引っ込んでなさい。

 二人が話し出来ないでしょうが」

と、戸惑う香織をフォローするように

天之河を押しのける雫。

 

「……。戦争に100%など

 ありません。故に、全員が無事に、

 と断言は出来ません」

私は、香織に現実を突き付ける。

彼女と、側に居た雫はどこか不安そうな

表情を浮かべる。

 

うぅむ。こう言った場面では、フォローを

するべきなのかもしれない。

「ただ……」

そう思い、私は言葉を続けた。

「イシュタルは我々に力があると

 言っています。ならば、それに見合う

 スキルと経験を積めば、そう簡単に

 死ぬことは無いでしょう」

「う、うん!そうだよね!」

私の言葉に、香織は笑みを浮かべながら

頷き、雫も安堵したのか息を吐いている。

 

そして、そうこうしている内に私達は

王国にたどり着き、王やその家臣、貴族や

文官、軍人達と謁見した。

その際、王が起立してイシュタルを

待っていたことを鑑みるに、イシュタルは

王、『エリヒド・S・B・ハインリヒ』より

立場は上と思われる。

 

その後は、あれよあれよと事態が進み、

晩餐会が開かれた。

食事は洋食風だが、時折変な色のソース

や飲み物が出てきた。

そして、大体私が味見(と言うか毒味)を

させられた。

何故だ。

 

その後、私は壁際で飲み物を手に目を閉じ、

『探していた』。

私達の『世界の座標』を。

今の私、ゴジラ第9形態はその体の中に

宇宙を宿す存在。

言わば、現人神と言っても過言では無い。

 

だからこそ、『世界線』を観測し、元の

世界の座標を探しているのだ。

しかし問題がある。今の私には世界を

観測出来ても、そこへ飛ぶ手段が無い。

今の第9形態では、精々同じ空間同士を

繋ぐ『ワームホール』の生成能力。

異なる世界線を繋ぐ程ではない。

恐らく、その帰還手段を手に入れるのなら、

今よりももっと進化しなければ

ならない。

そう、第10形態へ。

 

しかし、問題がある。それは第10形態への

進化へ掛かる時間と、星の数ほどある世界線を

一つ一つ精査し、確実に元の世界線を

見つける事。

 

どちらも、下手をすれば年単位の時間が

必要になりそうだ。

私は、そう思いながら虹色のドリンクを

飲み干した。

 

……。見た目はあれだが、美味いな。

 

そして、召喚の翌日。早速訓練と座学が

開始された。

場所は広い訓練場。

まず、私達に銀色のプレートが配られた。

そして、騎士団長『メルド・ロギンス』が

直々に話し始めた。

 

曰く、これはアーティファクトと呼ばれる

太古のオーバーテクノロジーの塊であり、

唯一民間にも出回っている物らしい。

これはステータスプレートと言って、

登録者のステータス、即ち力などを数値化

するもののようだ。

 

「ふむ」

私は、貰った針で傷を作るふりをして、皮膚を

裂き、血を一滴、流してプレートの魔法陣に

垂らした。

針を使わなかったのは、この程度では私の体に

傷など付けられなかったからだ。

 

今にして思えば、第9形態の時は怪我をしそうに

なった時は、演技で傷を作らなければ

ならなかった物だ。

 

などと思いながら血をプレートに擦り込むと、

一瞬輝き、そこにステータスが表示された。

 

された、のだが……。

 

 

==============

新生 司 17歳 男 レベル:∞

天職:全ての理の上に座す王(シン・ゴジラ)

筋力:∞

体力:∞

耐性:∞

敏捷:∞

魔力:∞

魔耐:∞

技能:破壊神・創造・生命の王・完全生命体・

   ・絶望の王・天才

==============

 

………。一瞬、数値全てが0かと思った。

しかしよく見れば、全て∞のマークである。

まぁ、元より『人の皮を被った怪物』。

納得も行く。

 

その後、メルド団長が天職や技能、ステータスに

ついて説明をしていく。

各数値の平均についても言及していたが、私は

限界突破も良いところであろう。

と言うか、もはや数値にすらなっていない。

 

 

しかし、私がそれを見ていると、ハジメが

檜山たちに笑われていた。

何でも、ハジメは錬成師という非戦闘職

だったようだ。しかも数値は平均的なオール10。

それを奴らが笑っているのだ。

 

またも、ハジメを侮辱する態度に、いい加減

頭にきた物があった。

 

そして私は……。

 

「『黙れ』」

 

次の瞬間、怒りを込めて静かに呟いた。

すると、笑っていた檜山や他の男子生徒達が

一斉に口を紡ぎ、冷や汗を浮かべながら

目を見開いている。

 

そして周囲を見れば、女子、香織や雫。

更にはメルド団長まで青ざめた表情を

している。

 

……成程。これは恐らく技能の一つ、

『絶望の王』の効果だろう。

言葉だけで他者を制する。姿だけでも

人を怯えさせた私には、ぴったりの

スキルだ。

そして、私は奴らを怯えさせていた

オーラを霧散させると、メルド団長に

ステータスプレートを見せた。

 

「メルド団長、これが私のステータスです」

「あ、あぁ。分かった」

引きつった笑みを浮かべながらプレートを

受け取る団長。しかし……。

 

「どれど、れ?……は?」

プレートを見るなり、団長は固まってしまった。

何度も目をゴシゴシと擦っている

団長。

「?メルド団長?どうか――」

と、聞きかけた時。

「ど、どういうことだこれは!?」

団長が叫んだ。

「ステータスの数値が全部

 ∞のマークだと!?何じゃこりゃぁ!?」

団長の言葉に、周囲の生徒達がザワザワと

ざわめき出す。

 

「む、無限大って、それって天之河君

 とかも目じゃないんじゃ……」

「ば、化け物じゃねぇか」

 

ピクッ。

一瞬、聞こえた声に眉を動かしながら

私はステータスプレートに手を伸ばした。

のだが……。

「お、おいっ!お前、確か新生、

 だったか?!」

「はい。そうですが、何か?」

「あ、あ~その、悪いんだが、俺は

 この数値が信じらんねぇ!

 急で悪いが、何かお前の力を

 見せてくれ!もしかしたらプレート 

 の故障っつう可能性もあるからよ!」

 

……成程。プレートの故障か。

ならば、その数値が故障などでない事を

証明すれば良いのか。

 

ならば……。

 

能力解放。エネルギー生成能力、起動。

 

静かに、私の瞳が紫色に輝き始める。

 

「ッ。瞳が……」

それに気づいて、雫が呟く。

 

生成箇所、右腕。形状、刀剣。

 

次の瞬間、私の右腕を覆うように

紫色のエネルギーが『ブゥン』と音を立てながら

展開され、それが西洋の両刃剣のように

形作る。

 

そして、私は左手でパチンと指を鳴らす。

すると、私の前方に巨大な四角い鉄の

塊が現れる。

 

『物体創造』。第9形態となった私にとって、

無から有を創り出す事など、造作も無い。

恐らく、技能欄の創造もこれの事だろう。

「な、何だあれ!?どっから出て来た!?」

鉄の塊を前に、坂上龍太郎が周囲の言葉を

代弁するように叫ぶ。

 

まぁ、良い。

 

「……」

トンッ。私は地面を軽く蹴り、数メートルを

跳躍し、右腕を振り上げる。

 

出力、最大。

 

次の瞬間、右腕のエネルギーソードが数メートル

の長さになる。

そして私は、それを鉄塊へと振り下ろした。

エネルギーソードの圧倒的熱量が、鉄塊の

抵抗すら許さず、まるでバターを

切り裂くように、縦に一直線。

鉄塊を切り裂いた。

 

右腕を横に振って、エネルギーソードを消滅

させると、私はもう一度指を鳴らして鉄塊を

消滅させてから団長たちの元へと戻った。

ハジメや香織、更に他の生徒や先生は

完全に驚いていた。

目が点になっていた、と言う表現がぴったりな

感じに、だ。

しかし、私にはどうでも良い事。

 

「メルド団長」

「お、おうっ!?何だ?!」

「これでも、プレートのステータスが誤表記

 だと仰りますか?」

「い、いやっ!悪かった疑って!

 けどお前、マジで何モンだ?あんな力とか

 その、見た事ねぇぞ」

「さぁ?私自身、この力が発現したばかり

 なので。扱えはしますがその所以までは」

「そ、そうか。ま、まぁ。お前の力は頼りに

 なりそうだ。これからよろしく頼むぞ」

「はい」

頷き、私はハジメの元に向かう。

 

しかし、何故かハジメは死んだ魚みたいな

目をしていたのだった。

後々聞くと、私との力の差に酷く

落胆していたとか。

……。私と人間では力比べにすら

なりませんよ。

と、フォローしようと思ったが、

正体がばれる事を考え止めた。

 

しかし、ハジメの力はこの中では

最弱。さっきは絶望の王の力で

檜山たちを黙らせましたが、今後奴らが

ハジメに突っかからないとも言い切れない

以上、ハジメのパワーアップは急ぐべき

ですね。

 

そして、私達の異世界転移2日目が

終わったのだった。

 

     第2話 END

 




シンゴジ改め司くん!はっきり言ってメッチャ冷静。
と言うか感情が希薄だから滅多なことでは動揺しない!
でもハジメとかバカにされると怒るよ!
何故ってハジメは友達だから!

……変なテンションですんません。
感想とか評価、お待ちしてます!

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