ありふれた職業で世界最強~シンゴジ第9形態とか無理ゲー~ 作:ユウキ003
~~~前回のあらすじ~~~
エヒトとの戦いに向けて、これまで対立して
いたと言っても過言ではない天之河たち3人に
ジョーカーを渡す司。
龍太郎とは無事和解を果たすも、天之河との
和解は、お互い表面上のままであった。
そんな中で司は、魔人族の協力者として
かつて敵同士であったカトレアを蘇生し
彼女に世界の真実を告げ、同胞を狂った神の
手から解放する、と言う彼女の意思もあり、
協力関係を築くのだった。
そしてオルクスに潜っていた清水も帰還し、
司たちは最後の大迷宮があるシュネー雪原
へと向かうのだった。
雲海の上を飛行する大型航空母艦、アルゴ。
そのブリッジで操縦席に座る司。後ろでは
ハジメ達が思い思いの時間を過ごしていた。
「マイロード」
そこへ、司の所にお茶を持ってくるティオ。
「あぁ、ありがとう」
司は、操縦を一旦オートにしてから
受け取り口を付けた。
「シュネー雪原までは、まだかかりますか?」
「いや。あと少しで付く」
この前の、ハルツィナ樹海の大迷宮で
手に入れた導越の羅針盤や、以前グリューエン
大火山でフリードから入手した情報のおかげで、
座標の情報を手に入れられたので、今はその
入り口に向かっているところだ。
そして、お茶を飲んでいると、アルゴ艦内で
ジョーカーの『ならし』をしていた天之河、
龍太郎、鈴の『3人と雫』が戻ってきた。
話は数日前。雪原の大迷宮へ向かうと彼等
に話した時に巻戻る。
その時、いの一番に谷口が、『一緒に
連れて行って欲しい』と言い出したのである。
「私としては別に構いませんが、理由を
聞いても?」
「うん。……前、新生君と清水君が話してて、
恵里の事をどうにかしようって言ってたのは
鈴も聞いてたよ。でもっ、私も、もう一度
恵里と話がしたいのっ!そのためには力が
欲しい。新生君からジョーカーを貰ったけど、
でも、これは鈴自身の力じゃない。だから、
鈴自身が、力を付ける必要があると思うの。
だから……っ!」
「……成程。そのために大迷宮へ再び挑む、と?」
『コクンッ』
私の言葉に無言で頷く谷口。
「新生。俺からも頼む」
すると天之河が彼女のフォローに出た。
「恵里の目的は俺だ。だったら、俺も彼女と
話をするべきなんだ。それに……」
天之河はギュッと拳を握りしめている。
「このままじゃ終われないんだっ。雫だって
神代魔法を手に入れたのに、俺はっ!」
そう言って悔しそうな表情を浮かべながら、
天之河は『あんな卑劣な精神攻撃をしてくる
場所じゃなければ俺だって攻略出来た
はずだ』、とか。『フリードが攻略出来たの
なら俺だって』、みたいな発言をしている。
正直天之河にそこまでの期待はしていないが……。
「悪い司。俺も連れてってくれ」
「龍太郎」
天之河に続いて龍太郎も私に声を掛けた。
ちなみに今ではお互い下の名前で呼び合う仲だ。
そして龍太郎はハジメとも和解を果たし、
今ではお互い格闘戦が得意とあって
互いに格闘戦で高め合う仲になっている。
まぁ、それは置いておいて。
「エヒトとの決戦が近いんだろ?だったら
その時、俺が司たちの足引っ張らないよう
に、俺は強くなりてぇんだ。頼む」
と、ここまで言われて天之河だけ置いて
行ったら逆恨みされそうだし、まぁ
勇者は役に立つとは思ってないから精々囮には
使えるだろうと私は考えていた。
なので……。
「分かりました。まぁ決戦も近いですし、
その時のために少しでも経験値を積む事は
必要です。それにジョーカーの慣し
も兼ねて実戦経験は必要でしょう。
なので、3人の同行を許可しましょう」
「ホントっ!?ありがとう新生君っ!」
と、言う事で3人の同行が決まった。
「ハジメ達は、構いませんか?」
「うん。僕達は別にいいよ。確かに司の言う
とおり、経験値は大事だからね」
どうやらハジメを筆頭に、誰も文句はない
ようだ。
さて……。
「それで、雫はどうしますか?」
「え?私?」
「えぇ。3人が付いてくる事ですし、雫も
来るのかと思ったのですが?」
と言うと、雫は少しだけ悩んだ後。
「分かった。じゃあ私も行く。誰かが
暴走しがちな龍太郎達をフォロー
しないとね」
そう言って、笑みを浮かべる雫。
これでシュネー雪原に向かうのは……。
私、ハジメ、香織、ルフェア、ユエ、シア、
ティオの、G・フリートメンバー7人に
加え、天之河、雫、龍太郎、鈴(あの後
下の名前で呼んで良いと言われた)。更に
雫の護衛である蒼司を加えた、総勢12人
と言う事になった。
そして時間は戻って現在。
シュネー雪原は、東にあるハルツィナ樹海と
南部中央にある魔人族の国、ガーランド魔王国の
間に位置している。年がら年中吹雪に見舞われる
この雪原にある峡谷。その先にある洞窟、
『氷雪洞窟』がシュネー雪原に存在する
大迷宮となっている。
そして今、その洞窟の入り口近くまで行く
傍ら、12人で集まって作戦会議をしていた。
内容は、『大迷宮のコンセプトの予想』だ。
「大迷宮には、コンセプトがあるのか?」
「えぇ」
天之河の言葉に私が頷く。
「例えばオルクスなら、多種多様な状況に
対処出来る対応能力。ハルツィナ樹海
ならばチームワーク。ライセン大峡谷
ならば魔力に頼らない戦闘能力など。
迷宮一つ一つにコンセプトがあります。
そして問題は、これから向かうシュネー
雪原の大迷宮のコンセプトです」
「ねぇ司。司は前にここを攻略した
フリードの頭の中から座標を読み取った
んだよね?その時、試練の記憶は
読み取らなかったの?」
「えぇ。座標を知る事が第1だったので、
そちらの情報は後回しにしてしまい
ました」
「う~~ん。大迷宮のコンセプト、ですかぁ」
腕を組んで首をかしげるシア。
「まぁ考えられる大まかな種類としては、
3種類くらいかの?
精神の類いか、戦闘力。あとは世界の
真実を知って耐えられるかどうか、
と言った具合にの」
そう呟くティオ。
ふむ。
「私としては、恐らく戦闘に関する物か
精神に関係する物だと思われますね」
「と言うと?」
私の言葉に首をかしげる雫。
「エヒトの真実を告げる大迷宮として、
メルジーネ海底遺跡と、後々調べて
分かったのですが神山の大迷宮が
これに該当しますね。実際、エヒト
関係の試練というのがこの2つの
大迷宮に共通します。グリューエン
大火山とライセン大峡谷も、特定の
状況下での対処能力、と言う
コンセプトが似通っています。
オルクスを純粋な戦闘力の大迷宮と
考え、除外すると……」
「ハルツィナ樹海のコンセプトと
似てるかも、ってか?」
首をかしげる蒼司。
「可能性としては、と言った所ですが。
似てると考えると、想定されるのは
精神攻撃の類いかもしれません」
「精神攻撃、か。って事は幻影とかを
見せる、とか?」
「あくまでも可能性ですからね。今の
段階でそう断言するのは危険でしょう」
ハジメの言葉にそう応える私。
そして、そうこうしている内にアルゴが
峡谷の終わりに到着した。
しかし調べてみるとそこから更に1キロほど
ドーム状の通路が続いているらしい。
どうやら上に雪が積もっているのだろう。
……ここからは歩きだな。
「どうやら、ここからは徒歩のようですね。
それでは各自、後部のハッチから地表に
降下します」
「「「「「「了解っ」」」」」」」
「おうっ!いよいよだな光輝っ!」
「あ、あぁ」
ハジメ達がいつものようにやる気を示し、
龍太郎もやる気を示す中で、何やら
天之河は戸惑い気味だ。
まぁ、前回神代魔法と手に入れられなかった
樹海の迷宮とコンセプトが似てるかも、
と聞いた結果だろう。
後部ハッチに集まった私達は、蒼司以外の
各々がジョーカーを纏った。
私達はいつも通り。それに加えて、白に
黒のラインが目立つ龍太郎のモデル
ケンプファー。
黄色をベースカラーにした鈴の
タイプTS。
そして天之河の、白をベースに背中に
裏地が金色の、白いマントを纏った
『タイプAK』。
そして、出撃の時となりハッチが開いた。
雪が舞い込み、風が吹き荒れるが、
ジョーカーを纏った私達には吹雪も
寒さも関係無い。
「さて、それでは全機、降下するっ」
まずは私が先頭でジャンプし、ハジメ達
が続き、一拍遅れて天之河たちが続いた。
吹雪が吹き荒れる中、司のジョーカーZを
先頭に弾丸のように一直線に降下していく
12人。
「各員へ。どうやら降り積もった氷雪の
下に峡谷が繋がっているようだ。
各自、氷雪を突破後、着陸後は
私のビーコンを目印に再集合。はぐれ
ないよう留意せよ。行くぞ」
司が降下しながら右手を眼下に翳すと、
その手から衝撃波が放たれた。すると
クレバスのような裂け目の上に積もって
いた雪が崩れ、裂け目が露わになった。
「あそこだ。突入する」
そして、司たちはそのまま裂け目へと突入
していった。
最も、天之河たち4人は怖さからかスピード
にブレーキを掛けてゆっくりと、だが。
そして地表が見えてくると各自姿勢を反転させ
ながら着地。私やハジメは即座に武器を構えて
周囲を警戒している。
そして、数秒遅れて着地する天之河たち。雫
以外の3人はまだジョーカー操作に馴れない
のか着地も少し危なげだ。
「よし。ではこれより大迷宮の入り口を
目指す。この吹雪では雪で視界も悪く
なるだろう。なので、レーダーにも
常に気を配っておけ。……行くぞ」
そう言って、レーザーライフルであるアテン
(寒冷地仕様)を携えた司が歩き出し、
同じくアテンの寒冷地仕様を手にした
ハジメや香織、ルフェア。アータルを担いだ
シアや腰元の玄武に手を掛けるティオ。
両手の感触を確かめながらユエが続き、
更に後ろに天之河、龍太郎、鈴、雫。
最後尾には蒼司が付き、私達は歩き出した。
一面白色に覆われた世界を歩いて行く。
先頭は私で、後ろをハジメや天之河達が
続く。
氷雪の峡谷は、普通に考えれば歩くだけで
凍傷、延いては凍死しかねない状況だが、
耐熱、耐寒装備抜群のジョーカーを纏っている
ハジメや私、天之河達。それと自分の周囲に
透明なフィールドを展開している蒼司は
何の問題も無く進んでいく。
視界が悪いのはレーダーやサーモグラフィー
でどうにか出来るが、風が強い。これでは
戦闘時など些か支障が出そうだ。
「風が少々厄介ですね。これでは射撃戦の際に
悪影響が出そうです」
「マイロード、良ければ妾が風を
散らしますが、如何致しますか?」
「出来るか?ならば頼む」
「御意」
ティオがそう言って風を散らそうとするが……。
「あっ!待って!それ鈴にやらせて!」
と、谷口が挙手してきたのだ。
そして彼女は、タイプTSの各部の
ジェネレーターを光らせると、『聖絶・散』
と言う魔法を展開した。
これは防御系の魔法である聖絶に、触れた
対象のエネルギーを周囲に分散させる性質を
付与したものだ。
ちなみにだが、谷口のタイプTSはユエの
タイプUとは違い、ハジメの提案で
神代魔法を付与したり、各部のオーブ内部に
魔法陣を描いてあり、詠唱無しで魔法を
発動出来るように工夫がされている。
これで風の心配も無くなり再び進む。
やがて私達の前方に、洞窟の入り口らしき
物が見えてきた。だが……。
「あそこが入り口のようだが、総員警戒せよ。
敵の気配だっ」
私が警告を飛ばし、アテンを構えると、
他の面々も武装を展開する。
と、次の瞬間前方の入り口の中から影が
飛び出してきた。その数5。
その影の正体は……。
「えぇっ!?び、ビッグフット!?」
私達の世界でUMAの代表格である巨大な猿、
ビッグフットに似た魔物だった。
まさかの登場にハジメが驚きの声を上げる。
だが……。
「敵は敵。迎撃します」
そう言って私がアテンを構えるが、その前に
雫が青龍を掲げてそれを遮った。
「ごめん司。でも、私達にやらせて」
「……分かりました」
彼女の言葉を信じ、私は銃口を下げ、ハジメ達
もそれに続く。
「よしっ!光輝!龍太郎!鈴!行くわよっ!」
「お、おうっ!」
「っしゃぁ!初陣だぜっ!」
「絶対勝つんだからっ!」
雫の言葉に応じて天之河、龍太郎、谷口が前に出る。
まず最初に仕掛けたのは雫だ。
「はぁっ!」
青龍からエネルギーの刃を飛ばす。それは当れば
一撃で岩をも切り裂く威力だが、ビッグフッド
モドキ達はそれを散開して避けた。
だがそれは雫も想定していたようだ。
「鈴!」
「分かってる!2体は任せて!」
そう言って、鈴は彼女オリジナルの魔法を発動させる。
これは、彼女自身が考え、更に知識のあるハジメや
香織、ユエや更に私やティオにも協力して貰い
生み出した物だ。
「行くよっ!『九尾・炎』っ!」
彼女が叫ぶと、ジョーカー各部のオーブから炎が
吹き出し、それが形を為した。それは、炎で出来た
狐だった。その数9匹。
「行けぇっ!」
そして鈴が叫ぶと、炎の狐たちは二手に分かれ、
2体のビッグフッドモドキへ突進していった。
狐は鈴のジョーカーによって脳波コントロールを
受けながらビッグフッドの周りを飛び回り、その口から
炎を吐いて攻撃している。
これは鈴が、彼女なりにユエの大技である八岐大蛇
を真似て作った技だ。魔力の塊である八岐大蛇。
しかしあれはユエの繊細なコントロール能力が
あって成立する。今の鈴にあそこまで膨大な魔力を
形にする事は出来なかった。そのため、方向性を
そのままにハジメ達のアイデアを受けて完成した
のが『九尾』だ。そして九尾は、炎や氷、水などで
その体を構成し口などから炎などを発射して敵を
攻撃するのだ。
あれはハジメ曰く『ガン○ムのフ○ンネルをベース
に考えてみた』との事だ。
実際、ファン○ルみたいな動きで飛び回りながら
ビッグフットを攻撃する炎の九尾達。
四方から襲いかかる火炎放射に、回避に徹する
ビッグフット2匹。しかし奴らもやられっぱなし
ではなく、時折周辺の氷を砕いて九尾に投げつけた。
それが命中した九尾の1匹が煙りのように消えるが、
すぐさま鈴が新たな九尾を生み出す戦線に投入する。
そうして、鈴が2匹を足止めしている間に雫たち
がそれぞれ、1対1でビッグフッドモドキと
戦っていた。
雫は背中のスラスターを活用して高速で相手に
接近する。振るわれた相手の剛腕を紙一重で
回避し、背後に回った青龍が一閃。その背中を
切り裂く。
相手のビッグフッドモドキは『ギィィィッ!?』
と悲鳴を上げながら飛び退る。どうやら致命傷に
ならなかったようだ。直後、何やら奴は両腕を
頭上に掲げた。すると、雫の周囲の地面から
氷柱が飛び出してきた。咄嗟に回避する雫だが、
その氷柱はまるでミサイルのように彼女へと
向かって行った。だが……。
『ドドドドンッ!』
彼女は咄嗟に武装領域から召喚した武器、
フルオートショットガンの『タイタン』を
放った。これは、銃器の操作経験が無い雫や
龍太郎たちのために私が設計した装備だ。操作を
出来るだけ簡単にし、簡単に扱えるように
仕上げた。そして散弾銃ならば、何か狙って
当てる事は出来ないが逆に適当に弾を撃っても
命中させられる。
そして、放たれた散弾が氷柱を破壊する。雫は
右手に青龍。左手にタイタンを手に、散弾の雨を
振らせる。しかしビッグフッドモドキは氷を
操る力で、氷の道を作りそこをスケート選手の
ような動きで走り始めた。
雫が青龍を地面に突き刺し、タイタンを
リロードとして散弾を連射するが、相手は
縦横無尽に氷の道を創ってそれを回避する。
「当らないわね」
雫はそう呟くと手にしていたタイタンを投げ捨てた。
再び青龍を抜き構える。
そうこうしている内に、龍太郎や天之河と
戦い手傷を負っていたビッグフッドモドキ達も
同じように固有魔法で作った氷の道を
滑り始めた。
そして、3隊が縦一列に並びスピードスケート
のように意気揚々と氷の道の上を滑り始めた。
そしてそのまま天之河たちの方へと突進してくる。
「正面から来るのならっ!」
天之河は、装備していた専用の剣、『マスティマ』
を構える。彼の装備しているマスティマは、
私やティオ、カムや雫が装備している
振動剣、ヴィヴロブレードを発展させた
所謂『ビームソード』だ。そのため本来
あるべき刀身が存在しない。刀身は
柄の内部にあるバッテリーのエネルギーで
生成は出来るが、コネクターを接続した時
と比べて切断能力は格段に劣る。
有線式のコネクターをジョーカーから繋ぐ事
によって従来の朱雀や玄武、青龍を上回る
エネルギーを放出する事が出来る。更にその
圧倒的なエネルギー量を生かして、砲撃や
射撃。斬撃波を飛ばす事も出来る。
「はぁっ!」
彼がマスティマを横薙ぎに振り払うと、
エネルギーの刃が飛んでいく。
だが、奴らはそれをトリプルアクセルのような
華麗な動きで回避する。更にそれに驚愕する
天之河たちのすぐ傍に着地し、足を振るって
そこに備わった爪で天之河と雫を切り裂こう
とする。
「くっ!?」
「うわっ!」
2人はそれを咄嗟に回避する。
「この野郎っ!」
そこに龍太郎のケンプファーが殴りかかる。
今の彼の纏うケンプファーの両腕には手甲の
ような物が装備されている。これは所謂
パイルバンカーのような装備であり、打撃と
合わせて内蔵されているパイルが撃発。
衝撃で相手を内側から破壊する。
しかしそれも当らなければ意味が無い。
ビッグフッドモドキはイナバウアーの
ような動きで龍太郎の攻撃を回避する。
「ふ、ふざけやがッてぇっ!」
「落ち着きなさい光輝」
マスクの下で激怒した様子の光輝。まぁ確かに
舐めプも良い所なビッグフッドモドキの動き。
しかし雫がそれを抑えさせた。
と、その隙にビッグフッドモドキ達は三方向から、
フィギュアのトゥループのような動きで
迫ってくる。両腕を大きく広げ、その先の爪で
相手を切り裂こうとする動きは、さながら
ドリルマシンだ。
しかし……。
「はぁ。本当なら温存しておきたかったんだけど……」
雫はポツリと呟いた。直後。
「クロックアップ」
もう一度彼女は呟いた。直後、雫のジョーカー
タイプCの内部をタキオン粒子が流れる。
そして……。
『フッ!』
雫のジョーカーが消えた。それに魔物達が
戸惑うよりも早く。
『『『ズバババッ!』』』
3体の胴体が一刀両断された。鮮血をまき散らし
ながらビッグフッドモドキの骸が雪の上に転がる。
そして、何も無い場所に突如として雫の
ジョーカーが現れる。
『Clock Over』
と、同時に流れる電子音声。それを見ていた
私達は……。
「実戦用のクロックアップシステムはどうやら
問題無いようですね」
「だね。にしても司の技術力は相変わらず
だけど、何とか間に合ったね」
「えぇ」
私はハジメの言葉に頷く。
「神との決戦が近い今、ジョーカーシリーズの
アップデートは急務でした。タキオン粒子を
使用しての超高速戦闘が可能なクロック
アップに対応出来るのはクロックアップ
だけです。これがあるだけでも、戦闘は
かなり優位になるでしょう」
そう語りながら私は彼女達の戦いへ視線を戻した。
「おぉら天之河っ!龍太郎もっ!お前等も
クロックアップ使ってみろってっ!今のうちに
なれておけよっ!」
そこに叫んで指示を出す蒼司。
「う、く、クロックアップっ!」
「おっしゃっ!クロックアップっ!」
天之河はどこか戸惑いながらも。龍太郎は
頷きながら、それぞれ音声コマンドにて
クロックアップを発動。一瞬で鈴が足止めを
していた相手をぶった切り、殴り飛ばした。
さて、これで戦闘は終了。私達は彼等の傍に
歩み寄った。
「どうだ?ジョーカーを使っての初戦は?」
「おぉっ!やっぱこれすげぇな司っ!
何か、自分が何倍も強くなった気がするぜ!」
「鈴もっ!これのおかげで新魔法も簡単に
使えるし、ありがとうっ!」
「あ、あぁ。やっぱり、すごいなこれ」
3人の感想を聞きつつ、天之河はどこか
釈然としない様子だった。
恐らく、私からもたらされたアイテムである事
を今も気にしているのだろう。まぁ良い。
「さて、では諸君。ここからは大迷宮だ。
気を抜くなよ?行くぞ」
そして、私を先頭に皆歩き出した。
こうして私達の最後の大迷宮攻略が始まった。
第80話 END
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