七難八苦戦記   作:戦国のえいりあん

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やっと九話が完成しました!
オリジナルキャラクターばかりですみません…



第九話 忘れられた忍び

 

 現在、再興軍は堺に住む芸術家・本阿弥光悦の屋敷にいた。宗秀が光悦と取引した結果、再興軍はなんと六万貫という大金を入手することに成功したのだ。堺中の商家に頭を下げたが、なんの成果も挙げられず悔しさと情けなさを胸に帰って来た久綱と鹿之助は宗秀から六万貫という大金を見せられて言葉を失っていた。

 

・堺 本阿弥光悦の屋敷

 

 

「なんと…わしは幻でも見ておるのか…!?」

 

「む、宗秀殿っ!?こ、この金はいったいどうしたんですかっ!?」

 

 鹿之助と久綱の目の前の土蔵には数えきれぬほどの大量の銭箱が置いてあった。そこから零れ出る眩い黄金色の光りを放つ小判の山が偽物ではないことを物語っている。

 

「貰ったんだ」

 

「貰っただと…!?そんな馬鹿な…!」

 

「これほどの金をどうやって…」

 

 宗秀はこれまでの経緯を久綱と鹿之助にすべて話した。さらに光悦の計らいでこの屋敷を自由に使ってもよいことも伝えた。しかし、未だに信じられないのか二人は固まったままだ。

 

「というわけで俺はしばらく光悦に未来の絵画術を教えないといけないんだ。だから兵集め、兵糧、武具の調達は二人に任せていいか?」

 

「あ、ああ。任せておけ」

 

「あ〜…これだけあればさすがに足りるよな?」

 

「じゅ、十分過ぎますよ」

 

(…まさか二次元イラストで六万貫が手に入るとはなぁ)

 

 こんなにあっさりと軍資金不足が解決するなど予想しておらず、宗秀本人もまた驚いていた。

 

「す、すごいです!宗秀のおかげでこんなにお金が手に入りました!」

 

「…はは、なんというか、ただの偶然さ」

 

「そんなことありませんよ!これも未来人のお力なのですね!」

 

 取引の一部始終を見ていた勝久はそれ以来、彼のことを本当に未来人だと確信するようになったのだ。軍資金が手に入った今これからするべきは軍備の増強と兵の募集だ。そんな時、一緒にいた納屋の当主・今井宗久が宗秀に声をかけた。

 

「宗秀はん、少しよろしいでっか」

 

「ん?宗久か、どうしたんだ?」

 

「話を聞かせてもらいましたけど、宗秀はんはこの金で挙兵ために軍備を整えるそうですな」

 

「ああ、そのつもりだ」

 

「どうでっしゃろ?よければその取引、それがしの納屋で引き受けまひょか?」

 

光悦から名茶器"不二山"を買い取った今井宗久はすこぶる上機嫌でその表情は正にほくほく顔だ。そんな宗久が軍備増強のために動こうとしていた宗秀たち再興軍に突如、商談を持ちかけてきたのだ。

 

「確かにそれは有難いが、どういう風の吹き回しだ?」

 

「何、それがし宗秀はんに興味が湧き申した。あの癖の強い御仁の光悦はんがあそこまで惚れ込むのも納得しましたわ。是非、今後ともご贔屓に」

 

「まあ、理由はどうであれ軍備の調達を依頼する商家を探すところだったんだ。こっちとしても願ってもない、久綱さんもそれでいいか?」

 

「うむ、わしも異存はない。宗久殿、頼めるか?」

 

「承知致した、兵糧、武具のことはそれがしにお任せを」

 

 こうして軍備と兵糧の調達は宗久の納屋に依頼することになった。だが、その前に兵を募る必要があり次の目標は兵を集めることだ。久綱の話によれば出雲に尼子家の再興を願う者たちが潜伏しているそうでその者たちと連絡を取り勝久の存在を伝えれば必ずその旗の元に馳せ参じてくれるはずだ。

 

 その後、光悦の屋敷を拠点として行動し始めて数日経ったある日のこと、堺に衝撃の噂が流れていた。

 

 

・数日後 光悦の屋敷

 

 

「し、師匠~!!一大事やで!!」

 

「光悦?そんなに慌ててどうかしたのか?」

 

「師匠はしらへんどすか?今、堺は噂で持ちきりになってますで!」

 

「どんな噂だ?」

 

「…あの尾張のうつけ姫が駿河の大大名…今川義元を降伏させたんどすえ!」

 

 光悦の話によれば尾張の姫大名、織田信奈が駿河の大名で「東海一の弓取り」と諸大名から恐れられる今川義元が桶狭間の戦いで敗れ、降伏したそうなのだ。上洛を目指す今川軍の数は約二万に対し織田軍はわずか二千にも満たない寡兵だった。誰がどう見ても織田家に勝ち目がない状況であったが織田信奈は桶狭間で休息していた今川義元の本陣を奇襲しこれを見事に打ち破ったのだ。

 

 現代人であれば歴史にそれほど詳しくない宗秀でも知っている戦国時代の名合戦・桶狭間の戦いだが宗秀は一つ疑問に思っていた。

 

「ん?織田…信奈?信長じゃないのか?」

 

「信長?誰どすか?織田信奈!どすえ」

 

(織田信奈…?誰なんだいったい?俺が知ってる歴史と違うな。それに、降伏?)

 

「それにしても、あのうつけ姫がなぁ…世の中分からへんわ」

 

 自分が知っている歴史とは違う出来事が起こっていることに宗秀は疑問を抱いていた。宗秀が知っている歴史では奇襲したのは織田信長で今川義元は降伏せずに討死したはずなのだ。それらを考えている内に宗秀はある推測にたどり着いた。今いるこの時代は"自分がよく知る戦国時代とよく似た別の世界"なのではないかと。

 

 だが、あくまで仮説に過ぎない話で確証があるわけではない。自身が戦国にタイムスリップしていることから何が起こってもおかしくないはずだ。

 

「ふぁ~あ…眠いな…」

 

「それよりも師匠!今日は何を教えてくれるんどすか?」

 

「う〜ん…そうだな、じゃあ今回はキャラクターの感情表現について教えてあげよう」

 

(勉強熱心なのはいいが、徹夜でしなくてもいいんじゃないか?俺は寝不足で倒れそうなんだがな…)

 

 六万貫という莫大な軍資金を譲り受けた対価として光悦に現代の絵画法を伝授することになった宗秀は毎日のように光悦に教習を行っていた。それからというもの宗秀は光悦にせがまれて寝る暇もなく教習を続けているのだ。そのせいか宗秀の目の下にはクマができており今にも寝てしまいそうな表情をしている。

 

(…まあ、六万貫も受け取ったんだ。その対価分のことを教えるのは筋だよな)

 

「そうや!今日は師匠に紹介したい友達がおるんどすえ!」

 

「友達?一体誰なんだ」

 

「入ってええで、永徳はん、等伯はん」

 

 すると襖の奥から二人の少女が宗秀の前に現れる。その格好から見るにこの二人も光悦と同じ芸術家のようだ。

 

「ふははは!貴様が清河宗秀か。私は狩野永徳だ!覚えておけ!」

 

「私は長谷川等伯と申す、以後お見知りおきを」

 

「って!?何故、長谷川等伯がいるのだ!?」

 

「…それはこちらの台詞だ。友である光悦どのの招きに応じて来てみれば、思わぬ先客がいたものだ」

 

 狩野永徳に長谷川等伯…二人とも戦国時代を代表する芸術家であり特に永徳は日本美術史上もっとも著名な絵師の一人で織田信長や豊臣秀吉といった天下人に仕え、「唐獅子図屏風」「洛中洛外図」などの現存する名作を生み出した偉大な芸術家だ。対する等伯も永徳に劣らない絵師で彼もまた「松林図屏風」という現存する名作品を残しており戦国時代の画壇の頂点である永徳を脅かすほどの腕前なのだ。これが原因でお互いに狩野派と長谷川派に分かれて対立していた。

 

「か、狩野永徳!?俺でも知ってる名前だぞ!すごく有名な芸術家じゃないか!」

 

「ほほう、私を知っているのか。まあ、私ほどの天才絵師ならば当然のことだ」

 

「…天才絵師だと?聞いて呆れるな、ちまたで話題になっているのは貴様の動物画や風景画よりも私の人物画のほうだと聞くぞ。…さては貴様、焦っているな?」

 

「…う、だ、黙れ!貴様のようなよっちい少女絵などよりも私の素晴らしく豪快な動物画や風景画のほうが有名なのだぞ!!」

 

「は〜いはい、二人とも喧嘩しいひんの」

 

 睨み合う二人の前に光悦が立ち間を取り持った。二人か喧嘩すると光悦がそれをなだめる…お互いに芸術家としてライバル関係でありながらも絶妙なバランスで交流関係を維持しているのはこの三人であることが理由の一つだ。

 

「あんたらなぁ…いつもいつも同じようことばっかりで喧嘩してはるけど、もう少し仲良うできひんの?」

 

「それはできんな、私の豪快な作風の狩野派のほうが凄く、そして偉大なのだ!」

 

「…笑止な。私の繊細な詫びさびな作風の長谷川派のほうが優れている。時代は私を求めているのだ!」

 

「なんだと~!!」

 

「やるのか!!」

 

「あぁ~!!もうッ!ええ加減にしてや!!」

 

(…仲いいな、この三人)

 

痺れを切らした光悦が怒号をあげた。いつも同じようなことで言い争う二人に我慢できなくなったことと自分こそが偉大な芸術家だと自負して譲らない二人のやり方に苛立ちを感じていたのだ。

 

「あんたら自惚れるのも大概にしてや!あんたらよりも凄い絵ぇ描ける人が天下にはいるんやで!」

 

「何?それは聞き捨てならんな。何者だそいつは」

 

「…まさか、光悦どの自身とでも言うおつもりか?」

 

「うちなんてまだまだ未熟者やで。そら、もちろんうちの師匠の宗秀はんのことやで!」

 

「……ん?」

 

 二人の視線が同時に宗秀に向けられた。眠そうな顔で二人の喧嘩をのんびり見物していた宗秀だったが光悦の余計な一言のせいで事態がさらにややこしいことになり始めていた。

 

「何?この男が?はは、光悦よ冗談はよせ、貴様らしくもない」

 

「私もにわかには信じがたいな、ならばその者の絵とやらを見せてみろ」

 

「ふふん、ええで!どうや?これが師匠の絵やで!」

 

 そう言って光悦が自信満々に見せつけたのは宗秀が最初に描いて見せた甲冑姿の美少女イラストだった。

 

「お前、まだ持ってたのか、その落書き」

 

「当たり前やん?これは師匠とうちの思い出の作や、大切なうちの家宝やで!」

 

「そ、そうか」

 

「二人ともどや?すごいやろ?二人にはこないな絵は描けへんどっしゃろ?うちの師匠はすごい人なんよ!!」

 

「な、な、なんだと…こんな絵は見たことがない…!なんと美しい絵なのだ…!!」

 

「…か、可愛い。どうやったらこんな美しい少女の絵が描けるのだ!?」

 

 二人もまた二次元イラストの"萌え"の魅力の虜となっていた。一瞬でイラストを気に入った二人は喧嘩していることなど忘れてまじまじとイラストを見つめていた。

 

「どや?あんたらがどれだけ小さいことで揉めとったのかが分かったやん?師匠に比べたらうちやあんたらなんてまだまだやで!」

 

「…う、うむ、確かに…私の絵にはこの絵のように人をドキドキさせる魅力は無い…完敗だ」

 

「…私もまだまだ未熟だな。まさか、これほどまでに素晴らしい少女絵を描ける者がいたとは…天下は広いな」

 

「ふふん、己の未熟を思い知ったうちはすぐにこの宗秀はんに弟子入りしたのやで!うちが師匠の一番弟子や!」

 

「「な、何!?宗秀どのの弟子に!?」」

 

(…おい、ちょっと待てよ。このパターンは…!!)

 

 光悦はニヤニヤしながらまるで二人に自慢するように言い放った。というよりも光悦が二人を今日、屋敷に招いたのはこのことをただ自慢したかったからではないか?さらにこの後どういう展開になるのかが分かった宗秀はなんとも嫌そうな表情になっていた。

 

「うちは師匠に学んで師匠に負けへんような素晴らしい作品を作りたいの!あんたらはおもんないことで勝手に喧嘩しとき!ひょっとしたら知らへんあいさにうちがあんたらを追い抜いてるかもしれへんよ?」

 

「ず、ずるいぞ!光悦!宗秀どの!この永徳も弟子にしてくれ!い、いや弟子にしてください!」

 

「宗秀どのの腕前に敬服しました!どうか、この等伯も弟子にしてくださいませ!」

 

「…待ってくれ、どうしてそうなるんだ」

 

 なんと戦国を代表する二人の有名芸術家が宗秀に土下座をしている。予想外の事態にすっかり眠気の覚めた宗秀は思わず頭を抱えていた。光悦一人を指導するのも一苦労なのにさらに二人も増えられてはとんでもない重労働だ。

 

(冗談じゃねぇよ…!俺の睡眠時間がさらに減るじゃないか…!)

 

「あのなぁ、弟子はもう光悦一人で間に合ってるんだ。これ以上増えても困るんだが…」

 

「そ、そんなっ!?で、では!私の覚悟をお見せしよう!私の最高傑作である"唐獅子図屏風"を貴殿に差し上げよう!」

 

「…私も覚悟をお見せします!我が最高傑作"松林図屏風"を貴方にお譲りします、どうか、弟子にしてください!貴方様の美しく魅力的な少女絵に私は心を奪われたのです!」

 

「コラコラっ!!お前ら、ちょっと待てッ!!」

 

「お~!!すごいどすなぁ師匠!どっちも天下に二つとあらへん芸術品どすえ!きっと売ったらとんでもない額に…」

 

「そんなすげぇ名作品、これ以上、受け取れるか!!」

 

 すでに国宝級の芸術品を一つ軍資金のために売り払ってしまっており、後世の重要文化財を正しく伝えるためにもこれ以上そんな国宝級の名品を受け取るわけにも売却するわけにもいかなかった。恐らくこの二人は光悦と同じで自分が首を縦に振るまで決して諦めないと悟った宗秀は観念したように溜め息つきながら話した。

 

「はあ〜…ったく、もう勝手にしてくれ」

 

「本当でございますか!!ありがとうございます!どうかよろしくお願いします!先生!」

 

「感謝致します!この等伯、これより貴方様を師と仰ぎます!」

 

「やっぱし師匠は心広いどすなぁ。あ!せやけど一番弟子はうちやさかい忘れんといてや?」

 

「…全部、お前せいだからな」

 

(…いつか過労で倒れそうだ)

 

 こうして光悦の屋敷で開かれるイラスト講習に狩野永徳と長谷川等伯も加わり、天下を代表する芸術家が一同に集結して未来の絵画法を学ぶという異様な光景が発生したのだった。

 

 

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・数日後 摂津 堺 町の外れ

 

 

 光悦や永徳たちに未来の絵画法を教える毎日を送る宗秀だったがこの日は久しぶりの休日で気分転換に堺の町を歩いていた。鹿之助や久綱は兵の募集や尼子家の遺臣たちとの連絡などで日々忙しそうに活動しており、勝久も大将と君主の心構えを学ぶために屋敷で学ぶ毎日を送っている。

 

 ようやく自分の時間を確保できた宗秀は鹿之助に武術を教えて貰おうとしたのだが今日は鹿之助が不在だったため断念することになったのだ。戦国で生きると決めた以上、せめて自身の身の安全ぐらいは守れるようにならなければと考え少しでも武術を身に付けようと思ったわけだ。

 

「…はぁ~平和だなぁ」

 

(この雰囲気…なんだか久しぶりだ。現代にいた頃の雰囲気ってこんな感じだったよなぁ)

 

 町を歩きながら宗秀はふと呟いた。そう思ってしまうほどに堺の町からは戦の空気が感じられないのだ。数多くの群雄たちがこの堺に手を出さないのはその強大な経済力と重要性が理由だ。貿易による莫大な利益に質の高い軍需物質を入手できるなど大名にとっても重要な地であるからだ。あの悪逆非道な松永久秀でも堺には手を出さないほどだ。

 

「ん…?あれ?ここは…」

 

 宛もなく堺の町を歩いていた宗秀はいつの間にか町外れにいた。さすがに町外れの周りには少ない民家に井戸や物置用の土蔵ぐらいしかなく、珍しいものなど何もない。宗秀は来た道を引き返そうとするがその時、視線にあるものが映った。

 

「あれは何だ?人…か?」

 

 視線の先に見える井戸にもたれ掛かるように倒れている人がいたのだ。ここからではよく見えないがフードのついたぼろぼろの黒い外套を身に纏っており姿は分からず体格は見たところ子供のように見えた。きっと疲れてうたた寝してしまったのだろうと考え宗秀は起こそうとその人物に声をかけた。

 

「おい、こんな所で寝てると風をひくぞ」

 

「………」

 

「もうすぐ暗くなる、早く家に帰ったほうがいいんじゃないか?両親も心配してるぞ」

 

 その人物は宗秀の問いかけに答えず全く反応がない。しかし放っておくわけにもいかずなんとか起こそうと宗秀はその人物の外套のフードを取るがその姿を見た瞬間宗秀は絶句した。

 

「な…!?お、おい!大丈夫かっ!」

 

 何とその人物は目を塞ぎたくなるどの重傷を負っていたのだ。頭部全体をまるでミイラのように包帯で覆われ、さらに身体中にも無数の包帯と痛々しい痣や刀傷の跡があった。見た目通り十三歳ぐらいの少女で弱り果て今にも呼吸が絶えてしまいそうなほど衰弱していた。

 

(なんて酷い怪我だよ…助かるか…!?)

 

「おい!死ぬなよ!今、診療所に連れて行ってやるからな!」

 

宗秀は彼女を背負うと急いで町にある診療所に向かって駆け出した。

 

・数時間後 堺の町 診療所

 

 

 町の診療所に大急ぎで駆け込んだ宗秀は少女を医者に任せた後、診療所の前でじっと待っていた。あの重傷ではもう助からないかもしれないと不安を募らせながら待つこと数時間、診療所の奥から医者が姿を見せた。

 

「…終わりましたぞ」

 

「どうなんだ?あの子は助かりそうか?」

 

「治療があと少し遅れていれば手遅れでした。なんとか一命は取り止めましたぞ」

 

 その言葉に宗秀は安堵のため息をつく。医者の話によればあの少女自身が行ったとされる応急処置もあってギリギリ命を繋いだそうだ。

 

「あの娘が自身で処置をしたようですが、あれがなければ手の施しようがありませんでしたよ」

 

「そうか、助かったんだな…よかった」

 

「失礼ですが、あの子は旦那の娘ですかな?」

 

「いや、赤の他人だ。あんな小さな女の子を放っておけなかったからな」

 

「このご時世に物好きなお方が居たものですな。実は旦那にお話があるのですが…」

 

 すると医者は懐から何かを取り出し宗秀に見せた。

 

「ん?それは…苦無(くない)か?」

 

「あの娘が持っていた物です。この他にも手裏剣などいろいろ隠し持っていましたよ」

 

「それじゃ、あの子は…」

 

「はい、恐らく忍びの者でしょうな」

 

 少女を助けるのに夢中で服装など気にしている余裕がなかったがまさか助けた少女が忍びだったなど思いもしなかったのだ。

 

「傷跡を見た所、あれは拷問の傷ですな。恐らく敵方に捕らえられたのでしょう」

 

「拷問!?こんな小さな女の子を…」

 

「…旦那、戦国の世では女子供も関係はありません。旦那も厄介な患者を助けてしまいましたな」

 

 なんとか逃げ出してやっとの思いであの場所にたどり着いたのだろう。ひょっとしたら少女は追手に狙われているかもしれないと考えた宗秀は彼女を光悦の屋敷に匿うことにしたのだ。あそこなら鹿之助や十勇士たちもいる上にここより安全と考えた宗秀は医者から少女の身柄を預かると彼女を光悦の屋敷に連れ帰ったのだ。

 

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・堺 本阿弥光悦の屋敷

 

 

 突然、宗秀によって忍びの少女が運び込まれた当初は光悦も少し戸惑っていたが"師匠がそう言うならしゃあないなあ"と承諾し少女を匿っていたのだ。あれから三日経っても少女は目を覚まさず時だけがただ過ぎていった。

 

「…この子、全然起きへんね」

 

「き、きっと、大丈夫ですよ!」

 

「とにかく、酷い怪我だったからな…目を覚ますまでしばらくかかるだろう」

 

「御仏よ、どうかこの子をお救いください…」

 

 少女を心配しているのか勝久は数珠を持ち、手を合わせて彼女の無事を力強く祈っていた。そんな時、光悦は少女の側に置いてあった彼女の持ち物である忍び道具を珍しそうに眺めていた。

 

「ほえ~…すごいなあ、これが苦無かぁ!初めて見たわ。えーと…これが手裏剣かいな?」

 

「こ、光悦さま、勝手に見ては…」

 

「いけるいける!うちだってこの子匿うたってるんやさかい少しぐらい見ても罰は当たらへんわ!ほら、勝ちゃんも見て見て!」

 

「…え?えっと…じ、じゃあ少しだけ…」

 

「おいおい、お前たち」

 

 見たこともない忍びの道具に興奮している一同の側でじっと眠っていた少女の瞼が突如開いた。弱々しく布団から起き上がると少女はゆっくりと周囲を見渡す。その視線の先には自分の忍び道具をいじって遊んでいる光悦たちの姿が目に映った。

 

「………あ!か、返して…!あたしの忍具…!」

 

「あ、起きた。なんや以外と元気そうやん」

 

「だ、大丈夫ですか?無事でよかったです…!」

 

「…い、いいから返して!…ッ!!?」

 

「おっと動くな、傷口が開くぞ。じっとしてろ」

 

 少女は身体を起こそうとするがあまりの激痛に傷跡を押さえて踞ってしまった。そんな彼女を勝久と宗秀がゆっくりと少女を布団に寝かしつける。これまで気にしていなかったが少女の容姿は褐色肌に金髪のショートヘアー、碧眼といった姿で背丈は勝久とほぼ同じぐらいだ。額と左目には包帯が巻かれてまるでミイラのような姿になっている。

 

「とにかく無事でなによりだ、傷が治るまでは安静にしていろ」

 

「そうです、今はゆっくり休んでください」

 

「……あなたたちが助けてくれたの?」

 

「お礼なら師匠に言うてや、大怪我しとったあんたを医者に診せてここまで運んで来たんやさかい」

 

「……その、ありがと」

 

「ああ、気にするな」

 

 目を覚ました少女だったがそれ以上は何も話さなかった。言えない事情があるのかどうかは分からないが光悦や勝久がいろいろ質問しても何一つ答えずただ黙ったままなのだ。食事にもまったく手をつけず布団で眠っているだけの日々が続いた。

 

「あの子…大丈夫でしょうか?」

 

「ご飯も食べへんし、なんも喋らへん…ほんまになんなのあの子」

 

「困ったな、せめて何か食べさせないと危険だ」

 

 何も話さないのはまだいいが食事を取らないのはさすがに宗秀たちも心配だった。少なくとも三日以上何も口にしていないのでこのままでは遠からず餓死してしまうだろう。

 

「よし、俺が食べさせてみるか」

 

「お、お願いします!このままでは死んでしまいます」

 

「師匠!どないしても食べへん時は無理矢理にでも食べさせたってや!」

 

 そういうと宗秀は料理を持って少女の部屋に向かった。部屋の前に着くと一声かけて室内に足を踏み入れる。相変わらず少女は身体を横に向けて寝ているままだ。

 

「お~い、飯を持ってきたぞ」

 

「……」

 

「…腹減ってるんだろ?遠慮するな」

 

「……いらない」

 

「とにかく何か食え。三日以上何も食べてないんだろ」

 

 だが少女は無言で首を横に振る。これまで勝久や光悦が声をかけてもまったくの無反応だったのだが言葉を返してくれたことから自身を助けてくれた宗秀には少しだけ気を許しているようだった。

 

「…施しは受けない」

 

「そうか、いらないなら俺が食うぞ」

 

「……」

 

「お、今日は鯛の塩焼きか…炊きたての麦飯も旨そうだな」

 

「…うう」

 

 宗秀が料理を解説する度に寝ている少女が反応し、ぴくぴくと動く姿が小動物のみたいで面白い。遂には彼女の腹の虫が大きな音で鳴き始めた。しかし、それでも少女は横になったままだ。

 

「この味噌汁も旨そうだ。具はあさりに昆布、青ねぎまでついてるぞ。うん、いい香りだな」

 

「…うう〜…もう…やめてよぉ…」

 

「意地を張ってないで食えよ、泣くほど空腹なんだろ?」

 

「…頑張って我慢してるのに…こんなの拷問……鬼ぃ…悪魔ぁ…」

 

 少女は涙目になりながらまるで駄々をこねるように宗秀に罵声を飛ばす。必死に我慢しているようだが腹の虫は治まるどころか激しくなっていく。そんな彼女に宗秀は笑顔で料理を差し出した。

 

「ほら、食えって。誰も怒ったりしないさ」

 

「…し、仕方ない…そこまで言うなら…食べてあげる…」

 

「ああ、食べてくれ。頼むよ」

 

 すると少女は料理が乗ったお盆を素早く手に取ると震える手で料理を口にし始めた。次第に手の動きが早くなり食べる速度が早くなる。心なしか彼女は泣いているように見え、ただ無言で料理を頬張り続ける。

 

「………」

 

「旨いか?」

 

「…うん…美味しい…」

 

「そいつはよかった。ほら、おかわりもあるぞ。遠慮するなどんどん食え」

 

 その後、少女はおかわり用に持ってきた料理も含めすべてを完食した。箸を置き正座して姿勢を整えると少女は宗秀に深く礼をした。

 

「……あ、ありがとう…」

 

「気にするな、元気になったならそれでいいさ」

 

「……あ、あの…」

 

「ん?どうした」

 

「…どうして、あたしを助けたの…?」

 

 てっきり何も話さないと思っていたがまさか彼女の方から質問してくるなど予想外だった。その質問に宗秀は笑顔で答えた。

 

「決まってる、目の前で死にかけてる人がいたら助けるのは当然だろ?」

 

「……それだけ?」

 

「ああ、他に理由が欲しいか?」

 

「…あなたは…優しい…でも、あまい…」

 

「…そうかもな、町の医者からも似たようなことを言われたよ」

 

 この少女やあの医者がこう思うのも無理はない。誰もが自身の身を守るのも精一杯なこの戦乱の時代に他人を心配するなど随分と呑気なものだと呆れられているのだ。

 

「…もう、こういう事はやめたほうがいい…いつか死ぬ…」

 

「そうしたいんだが…どうも性分でなぁ」

 

「…あたしが…あなたを殺すと言っても?」

 

 すると少女はいつ取り出したのか苦無を手に持ち目にも止まらぬ速さで近づくと宗秀の首元に苦無を突き付ける。あれほどの重傷だったにも関わらず数日間休息を取っただけでここまで動けるのはさすがは忍びと言ったところだった。しかし、彼女に殺意はまったく無くただ苦無を突き付けているだけだった。

 

「うおっ!?い、いつの間に…」

 

「…もし、あたしが刺客なら…あなたは死んでる…」

 

「…それでもいい、もし死んだらそれまでだったと諦めるさ」

 

「…馬鹿みたい…あなたのこと…心配してるのに…」

 

 

この戦国では彼の優しさは足枷になりそして欠点にもなる…そう彼女は言いたいのだろう。少女は苦無を下ろすと再び布団に横になる。

 

「……寝る…出て行って」

 

「あ、ああ、ゆっくり休めよ」

 

「………」

 

 そう言うと宗秀は食器を持って部屋を後にした。しかし、その翌朝なんとあの少女がいなくなっていた。一緒に持ってきた忍び道具や装束などもすべて跡形もなく消え去り代わりに少女が寝ていた布団の上に紙が一枚だけ残されていた。紙にはこう書かれてあった。

 

『世話になった…この恩は忘れない』

 

 少女がどこに行ったのか検討もつかず結局、彼女のことは諦めることになり宗秀たちはいつもの日常に戻っていった。そして少女が失踪してから数週間が経った日のことだった。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

・堺 町中

 

 その日、宗秀は堺の町中を歩いていた。光悦からおつかいを頼まれ彼女の馴染みの店に向かっていたのだ。ちなみに頼まれた品物は鉛筆や墨に紙など文具ばかりだ。その隣には時間が空いて暇をもて余していた鹿之助の姿もあった。時刻は夕暮れでいつもは人通りの多い堺の町中も静かになっている。

 

「紙に墨に鉛筆…頼まれた物は全部だな」

 

「はい!それでは屋敷に戻りましょうか宗秀殿」

 

「そうだ、よかったらこの後、武術の鍛練に付き合ってくれないか?」

 

「鍛練…ですか?」

 

「ああ、せめて自分の身の安全ぐらいは守れるようになりたいんだ。お前に教われば間違いない、頼んでもいいか?」

 

「宗秀殿…分かりました!この鹿之助、あなたを一人前の武将に育て上げましょう!」

 

 私に任せて欲しい!と言わんばかりに胸を張って堂々と言い放つ。彼女ほどの腕前を持つ猛将から手ほどきを受ければきっと上達すると確信していた。

 

「ああ、頼む」

 

「はい!武芸に関しては私は容赦しませんよ!途中で根を上げないでくださいね」

 

「お、おう」

 

(あ〜…冷静に考えたら教わる相手を間違えたかなぁ)

 

 よく考えてみたらあのでたらめに強い鹿之助と立ち合わないといけないと考えると少し背筋がぞっとする。彼女に武術の鍛練を頼んだのは間違いだったかもしれないと宗秀は少し後悔していた。

 

 そんな時、二人の近くで何やら騒動が起きていた。騒動が起こっているのはどうやら雑貨屋の前のようで刀を下げた山賊のような格好をしたごろつきと小さな少女を連れた親子が揉めているようだ。

 

「この餓鬼…俺様の足を踏みやがって…!許せねぇ!」

 

「ひっ…!かか様…」

 

「す、すみません、娘がご無礼を…どうかお許しください」

 

「うるせぇ!そいつをよこせ!ぶっ殺してやる!」

 

 どうやらごろつきは酔っ払っているようでかなり気が立っているようだ。だが誰も見ているだけで止めようとする者はいない。ついには刀を抜き取り勢いに任せて母親を斬り捨てようとする。母親は娘を庇うが突如その前に何者かが現れごろつきの刀を受け止めた。

 

「ああん!?何だてめぇは!?」

 

「…あ、あなたは…」

 

「……早く…逃げて!」

 

(あの子は…!このあいだの忍びの子か!)

 

 なんと親子を助けたのはあの忍びの少女だった。二本の苦無でごろつきの刀を受け止めているが傷まだ癒えていないのか徐々に気押され始めた。その間に親子は慌ててその場を逃げ出し事なきを得たが今度はあの忍びの少女が危機に陥っていた。

 

「このくそ餓鬼!!邪魔すんな!」

 

「…ぐっ!!…う…あ…」

 

 少女は胸部を蹴り飛ばされ店の壁に叩きつけられた。衝撃で傷口が開いたのか苦悶の表情で胸を押さえて悶えている。邪魔をされたことに腹が立ったのかごろつきは少女を完全に殺すつもりで刀を振り上げる。

 

「死ねぇぇ!!…ぐふっ!?」

 

「いい加減にしろ、この酔っ払い」

 

 ごろつきの顔面を殴りつけ転倒させたのは宗秀だった。少女を守るように宗秀と鹿之助が前に立つ。

 

「この野郎っ…!どいつもこいつも邪魔ばかりしやがって!みんなぶっ殺してやる!!」

 

「その辺りにしておいたらどうです?このまま立ち去るのなら見逃しますが」

 

 鹿之助が腰の脇差を少し抜き取り只ならぬ殺気を放つ。戦場で放つ殺気と同じで並みの者ならば恐怖のあまり逃げ出してしまうほどだ。ごろつきも例外ではなく死の危機を感じた彼は捨て台詞を吐いて去って行った。

 

「ふう、よかった。無駄な血を流さずに済みました」

 

「おい!大丈夫か!?」

 

「…へ、平気…」

 

「血が出てるじゃないか!すぐに手当てだ!」

 

「…ほっと…いて…あなたには関係ない…」

 

「馬鹿野郎!!関係あるに決まってるだろ!いいからじっとしてろ!鹿之助、その子を屋敷に運ぶぞ手伝ってくれ」

 

「…あ」

 

「分かりました。さあ、捕まってください」

 

「………」

 

 その後、少女を光悦の屋敷に運び込むと開いた傷口の治療を済まし一室で再び寝かせていた。そんな彼女の元に心配になって見に来た宗秀の姿があった。

 

「具合はどうだ?」

 

「…もう大丈夫…」

 

「まったく、傷が治るまで休んでろって言ったのにいったい何処に行ってたんだ?」

 

「………」

 

 少女は黙り込む。やはり何か事情があるのだと感じた宗秀は無理に追及するのを控えた。しばらくお互いに何も喋らない沈黙の時が続いたがその沈黙を破ったのは少女だった。

 

「…あたし…分からないの…これからどうしたらいいのか…」

 

「ん?君は忍びだろ?自分の里に帰ればいいじゃないか」

 

「……帰れない…」

 

「…どういうことなんだ?よかったら聞かせてくれ」

 

 すると、これまで何も話さず黙していた少女が自分の過去を話し始めた。

 

「…あたし、忍術も使えないし武術もすごく下手なの…頭領や仲間たちからはできそこない、役立たずって言われてた…ある任務で敵の城に潜入したけどドジして捕まっちゃったの…」

 

「そうだったのか…」

 

「……なんとか助かったけど…もう里には戻れない…多分、死んだと思われてる…それに帰ってもあたしの居場所はもう無いの…」

 

 少女は里に馴染むことができず孤立しており、仲間たちからはすでに死んだと思われているらしい。聞けば彼女の里の掟で任務に失敗した場合は"自ら命を絶つ"という掟があり任務から帰還しないということは即ち死んだと判断されるのだ。しかし、少女はそんな掟に納得しておらずさらに死への恐怖心から自害することもできずに宛もなく彷徨っていたのだ。

 

「…あたし…死ぬしかないのかな…だけど…掟は絶対…でも…死ぬのは嫌…どうしたら…いいの…」

 

「馬鹿、簡単に死のうなんて考えるな」

 

「…簡単に言わないでッ…!あたしのこと…何も知らないくせに…!」

 

「ああ、確かに詳しい事情は知らないが、死にたいってなんて言ってる奴をほっとける訳ないだろ」

 

「……どうして?…なんであたしのことなんか気にするの…?あなたとあたしは…赤の他人なのに…あたしに関わっても…あなたにはなんの利点もないのに…」

 

「困ってる奴を助けるのは人として当たり前さ、こういう時は素直に誰かに甘えればいいんだよ」

 

「………」

 

「よく話してくれたな、ずっと一人で悩んで誰にも相談できなくて辛くて寂しかっただろう?よく頑張ったな、君は強い子だ」

 

「……あ…」

 

 その言葉を聞いた少女はまるで堰が切れたように声を出さずに泣き始めた。きっと今まで胸の内を誰にも相談できずに一人で悩んでいたのだろう。

 

「それに、もし死んだと思われてるなら君はもう忍者として生きなくてもいいんじゃないか?自分の好きなように生きてみればどうだ?」

 

「…え…?忍びじゃない生き方…?…そんなの…考えたこともなかった…」

 

「だろ?例えば、諸国を旅していろんな物や景色を見るのもいいし、日本を出て海外に行ってみるのいいぞ。そうだ!俺と一緒に絵でも描くか?」

 

「……ふふ、あたし…絵なんて描けないよ」

 

「お?笑ったな。やっぱり笑顔が一番だ」

 

 なんと少女が微笑んでいた。これまで彼女の表情は無表情でまるで生気を感じなかったが今の彼女の表情はとても明るくなっていた。

 

「だから死ぬなんて言うな、生きてればきっといいことがある」

 

「……うん…!ありがとう…あたし…頑張ってみる…」

 

「ああ、これから君の人生は自分で決められるんだ、君を縛るものはもう何も無い、そう考えたらなんだかわくわくしないか?」

 

(…自分の人生を…自由に…あたしはもう…あんな里の掟に縛られなくていい…!…だったら…!!)

 

「…大丈夫…もう決まった…」

 

 何かを決意したのか少女は起き上がり急に宗秀の前にひざまずいた。その表情から涙は消え、真剣な眼差しで宗秀に自身の覚悟を伝える。

 

「…あたし…あなたの忍びになりたい…!」

 

「へ?俺の忍びに?忍びはやめるんじゃないのか」

 

「…それも考えたけど、あたし…あなたとずっと一緒にいたいの…!!それなら忍びのままがいいって思ったから…あたしに手を差し伸べてくれたあなたを忍びとして支えたいの…!」

 

「…でも、いいのか?俺なんかの忍びで」

 

「…ううん、あなたじゃなきゃ駄目…!!…あたし、武芸と忍術は駄目だけど…潜入と諜報が得意なの!あと破壊工作もできる!お願い…!一生懸命働くから…!なんでもするから…!!」

 

 少し戸惑ったがこれは宗秀にとっても悪くない話だ。忍びは戦国時代で重要な存在であり忍びが味方になってくれるのは心強い。今後のために是非とも欲しい人材だと考えた宗秀の答えは決まっていた。

 

「…是非、君の力を貸してくれないか?今は一人でも戦力が必要なんだ。頼めるか?」

 

「…ッ!!うん!!ありがとう…!!これから、あたしの命はあなたの物…よろしくお願いします。…宗秀様」

 

「ああ、よろしくな。…そういえば君の名前を聞いてなかったな?」

 

「…蛍(ほたる)です…世鬼蛍…これからお願いします」

 

こうして謎のくノ一・世鬼蛍が宗秀の忍びとして仕えることになったのだった。




書いてて芸術家三人組が面白かったです!
もう少し登場させてみようかな?と考えてます!
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