加蓮Be!   作:煮卵9

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裏側の者たちの夜

 

 

「おい、未来。もう行くぞ。」

 

「は~い!」

 

俺はヘルメットを投げて未来に渡し、鍵を差し込んでエンジンをかける。

大分扱いには慣れたが、こいつは何ともじゃじゃ馬で、アイドルを運ぶというのも少しひやひやしてしまう。

 

「うわ~!大河君のバイク乗るの私初めて~!」

 

「あれ、そうだっけ?」

 

「そうですよ!いっつも静香ちゃんと志保ちゃんばっかり乗せてるじゃないですかー!」

 

「それはあいつらの家が近くで、送迎してやってるってだけだろ。つか早くしろ。今日の仕事がどれだけ重要なのか分かってんのか。」

 

「えー?でも写真撮るだけですよね?」

 

「…誰から聞かされた。」

 

「翼。」

 

「ごめん、俺が悪かった。」

 

誰だアイツに伝言を頼んだ奴は。見つけたら絶対許さん。

 

「あのな未来。宣材写真って何だか分かるか?」

 

「勿論知ってますよ!お母さんによく詰め替え用の方を買ってきなさいって言われますから!」

 

「それは洗剤だ。ごめんな難しいこと聞いて。で、宣材写真って言うのはだな、お前がこれから仕事をしていくのに、最初に仕事を持ってくる側の人間が見るお前の写真のことだ。」

 

「…?それって…結構大事な写真じゃないですか?」

 

「だからそうだって散々言っただろうが!昨日も一番気に入ってる服で来いって言ったし朝も髪の毛整えて来いって言ったよな!?あぁ!?」

 

「ひぃ~!」

 

俺は未来の頭を横からぐりぐりする。

これが俺が765プロに来て学んだ最高峰の技術、律子の姉御から学んだ『頭ぐりぐり』だ。効果は抜群、今なら志保にも勝てるかもしれない。

 

「取り敢えず向こうでメイクしてくれる人が居るから、その人に後は任せる。だから早く乗れ、飛ばすぞ。こうなるって思ってたからサイドカーまで外してきたんだぞ。」

 

「わーい!大河君やっさし~い!」

 

後ろに乗った未来がヘルメットをきちんとつけているのを確認して、俺はバイクのアクセルを踏み込んだ。

 

 

 

 

 

途中で三回警察に止められた。たった30分で、だ。

 

「まー大河君ちっちゃいもんねー。」

 

「頭ぐりぐりぃ!」

 

「痛い!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お疲れ様でーす。」

 

「お、大河君。未来はどうしたんだ?」

 

「現場からそのまま帰しましたよ。流石にもう暗いですし、結構疲れてたみたいだったんで。で、また残業ですか、赤羽根さん。」

 

デスクに座って、パソコンから目を離さずに話かけてくるのは赤羽根さん。もう6時も過ぎているので、他のアイドルは全員帰ったようだ。

 

「本当にこのままの状態でいいんですか?俺、まだ余裕ありますよ?」

 

「俺だってこれまで大勢のアイドルをプロデュースしてきたんだ。これくらいで音を上げたりはしないさ。」

 

俺が正式に765プロのプロデューサーになった初日。

俺は赤羽根さんと共に社長室に呼ばれ、これからの方針について話していた。

 

『大河君には、未来、静香、翼、瑞希、紬。この5人を中心にプロデュースをしていってもらおうと思ってる。』

 

『つまり、新しく入ったメンツ、ってことか。あんた、俺を舐めてるのか?』

 

『どうして、そう思うんだい?』

 

『アイドル52人の内、たったの5人。じゃあ他の47人をあんた一人で何とかする、って言ってんだろ?しかも新人。仕事なんて多くはない。プロデューサーのやる仕事も少ないはずだ。つまり、俺よりあんたの方が10倍以上優秀だ。ってそう言いたいのか?それじゃあ俺を雇った意味がないぜ。』

 

『これまでそうっであったわけだし、何より俺は、君がそんな器用な人間には思えないよ。君は、一度に何人ものアイドルから頼られて平気な人間じゃない。大河君、君は人間のドラマに正面から立ち向かってしまう人間だ。それじゃあ。何人ものアイドルをプロデュースをするなんてできない。』

 

『じゃあアンタは出来るってのかよ。アイドル一人一人に、正面切って立ち向かわないなんてことが、できるって言うのか。』

 

『まあ無理だろうね。俺だって、別に理性的な人間っていうわけじゃない。むしろどちらかというと情熱的な人間…って、自分で言うのは違うかもね。』

 

『だったらアンタにも無理だろ。…あんまりガキ扱いするなよ。俺は自分で社会に出てきた。年齢なんてくだらないもので、下に見てんじゃねえぞ。』

 

『いいや、俺にはできるし、君にはできない。大河君の年齢なんて関係ない。君は、きっといくつになってもそのままだよ。…君には、切り捨てることはできない。君は頼られたらすべてを助けてしまう。そこに優劣なんかなくて、順に素早く助けられるんだと思うよ。でも、それじゃあアイドル業界じゃ生きていけない。一度の失敗で引退に追い込まれるアイドルだって少なくない。俺は現に、そういったアイドルを何人も見てきたよ。並列作業でどうにかなる世界じゃない。この扱いが嫌なら、実力で示して見せてくれ。』 

 

それから一週間、俺は5人のプロデュースを始めて、そしてその厳しさを知った。

それぞれの癖は強い、それぞれ好きなことと嫌いなことがあって、つーか自由人ばかり。

こいつらのことを知るだけで、相当の時間がかかってしまった。

 

「で、どうだい。プロデュースには慣れてきたかい?」

 

「ま、ぼちぼちですよ。」

 

「何か困っていることはない?」

 

何より、一番辛いのはクライアントから仕事を取ってこようとする時だ。

あちらは与える側、こちらは享受する側。

だからこちらが下手に出るのは理解できるのだが、あちらはこっちを舐めてかかってくる。

それも当然で、まだデビューもしていない新人アイドルなんて、あっちからしてみれば替えはいくらでも効くわけだ。

 

「だからと言って、ウチのアイドルの悪口を言うのはどうかと思いますけどね。」

 

「それに反応して、拳を振り上げるのもどうかと思うけど?」

 

「静香が止めたから大丈夫ですよ。」

 

「アイドルに止めさせちゃダメでしょ…。」

 

癖が強いとは言え、皆良いところばかりで、それが分からない奴も分かろうとしない奴もクズだ。

そう思ってブン殴ろうとしたら横に居た静香に止められた。志保直伝のヘッドロック付きで。

すると仕事を貰えた。これでいいのか…。

 

「そう思いません?」

 

「そう思う情熱はいいけど、プロデューサーはもっと冷静に。不満を全部請け負うのもプロデューサーの仕事の一つだ。君がキレてしまったら元も子もないよ。」

 

「ま、善処しますよ。」

 

俺は適当に相槌を打ちながらソファの机にノートパソコンを広げて電源を入れる。

デスクトップの背景はTriad PrimusのCDジャケット。何か文句あるか。

 

「仕事を残しているのか、大河君。」

 

めっちゃ絡んでくるなこの人。寂しがり屋か?

 

「ま、仕事って言ったら仕事ですね。」

 

「無理なんじゃないか?朝は新聞配達をしてから事務所に来て、事務所から帰ってから内職を続けるなんて。」

 

「…バレてたんすか。流石、仕事が早いですね。」

 

「ま、伊達に何年もプロデューサーをやってないさ。何だ、給料に不満でもあるのか?」

 

「実家暮らしだぞ。必要な金なんて大したことねえですよ。…あんな良いバイクにこんな最新のパソコン貰ったら、小遣い一月2000円の俺には負債が大きすぎるんですよ。」

 

「そのパソコンは君に必要だと思ったから買ったもので、経費扱いになってるから安心していいし、君のバイクはお父さんが就職祝いに買ってくれたものだろう?何でもかんでも返せばいいってもんじゃないぞ。」

 

「サイドカーまで買われたんすよ?姉貴もアイドルで借金だってある。家庭に負担をかけるわけにはいかないんですよ。」

 

「それで君が倒れたら元も子もない。それに、プロデューサー業を蔑ろにしてもらっちゃ困るよ。…どれどれ、何が終わってないんだ?俺が手伝って―――何、してるんだ、これ。」

 

「はい?ライバルになりそうなアイドルのピックアップと、仕事に対しての必要な能力と、スポンサーが好きそうなアイドルの傾向ですよ。出てきたばかりのアイドルとこれから仕事の枠を競ってオーディションをするんですから、ライバルの得手不得手と、どういう風に練習のスケジュールを固めていくかくらいは知っておきたいでしょ。」

 

「にしたって、こんなグラフまで使って…これ作るのに、どれくらいかかるんだ…。」

 

「んー、一人当たり精々1,2時間ってとこですかね。だから未来と翼、静香と瑞希と紬で半日も掛かってませんから。迷惑はかけませんよ。」

 

「…ちょっと待ってくれ。一人1,2時間って、もしかしてライバル一人や、受けるかどうかも分からない仕事のオーディションに対して半日掛けてるってことか!?」

 

「いやいや。静香や瑞希は物分かりがいいんで大した時間はかかりませんよ。それに、翼はセンスですべてを何とかしようとするんで最近はまず作らなかったりもします。未来はアホなんで結構説明に手間かかりますし、紬はメンタルクソ雑魚なんであんまりライバルの長所ばっか説明すると溶けるんでどう崩すかを中心に置いて作ってますね。」

 

「…そりゃあ終わらないわけだ。アイドル一人にかける時間が異常だよ、大河君。」

 

「刃向かってみろよ、って言われたんでね。全員に本気で立ち向かって、それで成功させてやるよ。…すみませんね、俺、負けず嫌いなもんで。」

 

「変なエンジン入れちゃったなぁ…。」

 

呆れ顔で溜め息をつく赤羽根さん。でも俺は知っている。

 

「そっちこそ、俺のリカバリーの為に仕事増やしてんのバレバレですからね。だから止めないんでしょ。俺が無理してるの。」

 

「…無理をしている自覚はあるのか。よかった、ワーカホリックじゃあないみたいだね。」

 

「でも、アイドル達だって無理をしてる。それなのに、俺だけ楽なんかしていられない。」

 

加蓮の努力なんて、アイドルの努力なんて、今まで一切見てこなかった。

苦しんでいるのは知っていた。辛いのも知っていた。

でも、知っていたつもりになっていただけだった。

実際に目で見るとそれは全く違って見えて。

 

静香が汗だくになりながら倒れそうになるまでダンスの振りを一生懸命に練習し、

未来が昼食も取らずに歌の音程を練習し、

瑞希がアイドルの作る表情について念入りに研究し、

紬は本番で噛まないように、何度も台本を練習し、

…まあ、翼はそれらを才能で何とかしているところがあるが。

 

それでも、皆、必死に頑張っている。

 

「ま、休みの日はちゃんと休みますよ。どうせシアターに来て暇してる奴らと遊んでるだけですけどね。」

 

「休みの日までシアターに来るつもりかい?構わないけど。仕事ばかり熱心にしてると、青春の一ページを失うぞ。」

 

「それは実体験ですか?それに、俺の友達はアイドルしかいないんで、友達に会うならここに来るか346に行くか283に行くかしかないんですよ。」

 

「俺の心と自分の心同時に破壊するなんて君、やるね…。それにアイドルしか知り合いが居ないなんて、まるで小説の設定みたいだ。」

 

「ま、絶対にそうって訳じゃないですけどね。大体アイドルだったし、そうかどうか分からない奴もどうせアイドルだろって思ってますよ。現に志保だってアイドルだったわけですし。」

 

「おー。やっているかね我らがプロデューサー諸君!」

 

「あ、高木社長!お疲れ様です!」

 

ガチャリと、

扉を開いて入ってきたのは765プロの社長である高木社長。

俺は挨拶もそこそこに帰り支度をする。

 

「おつでーす。じゃ、俺帰るんで。」

 

俺は高木社長が開いた扉をそのまま掴み、事務所を出ていこうとする。

 

「まだ私の事が憎いかね、大河君。」

 

「憎い…?」

 

俺は後ろから呼び止められる。

事情を知らない赤羽根さんは、困惑するばかりだ。

 

「別に、んなわけじゃないですけどね。もうずっと前の話だし、言いたいことは3年前に全部言った。ま、避けてるのはそう言うことを言われたくないからですね。むしろずっと引きずってるのはあんたの方じゃないんすか?」

 

「私とて、気にしていないわけではないよ。できることならあの時の選択をやり直したいくらいさ。私は善人で在りたかった。でも、上辺ばかりのことも言っていられない年と、立場になってしまった。」

 

「ま、ある意味では感謝してますよ。俺はあんたみたいになりたくなかった。目の前で困っている人を、誰一人見捨てず助けられる人間になりたかった。その意思を持ってしてここまでこれたんだ。だから、あんたのことは嫌いだけど、感謝はしてるぜ。」

 

「じゃあ、どうして765に来たんだい?美城常務の紹介なら、もっと多くの選択肢があったはずだが?」

 

「俺もびっくりだよ。紹介したのがよりにもよってここだとはな。」

 

Project Kroneのライブのあの日。

俺は隣に立った美城常務にお願いごとをした。

プロデューサーになりたいからコネを貸せ、と。今考えてみればあんな横柄な態度でよくいうことを聞いてくれたなと思うが。

そして彼女が提示したのは765プロ。

ライバル、しかも筆頭に人材を渡すなんて、案外何とかなるものだと考えてはいたが、未だに彼女の真意は分からない。

 

「だが、彼女の誘いを断ることも出来た筈だ。君なら別の場所でもプロデューサーは簡単にできるだろう?」

 

「ま、俺も考えましたよそのくらい。誰があんたみたいなやつの元で働くか、なんてな。でも…ここに、本気でアイドルを目指す奴が居た。友達の為に、『何者か』になろうって奴が来るって話も聞いた。じゃあ、アンタが嫌いってだけの理由で、俺が逃げ出すわけにはいかねえだろ。」

 

「なら、もう少し仲良くしたって…。」

 

「それとこれとは話が別ですよ、赤羽根さん。」

 

俺は掴んでいた扉から手を放し、事務所から去る。

 

「なんだか分からないですけど、大変ですね、社長…。」

 

「胃が痛いことだよ…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「相談?お前が?俺に?」

 

「だから何度言えばわかるの、そうだって言ってるでしょ。」

 

家に帰って一息つけば、つく前に連行された。

再び加蓮の部屋に運搬され、またまた壁に背を付けて俺は座った状態で、何故だか偉そうな加蓮と対面している。

そんな偉そうな加蓮の言い分は、346プロダクションのシンデレラプロジェクトの話らしい。

 

「でもそんなこと俺に関係なくね?俺765のプロデューサーだし。」

 

「真剣な話なの…!私が、凛を無理矢理引っ張ってきたから、卯月ちゃんが、どうにも…。」

 

「どうにも?」

 

「私も聞いた話だから、詳しく分かっている訳じゃないんだけど。卯月ちゃんの様子がおかしいみたいで。最近だとまともに話もできてないみたいで。」

 

「自分が凛を奪った。とでも思ってんのか?だとしたらお門違いも甚だしいぜ。」

 

「でも…実際に、卯月ちゃんは苦しんでいて、凛も迷っていて。今更Triad Primusの仕事をなくすわけにもいかないし。」

 

「お門違いなのはお前じゃなくてその島村卯月って野郎だよ。凛がいなきゃ駄目なんて、まるでガラガラを欲しがる赤ん坊みたいなモンだぜ。高校生、それもアイドルになって、それでも周りに安心を求めてる場合じゃない。周りは全員ライバルなんだ。頼ってばかりいたって、何にもなんねえよ。」

 

「ホント…大河は厳しいなぁ…。でも、お願い。凛から話を聞くだけでもいいから。…私じゃ、ダメだったから。」

 

「…いいぜ。凛から話を聞く程度なら構わない。対して時間もかからないだろうし、凛には言いたいこともあるしな。でも、話を聞いて卯月とやらの状況に俺が介入するかは分からないぞ。」

 

「それでいいの。ありがとね、大河。」

 

加蓮が柔和で、しかし儚げな表情をする。

俺はそれを見て、話は終わったと判断し、自室に戻る。

 

加蓮には、まだ無理だ。

他人のことに気を遣えるような暇、彼女には無かった。

ずっと独りで生きてきた、ずっと独りで進んできた。

悩めども彼女には、島村卯月の気持ちは分からないだろう。独り以外の道なんてなくて、誰にも頼れることなく進んできて、独りで立ち上がった彼女には。

でも助けたい。自分を救ってくれた凛のために、役に立ちたい。

だから、ガラにもなく俺に打ち明けてきたのだろう。

 

(弟に逆戻り…ってわけでもないか。)

 

彼女はこれまで、選ぶことなんてできなかった。

でも今回は、選んだ。

 

それがどれほどのことかは、俺には分からないが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんだ?悩んでる奴はこの公園でブランコに揺られてなきゃいけない法則でもあるのか?」

 

その翌日、4月も始まってもう半分が経とうとしている時。

俺は加蓮に頼まれ、凛と話すために、凛と初めて出会った公園に来ていた。

しかし、彼女は今が一番忙しい時期で、今日も仕事が伸びてしまっているらしく、待っている状況だ。

どうせシアターに行っても特にすることもないので、俺はその公園でノートパソコンを用いて仕事をしていたら、見覚えがあった顔を見かけたので話しかけてみた。

 

「ほわっ…。えっと、大河、君?」

 

「久しぶりだな、真乃さん。」

 

櫻木真乃。たった一度スイーツバイキングで遭遇しただけ、しかももう4ヶ月近く経っている。

しかし彼女は俺のことを覚えてくれていたようで、顔を上げて微笑んだ。

そこに彼女が持っていた、笑顔の温かみは見受けられないが。

 

「えっと、悩んでるって…?」

 

「あ?悩んでるんだろ?そんな顔して俯いて、ブランコでゆらゆらって。アイドルはここで悩む義務でも付けられてんのか?」

 

「………。」

 

「…聞いてやろうか?答えを出すことも、きっと俺ならできると思うぜ。」

 

「大河君、自信家なんだね…。」

 

「できることはできるって言うのが普通だろ。自信があるというのならそれはこれまでの実績があるからだ。それに、人の悩みなんて、大抵大したことはない。本人以外から見てみればな。」

 

それを聞いて、しかし彼女の表情は寧ろ翳ったように見えた。

 

「実績…。」

 

「まあ、話すってことだけでも解消される悩みもあるしな。…で?悩み、あるのか?話すのか?」

 

「………………。」

 

「ま、いいよ。ないなら俺は行くぜ。」

 

悩みなんて実は無かったのかもしれないし、おせっかいが過ぎたのかもしれない。

俯いた真乃さんを置いて、俺は後ろ手に手を振りながら公園から去る。

凛には申し訳ないが、待ち合わせ場所を変えさせてもらおう。

 

「大河君!」

 

「何だ?」

 

「あ、あのね、あるよ……あるの、悩み事…!」

 

「じゃ、教えてくれよ。何せ俺は、世話焼きなもんでね。」

 

俯きがちな少女は、それでも前に進むために手を伸ばした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




紹介

春日未来
頭ぐりぐりを恐れる普通の中学生。
しかし大河は恐れていない珍しい中学生。

律子の姉御
最強。


頭ぐりぐり
律子の姉御から学んだ最終兵器。
中学生組には効果は抜群らしい。なお朋花。


「大河君ちっちゃい」
らしい。(未来調べ)




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