加蓮Be!   作:煮卵9

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これがシリアス。



加蓮のフェスガシャ…来なよね!(来ない)


意外ッ!それは姉!

「むーりぃー…。」

 

もう教室には俺以外はいない。

とうに日は暮れ、赤い夕日が体を照らす。

 

あれから色々と釈明とご機嫌取りを続けてはみたのだが、どれも手応えは感じられなかった。まさかぬいぐるみとうどんが効かないとは…。もがみんは揺らいでたが志保に止められた。完全にあっちサイドっぽい。

 

というか志保がキレて手に終えたことなんてない。あいつがキレて手に負えるのは自分にされたことに対して起こった時。もがみんが許し、そしてOKを出すまで志保は怒り続ける。だからいつもはチョロ過ぎもがみんを落とすのだが今回は徹底的だ。いつもならうどんで首を容易に縦に振るのに。あの子もしやうどんで誘拐できるのでは?

 

「はぁ…。最後の手段、使うしかねーかなぁ…。」

 

大人しく鞄を持って、玄関まで歩いていく。

誰もいない廊下に、階段に、俺の足音が反響し、大きく響く。

 

「知んなかったぜ…。この学校、思ったよりも足音響くんだな。」

 

これまでは、1人で帰路につくなんてことは無かった。どんなに怒られても、大抵は下校時刻までには許してもらって、お詫びにゲーセンとかうどん屋に寄って枯れてく財布を呆然と眺めるだけだった。財布枯れちゃうのかよ。眺めるだけなのかよ。少しは抵抗しろよ。

 

「何だかなぁ…。ずっと、1人でいいと思ってたのにな。」

 

子供の頃は、ずっと1人でいいと思ってた。俺がどんなになってでも、助けてやりたい。ただそれだけだった。

 

でも、いつの間にか隣には志保がいて、もがみんがいて、このみ姐さんや甘奈がいて、たくさんの人がいて。

 

 

 

―――いつの間にか、1人になるのが怖くなっていた。

 

 

 

きっと、昔の俺ならばここまで許しを得られなかったらもう切り捨てていただろう。大切かどうかなんて関係ない。目の前にいなければ守れないなんてことはない。大切だから隣にいなきゃいけないなんてことも無い。

 

でも俺は求めていた。人の温かさを求めていた。これ以上失うのは嫌だから。もう一度失うのが嫌だから。

 

 

 

もう、あれ以上失うのは嫌だから。

 

 

 

「ねぇ、どこまで行くの?」

 

「あ?」

 

不意に後ろから話しかけられた。

振り向いたら姉がいた。

派手なメイクにネイル、着崩した制服、オレンジ色の髪、頭の後ろに生えてる謎のチョココロネ。うん、こんなビッチみたいなチョココロネは俺の姉貴しかいない。北条加蓮(かれん)。そいつ以外は。意外ッ!こいつが姉!何にも意外じゃないな。

 

「…何してんこんな所で。」

 

「何してん…って、こっちのセリフだけど。今からどこいくのよ。今日はご飯当番あんたでしょ?」

 

「いや嘘つくなよお前だろ。」

 

「ちぇっ…。バレちゃったか。帰宅途中に自分の家通り過ぎてく程悩んでんだったら、その辺もあやふやかなって思ったんだけどなぁ。」

 

「あぁ…。マジかよ俺…。」

 

俺と姉貴の学校は逆方向。道端で出会うとすればそれは片方が行き過ぎた時くらいだ。

そこまで志保ともがみんのことで悩んでるとは、自分でも驚きだ。

 

「なになに?相談乗ったげよっかー?どうせ女の子関係なんでしょー?全くあんたも隅に置けないねぇ。」

 

「違ぇよ。お前にする相談なんかあるかよ。明日の夕飯何にするか考えてただけだっつーの。」

 

「明日の当番は無し。お母さん仕事休みだよ。」

 

「………………。」

 

「今日の分はまだしも、明日の分は忘れちゃうくらいには悩んでるんだねぇー。へぇ〜?そうなんだ~?」

 

「………………。」

 

「何か言うこと、あるでしょ?」

 

「ソウダンニノッテクダサイ。」

 

「それだけ?」

 

「…何が望みだ。」

 

「ここに4名様以上限定のスイーツバイキングの割引き券がありまーす!」

 

俺は脱兎の如く駆け出した!

しかし既に回り込まれていた!

肩を掴まれる、痛い!JKの力じゃない!

 

「ちょ、ちょっとぉ〜?逃げない、でよー…!まだ…何にも言ってないでしょ!?」

 

「嫌、だね…!そこに行くくらい、なら!このまま一生悩み続けるね!」

 

ぐぬぬぬぬ…!なんちゅう力だ…ビクともしねぇ!ビクともしねぇってJKに使っていい言葉かおい!こいつの場合ジャイ(J)(K)の略だろ…!

 

むんずと頭を掴まれる。っていうけど、あれ、結構可愛い言い方だよね。怖さ半減くらいにされてるよね。

 

「痛い痛い痛い!ギブギブですギブしますぅ!待って離してミシミシ言ってミシミシ言ってるってば馬鹿馬鹿お前中学の頃絵筆片手でへし折ったの忘れたわけじゃねぇだろうな!?」

 

「聞こえなーい。」

 

持ち替えが入った。今度は首だ。もうこれ耐久問題とかじゃないガチで生き死にに関わってくるぅ!

 

「助けてください何でも言う事聞きます行きますスイーツバイキング行かせていただきますあと加蓮様のふくよかなおっぱいが背中に当たって至福のひとときに御座いました!」

 

「よろしい。」

 

首から手は離され、路上にへたり込む俺。

今度は制服の襟を掴まれ俺は引きずられていく。ちょ、摩擦って知ってますか?

 

「ドナドナドーナ…ドーナ…。子牛をの~せ~て~。」

 

 

 

 

 

家に到着し、俺を投げ捨てた加蓮は、『先に行ってて、お米研ぐから。』と言い残し、キッチンへと向かっていった。

俺は階段を登り自分の部屋にブレザーと鞄を投げ捨てて加蓮の部屋に向かう。

 

加蓮の部屋は俺の部屋の隣の隣にある。

隣の扉には「加蓮」と札がかけられている部屋だ。…と加蓮の部屋だと思って開けてみると違うのだ。これが。部屋を開けてみれば加蓮のアイドルとしての歴史というか写真やら新聞の切り抜きやら雑誌やらCDなとが保管されている、いわば加蓮の倉庫みたいな場所だ。なんでこんなに集めんのさ親バカってレベルじゃねーぞ。

 

そしてその隣にある1番広い部屋が加蓮の部屋だ。解せぬ。俺ももう高校生にもなろうと言うのにこんな狭い部屋で何をしろというのか。エロ本の隠し場所すりゃない。せめてベットがいいな。…いや、買わないけどさ。

 

そういや加蓮のベットの下にはエロ本とか隠してあるのかな。探してみよ。

 

部屋に入って、一瞬でその気を無くした。

 

「汚なっ…!」

 

大量のポテチの空きゴミ、脱ぎ捨てられた洋服や下着、漫画やゲーム機が散乱し、学校の教科書であろうものがしわくちゃになって放置されている。

 

「チッ…。このためにこの部屋にしやがったなあいつ…。」

 

仕方なく、俺は片付けを始める。菓子のゴミをゴミ箱に突っ込み、洋服を畳み、漫画を棚に戻し、ゲーム機を箱に戻し、教科書を真っ直ぐ伸ばして邪魔にならないところに重ねておいておく。…ん?なんだこれ。

 

よく見ると、ベットの下から何かピンク色のものが見えている。持ち上げてみると、ブラジャーだった。なんだブラジャーか。と思ったが何かが違う。なんだこれ、留め具が前についてる?へぇー。こんなタイプのやつもあるんだ。

 

「姉の部屋でブラジャー片手に何してんのよ。変態。」

 

「そうなったのはお前が部屋片付けないせいだろ。嫌なんだったら片付けろ。つか遅えよ。俺掃除し終えたじゃねえか。」

 

俺はベットの上にブラジャーを捨てて、ようやく人の座れるスペースとなった部屋に壁にもたれかかるように座り込む。

加蓮ももう今更ブラジャー如きでいじる気もないようで、大人しく椅子に座った。

 

「で?」

 

「で?、とは?」

 

「あんたが相談があるって言ったんでしょ?だから優しい加蓮お姉様が相談に乗ってあげようって言ってるじゃない。」

 

「誰も乗れとは言ってないし、強要したのお前だし、優しいお姉様ってどこにいんの?」

 

「ふーん。あんたが志保ちゃんと静香ちゃんの相談事家まで持ち帰ってくるの珍しいじゃん。」

 

「…何故バレた。」

 

「ふふーん。秘密。で、何があったのよ。」

 

しょうがない。『誰』がバレてるなら別段隠すような内容ではない。

 

俺は状況を正確に伝えた。

俺が悪くないこと。提案者は俺だが

 

「そういうのいいから。どうせあんたがやったんでしょ。正直に言いなさい。」

 

俺は状況を

 

「言え。」

 

「はい。」

 

今度こそ捏造もなければ改竄もなければ脚色もない事実を話した。

 

「で?続きは?」

 

「いや…今ので終わりだけど。」

 

俺が志保にまで見捨てられた話を終えたところで、まだ続きを催促されたが、当然そんなものはない。強いて言うならば教室でぐでってたくらいだ。

 

「…ないんだ。じゃあ何を悩む必要があるの?」

 

「何をって…そりゃ色々あるだろ。どうすりゃいいのか、分かんねえし。」

 

「仲直りしたいんでしょ?だったら謝るだけでいいじゃん。」

 

「いやいや謝ったよ?さっきも言ったやん。でも許してもらえなかった。」

 

「それは謝ったとは言わない。本当に仲直りしたいなら謝って謝って、物で釣って、媚を売って、土下座して。そしたら許してくれるよ。友達なんでしょ?私だって凛とか奈緒とかと喧嘩するけどさ、最後にはそうやって許してくれる。互いに頭を冷やせばなんとかなるって。」

 

「そんな…もんなのか?」

 

その感覚はこいつも友達の感覚狂ってる気がするけど。友達いない歴はこいつも大概だしな。

 

「そんなもんだよ。はいじゃあ解決!私ご飯作るから、呼んだら来なさいよー?あとラッキーだよ大河。今日は材料がちょうどあったから大河の好きなコロッケだよ!」

 

楽しみにしててねー、と1階へと駆け下りていく加蓮。

 

「はいはい楽しみ楽しみ。」

 

でも俺は知っている。

我が家の冷蔵庫には、コロッケの材料なんて入ってないこと。

そして加蓮は、帰りには何も買ってなかったこと。

俺が掃除をしていた間、どこに行っていたのかも。

 

「…ったく、証拠隠滅が下手すぎんだよ。バレバレだっつーの。…こりゃあ頑張るしかありませんなぁ。」

 

加蓮の倉庫部屋のゴミ箱には、コンビニの袋と、レシートが捨てられていた。

 

 

 

 

 

「志保!静香!話がある!」

 

俺の教室に入ってからの第一声は、それだった。

もう二人共教室にいて、二人で勉強を教えあっていた。なんかにこやかだったのに、俺を見るなり複雑そうな顔をして、目を背ける。あらら、時間が解決してくれる作戦は失敗のようで。

 

「…何の話よ。」

 

志保が答える。静香は話してくれる気は無いようだ。

 

「昨日の話だ。…昨日は本当に悪かった!謝って許してもらえるか分かんねえけど、謝る!」

 

俺は土下座した。プライドが無いのかなんて言われそうだが、加蓮にも母親にも、ましてや5歳下の小学生にしまくってる身としては最早そんなものは存在しない。

 

「取り敢えず謝ってるって感じだけど、第一大河、自分がなんで避けられてるか分かってるの?どうして静香が怒ってるか、理由が分かって謝ってるの?」

 

「分からん!俺に女心なんて分かんねえし、フロントホックの意味は姉貴も教えてくんねえし、俺パソコンもスマホ持ってねえし、辞書にも乗ってなかった!でも違うって分かったんだ!静香に俺が何をしたかってのは罪であって俺の行動理念とは関係ない!俺が何かして静香が傷ついたってんなら謝んなきゃダメなんだ!」

 

「許さない…って言ったら?」

 

「許してくれるまで土下座する。」

 

「それでも許さないって言ったら?」

 

「志保には家まで行って陸と全力で遊んでやる。静香には週末うどんを作りに行ってやる。」

 

「「う…!」」

 

やはりこの最終兵器、強い!

相手はうどん大好きっ子と超絶ブラコン。このまま押せば行けるっ…!

 

「も、物で釣ろうって言ったってそうはいかないわ。」

 

「じゃあ何でもする!俺が出来ることなら何でもだ!だから、許してくれ!」

 

再び地に頭をつける。

しかし返答はない。ダメか…?

 

「ねぇ、大河。どうして、どうしてそうまでして許して欲しいの?」

 

「静香…?」

 

静香が喋り出す。こういう時は全部志保に喋らせる感じだから珍しいな。

 

「だって、普通に考えてこんなの嫌な筈!皆がいる教室で、土下座までさせられて、何でもするなんて約束までしようとして…。そうまでして私達と友達でいたい理由って何!?そこまでして私達と一緒にいて何が楽しいの!?」

 

こんなにズケズケ言う静香は珍しい。いつもは志保に全部言わせて、あんまり喋らないし。なんかの心境の変化でもあったのかもしれない。

 

「何で、って言われてもなあ…。うーん…。そだなぁ…。俺さ、お前らが怒ってむくれてんのあんま好きじゃねえんだよ。俺はお前らにはいつも笑ってて欲しい。お前らの笑顔が見たいんだよ。それに、志保も静香も可愛いし、それだけで男子にとっては一緒にいたい理由になんじゃねーの?」

 

「か、かわっ…!」

 

「それにさ、お前らといると楽しいんだよな。静香をからかって、志保に怒られて、俺が冗談言って、静香の恥ずかしがってる顔が見れて、んで志保に蹴られて、静香に殴られて…。あれホントに楽しいのか?俺もしかしてドMなのか…?」

 

「いい台詞の途中でそれはないでしょ…。」

 

「…ま、信じるって決めたわけだし。それに、一緒にいて楽しいからだよ。それじゃダメか?」

 

「うん…。すっごくいいと思う。私も大河と一緒にいると楽しい。直ぐにからかうし、常識もデリカシーも欠けてるし、正直責任取って欲しいけど、楽しいよ。…じゃあ、志保は?」

 

「え…?私?」

 

「そう!志保が私を思ってくれるのは嬉しいけど、過保護が過ぎると思うの!私、別にそんなに怒ってないし、正直昨日殴った時点で気は晴れてたの!でも志保は許さないオーラバンバン出してたから志保も何かされたのかと思ったら何もされてないし!私のために怒ってくれるのは嬉しいけど、だったら大河だって友達なんだから気を使ってあげてよ!」

 

いつもとは逆の立場、志保が怒られ、静香が責める。妹に叱られる姉みたいだ。

 

「は、はい!」

 

「いつもいつも全部二人でやっちゃってさ!私の意見とか最後の志保の聞いてくる『って言ってるけど、許す?』だけじゃない!私も2人と喧嘩したい!3人で喧嘩して、きちんと言いたいこと言い合って、それが友達なんじゃないの!?」

 

「「ご、ごめんなさい。」」

 

普段はあまり喋らない静香が、ここまで怒鳴ってることはそうそうない。確か前回は…。いや前回なんてない。マジで初めてだ!

 

そんな人の裏の顔というか本性というかなにか初めて見たものへ対しての驚きようを見せる俺と志保は、大人しく返事しちゃう。これはランキング改定ですね。

 

「じゃあ仲直り!」

 

俺の右手の小指と、志保の左手の小指を、静香は結ぶ。そして俺の左手と静香の右手、静香の左手と志保の右手も同様に結んでいく。

 

「これで仲直り。それとこれからはちゃんと喧嘩するって約束!いい!?」

 

「…ええ。」

 

「…おう。」

 

「「「指切った!」」」

 

教室のど真ん中に出来た円は、切れること無くそこに残る。それはまるで、俺達の仲は切れないことを象徴しているのかのように。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの…。なんで指切ったのに離してくれないんすか…?」

 

「許したこととさっきのことはまた別だから。陸の笑顔、楽しみにしてるわ。あと何でも権もね。」

 

「うどん。今月。毎週。いい!?」

 

「痛い痛い切れってお前等違うそうじゃない切ると折るは違うもの別物だから馬鹿馬鹿馬鹿あと何でもって言ったけどせめて回数制でお願いしますぅ!」

 

前言撤回。早く切らせろ。

 

 




紹介

最上静香
遂に名が判明した時間のない方。うどん、もがみん、逆に他に誰がいるの?って思われてそうだからマジで皆が知らない奴にしようかと思ったけどしずしほ見たい…見たくない…?元はクソザコナメクジコミュ力無口系クソザコナメクジパンチャーうどんウーマンだったが、この作品中では大河と志保のおかげ(せい)でレベルアップ。この件により消極的P大好きもがみんの未来ちゃは潰え、Pの胃に風穴が開く。


北条大河
何でもする方。フロントホッカー。


北沢志保
今ルートを大河にするか静香にするかPにするか陸にするか悩み中。


北条加蓮
ついにタイトル回収!なお出番。


4人以上で割引のスイーツバイキングのチケット
都合の良いマジックアイテム、こんなのあるかい!って思ったお前、ちょっとお口チャック。3+1は4であるという当然の事実はそれは地獄だという証拠。

壁壁壁壁壁壁壁壁壁壁壁壁壁壁
壁 大河 机机机机 加蓮 壁
壁 ?? 机机机机 ?? 壁
通路通路通路通路通路通路通路

はい絶望。


陸を…笑顔に…。
俺は…スマイルワールドを捨ててしまったぁぁぁ!!!


うどん。今月。毎週。
通い妻召喚の呪文。


なんでもするから許してくれ!
ん?今なんでもするって言ったよね?


フロントホック
何故タグが付いていないのか、この小説の七不思議である。


ランキング
1位 育様
2位 はぐらかさない方
3位 加蓮
4位 もがみん←NEW!
5位 志保
6位 甘奈

圏外 もふもふな方

論外 ロリバ
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