加蓮に!清き!一票をぉぉぉぉぉ!!!今度こそ!総合優勝じゃあぁぁぁぁぁ!!!
加蓮に…入れようね!(ダイマ)
ボイスの方は大石泉、砂塚あきら、八神マキノ辺りを推しておきます。
私は、不幸だったんだって。
ずっと、周りにそう言われてきた。
親にも、友達にも、先生にも、『お前は不幸』と、まるでレッテルを貼り付けられるように口々に言われ続けてきた。
私は、それがずっと嫌だったんだ。
どうして、私は『不幸だから』で全てを片付けられてしまうの?
どうして、私は『不幸だから』で夢を諦めなきゃいけないの?
だったらあんた達は、『不幸だから』って言って、全部諦めて受け入れられるの?
私は全然不幸じゃない。
確かに身体は弱く、子供の頃は不自由な暮らししかできなかった。
大人の怖さを知ったし、家族にも迷惑を沢山かけた。
でも私には夢があった、希望があった、両親もいた、五体満足だった、未来があった、命があった。
そして―――
『しったか気取ってんじゃねぇよこの社会の犬共が!そうやって憐れんでりゃあ心傷ついた少女に心打たれた観衆が靡くと思ったら大間違いなんだよ!』
『医者どころか人間の誇りも捨てたド畜生が!穢れた手で加蓮に触ってんじゃねぇ!』
『そうじゃないだろ、そうじゃねぇんだよ!お前らが加蓮に掛けてやる言葉は謝罪の言葉じゃねえだろ!『愛してる』って!たったそれだけだろ!』
―――大好きで、ツンデレで、面倒くさがりで、ちょっとズレてて、可愛い可愛い
私が初めて弟の顔を見たのは、私がまだ1歳の時だった。
私はその時から身体が弱く、大体は布団の上で咳をしていた。
その時に生まれる子供、身体を崩し入院することになったまだ1歳の娘。
両親達は本当に苦労していただろう。
父は仕事をして金を稼いで、母と弟の面倒を見て、私の体調も慮って。
そうして、大河が生まれた。
泣きじゃくる赤ん坊に少し気味の悪さを覚えながら、おずおずと右の人差し指を差し出す。
弟はそれを不思議そうな目で見た後、不意にそれをギュッと掴み、にぱぁっと笑ったのだった。
それを見て、私は退院したらこの子と沢山遊ぼうと思った。元気な子だったら外でキャッチボールとか、大人しい子だったら部屋の中で折り紙でも折ろうか。
そうして、その思いを募らせた私は春を過ごし、夏を過ごし、秋を過ごし、冬を過ごした。
私は、未だベッドの上だった。
春が過ぎた。夏が過ぎた。秋が過ぎた。冬が過ぎた。過ぎた。過ぎた。過ぎた。過ぎた。
私は、ずっとベッドの上だった。
「治らない…ってどういうことなの!?」
「医者の話では、命に別状がある訳では無いらしいんだ。だけど加蓮はベッドから立ち上がることはできないそうだ…。治療とリハビリを続ければ可能性はあるらしいが…前例は、殆ど無いらしい。」
夜、私はなんでか寝付けずにいると、少し空いたドアの隙間から、ほのかな明かりと共に両親のそんな会話が飛び込んできた。
病名は、頭に入ってこなかった。
「治ら…ない…?」
それはつまり、私は一生ここにいるということか。
他の子のようにオシャレもできず、他の子のように好きなものも食べれず、他の子のように遊ぶこともできず、他の子のように友達と話すこともできない。
私は、全てを奪われたんだ。
8歳の私は絶望を知り、心配させてたまるかと昼は気丈に振舞って、1人で夜な夜な泣き続けた。
私を支えてくれたのは、大河だけだった。
両親は、真実を伝えられない罪悪感か、はたまた看病することの無意味さにか、それとも不治の病への莫大な投資からか、段々と私への態度が素っ気なくなっていった。
父はやがて病院に顔を出さなくなり、母は生活必需品を持ってきてくれるだけの存在になった。
きっと、私のことを心配じゃない訳では無いのだ。
でも2人には、大河をちゃんと育てる必要が、義務がある。
だから、多少私に冷たくなっても、私の入院代を払ってもらえてるだけありがたいと感じるべきなのだろう。
でも、大河は違った。大河だけは。
毎日。言葉の綾でなく本当に毎日、大河は病院に顔を出した。
家からそう近い訳でもない、大きな病院に、1人で、自転車で、傾斜のある坂を上りながら。
駄目だと思った。
これ以上私のために彼に時間を使わせてしまったら、大河の人生までも滅茶苦茶になってしまう。
私が大河をここに縛り付けてしまったら、大河は私と同じ人生を送ることになるのだ。
友達も、夢も、何もかも失って、独りになってしまう。
そんなのは嫌だった。自分がそうなるよりも、家族がそうなってしまう方がずーっと嫌だった。
『は?別に姉ちゃんのために来てんじゃねーし!違うし!看護師さんと仲良くなりたいからだし!』
『姉貴の為に来てなんか悪いの?俺はこっちにいる方が楽しいからいいんだよ。あんな奴らとつるむより、姉貴に勉強教えてやる方がな。』
『加蓮1人で苦しむよりはいいだろ。家族なんだ。一緒に苦しませてくれたっていいだろ。』
大河は、決して私を独りにはしなかった。
クラブにも委員会にも入らず、友達と遊びにも行かず、打ち上げにも行かず、授業が終われば決まって私のいる病院に来て、学校の勉強を教えてくれたり、クラスの出来事を教えてくれたり、今の街並みを教えてくれたりした。
『あーもうだからさぁ!分数の掛け算は下と上で約分できるわけ!あー違う違う割り算は引っくり返して掛け算にするんだよ!』
『今日は運動会だったんだけどさ、皆嫌がるんだわ、長距離走。でもって大抵クラスのお調子者か弾かれ者が走るわけでさ、俺が案の定選ばれたんだよ。手抜いていいよな?』
『病院のちょっと前になんかパン屋がオープンしててさ、ちょっと買ってきてみたんだ。食おうぜ。…え?看護婦に止められてる?んなのバレなきゃいいんだよ、お堅いこと言うなって、ほらほら美味いぞ〜。』
でも、いつでも大河が傍に居てくれるわけでなかった。
大河にも学校の授業や行事があったし、働く両親のために家事もこなしていた彼に、それだけの余裕は無かった。
―――そんなひとりぼっちの私の心を埋めてくれたのは、テレビに映る
初めてそれを見た時、私の中で何かが変わった気がした。
これだ。って思った。
私もこんなふうになりたいって、輝きたいって、夢を与えたいって思った。
「先生。私にリハビリをお願いします。」
「…何を言っているんだ。リハビリがどれほど辛いことなのか、分かって言ってるのか。君の足は、まずリハビリができるほどに動かない。しかも、治る見込みもないんだぞ。いたずらに身体を痛めつけるだけだ。辞めておきなさい。」
主治医には、そう返された。
どんなに頼み込んでも、許されることは無かった。
それから、1年が過ぎた。
それでも私は、アイドルを諦めきれなかった。
一晩中その姿を見て泣き、一日中医者に頼み込んで、断られて、気を紛らわすためにアイドルの姿を見る。
1年経っても、私はアイドルを夢見た。
だから、あんな怪しそうな医者に、頼み込んだんだ。
「お願いします…!私に、リハビリを…!」
「ふ、フヒッ!いいよ、けどさぁ、僕だって上司に逆らってやる以上、それなりの対価は頂くよぉ…?」
その男は、医者にあるまじき不潔な男だった。
太っていて、眼鏡で、髪は脂でテラテラしていて、まるで医者に見えない男だった。
後で知ったことだが、そいつは院長の息子で、コネで入っただけの医学のいの字も知らない男だったらしい。
今考えてみてもその時の私は、頼るべき人を間違えに間違えたのだろう。
「対価…ですか…?でも、私個人で今渡せるものなんて…。」
「あるじゃないか…。ここになぁ!」
男は、私の服の襟を思いっきり引っ張った。
ブチブチッという音とともに、ボタンが弾け飛んだ。
桃色と白のチェック柄の服の合間から、飾り気のない白の下着が露わになる。
「え…?だ…だ―――むぐっ!」
状況が理解できなかった。
叫ぶまでに、口を塞がれ、ベッドに押し倒される。
「ふ、ふ、フヒヒィッ!前から君のことは気になってたんだよねぇ!こんなに可愛い娘が、病院でただ寝てるだけなんて勿体ないだろう!?」
男の舌が、私の肌に触れる。
(き、気持ち悪いッ…!だ、誰か…!助けて…!)
「助けなんて来ないよぉ?部屋の前には関係者以外立ち入り禁止の貼り紙をしておいたし、君の両親は今お仕事中だろう?そして弟も今は学校だ。他の医者も別件でこの病院にはいないし、看護師は貼り紙で入ってこれない!君は諦めて僕を受け入れるしかないんだよぉ!」
(嫌…!嫌ぁ!助けて、たすけて大河ぁ!)
「俺の姉貴に―――」
「ひょ?」
「穢れた手で触ってんじゃねぇよ!」
バキッ!
「ぐえっ!」
私に覆いかぶさるようにしていた男の右頬を、後ろから全力のハイキックで蹴飛ばしたのは、それは―――
「な、何故ここに入ってきた!関係者以外立ち入り禁止の貼り紙が見えなかったのかぁ!」
「悪ぃな。関係者だ。」
―――北条大河、私の自慢の弟だった。
とは言え、大河はまだ小学生。
大人である
「ふーん…。君、一人かぁ…!」
男の
「ダメぇッ!大河!逃げて!」
「邪魔しやがってぇ!ここで死ね!」
男は拳を振りかぶる。
大河は、その拳を。
「え…?ぐ、ぐわあぁぁぁぁ!!!い、痛いよ、痛いよぉぉぉ!!!」
「………………。」
大河は、叫ぶ男に対して何も感情を持たないかのような顔で、見つめ続ける。
まるで、それが当然かのように。
人を傷つけたことを、なんとも思っていないように。
それからの事は、ハッキリとは覚えていない。
だからこれは、大河から聞いた話だ。
男の叫びを聞きつけた医者や看護婦が押し寄せ、その惨状を目の当たりにした。
そして未だ血に濡れた鋏を握りしめる大河を拘束し、警察を呼んだ。
状況証拠で見ても、そうでなくても院長の息子。それに目撃者は
男が院長の息子であり、罪を逃れるための証言を男がし、それを大河が否定しなかったことから、大河は警察に連行されかけた。
「悪い…加蓮。でもどうしても放っておけなかったんだ…。」
そうして大河は、私のベッドの下から、ボイスレコーダーを取り出した。
男は
そして、大河は、私の
それだけだった。
でも、私はそれだけでは済まなかった。
「嫌…!嫌だ!近付かないで!」
男の人が、急に怖くなった。
同じ患者でも、医者でも…実の父親でさえも。
触れられることも、近付かれることも、話すこともできなくなった。
どうしても、怖いのだ。
急にこの人が豹変したらって。この人が暴れたらって。今度こそ、私は乱暴され尽くしてしまうのではないかと。
「落ち着け!大丈夫!大丈夫だから!」
でも、大河だけは大丈夫だった。
大河だけはそんな事しないって、心のどこかで感じてたから。
それからの私は、今まで以上に大河に依存するようになった。
大河がいないと、不安で何もできなくなった。
怖くて、恐ろしくて、あの背中だけが安心を与えてくれた。
このままじゃダメだって、心のどこかでは理解しているけど、感情がそれを許してはくれない。
私は大河の寄生虫になった。
『いいぜ、今日は学校サボるわ。ずっと一緒にいてやる。』
『怖くなったら直ぐに呼べ。一瞬で駆けつけてやるから。』
『俺は自分の人生が無茶苦茶になるより、加蓮の傍に居れないことの方がやだね。』
『姉貴を守んのが…弟の仕事だろうが…!』
しかし、私が中学生になろうとしていた頃、転機は訪れた。
地元で行われた、病気の子供達へのチャリティーイベント。
そのステージに立ったのは、アイドルだった。
キラキラとした衣装。輝く照明。綺麗な歌声。汗が光るダンス。
病気で動かない身体でもなく、男に怯える心でもなくて、一人で何でもできてしまう。
全部、私にはないものだった。
それが憎たらしくて、疎ましくて―――
―――私は彼女に、拳を振るった。
バチンッ!って音が響いた。
「ちょ、ちょっと君!?何してるんだ!?」
「れ、麗さん、下がってください!」
周りの大人達が、警戒の色を露わにする。
周囲の子供達の、ざわめき声が消える。
車椅子を押してくれていた両親は、周りに頭を下げ、私を叱責する。
それでも、私は、アイドル―――青木麗を睨み付けることを止めなかった。
「下がれ。子供が怯えているだろう。ここは私が何とかする。」
青木麗は、何事も無かったかのように前を向き、少し赤くなった頬を気にすることもせずに、加蓮に向き直す。
「何故…拳を振るった。その理由を聞こう。」
「話す必要なんてない!話したって、あなたには一生かかっても分からない!
「…続けろ。」
そのアイドルの一言に、私を取り押さえようとしていたスタッフや両親たちの手が止まる。
まるで、私の
「ッ―――!!!」
それが、その哀れみが、私の怒りを加速させた。
「…ふざけないで!ただ歩けることがどれだけ幸せなのかも知らないくせに!こんなイベントを開けるだけで恵まれてることも忘れたくせに!アイドルを『目指せる』、ただそれだけを望みとして、渇望して、求め続けて!それでもッ…手に入らなかったものを…!私の前で振りかざすな!」
「くだらんな。」
「なッ…!私の願いを、命を懸けてでも叶えたいこの願いを、何も知らないあなたが―――!」
「何も知らないからこそだ!」
目を見開き、両の足を地につけ、
「甘ったれるなと言っている!望みがなんだ、求めるからなんだというのだ!幸せ?恵まれている?
アイドルは、私の膝に、一枚の紙きれを投げ渡してきた。
「ここまで追い付いてこい。お前の覚悟、見届けてやる。」
その紙には、『346プロダクション』と書かれていた。
去っていくアイドルの姿を見つめながら、加蓮は後ろで呆然としている両親へと呟いた。
「お父さん、お母さん…決めた。」
「私、アイドルに
「無理だ…。無理なんだ加蓮ッ…!お前にはまだ伝えていないが…。お前は、アイドルにはなれないんだ…。お前がアイドルのファンなのは知ってる!それに勇気づけられてきたことも!でも…!お前の体は、そうなれないようになってしまったんだ!」
病室で、改めて私の想いを両親に伝えると、父は激しい剣幕で私を怒鳴った。
でも、私は負けられない。
私は「なりたい」じゃない。「なる」って決めたんだから。
「知ってるよ、そんなこと。お父さんとお母さんには迷惑かけることになると思う。でも、無理じゃないよ!不可能じゃないんだよ!治るかどうかなんて分からないでしょ!?1パーセントでも可能性があるなら私は挑戦したい!」
「そうは言ってもね。加蓮。あなたが夢を追いかけたいことには私達も嬉しい。でも、理想だけじゃどうにもならないのよ。リハビリって口では軽々しく言えるかもしれないけど、それがどんなに辛いものか分かっているの?動かない足で、痛む体を引きづって、それで治る保証もないのよ?そんな苦痛、あなたに耐えられるの?」
「耐えられるッ!私は、アイドルになるためなら何だって犠牲にできる!たとえそれが…命だとしてもッ!」
「加蓮…。」
優しい口調の母を、激しい声で弾き飛ばす。
私の覚悟は、そんなものでは無い。
「加蓮、お前の覚悟は伝わった。リハビリ代はどうするんだ?アイドルになってからの資金は?情けない話、今の俺達に余裕なんてない。お前をアイドルにするには、どう考えても金が足りないんだ。」
「ッ…!」
それを言われると、弱い。
私自身が資金を持っていない以上、どうしたって払うのは親頼りになってしまう。
しかしそのとき、横槍が入った。
「だったら、俺の入学金を使えよ。」
「…大河!?いつから聞いていた!?」
いつの間にか空いていたのか、扉のところで腕を組んでいた大河が、そう言った。
「ダメ、もうこれ以上大河を縛れないよ!これ以上私の人生に巻き込んでしまったら、大河は本当に私一人のために人生を狂わすことになる!それはダメ、それだけはダメ!」
「『1パーセントでも可能性があるなら私は挑戦したい』じゃなかったのか?加蓮のアイドルへの憧れは、弟一人犠牲にできないほど軽いモンなのかよ。…どのみちお前は、他のもの見てる余裕はないんだ!踏み台なんて振り返ってる暇があるんなら、もっと先へと進んどけよ!」
「…いい加減にしろ、大河!お前が加蓮のことを好いているのは知っているが、人のために自分が不幸になるなんて間違ってる!その代償行為は、誰一人として幸せにはならない!」
「だったら、これ以上加蓮から夢を奪うつもりかよ!望んで、焦がれて、失って、失って失って失って!…これ以上、何を奪うつもりだよ!」
黙り込む父と母。
きっと、彼らも答えは持っている。
どう反論すべきなのかもわかっている。
でも、それを言う資格は自分たちにはないとも気付かされる。
―――だって、本当に加蓮と真っ直ぐぶつかっていたのは、大河だけだから。
「それに、俺も自分から不幸に身を落とそうってわけじゃない。」
大河は、机の上にある高校のチラシを置く。
「これを受ければ、学費はタダでいいはずだろ。これで、何迷うことなく、加蓮はアイドルを目指せるんだろ!?」
そこに置かれた高校は、偏差値ほどそう高くないものの、給与型奨学金―――つまりは国から手当を受け取れるようだ。
これで、資金面はクリアできるはずだ。
そこまでしても、両親は首を縦に振ろうとはしない。
そこまてしても、どうしても怖いと思ってしまうのだ。加蓮がこれ以上壊れるのが、大河にこれ以上のめり込む加蓮の姿なんて見たくないと。
小学生が学費のために高校を決めるなど早急すぎるし、第一この高校で満足できるかも分かっていない。もし他にやりたいことや行きたい場所ができたとしても、彼に選択肢などもうないのだ。
だから、否定しよう。
彼の全身全霊を、こちらも全力で否定しよう。
それが、息子と娘に対する、唯一の贖罪なのだと、父は思い、口を開
「ビビってんじゃねぇぞ!!!」
「「ッ!」」
「どこまで逃げれば気が済むんだよ!加蓮が治らない病気であることを隠して!俺の学費をこっそり貯めてることも隠して!加蓮の願いからも俺の思いからも逃げようってのか!?ぶつかって見ろよ!1回くらい!全身全霊で、ぶつかって来いよ!尤もらしい理由つけてなあなあで対応してれば大人になれると、大人であれると思ってたのかよ!お前らの思いやりは全部保身のためじゃねえか!娘の願いを叶えてやれない自分達は、正しい行為をしてるんだって周りにアピールしてぇだけか!?心の底から!本気で喋れよ!」
「…んだよ。」
「あ!?聞こえねぇよ!」
「もう嫌なんだよ!なんで加蓮なんだ!?どうしてウチの娘ばかりが不幸な目に遭わなければならないんだ!ただ病弱なだけだった!でもちょっと元気な子だった!テレビでしか見ることのできないアイドルに憧れているだけの、ただの女の子だった!物でも壊したか!?人でも殺したか!?何もしていない!加蓮は何もしていないんだ!なのに…なんで、なんだって加蓮ばかり奪われなければならない!他の奴らはどうしてのうのうと暮らしている!?俺はそれが憎くて憎くて仕方が無いんだ!神はどうして…加蓮を助けてくれないんだって、何度呪ったことか!何故救われない…!どうして報われないんだ…!そうでなきゃ、どうして加蓮は生まれてきたんだって言うんだッ!!!」
「…いい加減にして。加蓮がこれ以上泣いているのをもう私は見たくない!アイドルへの憧れも、それに対する熱意もすっごくよく知ってる!でも、それ以上にッ!…あなたが悲しんでる姿の方がもっと知ってるの!!!お母さんですもの、知らない筈がないでしょう!それを加蓮が隠そうとしてるのもよく分かってる!…ならどうして!散々奪われて、失って、悲しんで、悔しんで!どうしてあなたは…何処かを目指すのよ…!?もうこれ以上あなたが苦しむのを見たくないの…!ねえ加蓮!お願いだから!あなたはこれ以上奪われてはいけない!ねえお願いよ…。なんでも好きなもの買ってあげる…。なんでも好きなことさせてあげる…。だから、だから…。もう、あなたは涙を流さないで…!」
父は壁に拳を打ち付け、母は泣き崩れ落ちる。
私の責任だ。
私がアイドルになりたいとなど言わなければ、お父さんもお母さんもこんなに悲しまずに済んだのだ。
こんなにも怒る父を見たことはなかった。
こんなにも嘆く母を見たことはなかった。
どれもこれも全部、私のせいなのだろう。
ずっと、我慢させてきた、私のせいなのだろう。
(アイドルは、皆に笑顔を届けなきゃ、ダメなのにッ…!)
「二人の気持ち、すっごく伝わったよ…。でも、それを聞いても私の気持ちは一切揺るがない!お父さんを絶望させるかもしれない!お母さんをまた泣かせるかもしれない!それが分かっていて、それがどれだけ親不孝で、どんな我儘で、それがこれまで養われてきた恩を仇で返す行為だと知っていても、でも、それでもッ…!私はアイドルを目指すんだ!これしかなくて、これしか選べなくて…それが『北条加蓮』なんだよ!」
「「………………。」」
娘の叫びに、二人はしばらく何も喋れなかった。
私達の娘は、こんなにも自分の意見を真っ直ぐ貫き通せる子だったのか。
私達の娘は、ここまでの覚悟ができているのか。
先に口を開いたのは、母だった。
「我儘…ね。そうよね、そう。…ねえあなた。加蓮が、私達に我儘言ったのって、いつぶりかしら…。」
「我儘…。そういえば、加蓮が自分のやりたいことを言ってくれたのって…。」
「初めてだよ、親父、お袋!加蓮は…姉貴は初めて我儘言ったんだ!叶えてやれよ!欲しいもの全てを我慢して!家族の温もりさえ我慢して!たった1人で戦い続けてきたんだぞ!…少しくらい、我儘言ったって…いいじゃねえか!」
大河の決死の言葉に、二人は心を揺らす。
「家族の温もり…か。ちゃんと向き合えてたのは、大河だけだったのか…。決めたよ。金は俺がなんとかする。大河も手伝ってくれるみたいだしな。だから、全力でやれ、加蓮。お前は家族の『夢』だ。俺達の想いを、お前に託す。」
「これまでごめんね…加蓮。一緒にいてあげられなくて、支えになってあげられなくて。でも、これからは違うから…!私達家族が、あなたのこと全力で支えるから…!だからあなたは、あなたの好きなように、あなたの我儘を、貫き通しなさい。」
「…違ぇよ、母さん、親父も。そうじゃない、そうじゃないんだ。加蓮にかけてやれる言葉は、謝罪の言葉じゃない。…そうだろ?」
「ああ。」
「そうね。」
「俺達に本音を告げてくれて
「私達に我儘を言ってくれて
「「加蓮、ありがとう。」」
「―――うん!」
涙を流しながらも、少女は笑顔でそう答えた。
そして。
私は今、此処にいる。
「緊張してる?奈緒、加蓮も。」
「あ、当たり前だろ!こんなデカいステージで、こんなにも大勢の前で、こんなフリフリの衣装着て踊って歌うんだぞ!そりゃ凛は経験あるから落ち着いてるのは分かるけど、私は初めてなんだからな!うぅ…。」
「奈緒はやっぱり緊張しまくってるね…。加蓮は?思ったよりも冷静だけど。」
凛がこちらに話を振ってくる。
一番年上のはずの奈緒がこんな状態で、一番年下である凛に支えられてるなんてなんだか間抜けな姿に見えるが、私も正直言ってそこまでの余裕はない。
「まさか。私も内心バクバクだよ。」
「にしては、冷静なように見えるけど?」
「うん。大河と麗さんにみっともない姿見せられないしね。それに―――
―――私の目指すところは、まだまだ上にあるから。
さあ、幕開けだ。
父親は道を閉ざす。
母親は手を引いて止める。
そして不幸が、地獄へと足を引っ張った。
その道は、少女が突き貫いた。
その手は、少女が振りほどいた。
その不幸を、弟が消し飛ばした。
そしてその奥にアイドルは待っている。
さあ、進め。頂点まで、一直線に。
※こっからふざけます。しんみりしてたい人は見ないで。そして加蓮に投票して。
北条大河
『親父』『お袋』姉の『加蓮』呼び。鋏を人に向ける。高校決めてる。両親にキレて諭しに行く。
こいつまだ小学生だぜ…?
どちゃくそシスコン。
ほんへと言ってること違い過ぎだよなあ!
北条加蓮
病弱強化。病名は知らん。
なりたい一点張りマン。
青木麗
アイドル→トレーナーに転向した設定。
『ここまで追い付いてこい。お前の覚悟、見届けてやる。』
嘘はついてない。
デブ医者 ※こんなの読まなくていいから加蓮に投票して。
彼は生まれながらにして勝ち組だった。父親は医者、母親は弁護士。その上一人っ子であり二人の愛情を全て受けて育ってきた。忙しい両親に代わって面倒を見てくれていた祖父母は有名企業の元社長で今も相談役として活躍している。彼の欲しいものは何でも買ってもらえたし、勉強ができなくても運動ができなくても誰からも怒られることはなかった。両親は学校に多額の寄付を送っていて、教師陣も彼に怒ることはできなかったし、したものは次々に地方へと異動させられていった。何でも欲しいものを買ってもらっていた彼は、クラスでも表面上では逆らえるものはなく、仲良くなることが全生徒の目標だった。中学でも彼の性格は変わらず、彼の暴虐は続いていった。そして中学二年生の冬、遂に彼は一線を越えた。何でも言うことを聞く男子生徒を使って、クラスでも人気の高かったマドンナ的存在に襲い掛かったのだ。そして彼はそれを成功させ、他の男子生徒は法を犯した彼が居なくなると、期待していた。しかし、そのまま彼は逮捕されるどころか退学させられることもなくのうのうと学校生活を送っていた。それもそのはず、女子生徒は学校にも警察も襲われたことを訴えなかったのだ。もし訴えれば、彼の祖父母が相談役をしている会社に勤めているその父親が、職を失ってしまうのだと考えたのだ。泣き寝入りした女子生徒を見て彼は気付く。自分は、何をしても許される存在なのだと。彼の暴虐はそこからヒートアップしていく。高校に入り、彼は街でも有名な不良グループに入った。そこでも彼は金と権力を用いて不良を顎で使い、女をひっかえとっかえする生活を送っていた。そこで彼は遂に権力にも金にも屈しない人間を見つけた。しかし、その男すら彼が殴っただけでノックアウトされてしまった。彼は肉欲と暴力のまま生き、権力を誇示するために父に頼んで医者になった。看病という名のセクハラを可愛い患者を見つける度にしまくり、脅迫用の写真を撮って、好きなように性欲のはけ口とした。ある日、彼は用事で他の病院を訪れた。そこにいた少女に、彼の心は打ちぬかれた。その名は、北条加蓮。面会しに来るのは、弟のみ。検査も一週間に一度。病室に来る人間はいない。彼の口は、醜悪の笑みを見せた。計画の実行は、その翌日だった。彼女がリハビリを望んでいることも、彼女の主治医がそれを拒んでいることも、彼はもう掴んでいた。そうして、彼は少女に襲い掛かった。しかしそれは、本来対策の済んでいた筈の男に阻まれた。北条加蓮の弟、北条大河によって。相手は小学生だった。腕力でも、策略でも、負ける訳が無かった。これまで、負けたこともなかった。なのに、何故か自分の身体は傷つけられていた。なのに、何故か自分は牢に収監されていた。初めて知った敗北だった。どうしてか、何故か。何故自分は負けたのか。権力も財も腕力も何もかも劣っているたかが小学生のガキに何故自分が負けたのか。20年後、彼は懲役を終えて久しぶりに社会に戻った。そうして彼は、コンビニに入って、新聞を見た。その表紙には―――
「なんだよ。そりゃあ俺の負けに決まってんじゃねえかよ…。」
その表紙には。
あ、嘘です。
そういや結局ノクチルプロデュースもしてなければコミュも見てないのでよく詳細を分かってないのですけど、浅倉は財布を持ってない人ってだけ分かってればいい感じですか?