流星堂の居候 - Unintended hareM -   作:津梨つな

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まだまだ続きそうなので、よろしくお願いします!


5-3:質屋 天使と魔物

 

 

待て待て。一旦落ち着いて整理しよう。

 

さっき有咲に促されて風呂に入るために脱衣所(ココ)に来た。

で、有咲と香澄があっちの部屋にいたのだからこの家に居る残りの人間は俺と万実さん。

この時間帯だと万実さんは大体台所で何かやっているはずだから、誰にも会うはずがない…。

 

その前提条件の元、脱衣所の扉を開けた、筈だったのだが。

中には女性が、それもかなりの、"美"の文字を飾るに相応しい容姿の女性が居たんだ。

慌てて閉めたが為にチラ、としか見えなかったが多分そうだった。

因みに、脱衣所という場所を考えればおかしな所は無いのだが、その女性は生まれたままの姿

つまり裸だった。

これから入浴なのか終えたところなのか…。

色々疑問点を含めた上で取り敢えず

 

「えっと…どちらさん?」

 

扉越しに問いかける。

 

「あ、はいってまぁす。」

「知ってる。で、あなたは…お客さん?」

「お客さん?いらっしゃいませ~」

 

妙に噛み合っていない会話と共に、扉が開いた。

 

「!?…ッ!」

 

咄嗟に目を覆い、色々と露わになった目の前の肢体を見ないようにする。

 

「??はっ…!今の私…そんなに眩しい?」

「うん!?いや!そうじゃなくて!服着て!服!」

「…?着てるよ?」

「…なんだ着てんのか。」

 

ゆっくり目を開く。

……何というか、うん、確かに服を着ろとは言ったし着てるっちゃ着てるね。

でもその、胸の辺りとか見るに…

 

「服()()着てないな?」

「???でも、服着てるよ?」

「…これからお風呂?」

「これから?もうお風呂はそこにあるけど…?」

「えーっと…これから入る所かい?」

「一緒に入ります?」

「お断りします。」

 

 

話していると頭痛がしてくる。

全く通じていないって訳じゃないんだけども、会話が成り立っていない気がするのは俺だけか?

何にせよ、これから風呂に入るっていうんだから俺は邪魔だよな。

部屋に帰ろう。

 

 

「邪魔したね。

 どうぞ、ごゆっくり。」

「いえいえ、お客さんもごゆっくり。」

 

 

お客さんは君だ!…と言うとまた話が長引きそうだったので適当に流して帰る。

何なんだあの子。

結局手持無沙汰になっちまったし、もっかい有咲のとこ行ってみよ。

ついでに俺臭うかも訊こう。

 

部屋の前まで来たが…。

何だろう、声が多い気がする。

聞き耳を立ててみると…。

 

 

「あーりさー。」

「な、なんだよ。」

「ありさってやっぱり…おっきいねえ。」

「ば、馬鹿!着替えぐらいさっさとしろよ!

 そんな余計なとこばっか見るなって!」

「もー香澄燥ぎ過ぎじゃない??…まぁ、こういうお泊り会とかってテンション上がっちゃうのはわかるけどさ…」

「えー?だってぇー。

 あ!!あれ!?さーや着替え早い!!パジャマ可愛い!!」

「香澄も早く着替えしちゃったら?…あと、有咲にブラ返してあげな?」

「ほんとだよ!早く返せ馬鹿!!」

 

 

…うん、3人いるね。

とても聞き捨てならない会話をしているようだけど、恐らく着替え中だし入るわけにはいかないな。

にしても…。

 

 

「さーや…?また新しい友達か…?」

 

 

なんだか何処にいても居場所がない日だなぁ…。

ただまさかこの部屋に突入するわけにもいかないし、風呂の方も確実にまずい状況になるし…

とうんうん唸っているうちに部屋の中に動きがあったようだ。

 

 

「…それで?有咲は結局言えなかったんでしょ?そのお兄さんに。」

「うっ…まぁな。

 さっさと言っちゃえばーとか思ってたんだけどさ、いざ目の前にすると…なか無理だったってゆーか。」

「私が代わりに言う??」

「香澄が言っても仕方ねーだろうが。」

 

 

さっきの話か。

やっぱ何かしら伝えたかったのにダメだったって流れがあってあの対応なのか。

…しっかし、この態度の有咲は慣れねえな。絶対普段の方が可愛いのに。

 

 

「なあ、沙綾。」

「なに?」

「いっそ言わないってのは…どうかな。」

「……内緒で活動するってこと?

 でも、有咲にとって大切な人なんじゃないの?」

「だって…何か面と向かって話すの、恥ずかしーじゃん…」

 

 

揉めてる?揉めてんのか?

…これ、要は俺が話を聞けば済むって話だよな?

 

 

「有咲ー?いるか??」

 

 

そう思ったら声に出てたよ。

治らんなぁ頭より先に行動しちまう癖。

 

 

「えっ!?あっ!ちょ、ちょっとまって!」

「忙しい??」

「えっとっ…その…」

「あーりさー!ファイトだよー!」

「う、うるせえ!えっと…あ、か、香澄が!香澄が今裸だから駄目だ!開けないで!」

 

「なにっ!?」

 

 

がらっ。

……だってもう我慢できなかった。

裸だぜ?あの香澄の、裸だぜ?

 

 

「…服着てんじゃん。」

「もー大樹さんえっちぃー。」

「お前…まじか…。」

 

 

香澄はしっかりとパジャマを着ていた。

星が散りばめられたデザインの可愛らしいワンピースタイプだ。

かわいい。

 

ただ。

()()()着ていなかった。

服どころではなく、下着も。

要するに、有咲のお持ちの立派なあれが投げ出されている状態で。

その状況で妹もへったくれも無いわけで。

 

 

「ぁ……あ………!」

「わりい!有咲!素敵だ!ごめん!」

 

 

訳のわからない中でも伝えたいことは叫んだつもりだ。

慌てて部屋の外に出る。

このパターンも慣れたものだな…。

 

流石に素肌の状態で見たのは初めてだ。

今まで無防備な姿は見ていたが全部下着はつけていたし、二人きりだったし。

やれやれ、また謝ることが増えてしまった…。

 

 

「有咲、大丈夫?早くブラ返してあげたらよかった…」

「う……ほんとだよ……。」

「さっきのがお兄さん?……ガッツリ見ていったね。」

「大樹さんっていうんだよ!すごい優しいの!」

「優しいとしてもあのガン見は引くわ。」

「引く?引いてるの?」

「えー…だってさ、関係性も正直よくわからないけど、男子と女子だよ?

 そんなに年も離れてないし。…それでガン見ってやばくない?」

 

 

あ、俺あの沙綾ちゃんって子に最悪な印象与えた気がする。

有咲の友達なら今後関わりもあるかもしれないのに…頭が痛いな。

 

 

「やばいのかなぁ…でも、有咲ちょっと嬉しそうだよ?」

「へ?」

「ほら、口がニヤニヤしてるもん。」

「はぁ?そんなことあるわけ……有咲?」

「ち、ちげえし!ばっかじゃねえの!!

 ちょ、ちょっと暑くなったから涼んでくるわ!!…お前も早くそれ返せ!」

「あっ。」

 

 

がらっ。

今度はちゃんと寝巻きを着た、真っ赤になった有咲が出てきた。

 

 

「ッ…!ひ、ヒロにい、行くよっ。」

「お、おう?」

 

 

むんずと右腕を掴まれ、そのまま引っ張られるようにして歩き出す。

この方向は居間か。

 

居間には幸い誰もいなく、真剣に話をするにちょうど良さそうだ。

 

 

「有咲?なんだってこんなところに急に?」

「ヒロにい。聞いて欲しいことがあるの。」

「ん。」

「えと…ここ、座って。」

「お?おう。」

 

 

これはどうもご丁寧に。

座布団を出してくれるのかMySweetSister。

正座は苦手だが、折角だから座らせてもらおう。

座布団に座り、膝をぽんぽんと二度叩く。

 

いつものように有咲が上に座り俺に体重を預け―――

 

「ちがう!私はこっちに座るの!」

 

 

あぁ、それで座布団ずっと持ってたのか。

 

 

「すまん、いつもの癖でつい。」

「もう…後でして!」

「おう。…それで、聞いて欲しいことって?」

「うん……。すーっ、はぁぁああ……。」

 

 

こんな深呼吸するだけで可愛い子って他にいないよな。

…あれ、俺着実にシスコンの道歩んでね?

 

 

「ん"んっ。えとね。」

「ん。」

 

 

どきどきする。

とんでもないこと言われそうで。

 

 

「私…私ね。

 …………ば、」

「…ば?」

 

 

 

「バンドっ…始めるからぁー!!」

 

 

 

「……………。」

 

なんつった?バンド?

 

 

「うん………ん?」

「はぁっ、はぁっ…!」

「そんなおっきい声出すから…。お水飲むか?ん?」

 

背中をさすってやる。

普段そんな大声出すようなキャラじゃないのにいきなり無理するから…。

 

「…ありがと、だいじょぶ、落ちついた。」

「おう。…それで?バンドするって?」

「う、うん!…香澄と、沙綾と、りみと、おたえと、私。

 5人でやるって、なったから。」

「おぉ、楽しそうでいいじゃんか。

 そっかバンドかぁ…。如何にも青春ってやつやんな?」

 

 

知らない名前もあったがそんなことより、あの有咲が。

学校に行くのすら意味がないだの必要がないだの言ってたあの有咲が友達とバンドだと?

…あ、視界ぼやけてきた。

 

 

「え、え?…な、なんでヒロにい、泣いてんの。」

「…はぁぁぁ。おいで、有咲。」

 

 

正面から膝でとことこ寄ってきた有咲を思いっきり抱きしめる。

有咲はあわあわ言っているが、それくらい感激なのだ。

 

 

「成長したなぁ有咲ぁ…。

 …がんばって、無理はしない程度に頑張って、楽しい思い出作ろうなぁ…。」

「う、うん…?思い出とかはわかんないけど、頑張るよ?やったことないことだし…。」

「そうかそうか…いい子だなぁ…。」

 

 

これでもかってくらいに抱きしめ髪を掻き回す。

今日もいい手触り・香りだ。

やがて涙も止まったので、

 

「それで…それが大事な話か?」

「…うん。後それに合わせてもう一個。」

「…なんだ?」

 

 

「あのね、みんなとバンドやるとね、練習とかあるでしょ?

 だから…ヒロにいといる時間減っちゃうけど、ごめんね…って、いいたかったの…。」

「ほぉ…なるほど。」

 

 

 

ん俺の妹が世界一かわいい!!

 

 

 

「大丈夫だ。俺のことはいいから、みんなと今しかできないこと、頑張っといで。

 俺にもできることがあったら手伝うから、遠慮なく言うんだぞ?」

「うん。ありがと…ヒロにい。

 ………だいすき。」

 

 

…何て幸せな空間なんだ。

妹には大好きなんて言われちゃうし、その妹は相変わらず最高の抱き心地だし。

妹が大いなる一歩を踏み出す訳だし、なにかご褒美でも…と

有咲の柔らかさを感じつつ幸せを噛み締めていたのだが。

 

 

がらっ。

 

「ご主人様!!」

 

 

突如入ってきたタオル一枚の美女によって、幸せな空間のその最高に満ち足りた沈黙は破られた。

 

 

 

 




ポピパはみんな可愛いです。
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