流星堂の居候 - Unintended hareM -   作:津梨つな

23 / 28
X-X:分岐点と選択

 

 

 

あぁ、真っ暗だ。

 

――気づけばこの空間にいた。

 

俺は今、どこに居るんだ?

 

――立っているのか座っているのかもわからない。

 

しっかし全部が黒。目を閉じているとかないよな?

 

――何処を見回しても、目に映るのは漆黒のみ。

 

いや、そもそも本当に目で見ているのか?

 

――首をぐるりと回すように周囲を見る。

 

果たして本当に首が存在しているのか?

 

――疑問が増えただけだった。

 

 

 

「……っ!………っ!!」

 

 

 

――頭の遥か上の方、上空高い位置から声が聞こえる。

 

懐かしい響きだなぁ。聴いていて安心する声だ。

 

――必死な叫びにも聞こえるソレが、何と言っているかまでは聞き取れない。

 

高い声、女の子かな。

 

――女の子、というキーワードが頭のどこかで引っかかる。

 

何か大事なことを忘れているような…?

 

――女の子、女の子…と記憶を辿るもそれらしい覚えはない。

 

うーん……考え事してたら眠くなってきたな…。

 

――体の存在を感じられない状態でも疲労はあるのかと思いつつも、耐え切れず意識を手放した。

 

 

 

**

 

 

 

――どれくらい経っただろうか。

 

……んん??

 

――再び浮上した意識は、ぼんやりとした映像を確かに捉える。

 

…映画館みたいだ。

 

――映し出されているのは、何とも面白みのない風景。

 

なんだこいつ。周り女の子ばっかだな。

 

――冴えない男は、どんなに場面が切り替わっても少女が近くにいた。

 

すげえ、取っ換え引っ換えじゃん。

 

――色とりどりの髪色の少女たちが、いつも傍に居る。

 

…でも、楽しそうだな。

 

――喧嘩をしたり、じゃれ合ったり。

 

周りも満更でもなさそうだし…ハーレムだなぁ。

 

――ただ、あまりにもいい顔をし過ぎたのか、少女達との間の空気が険悪なものになっていく。

 

そりゃこいつが悪いよ。人の気持ちも知らないでさ。

 

――本当にそう思う?

 

あぁ、思うね。みんなに思わせぶりな態度取っちゃってさ…

そりゃギスギスするし、無意味に傷つけ合うようなことに……

 

――あれ、どう思う?

 

屑でしょ。女の子を悲しませた挙句それに気付かないなんて、同じ男として許せな……

 

 

 

――思い出した。

 

そうだ。確か花音に返事を、ケジメをつけに部屋まで行って…それからどうなった?

 

 

 

「ふえぇ…大樹さんっ?」

 

…花音。お前は結局、俺の事が好きだったのか?それとも、憎かったのか?

 

「そ、それを考えるのは、大樹さんの仕事だと思います…ふえぇ。」

 

そっか。

 

 

「私の告白も忘れないでね?大樹さん。」

 

沙綾…?忘れるわけないだろう。

誠心誠意、真っ向からキチンと答えて見せる。

 

「…付き合うって事?」

 

…いや。お前に対しても、きっと哀しい思いをさせることになる。

 

「…そう。…それでも私、待ってる。」

 

 

「るんっ♪…ヒロくんっ!」

 

日菜も来てくれたんだな。

 

「来てくれた…っていうか、ヒロくんが考えてくれたって感じかな??」

 

考えてくれた?とは??

 

「あのね、ここって、ヒロくんの頭の中にしかない世界なんだ。」

 

頭の中…?それは、"ココロ"とか"気持ち"とか、そういう類って認識で良いのかな?

 

「そーそー!ヒロくん冴えてるぅ♪」

 

どーも。で?考えたって言うのは?

 

「それは言葉のまんま。あたしのことを今思い浮かべてるんだと思う。」

 

なるほど?…じゃあ強くその人の事を考えたら、ここに現れると。

 

「そーそー。試しに誰か思い浮かべてみたら??」

 

んー……。

 

 

「はぁい!あなたのおたえちゃんでぇす!」

 

ホントだ…。

 

「うわっちゃー。また凄いのを思い浮かべたね!」

 

まぁ、インパクトあったほうが分かりやすいかと思ってな。

 

「はっご主人様っ…!?逢引??」

 

ぶれないなぁ…。

 

 

「ひ、大樹さんっ……!」

 

…君にも、謝らなくちゃだな。香澄。

 

「私に??…どうして?」

 

折角友達になってくれたのに、その友達を傷つけた。

一番近くにいる、俺が。

 

「……有咲のこと、ですよね。」

 

ん。でも、ちゃんとケジメ付けて、謝りにいくつもりだから。

 

「…………。無理はしないでくださいね。」

 

…あぁ。

 

 

「本当に、無理はしないほうがいいと思うな。」

 

………満を持してって感じだな。

 

「さっき誰かが言ってたでしょ?ここはヒロにいの頭の中だって。」

 

俺がこの順番で思い返してるって事か。

 

「まぁそんなとこ。刺されたとこ、痛かったでしょ?」

 

痛かった…のかな?気づいた時にはもうここだったけど。

 

「そっか……。ねえ、ヒロにい。」

 

なんだい。

 

「もう、休んでいいんだよ。…私のことは、もういいから。」

 

…どういうことだ。

 

「こんなことになっちゃうなら、あんな怒り方しなきゃよかった。」

 

いや、全部俺のせいだろ?

 

「それでも、もういいの。…ゆっくり休んでよ、ヒロにい。」

 

……………。

 

「色んな女の人と仲良くなるのは嫌だけど、ヒロにいが傷つくのはもっと嫌なんだもん。」

 

………。そうか。

 

「うん、だから。」

 

ここは俺の頭の中、だったよな。

 

「う?…そ、そだよ。」

 

ん。…これはきっと、分岐点だと思うんだ。

一度大きな失敗をして、皆の気持ちとと自分の体をボロボロにしてしまった俺への、最期の選択肢。

 

「…どういうこと。」

 

有咲。お前を傷つけないように俺は行動したつもりだ。

今後どうするか、どう行動すべきなのかも今ここで決めるべきなんだ。

もう、有咲が傷つくのは見たくない、ただそれだけなんだよ。

 

「ヒロにい…。」

 

だから、俺は―――

 

 

 

 




投稿まで間が空いてしまいすみません。
推敲の結果、少し特殊な投稿の仕方になりそうです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。