この1週間の感想は、授業クソ楽しい。これに尽きる。魔法とは、要するに想像力の問題なのだ。マッチ棒が針になんか変わるはずがないと思い込めば変わらないし、
事実、私の針は何故か自由の女神像みたいなポーズをとるスタプラさんを伴って現れた。ふざけるのも大概にしてほしい。噴いたわ。見咎めたマクゴナガル先生やハーマイオニーまで道連れにして盛大に噴いたわ。
「ねぇJOJO、あの針なんだったの……?アメコミのサイキックヒーロー?」
「知り合い」
「知り合い!!?!!?!?」
そんなにびっくりしなくてもいいだろ!ハリーやロン、ハーマイオニーとわいわい騒いで地下牢に向かう途中、見たことのある金銀髪が見えて音もなく走り出す。勢いそのままに肩を組むと、彼はびゃっと飛び上がって振り向いた。
「おはようドラコ、今日は同じ授業だな」
「っJOJO……いやジョースターか」
「なんだよ硬いな?どうしたんだ?」
「どうしたもこうしたもないだろう。グリフィンドールとスリザリンが仲良くしてたらおかしい」
「は?あんたは何を言ってるんだ?」
いやドラコの言いたいことはわかる。グリフィンドールとスリザリン、2つの寮に横たわる溝はあまりにも深く、どんなに仲のいい友人同士でも2寮に別れただけで無意識の敵愾心が働き反りが合わなくなるほどだ。でもそれがなんだって言うんだろう。
ちらりと頭半分ほど低い友人を見遣る。ソーダのような淡いブルーが不安げに揺れていた。
「私はただのドラコと友達なのであって、あんたがスリザリンとか私がグリフィンドールとかどうでもいいんだ。それはただの記号に過ぎないんだから。それともなんだ?グリフィンドールになった私は嫌いか?」
「嫌いじゃない!だが外野が……」
「大事なのはあんたの気持ちだろ。他人のことはどうでもいいさ」
だから、ドラコが私を嫌わない限り、あんたと私は友達だ。肩を組んだまま後頭部を掴んでぐしゃぐしゃすると、ドラコは唇を噛み締めて私を見据える。水色のおめめがメラメラと燃えている。うん、いい顔になったじゃあないか。
「これから7年、よろしく頼むぜ?」
「……っこちらこそ!」
ニイッと片頬をつり上げ拳を突き出す。目を丸くしたドラコの手を同じように丸めてガツンと合わせると、合点がいったように破顔した。悪友になるんならやりたいよね、ぐーごつん。
ギョッとするロンやドラコの友達をスルーして地下室に向かう。肩を並べて席に座ると、ドラコは照れたように首を竦めた。純粋ストレートな行為に耐性のないドラコかわいい。お姉さんいっぱいからかいたくなっちゃうぜ。そおれほっぺたぷにぷに〜。
ドラコで遊んでいると逆隣に無理やり人が入ってくる。肩越しに見遣ると、ぷくっとほっぺを膨らませたハーマイオニーの姿が。なんだよォ、私がいなくて寂しかったのか?かわいい女だなぁ、よしよし。
かわい子ちゃん2人を両脇に侍らせて教科書を開く。魔法界の貴族らしくある程度の知識を持つドラコと勉強熱心なハーマイオニーはなかなか相性が良さそうだ。純血主義教育のせいかドラコは若干ぎこちないけど、真剣に魔法を学ぶ彼女の姿勢は高評価に値するらしい。
初歩的な魔法薬の製造方法を予習する2人は熱い討論を交わし、やがてがっしりと硬い握手をした。私がちょっとトリップしてる間に何が起こったんでしょうね……?
くいりと首を傾げながら虚空を見上げていると、育ちすぎた蝙蝠みたいなシルエットの男が教室に入ってくる。みんな大好きな初恋拗らせ系魔法薬学教授、セブルス・スネイプの登場だ。
「早く席につかんか。グリフィンドール1点減点」
前評判通りの理不尽さでグリフィンドールだけ減点し、男は教卓についた。ちょっとハリーに粘着質な出欠をとると、冬の湖に張った薄氷のような表情で生徒を睥睨し、滔々と演説を始める。
「このクラスでは杖を振り回すようなバカげたことはやらん。それが魔法なのかと思う者が多いかも知れないが、沸々と揺れる大釜、立ち上る湯気、人の中をめぐる液体の繊細な力は人の心を惑わせ、感覚を狂わせる魔力となる。君たちがこの技術を真に理解することは期待していない。私が教えるのは名声を瓶詰にし、栄光を醸造し、地獄の窯にさえ蓋をする方法である。もっとも、私がこれまでに教えてきたウスノロたちより君たちがマシだったらの話だが」
わあ、DIOが聞いたら興味持ちそうな話だな。特に名声を瓶詰にし、栄光を醸造し、地獄の釜にさえ蓋をするってのがいい。誰にも負けない男になるって決意したあの男なら、きっと誰より求めただろう。
微笑みをたたえて深い声に聞き入っていると、先生が急激にテンションをあげる。そんなにハリーが嫌いですかそうですか。喧しいので少しトーンを落としてくださると幸いです。
「ポッターッ!アスフォデルの球根の粉末にニガヨモギを煎じたものを加えると何になるか?……わからないのか?ならばポッター、もう1つ聞こう。ベゾアール石を見つけて来いと言われたら、何処を探すかね?……これもダメなのか?更に1つ聞こう。モンクスフードとウルフスベーンとの違いは何だ?」
上から順に生ける屍の水薬、ヤギの胃、同じ植物。原典と映画と二次創作で腐るほど見たぜ!ハーマイオニーの挙手を無視してハリーにばっかり構う展開もな!まったく私の前で友達をいじめるなんていい度胸じゃあないか。なあイギーたん、授業初日だけどやらかしていい?いいだろう?あんただって彼女の撫で方は気に入ってるんだから。
にっこりと笑みを深めて唇を開く。私一人の声が響くかと思えば、変声期前の中性的な声が重なった。
「「先生。……おや?」」
「……なんだね、マルフォイ。ジョアンナ・ジョースター」
「JOJO、君からどうぞ」
「いや、同じことを考えてるんだろう?同時にいこうじゃねェか、せーの」
「「ハーマイオニーがわかっていると思いますが、彼女に質問してみてはいかがですか?」」
流石の先生も自寮生かつ友人(?)の息子がグリフィンドールの生徒に助け船を出すなんて思いもしなかったんだな、鳩が豆鉄砲を喰らった顔してら。
僅かに動揺を見せた彼は苦々しく眉を寄せ、仕方なさそうにハーマイオニーを指名する。喜色満面ですらすらと答えていく彼女の姿に、ドラコとハイタッチを交わした。
先生の出鼻がくじかれた形で始まった実習。今日はおできを治す薬を作るらしい。受講人数が都合で余りが出るから、本来はペアワークのところを私の班だけは3人体制。メンバー?ドラコとハーマイオニーと私だよ、勿論。
1人がテキストを説明する間に1人が材料を切ったり潰したりして、残った1人がひたすら投入していく。指示通りの順番で材料を入れ、規定の回数だけかき混ぜればお薬の完成。初めてにしてはなかなかの出来なんじゃないかな!
小瓶にいくらか移し替えて、班員とともに提出する。スリザリンに加点した後、先生はすっっっっっごく嫌そうな顔をしてグリフィンドールに加点した。双子に言ったら称えられるんじゃあないか?あのスネイプから点数をもぎ取った!ってさ。
使用した器具を洗浄して乾燥棚に持っていこうとしたとき、背後のテーブルが騒がしくなる。どうやらネビルがうっかり火にかけたままの大鍋に山嵐の針を入れちゃって、シェーマス・フィネガンが咎めているらしい。確かこのあと大鍋が割れて薬が飛び散るんだっけか、構えておくとしよう。
まもなく金属の高い音がして、鍋が真っ二つになる。怪しい色の液体がネビルにかかる間際、するりと彼の前に飛び出した。ドラコとハーマイオニーが仲良く絶叫する。
「JOJO!危な……え?」
「何が起こったんだ……?飛散した薬がJOJOの前にある見えない壁を伝っている……?盾の呪文か?いや杖は持っていない……魔力の暴発に似た現象、か?」
硬直するハーマイオニー、考察するドラコ。出生ゆえに魔法現象に対する耐性が高いぶん、後者の方が冷静に対応出来ている。液が完全に床に落ちるのを待ち、2人が駆け寄ってきた。ああ大丈夫、一滴たりとも被ってないよ。私もネビルも無事だから安心してくれ。
先生が理不尽にハリーを責めたて減点するのを聞きながら、わちゃわちゃと寄ってくる同級生たちの相手をする。今のはどうやったか、なんて説明できるわけがない。これは魔法じゃなくて、
「スタンド」とは「パワーを持った
いわば精神のかたちを示すスタンド。パパは索敵と得意とする茨を、甥の承太郎は時を止める屈強な戦士を、そして私は別格の防御を手に入れた。
無定形の霞。最硬の盾。それが私のスタンドだ。パパのハーミットパープルや承太郎のスタープラチナのように明確なヴィジョンを持たない、未完成のスタンド。攻撃力は皆無だけど、承太郎、果てはDIOのラッシュさえ通さない完全なる護り。ジョジョ風に設定すれば【破壊力:E、スピード:A、射程距離:5メートル、持続力:B、精密動作性:A、成長性:A】ってところだろう。絶対殺すウーマンならぬ絶対護るウーマンってか。
すっかり興奮したみんなを追い立て散らす先生の後ろ姿を見ながらそっとため息をつく。魔法使いと言えどスタンドは見えないかぁ、今まで周りにスタンド使いしかいなかったから、何が起こったかだいたい察してくれてたんだけど。説明が面倒だなぁ……なんていって誤魔化そうかなぁ……
JOJOは精神力おばけ、はっきりわかんだね(ただし今作のJOJOは混ざりもの:転生者なので本家には劣るものとする)
ドラコ悪友ルート解禁&ドラコとハーマイオニーが仲良くなるまさかの展開。たまにはこんな作品があってもいいですよね(*’ω’*)
ノーネーム (名無し)
ジョアンナ・ジョースター(JOJO)のスタンド。名前はまだない。
霞のような無定形であり、攻撃力の一切を捨てた代わりに絶対の防御力を誇る。
ステータスは破壊力:E、スピード:A、射程距離:5メートル、持続性:B、精密動作性:A、成長性:A
家族大好き絶対護るウーマンなJOJOに相応しいスタンド。