【完結】Azur Lane for Answer 作:塊ロック
それでも俺は…俺の答えは、未だ見つからない。
空は雲ひとつ無い快晴。
見渡す限りの青い海原。
「指揮官様ー、おはようございます」
…来た。
この声が聞こえる度に身構えてしまうのは、まだまだ彼女に慣れていない証拠なのだろうか。
制服に手早く着替え、私室のドアを開く。
目の前に立っているのは、朝から目にするには些か刺激的な重桜の服を纏う女性。
重桜の艦船特有の、獣の耳と尾を持つ亜人のような女性だ。
名を、
「おはよう、赤城」
「はい」
今回、アズールレーンとレッドアクシズによる内戦の発端となったKAN-SENの、同型艦だ。
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「指揮官様。昨夜から委託に出ていた子達が先程到着致しましたわ」
「む、そうか。じゃあ労いに行ってやらないとな」
「先程加賀が軽食を持って出ていきましたね」
「加賀が?意外だな」
「そうでしょうか?あの子は面倒見の良い子ですよ」
執務室へ移動する合間に、今日の執務内容を赤城と打ち合わせする。
まだこの泊地へ来てから日が浅いので、こうして秘書艦業務を通じて慣れてもらおうという狙いがあった。
…のだが、
「指揮官様?」
「指揮官様ー」
「指揮官様!!」
この艦、やたらめったらベタベタしてくるのだ。
ユニオンのKAN-SENは距離が近い、ロイヤルは何かと遠回し、鉄血は付かず離れず、と言った所属ごとにKAN-SEN達の接し方は違う。
だが、赤城は違った。
「指揮官様?どうなさいましたか?」
「いや…」
何処に行くにも着いてくる。
気が付いたら3歩後方に居る。
独り言を呟いたら隣の部屋に居ようと反応してくる。
軽くホラーを感じてしまう程、赤城は俺にくっついて来るのだ。
「なあ赤城」
「はい、何でしょうか?」
「何でこっちに来たんだ?」
ふと疑問に思ってしまったことが口に出る。
元々、アズールレーンと対立していた彼女が、こちらの陣営に着いた理由添えをそういえば聞いていなかった。
「“あの"私が何を思ったのかはわかりませんが、同じ想いをあの時感じました」
「想い?」
「ええ。私は指揮官様の為に戦うと」
「…は?」
KAN-SENは同じ名前、同じ外見の、所謂同一個体というものが存在する。
元となった船の記憶というのものをメンタルキューブによって形にするため、ルーツは同じ、個体としては別のものが完成する。
なので、俺達が沈めた赤城と、目の前に居る赤城は別物なのだが…。
「ひと目見た瞬間から、赤城は指揮官様から意識を反らすことは出来ませんでした」
「…………」
「その時思ったのです。赤城を沈めた指揮官様こそ、この赤城が求めたものだと」
「…意識が繋がってたなら、俺のこと憎いとか思わないのか?」
あの瞬間、赤城同士で強い繋がりがあったのだろうか。
それだけは俺が測ることは出来ない。
「ですから、赤城は指揮官様に相応しくなるようにならねばなりません」
「えっ」
「指揮官様?いつか、赤城の愛を受け止めてくださいね?」
「ちょっと待て、なんでそうなる」
「当たり前ではありませんか。私を沈めた責任をとっていただくだけです」
「あれはお前じゃないんだろ?なんでさ」
「これも運命なのですよ指揮官様」
「あ、わかったお前もそれっぽく言って胡麻化すタイプだな?」
………彼女とのコミュニケーションは、前途多難らしい。
(ま、不快な相手というかむしろ好ましい部類だし…良いか)
何だかんだ俺は彼女を認めてしまっているらしい。
元々敵対していたと言うのに。
…ただ単に、美人に好意を持たれていると言うのが琴線に触れているだけなのかもしれないが。
「…まともな女性なんてセレンさんくらいしか話したこと、ないんだけどな」
どうも、借金背負ってたり蒼きびりびりしてたりする指揮官です。
今回はアズールレーンのクロスSSをこっちに持ってきました。
こういうのって正直ハーメルンの方が良いんじゃないかなと思ってしまい、取りあえず現行分移籍して渋の方は消すか放置かするかもしれません。
…それでは、答えを求めて彷徨う首輪付きの物語へ。