【完結】Azur Lane for Answer 作:塊ロック
そして…穏やかに流れる今この瞬間。
俺は、ここにいて良いのだろうか。
何となく、昔の夢を見ていた。
空と大地が汚染され、人々の大半がクレイドルで過ごしていた日々。
「…そんな事もあったな」
なんて、ベッドの中で独りごちる。
なんの因果か、別の世界の、別の組織で指揮官兼傭兵として戦っているから人生ってのはわからない。
さて、そろそろいい時間だし起きようかな。
「…?」
おかしい。
目を開けたのに目の前が真っ暗だ。
しかも、ちょっと重い。
「おはようございます、指揮官様ぁー?」
「う、わぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?!」
朝から狐に化かされた気分だった。
___________________________
「おはようございます、ご主人様。お早いお目覚めですね」
早朝から赤城と対人戦闘訓練(ガチ)を繰り広げ、なんとか生き残り息絶え絶えだったところにベルファストが現れた。
彼女は本当によく俺に尽くしてくれている。
戦闘から秘書艦、炊事洗濯家事万能。
…正直、ダメ人間になりそう。
「おはよう…ベルファスト…二度寝して良い?」
「駄目です」
「知ってたよ」
割と真っ向から意見を言ってくれるので好感が持てるのがポイントか。
「そう困った顔をなさらないで下さい。ついつい意地悪したくなります」
「来てそんなに経ってないのになぜそんな好感度が高いのか激しく疑問なんだが」
「理由をお聞きになられますか?」
「やめとくよ…」
ベルファストから手渡された制服に袖を通していく。
「本日の執務は午前中に委託組が戻ってきているのでその整備が中心に。午後からは新造艦の手続きを」
「あー、何か建造出来たのか」
「はい」
ようやく建造出来るほどの資源が集まったので、試しに1隻造ってみていた。
ぶっちゃけ1隻造るのと同等の金がネクストについて回るので今までスルーしていたのだが。
「どんなヤツが来るのか楽しみだ…駆逐艦とかだとバランスが取れるか」
「今回は特型なのでその線は無いかと」
「あれ、特型?それだと何が出来るんだ?」
「工作船、空母、戦艦、あと重巡よ」
「ネルソン」
執務室にど派手な金髪ドリルツインテール娘が入ってくる。
我らがビッグセブン、ネルソンだ。
「はいこれ、頼まれてた資料」
「サンキュー。やっぱ頼りになるな」
「フン…珍しく頼み事するから気が向いただけよ」
「ご主人様、これは?」
ベルファストが資料を捲っている。
中身は、年表だ。
「あー、ベルファストには話してなかったな。俺ここ最近来たばっかだから歴史とかてんで解らないんだ」
「…民間の放送や学校で習っているのでは?」
「指揮官。もうちょっと言葉を選びなさい…ベルが混乱してるわ」
「あー…すまんすまん。俺、この世界の人間じゃないんだわ」
「はぁ…」
ベルファストのなんとも言えない困惑した顔。
…いつもキリッとした顔しか見てないのでこれはこれで新鮮だ。
脳内のフォルダに保存せねば。
「し、き、か、ん!!」
「おおっと、まぁ言葉通りの意味で捉えてもらえば良い。正直説明してもされても意味不明だからな」
「そうですか。ですが、ご主人様はご主人様ですので」
「ベルファスト…」
「んんんっ!指揮官、ロドニーが呼んでたわよ」
「えっ、あー、了解。そういや散歩に誘われてたな…お前らも来るか?」
「私は整備があるからやめとくわ」
「私は午後のお茶会の準備がありますので」
「そうか」
__________________________________
「…で、なんでこんな事に?」
「あ、あはは…」
丸テーブルに日傘。
完全に外での茶会スタイルで更に後方にメイドさんが控えてると来た。
隣に座るロドニーからも乾いた笑いが出ている。
ちなみに、ここに居るメンバーは、俺、ロドニー、ベルファスト、赤城、ネルソン。
察して。
「あんたねぇ!」
「あなたこそ…!」
ぐぬぬ、と言わんばかりの言い争い。
唐突にお互い脚の速さで背比べ、からの罵り合い。
女って何が爆弾になるかわからないから怖いな本当に。
『上等だ貴様。後で覚えていろ』
「…っ!、?」
「ど、どうされましたか指揮官…?」
「あー、いや、何でもないぞ」
一瞬懐かしい顔が物凄い良い笑顔で脅してきたのを思い出す。
「しかし…こら、二人共いい加減にしろ」
「はい、指揮官様…」
「フン…」
「ったく、せっかく親睦を深めてるんだし」
さて、ベルファストが淹れてくれた紅茶を…。
「指揮官!!大変にゃー!!」
「チィ…!所詮は獣か…!!」
明石が凄まじい形相で走ってきた。
これは、お預けか…。
「どうした」
「新造艦が完成したニャ!」
「あー了解。進水式と行くか…」
「それが、すぐに指揮官のところに行くって言って」
「ここにいたのか、指揮官」
「え」
「ヨークタウン型二番艦エンタープライズ、着任した」
黒のコートをから覗くノースリーブの眩しい銀髪ロング美人が立っていた。
「これからよろしく頼む、指揮官」
「…よろしく」
さて、また賑やかになりそうだ…。
と、いうわけでユニオンの英雄、エンタープライズが着任しました。
一応同じ勢力に属する彼女。
しかし、首輪付きは苦虫を噛み潰したような顔をしていた。