【完結】Azur Lane for Answer 作:塊ロック
・・・彼女の直面している困難。
それは、一体何なのだろうか。
「う、わぁぁぁぁぁぁぁ!?」
爆発。
海上で制空権を奪われ、爆撃機の猛攻に曝された為に吹っ飛んで行った。
「指揮官、エンタープライズ本日通算25回目の撃沈判定です」
「そうかー…」
山猫と呼ばれる指揮官は、本日の秘書艦であるロドニーからそう聞くなり肩を落とした。
「これがかの有名なエンタープライズとは思えませんね…」
「言うな…何かしら理由がある筈なんだ…」
生まれながらにして戦いの知識を叩き込まれている艦船だが、やはり相応に練度を上げなければ早々に頭打ちしてしまう。
エンタープライズは赤城加賀の模擬戦に連敗していた。
勿論二人の練度が高いから、と言うのもあるがもう一つ理由があった。
「スキル…発動しないな、あいつ」
エンタープライズを無敵たらしめる特別な力、《LuckyE》が発動しない…というより、使えないのだ。
「彼女のモデルとなった空母の戦歴を讃えた無敵のスキル…何故発動しないのでしょうか」
「本人も気合充分、戦闘技能もまぁ申し分ないけど…ネックがそこだなぁ」
「勤勉で積極的ですけど…多分相当落ち込んでるかと」
「…………そうか」
度々沈んでいる所を見かけてはいる。
しかし、声を掛けるのが憚られていた。
「…苦手なんですか?」
「少し…な」
英雄という存在を体現した艦船。
彼女に対して…俺は少なからず苦手意識を持っていた。
「そうも言ってられないか…」
「指揮官。ここに居たのか」
…なんてコトを話していたら、本人のご登場である。
タイミングが悪いとかそういう話ではない。
「どうした?」
「いや、その…今日の訓練で…」
「特に言う事はない」
「そう、か…わかった。ありがとう」
エンタープライズは俯いていた。
…これは、やってしまった。
「…指揮官」
「なんだ」
「私は…本当にエンタープライズなのだろうか」
「何故そう思う?」
「私には、その象徴が使えないから…」
「…」
ロドニーは黙っている。
「別に気にしてない。象徴だろうが何だろうが《エンタープライズ》はここに居る。史実のエンタープライズは何度やられようと戦場に復帰していると聞く」
何度大破しようと、戦場に舞い戻り敵を撃破してきたエンタープライズと言うある種の英雄的な活躍をしていた。
…ならば、何度羽折られ膝をついても…諦めない限りエンタープライズはエンタープライズであり続けるだろう。
「諦めるな」
「…!ああ!」
エンタープライズの表情が晴れる。
ロドニーが微笑を漏らす。
「エンタープライズさん。頑張ってください」
「ありがとうロドニー!それじゃあまた後で!」
笑顔でエンタープライズは走り去る。
恐らく、赤城の下だろう。
赤城には悪いが、暫くは相手になってもらう他ない。
…埋め合わせが怖いがな。
「…………はぁぁぁぁ…また、当たり障りの無いことを言ってしまった…………」
自分は、英雄的な人物がはっきり言って嫌いだ。
そういう奴らを片っ端から殺してきた。
…本格的に嫌いになったのは、クラニアム防衛戦。
ウィン·D·ファンション…本当に、嫌な奴を手に、
「指揮官」
ロドニーによって、思考を中断された。
「怖い顔をされてますよ」
「…すまん」
この日、エンタープライズは英雄の名に相応しい戦いっぷりをしていたのはまた別の話。
「いつか、ちゃんと向き合わなきゃいけない…俺も、あいつも」
ただ、彼女の冒険心が折れない事を祈って。
エンタープライズ初登場回。
彼女としては普通に指揮官…リンクスと接したいが、リンクスからすれば英雄気質の人間に対して思うところがあり…無意識に避けてしまっている。