【完結】Azur Lane for Answer   作:塊ロック

13 / 41
英雄には、人を惹き付けるカリスマがあるらしい。
あの時…ウィンに着いてきたロイも、そうだったのだろうか。


Enterprise

 

 

「作戦を説明しよう」

 

 

アズールレーン対セイレーン部隊専用輸送艦内のブリーフィングルームにて、指揮官がスライドを投影し説明する。

 

「今から二時間前、セイレーンがユニオン所属軍港に強襲を仕掛けた。場所はサンディエゴから比較的近く、救援要請を受諾した」

 

スライドが切り替わる。

今回、ユニオンから正式な依頼を受けネクスト及びその護衛戦力の艦船を出撃させるに至る。

 

「軍港を強襲するセイレーンを後方から襲撃、ユニオン艦隊と挟撃し撃破する」

「指揮官。質問良いかしら」

「途中だ。手短にしろ」

 

プリンツが挙手する。

…うちの古株だけあって、思うところがあるのだろうか。

 

「今回の編成に付いて」

「…後に説明するつもりだったが、まぁいい。この際だ。先に話しておこう」

 

ブリーフィングで腰掛ける六人を見やる。

 

前衛艦隊、プリンツ·オイゲン、綾波、シュロップシャー。

後衛艦隊、ネルソン、ロドニー、エンタープライズ。

 

…主力である赤城、加賀を編成していない理由。

 

おそらくはその事だろう。

 

「今回の編成については、前衛艦隊は後衛及びネクストの時間稼ぎがメインとなる」

「なるほど…それで重巡の私と、防御力のあるプリンツさんがいる訳ですね」

「そのとおり。綾波には少し厳しいかもしれないが宜しく頼む」

「問題ない…です」

「そして後衛は、ビッグセブンの火力を持って敵量産型の掃討にあたる」

 

セイレーンのネームドに対して、艦船達の力ははっきり言って足りていない。

しかし、量産型を相手にするならば充分な火力はある。

 

「指揮官。エンタープライズは?」

 

ネルソンが、言い難かった事に突っ込んできた。

…逃げる事を許してはくれない。

 

「エンタープライズはユニオン本部直々の指名だ」

「私が…?」

「向こうの面子だか何か知らんが、馬鹿馬鹿しい」

 

ユニオンの英雄の力を誇示、及びネクストと言う存在がユニオンの物だとしたいのか。

こちらのエンタープライズは不調だと言うのに。

 

「指揮官、私は…」

「説明は以上。ユニオンの覚えを良くする絶好の機会だ。これを逃す手はない」

 

エンタープライズの表情は晴れない。

だが、ここに来た以上それに構ってられる場合では無い。

 

「各員の奮戦を期待する。出撃まで待機せよ…解散」

 

皆外に出て…ロドニーが、エンタープライズに何か耳打ちをしていた。

エンタープライズだけ、部屋に残る。

 

「…どうした」

「そ、その…指揮官。私は…」

「…少し付き合え」

「えっ」

 

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

輸送艦、甲板。

 

日はすっかり落ち、水平線の彼方まで真っ暗だった。

 

「エンタープライズ。何に悩んでいる」

「悩んでいる…か。指揮官は分かっていて聞いてるんだろう?」

「俺が把握しているのは表層だけだ」

「意地の悪い人だ」

 

エンタープライズは困ったように笑う。

…彼女の笑顔、そう言えば見た事がなかった気がする。

 

「…あんまり柄じゃないんだけど、こういうの」

「指揮官?」

「シリアスなのは柄じゃない」

「作戦前なのにか?」

「作戦前だからこそ、さ。お前みたいに今肩肘張ってガチガチに緊張してても始まらない」

「………」

 

図星なのか、黙る。

 

「今回、別にユニオンの指名を蹴っても良かった」

「それは、どういう」

「初陣をこんなプレッシャーのかかる戦場にすべきじゃない。ネルソンに散々言われたさ」

「………」

「だが、お前をこのまま放置するわけにも行かない」

「この戦いで、何かを掴めと?」

「そうだ」

「初陣で無茶を言う指揮官だ」

「俺はそうは思わん。戦いこそが人間の可能性だからな」

「私は、人間じゃない…記憶を植え付けられた紛い物だ」

「だがお前は生きてる。俺たちと同じ肌を持って熱を持ってる」

「…同じ、か」

「戦え。戦って生き残れ」

「………ああ」

 

少し吹っ切れたのか、肩の力が抜けているように見えた。

…夜風で靡く銀の髪に少し見惚れる。

 

「指揮官、教えてくれ。私はあと何隻沈めればいい?」

「さぁな…でも、邪魔する奴等は全部沈めれば良い。お前が見たい世界の為に、邪魔する奴等を全て蹴散らせ」

「そうか…」

 

出撃まで、あと1時間を切る。

 

「時間だ。艦装を展開して待機」

「了解」

 

さて、始めよう…俺たちの戦いを。

 

 




ユニオン軍港救出作戦、展開。
エンタープライズの人生は、ここから始まるのだろうか。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。