【完結】Azur Lane for Answer   作:塊ロック

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かつて、ネクストを圧倒する存在として君臨していたアームズフォート。

しかし、それを狩る事例というのも存在していた。


ジャイアントキリング

ーーーーーー午前五時。

作戦開始。

 

今回のプラン。

VOBが無いため、オーバードブーストで彼我の距離を詰め、スピリット·オブ·マザーウィルを撃破する。

 

艦船達は先行し、対空砲火を無力化し始めている。

 

『指揮官!正面の対空砲火は艦船達が抑えています!今の内に接近を!』

 

臨時で就いたオペレーターからの進言が耳に入る。

今回、指揮出来る人員を集め個別に支持、状況報告が出来るように計った。

それだけ、今回は集中しなければならない。

 

「了解、リンクス…ストレイド、出る!!」

 

輸送船の甲板からオーバードブーストを一気に吹かし飛び出す。

一瞬で輸送船は点になるまで加速した。

 

『指揮官、発進したようね。こちらティルピッツ。随伴艦の排除は順調よ』

「こちらリンクス。ティルピッツ、損耗は?」

『軽微よ。このまま戦闘を続行するわ。通信終わり』

 

無線が切れる。

ティルピッツ達の尽力のお陰で対空砲火はほとんどなく、アームズフォートの砲撃がたまに飛んでくる程度。

 

こちらが接近すればアームズフォートはこちらに撃って来ざるを得ない。

 

だから、飛ぶ。

彼女達を信じて。

 

砲撃の間隔が、段々と短くなる。

下からの対空砲火が増える。

 

それでも、全て避ける。

後ろは振り向かない。

 

ただ、前へ。

 

『指揮官様!!』

「何ッ…うお!?」

 

艦載機が突然前に現れ、爆散。

直撃コースの対空砲火の盾となった様だ。

 

「馬鹿野郎!無茶すんな!!」

『痛ぅ…大丈夫ですわ…赤城の愛は、無敵よ…!!』

「…助かった」

 

小さく礼を言い、まだ飛ばす。

…今回の作戦に参加した奴らに、何かしらの報奨を出さなきゃならないなと、頭の片隅にしまう。

 

「来たぜ、マザーウィル!全弾持ってけ!!」

 

マザーウィルの前方甲板に取り付き、ミサイルハッチ、対空砲にライフルを叩き込む。

 

…爆音、そして大量のミサイルが殺到する。

フレアは積まれていない。

 

「こ、のぉッ!!」

 

クイックブーストを駆使してミサイルの雨を掻い潜る。

その最中に道中の全ての火器を破壊していく。

 

『アームズフォート、損傷30%!効いてます!』

「ロックオン可能なヤツの火器を片っ端からナビゲートしろ!」

『次、右翼ミサイルハッチ!』

「了解ッ…!」

 

甲板を蹴り、初速を稼ぐ。

目に付くものを全て破壊していく。

 

…スピリット·オブ·マザーウィルには弱点がある。

それは、外部の兵装の損壊が内部に伝搬してしまう、事実上の欠陥が存在している。

 

これが、元の世界ではロートルだと揶揄されていた原因だ。

 

俺の勝算はそこにある。

向こうが壊れるまで、攻撃するのだ。

 

『アームズフォートの損壊、進んでいます!』

「よし…っ!?」

 

衝撃、機体が揺れる。

 

『レーダーに反応…セイレーンです!?ピュリファイアー級!!』

「あの野郎!こんな時に…っ!!」

『指揮官!行って!このっ!』

 

プリンツからの無線。

…プリンツがピュリファイアーに殴りかかっていた。

 

「お前、無茶すんな!!」

『くっ…指揮官の、邪魔をするなっ…!!』

『ミサイル接近!』

「こなくそ…!!」

 

プリンツの援護には行けない。

ミサイルの雨を躱し飛ぶ。

 

『もっと…もっとだ!!』

 

通信を切るのを忘れているのか、プリンツの声が響く。

 

『あ、がっ…!?』

『プリンツ·オイゲン、直撃…ッ!!』

「下がれ!」

『まだよ…行かせないわ…』

「やめろプリンツ!沈むぞ!!」

『アンタが後ろ指刺されて生きてくなら…沈んだ方がマシよ…!!心配するなら、早く決着付けなさい!!』

 

ザッ、と無慈悲に通信にノイズが走る。

 

『通信断線!他の艦船を援護に回して!』

『駄目です!全員動けません!』

『指揮官…!』

「作戦続行!手を止めるな…ッ!!」

 

プリンツが作ってくれた時間を無駄にしてははらない。

 

スピリット·オブ·マザーウィル直上に躍り出る。

残るは、主砲のみ。

 

「いい加減…壊れろ…ッ!!」

 

両肩のロケットを弾が続く限り連射。

これだけ的が大きいのだ。

外すわけが無い。

 

全弾命中…マザーウィルが、文字通り割れる。

 

『アームズフォート被害甚大…!分解を始めています!周辺艦船は退避を!』

『わ、わぁっ!?ヤバイです!瓦礫が…っ!?』

「シュロップシャー!捕まれ!」

『わひやぁぁぁぁぁぁぁ!!?』

 

かなり近くにまで来ていたシュロップシャーを空いた手で掴んで引き上げた。

 

「シュロップシャー!プリンツを探せ!」

『えっ、ええ!?あ、あそこです!!』

 

シュロップシャーが指差した方向。

…海上に辛うじて浮かんでいるプリンツに、ピュリファイアーが近付こうとしていた。

 

「さ、せ、る、かッ!!」

『首輪付…グエッ!!?』

 

オーバードブーストをかけて、そのままピュリファイアーにぶつかった。

…ブレーキをかけ、ストレイドがプリンツの近くへ停止する。

ピュリファイアーはそのまま吹っ飛んで海上を転がっていった。

シュロップシャーを海上へ降ろした。

 

『プリンツさん?!プリンツさん!!生きてますか!?返事して下さい!』

『ゲホッ…生きてるわ…指揮官、遅いわよ』

「喋るな。今運ぶ」

『指揮官。ピュリファイアー級を確認したわ』

「撃て」

『Ja』

 

ティルピッツと赤城、加賀の集中砲火を受けて、ピュリファイアーは爆発した。

 

「…皆、良くやってくれた。帰ろう…サンディエゴに」

 

作戦完了…。

 

 

 

 

 

 

ジャイアント·キリング、成功。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーあれから一週間が過ぎた。

 

被弾がとても多かったプリンツは絶対安静で医務室で寝かされることになった。

 

ストレイドも未だ修理中。

整備班が頑張ってくれている。

 

「指揮官。手紙よ」

「ありがとうネルソン。そこ置いといて」

「ご主人様。ユニオンからアームズフォートの報告の催促が来ています」

「昨日まとめた書類送って」

「指揮官、ロイヤルから例の武器のデータの催促が」

「整備班が今データ抜いてるから待ってろクソジジイと言っとけ」

「指揮官!ロドニーに何言わせる気!?」

 

めちゃくちゃ忙しい。

何だこれは。

 

一週間、執務室から出た試しが無い。

これではプリンツを見に行くことは出来ない…。

 

「やる事が…やる事が多い…」

「ご主人様、少し休憩しませんか?」

 

気付けばベルファストがティーセットを運んできていた。

 

「指揮官、休憩しましょう」

「珍しいなネルソン…そんな事言うなんて」

「わ、悪いかしら!流石に、あんたも疲れてるだろうし…」

「いや、ありがとうネルソン…ベルファスト、目が覚める様な飛び切り苦い珈琲頼む」

「畏まりました」

「…あら、指揮官?どちらへ?」

「お見舞いさ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何の用かしら。笑いに来たのなら帰って」

 

部屋に入るなりあんまりである。

…病室にはプリンツだけ。

まだ包帯が取れないのか、頭や腕、上半身の様々な箇所に巻かれていた。

 

「全く、無茶すんなって言ったのに」

「あの時はアレが最善よ」

「はいはい…ま、その調子ならすぐ動ける様になるだろ。なぁ、プリンツ。何かほしいものとかあるか?」

「…何、どう言う風の吹き回し?」

「お前が一番頑張ったからな。報酬だ」

「報酬って…別に良いわよそんなの…私達がお金なんて貰ってもあんまり意味ないもの」

「え、そうか…困ったな」

「なんてね。指揮官、お願い聞いてもらえる?」

「おう」

「デートしましょう?」

 

…こうやって、こっちでも女に振り回されるのか、と苦笑するのだった。

 

何だかんだ、この世界に来てからだいぶ羽根を戦ってきた気がする。

 

そろそろ、羽根を伸ばしても、いいんじゃないかな…。

 

「良いぞ」

「ふふ、忘れないでよ?」

「ズルいですわ!指揮官様!赤城も、赤城にもお願いします〜!!」

「赤城!アンタいつから!」

「指揮官…綾波も頑張ったのです」

「指揮官、私にもお願いしま〜す」

「は、ははは…仕方無いな」

 

向こうの世界には、帰れそうにないな。

 

(なぁ、テルミドール…いや、オッツダルヴァ。俺はこっちの世界でやってくよ)

 

戦いは終わらない。

 

答えを得るその日まで…戦い続ける歓びを。

 

 




VOB無しでアームズフォートに接近って中々無茶するなぁと思う。

随伴KAN-SEN達の陽動が無かったら絶対実現できない……それでも苦しい言い訳になってる気がする。

だんだんプリンツがメインヒロインっぽくなってきた。
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