【完結】Azur Lane for Answer 作:塊ロック
所属不明機……ネクストAC・シリエジオが突如としてセイレーン艦隊を引き連れサンディエゴ軍港周辺海域に出現。
これを撃退せよ。
なお、的簡体の撃滅が叶わず防衛海域へ侵入された場合……基地に備え付けられた爆薬が軍港周辺を消し飛ばす手筈となっている。
セイレーンを残らず撃滅せよ。
……流石に、初耳だった。
「おい、なんだそれは!」
思わず、相手が上官であると言うのに素で喋っている。
『口を慎め、リンクス少尉』
いつもの嫌味な少佐……今回は、机にどっしり座る初老の男の横に控えている。
『良い、少佐。さて、久しぶりだな……今回の件に関してはネクストACがセイレーンの手に落ちる事を危惧した一部の勢力の暴走だ……私も突き止めるのに時間を要した』
男……階級は、准将だ。
准将が言うには、やはりアズールレーンも一枚岩ではなく、レットアクシズに賛同する者や過剰にKAN-SEN達を恐れる派閥もいると言う。
「こちとら知らない内に命を賭けられてたんだぞ……!」
『貴官への配慮が足りていなかった』
「俺じゃない。部下とKAN-SEN達だ」
俺の一言に、准将は目を閉じた。
『……変わらんな、少尉。彼女達をあくまでいち個人として扱うか』
「当然だ。俺は部下のあいつらしか知らない」
未だ、KAN-SEN達は量産される兵器として扱われているらしい。
俺はそうは思わん。
彼女達は、使い潰されて良い存在ではない。
『歴戦のリンクスが、女には甘い、か……まぁ、良いだろう。私の方もそちらへ援軍が出せないか画策する。それまでに全滅すると言う冗談だけは辞めてもらおう』
「それは構わない。……だが、俺達だけで全滅させたら、その分弾んでもらうぞ」
『良い啖呵だ。だが規模がこれまでとは桁違いだ……それに、ネクストの存在が気掛かりだ。仮に貴官と一対一で相対した場合の勝率は?』
「………………6割だ」
結局、リハビリとしては上手く行った。
だがしかし、所詮はデータ上のAIによる模倣。
本物のリンクスに及ぶことは無い。
それによる、この評価。
『高いとは、言えんな』
「戦場では何が起こるか判らない」
『……なるほど、確かに』
「もし、俺に何かあったら……」
『判っている。ネクストの処分とKAN-SEN達の引取だな。信頼する筋は通してある』
『私だが、な』
横にいた少佐が苦笑いをする。
……イヤミはともかく、こいつはそれなりに優秀なのでまぁ、大丈夫だろう。
『すぐに出撃だろう?健闘を祈る』
通信が切れる。
一息ついて、立ち上がろうとした瞬間……襟首を掴まれた。
「……!?」
「指揮官、今の話はどういう事だ」
俺の襟首を掴んだのは……今までずっと黙っていた、エンタープライズだった。
「どうもこうも、そういう事だ」
「ネクストが他者に扱える物ではないと知ってはいる。私達の受け入れ先を探してくれたのも嬉しくは思う。だが……」
「エンタープライズ、やめろ」
「私が、私達が信頼を預け共に戦いたいのは、貴方だけだ」
「………………だから、俺はお前が嫌いなんだ」
こうもはっきりと、決断を鈍らせることを言うのだから。
「貴方がこんな所で戦死するのは、許さない。人類の英雄になるのだろう?」
「おいおい……いつ言ったそんな事」
「……そうなるのも悪くは無いと、貴方は言った」
「マジで取ったのかよ……」
エンタープライズの手をゆっくりと離す。
じっと、彼女と向き合う。
「……なら、お前が護ってくれ」
「何……?」
「お前たちに、背中は任せる……俺の勝利条件はあのネクストを落とす事……幸いセイレーンは量産型ばかりだ」
最悪ネクストを落として俺が戦闘不能になってもこいつらなら何とかなる。
「……無茶は、しないでくれよ」
「判ってる。準備しろ、行くぞ」
さぁ、
迫る桜色のネクスト、シリエジオ。
思い出に土足で踏み込まれてなお、リンクスの意思は変わらない。
セイレーンに、ツケを払わせてやる。