【完結】Azur Lane for Answer 作:塊ロック
まだまだ手探り中なので粗ばかりですが、読んでいただけると幸いです。
「おはよう、指揮官。今日は私が秘書艦よ」
朝。
執務室に最初に入ってきたのは、眩しい銀の髪に赤のメッシュが特徴的な美女だ。
「おはよう、プリンツ・オイゲン。よろしく頼む」
鉄血の重巡洋艦、プリンツ・オイゲン。
彼女は、この指揮官が着任してからの仲となる古株の一人だ。
「私に会いたかった?」
「どうだと思う?」
「質問に質問で返すのは最低ね指揮官」
「なら、質問の内容を選ぶ事だな」
お互いに、軽口を叩き合う程度には信頼していると自負している。
彼女も、本来ならばレッドアクシズ側の艦船なのだが…。
「貴方に付いたほうが面白そうね」
その一言でアズールレーンに付いたのだった。
「今日の業務は…何よ。また雑用?いい加減うんざりなんだけど」
「そう言うな。俺みたいな奴が信用を得るのは難しいんだから」
なんの後ろ盾もなく、強力な機動兵器を有するいち個人。
そんな男がこの組織に入っていること自体がおかしい。
しかし、この世界はそれで回っていくらしい。
「ネクストの事?」
「まぁ、それもある」
プリンツは数少ない、俺の愛機ストレイドの存在を知る艦船の一人だった。
…過去形なのは、以前遥か北方で起きたセイレーンとの戦闘の際、苦肉の策としてネクストを持ち出してしまったからだ。
コジマの影響はメンタルキューブと言う事実上のブラックボックスを組み込み無理矢理抑え込み、なんとか起動に成功。
後はアーマード・コア・ネクストの機動力と火力でアズールレーンを援護し、勝利を収めた。
…後々に響く頭痛の種を残して。
「貴方、本当に指揮官に向いてないわね」
「ま、金さえ積まれれば乗るような男だしな」
「傭兵じゃなくて、一応正規の軍人でしょうに」
「傭兵、か」
思考が、過去へと向く。
かつて傭兵として破壊を繰り返した我が身。
無意識に、首へと手が伸びていた。
首輪付きと揶揄されていたからなのか。
そんな様子を、プリンツは、
「さっさと片付けましょ」
その一言から、本日の業務が始まるのだった。
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少しして。
「ねぇ、指揮官」
「なんだ?」
昼下がり。
プリンツは指揮官の机に頬杖をついて正面にいた。
指揮官の方はと言うと、粗方雑務が片付き、ストレイド起動のための資源について頭を悩ませていると。
「私達とあの鉄の塊、どっちが大事?」
「ストレイド」
ほぼ反射で答え、しまったと思い視線を上げる。
身を乗り出して不機嫌オーラ全開のプリンツが直ぐそこまで来ていた。
「そういうこと言うのね…妬けるわ」
「あー、その、なんだ」
彼女達にストレイドの話をすると、とても機嫌が悪くなる。
自分たちが大事にされていると解っていても、更に上の扱いを受けるストレイドに思うところがあるのだろうか。
「逃げるな」
「うおっ」
プリンツの両手が、指揮官の頭をがっちりとホールドする。
必然的にプリンツの顔へ固定され、目線が合う。
「私達の気持ち、気付いてるくせに」
「なんの事かな」
「惚けるな」
表情は真剣そのもの。
下手な回答をしようものなら鉄拳でも飛んできそうだ。
「そうだ、なっ!」
「きゃっ…!?」
なので、身を乗り出している事を逆手に取り、両腕を思いっ切り引っ張ってやり、指揮官の膝の上に収まるように抱きとめた。
さながらお姫様抱っこのようだ。
「ちょっと、何を」
「これでも我慢してるんだ。あんまり男をからかうなよ…!」
「…!」
珍しくプリンツが慌てている。
普段からからかわれているため、仕返しがしたかったのだが思わぬチャンスに、指揮官は存分に弄ることにした。
「さて、どうしてくれようか」
「…あっ、やばっ」
ドン!!
突然、執務室のドアが吹っ飛んだ。
「えっ」
「指揮官様ぁ〜?」
蕩けるような、ささやくような声。
しかし、しっかりと耳に届いている。
「あ、赤城…」
「何を、なされているのですか?」
有無を言わさぬ圧力をひしひと感じる。
彼女は笑顔なのに、だ。
「指揮官に無理矢理!」
「あっ、てめっ!」
するっ、と猫さながらに抜け出したプリンツから言い放たれたり一言が、赤城の琴線に触れる。
「指揮官様?赤城はずっとずっと我慢しているのですよ?ここを『ソウジ』したくてたまらないのですよ?」
いつの間にかプリンツがいない。
逃げたのか…。
「そうだな…艦隊の仲間なんだし、仲良くしてくれよな?」
「指揮官様」
「ハイ…」
「そんな中で他の女とくっついているなんて…赤城は、ちょーっと」
「ひっ」
「妬いてしまいます」
このあと、めちゃくちゃ尻尾に巻かれた。
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「お、終わった…」
夜。
就業時刻を過ぎ、各々が明日の準備をしていた。
「指揮官。一緒にお風呂でサッパリしない?」
あっけらかんと戻ってきたプリンツにそう言われる。
「やめろ、そろそろ赤城に食われる」
「…赤城とケッコンしないの?」
「………」
ケッコン。
アズールレーン上層部が決めた、胸糞悪いシステム。
勝手に兵器として産み出しておきながら、そんな事を、させる。
「…しない。ストレイドに乗る限りな」
「何それ」
「男の意地だよ」
この考えは押し止めなくてはならない。
彼女達に失礼だからだ。
「はぁ、なーんだ」
つまらなさそうに呟く。
「でも、私を笑わせてくれたアンタを諦めるつもりは無いわ」
「いつの話だよそれ」
「Ich liebe dich」
「え?」
「冗談か、本当か…アンタの判断に任せるわ。それじゃ、また明日ね」
執務室から、彼女は出ていった。
一人残った指揮官が、こぼす。
「…惡いけど、俺にはやっぱり応えられないよ」
普段は見せない、泣きそうな顔で、視線を外した。
「せめて、この戦いが終わるまで。俺が喚ばれた意味が分かるまで…待っててくれ」
一度デレると際限なく甘えてきそうですよね、プリンツは。
ゲームを始めた当初から結構お世話になってる子で、愛着もあったり。
…だから、ケッコンするか本気で悩むんですよね…。
リンクスの方は、するのかな…ケッコン。