【完結】Azur Lane for Answer   作:塊ロック

31 / 41
現れる桜色のネクスト。

リンクスは、ただ戦うだけ。


思い出の清算

足元の群青の風景がコマ送りの様に進む。

どれだけ飛ばしただろうか。

 

後方の戦闘がとても遠い気がする。

 

オーバードブーストを切り、通常航行に移行する。

 

 

そいつは、動かず、ただ垂直にスラスターを吹かせて海上に浮遊していた。

 

 

アーマードコア・ネクスト。

 

 

この世界に来て、初めて相対する……言わば同業者。

 

 

油断なく、目の前の海上に降り立つ。

通信なんて飛ばさない。

 

アズールレーンからすればソレは所謂『所属不明機(アンノウン)』だ。

『こちら』の作法では一応降伏勧告を行うらしい。

 

そんなもの、何の役にも立たないと言うのに。

 

だから俺は、何も言わずにライフルを向ける。

向こうもレーザーライフル……LR02-ALTAIRをこちらに向けた。

 

お互いに、動きは無い。

 

「………………」

 

する事はひとつ。

なのに動けないで居る。

 

ここにきて、俺は情に囚われている?

 

……否。

 

「セレン・ヘイズゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!!!」

 

叫んだ。

どうしようもなく、叫んでしまった。

 

俺の中にある感情がぐちゃぐちゃになっている。

戦場に居た頃の、感情を冷静に処理してた頃と全く違う。

俺はこんなにも弱かったのだろうか。

 

……KAN-SEN達と触れ合って、人並みに情緒と願望を持ってしまったからだろうか。

 

 

 

 

 

 

発砲。

勿論向こうも予測していただろう。

難なくかわされる。

 

反撃のレーザーが飛んでくる。

記憶と、シュミレーションから導き出された反射がストレイドを動かす。

 

攻撃の手は緩めない。

ライフルと背中のロケットを発射する。

 

シリエジオの主兵装はレールガン、レーザーライフル、ASミサイル。

ミサイルは怖くない。

最も警戒すべきはレールガンだ。

 

ジリジリと、2つの武器でアーマーとAPを削りに来る。

 

よって、長期戦は不利。

文字通りの短期決戦を求められる。

 

その為の武器は、左腕にマウントされている。

こいつを、どうにかして当てる。

 

当てなければならない。

これ以上思い出を汚されてはいけない。

1分1秒でも、俺の恩師が利用されるのを黙って見ている訳にはいかない。

 

「あ、ぐ、ぎ、ぎ、ぎ、ぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」

 

歯を食いしばる。

加速する。

クイックブーストを連続で吹きまくる。

 

立ち止まるな。

引き金から手を離すな。

奴から目を離すな。

 

一挙一動を目視しろ、感じろ、予測しろ。

俺の体が汚染で動かなくなっても良い。

Gで内臓が潰れたって構わない。

この後の人生全てをこの瞬間に捧げる覚悟を決めろ。

 

衝撃力の高い武器……ハンドガンで硬直させるなんて芸当は最初から無理だ。

 

この世界に持ち込んだライフル2挺、ミサイル。

そしてこの世界で作られたロケットと……切り札。

 

俺のカードはこれだけ。

あとは、勝負するだけ。

 

いくつものレーザーを掻い潜る。

しかし、避け切れずに被弾していく。

 

距離は未だ詰められない。

徹底した引き撃ちとEN管理。

EN武器を積んでいるくせにガス欠の気配は無い。

 

まだだ。

耐えろ、耐えろ耐えろ耐えろ耐えろ耐えろ耐えろ耐えろ耐えろ耐えろ!!!

 

来るべき一瞬に、決着をつける一瞬に賭けろ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

衝撃。

 

機体がふらつく。

PAを貫通されたのだ。

 

「が、ぁぁ!?」

 

APが既に30%を切っている。

機体がアラートを鳴らしまくる。

 

落ちる。

 

 

「違う……!!」

 

今が、チャンス。

機体は死にかけ、さっきから体のあちこちから出血が止まらない。

涙だっていつの間にか真っ赤だ。

 

でも、今。

今しかない。

 

途中で機体がバラバラになるかもしれない。

撃ち落されるかもしれない。

 

それらの恐怖を全て振り払う。

 

ストレイドの背中のバーニアが開き、翼のように広がる。

 

オーバードブースト、解放。

 

「いっけええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!」

 

肉薄。

そして、左腕を突き出す―――――。

 

その先に付けられているのは、鈍い銀色の杭。

 

その名も、射突型ブレード。

重桜が寄越した、元の世界のKIKUを再現したキワモノ。

 

これを、まさか使う事になるとは。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

凄まじい轟音が鳴り響く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ブレードが、シリエジオの胸部を叩いた。

衝撃で、装甲が陥没する。

 

 

 

 

 

 

 

その勢いのまま、ストレイドはシリエジオに激突。

 

俺は上空に跳ね飛ばされた。

 

 

 

 

 

 

 

「がはっ……!」

 

意識を手放してはならない。

ブースターは全て切れている。

それなのに、滞空しているのが長いと感じるのは何故だろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『殉ずるが良いさ。己の答えに』

 

 

 

 

 

 

 

そんな声が、聞こえた気がした。

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。