【完結】Azur Lane for Answer 作:塊ロック
一部のKAN-SEN達が、リンクスを追った。
それが、何を起こすのか。
Side:ネルソン
戦闘音が止まった。
「指揮官?」
「どうしたの?」
「いや……」
ドガァン!!
「「「「!!!!」」」」
一際大きな破砕音。
次いで、大質量が海面に叩きつけられた様な音。
決着が、着いたのだ。
「指揮官!」
「エンタープライズ!アンタ連戦でボロボロでしょ!」
プリンツ·オイゲンがエンタープライズを静止する。
自分だって似た状況だろうに。
後方から赤城も追い付いてくる。
「ネルソンさん。恐らく指揮官様が勝利したのでしょう」
「……指揮官が負けたとは思わないの?」
勝率は、5割。
本人が自嘲気味に話していた事を思い出す。
「指揮官様が、負ける訳ありませんわ」
なんの疑いも無く、赤城は言い切った。
「フン……そう言うとこ、ホント羨ましいわ」
「行きましょう。指揮官様を迎えに」
私達4隻が海上を走る。
量産型セイレーン達もほとんど漸減が終わり、戦闘も終息に向っていた。
後は、指揮官と帰還するだけ。
示し合わせた訳でもないのに、この4隻が出迎えに集まってしまった。
別に、アイツのことを心配してる訳じゃない。
何だかんだ、サンディエゴは指揮官無しでは回らない。
必要なのだ、リンクスという存在は。
……私にとっても、まぁ、その、必要だと思うけど。
「指揮官様!?」
赤城が、悲鳴の様な叫びを上げる。
それと同時に速度を上げた。
「ちょっと、赤城!?」
「私達も追うぞ!」
エンタープライズとプリンツが速度を上げる。
私も全速力で追随し……。
「指揮官っ!!」
手を空に向け、既に七割ほど水没するストレイドが私達の前に居た。
「拙いぞ!このままじゃ水没する!」
「ネルソン!明石のヤツ呼びなさい!クレーン持ってこさせて!」
「嫌っ、指揮官様!返事を、返事をしてくださいませ!!」
三者三様に……焦る。
私も焦っていた。
けど、やるべき事を見失ってはいない。
「もしもし明石!?送った座標に修理装置と回収用の補給艦持ってきなさい!全速力よ!一秒でも遅れたら皮剥いで三味線にしてやるわよ!!」
『わ、わかったにゃ!!』
こうしてる間にもストレイドが沈んでいく。
どうする、どうすれば良い……!
「くっ……!」
「ネルソン!?」
私は、沈み行くストレイドの腕を
「が、っ、お、重い……!!!!」
私の足が沈みかける。
艦装が悲鳴を上げているように軋む。
「何を馬鹿なことを!?」
「BIGSEVENを、舐めるんじゃないわよ!!」
戦艦のパワーをフルに引き出す。
明石が来るまでに、保たせる。
「こんな所で死ぬなんて、絶対、絶対、絶対認めないわよ!!!」
「ホントよ。私、まだ約束のデートしてもらってないもの」
「プリンツ、貴女」
隣に、プリンツもしがみついた。
少し軽くなったとは言え、やはり重い。
プリンツの顔からも、余裕の表情が消え失せている。
「指揮官、いつまで待たせる気……!私を、早く招待しなさい……!不履行はお仕置きよ……!!」
「聞き捨てなりませんわね!後で詳しくお聞かせ願いますわ指揮官様!赤城も、頑張りましたのよ……!く、ぅぅぅぅぅ!!」
赤城も、ストレイド引き止めに参加する。
そして、
「指揮官!貴方は、英雄になるんだろう!?なら、まだ貴方は生きなければならない!ここで沈むべきではないんだ!!」
エンタープライズも、ストレイドの腕を掴んだ。
KAN-SENが、4隻。
このメンバーでのフルパワーなら……!!
「健気ねぇ。首輪のKAN-SENさん達」
「「「「!!?!!?!?!」」」」
いつの間にか、すぐ近くに……病的に青い肌をした少女が……腰掛けるように浮いていた。
その足元には、無数の蛸のような異形が蠢いている。
「お、お前は……!?」
エンタープライズが焦り混じりに問う。
(拙い、拙い拙い拙い!)
今、私達はストレイドを引き止める事に全力を注ぎ込んでいる。
当然、反撃するなんて言う余裕は無い。
かと言って攻撃に転じようものならストレイドは呆気なく沈むだろう。
明石達の反応はまだ遠い。
時間を稼げるの……!?
「私?私はオブザーバー。テスターが面白い世界を見付けたから見に来たんだけど……ちょっと遊びに来ちゃった」
「何を、言って」
「ふふ、首輪付き。この世界における最大のイレギュラー」
唄うようにオブザーバーは続ける。
「面白いわ。この世界のどんな兵器より強大で、どんな人間よりも歪なパイロット。この世界はこれからどんな方向へ向かうのかしら」
「意味が、わからないわ」
呻くようにプリンツが呟く。
「貴女達に理解は求めていないわ。でも、そうねぇ……こう言うのは、好きかしら?」
ガシャン、と蛸のようなユニットが……砲台のようなモノを、向けてきた。
「くっ……!?」
「今、貴方達は手を離せない。愛しの指揮官を沈めたくないものねぇ。さぁ、どうする?どうするの?見せてみなさい、
「黙りなさい!指揮官様はまだ死んでなど!」
「そう。なら、助けて貰えば?」
万事休すか……!!
「いつまで、寝てるのよッ!!さっさと、仕事、しなさいよッ!!」
轟音。
周りの海が一瞬で水飛沫となり巻き上がる。
私達も堪らず吹き飛ばされる。
「きゃあッ!?」
「指揮官様……!」
「うわぁっ!?」
「くっ……!!」
辛うじて見えたのは、オブザーバーの笑顔。
「ふふっ、あはははは!!
『失せろ』
「ひぎ……!」
発砲音。
手にしていたライフルと背に付けられたロケットサルヴォが火を放った。
オブザーバーの姿が、千切れ飛んだ。
「……遅いのよ、馬鹿」
上空から、半壊しあちこちこら火花を撒き散らした……白い鳥が降りてきた。
『……ただいま』
そいつは、そんな呑気な事を呟いた。
「おかえりなさい……馬鹿」