【完結】Azur Lane for Answer 作:塊ロック
実は、あの後凄まじく大変だった。
サンディエゴに帰還したと思ったら俺の視界はブラックアウト。
話によると目から鼻から口から至る所から血を流していたらしい。
港も半壊、所属していたKAN-SEN達は皆中破以上。
ストレイドに関してはAP10%以下の大破寸前。
俺もしばらくコジマ汚染で意識不明の重体だった。
そんな状態からなんとか建て直し……サンディエゴもようやけ運用出来るようになった。
ただ、気になる事がひとつ。
あの時、完全に機能停止していたストレイドが、どうして再起動したのか。
特別何か操作していた訳ではない。
ストレイドが再起動する直前まで、俺は失神していた。
それが急に、視界がクリアになり……。
セイレーン……後から報告されたが、オブザーバーが言うには、「ストレイドに組み込んだメンタルキューブに宿る記憶」のせいらしい。
メンタルキューブ。
KAN-SENを構築する際に用いられる、この世界の遥か昔存在していた船の記憶。
……それが、ストレイドのCORE……ホワイトグリントの記憶を受け継いだのかもしれない。
「お初にお目にかかります。タウン級巡洋艦、ニューカッスルと申します。貴方様にお会い出来て光栄です」
メイドさんが現れた。
「え、何で?」
つい口から出てしまっていた。
本日の秘書艦……プリンツも、首をひねっていた。
「こちら、ロイヤルからの書類となります」
「うげ、ジジイ達から……」
ニューカッスルが取り出した書類に目を通した。
「……『先の戦闘により、ネクスト撃破、セイレーン撃退の功績を称え、KAN-SENを一隻授与しロイヤルネイビーに席を用意する』……うわぁ、ネクスト欲しさがありありと」
だから、下手にKAN-SEN増やされるより金をよこせ金を。
それが分かっているのか老人共はKAN-SENばっか寄越しやがる。
「ロイヤルメイド隊、不肖ニューカッスル。貴方様にお仕えできることを誇りに思います」
ほら、こういうタイプ苦手なんだよ。
大体ベルファストもベルファストで押しかけてきたし。
というか前にベルファストが言ってた新しく来るメイドってこいつ?
「あー、うん。ありがとう。詳細はベルファストから聞いて。ベルファスト!」
「こちらに」
呼ばれた瞬間ドア開けて入ってくる。
もう慣れた。
「お久しぶりですね、ベルファスト」
「お久しぶりです、ニューカッスルさん」
「まぁ、知り合いか」
「私の前任のメイド長でごさいました」
「そうだったのか」
そんな優秀な人材を寄越すとはまたこう、何考えてんだロイヤルは。
「とんでもござまいせん。私が望むのはただ平穏だけ」
「平穏、か」
戦う為に生まれたKAN-SENが、平穏を望む。
矛盾している様に思うが……平穏の為に戦う、そんな気概を感じた。
「半隠居の身ではございましたが、貴方様のため、誠心誠意尽くさせて頂く所存です」
「あ、うん。ありがとう」
「では、ニューカッスルさん。こちらへ」
ベルファストと、ニューカッスルが退出して。
「……ふぅ」
一息つく。
どうしてもKAN-SEN達と話す時は身構えてしまう。
「指揮官」
「ん?どうし……うおっ!?」
今まで黙っていたプリンツの方を向くと、目と鼻の先に彼女の顔があった。
近っ!!
「な、どうした」
「……鼻の下、伸びてるわよ」
「うっそぉ」
「嘘よ」
「えぇ……」
どうしたんだ一体。
「別に。ちょっと気に食わなかっただけよ」
「珍しいな、そんな事言うなんて」
「そうかしら?私、これでも嫉妬深いのよ」
「へ、へぇ……」
「それで?これだけ引っ張ってるんですもの。デート、考えてるんでしょうね」
「……今しばらくお待ち頂けないでしょうか」
まだ身体治ってないんですよ。
「フン。待ってるわよ」