【完結】Azur Lane for Answer 作:塊ロック
サンディエゴ基地の地下格納庫。
ようやく穴だらけにされたストレイドの装甲が元通りになり、後は白の塗装を施し元の色に戻すだけとなった。
今更気が付いたが、前に居た世界のネクストと比べると全長が小さくなっている気がした。
「………………」
今までの戦いを振り返る。
セイレーンと言う謎の勢力に対して、KAN-SEN以上に力を発揮する存在。
この世界にはイレギュラーとそれるアーマードコア・ネクスト。
……これは、そのまま残すべきなのか。
そして、
「……俺は、『リンクス』で良いのか?」
セイレーンは退けた。
しかし、この世界から完全に撤退した訳ではない。
ここで、ネクストを廃棄するかどうか。
残していても、いずれどれかの勢力がネクストを求めるだろう。
幸い、撃破したシリエジオの残骸は雪の様に溶けて消えてしまった。
シリエジオを悪用されずに済み、少し安堵していた。
ガラにもなく考え込んでしまっている。
そこに、足音が一つ。
「じゃあ、私はアンタのことをなんて呼べば良いのよ」
「……ネルソン」
先程の独り言を聞かれていたのか……ネルソンが、いつもの不遜な態度で、俺の背後に立っていた。
「私は、リンクス・カラードマンって名前の男がこの鉄の塊に乗って戦える事しか知らないわ。この世界の事を何一つ知らないクセに、私達を指揮してる、ね」
「……確かにな」
そう言われて、思わず苦笑する。
この世界で、どうして俺がこんな指揮官もどきをしているのか。
「別に、傭兵として戦わせてくれれば良かったものを」
前と変わらずに、依頼があれば出撃し、敵を殺すだけ。
「でもそうはならなかった。過去を振り返るのは止はしないけど、行き過ぎれば負け犬の遠吠えよ」
「……相変わらず、手厳しい」
「当たり前よ。アンタには一人前になって貰わないと困るんだから」
「そうか……」
思えば、こいつには苦労かけっぱなしだったなぁ。
基本的に危機に陥った際の殿役はほとんどネルソンだったし。
こいつだけじゃなく、他に三人KAN-SENが居たけど……俺を引き留めてくれたのも、ネルソンだった。
「なぁ、ネルソン」
「何よ」
「何か、欲しいものでもあるか?」
KAN-SEN達に与える褒美。
図らずもプリンツに渡す事になっていたが、流石に一人だけと言うのも贔屓が過ぎる。
今回は、全員がMVPだ。
出来るだけ、叶えてやりたい。
「欲しいもの、か……私の欲しいものは……そうね、大佐階級」
「無茶を言う……叩き上げは大尉で限界だって聞いてるけど」
「だったら、私達を使って戦果を出す事ね。他の基地の指揮官を叩き伏せれば上も考えを改めるでしょう」
あっけらかんと言い放つ。
うちのKAN-SEN達の練度は高い方だと思っているが、ほとんど対セイレーンで培ってきたものばかり。
対KAN-SENでは通じるのだろうか。
「もしくは……アンタさえ良ければ、わ、わ……私と一緒にロイヤルネイビーに……」
「それは出来ない」
「……どうしてよ」
「俺は、『中立』じゃなければならないからだ」
リンクスとして、ネクストを持つ者として。
どこかに肩入れしてはいけないのだ。
いずれ、火種となってしまう。
「何よ、それ。人がせっかく……」
「いや、ありがとうネルソン……お前のお願いは、前向きに善処するよ」
「それ、どうにもならない答えよ」
「そうだったか?」
「全く……良いわ。私達はアンタに頼りっぱなしだったわ。けど、これからは、アンタが私達を頼りなさい」
ネルソンが息を吸う。
そして、したり顔でこう言うのだ。
「そしたら、私達が……アンタに相応しい勝利と地位を約束するわ」
リンクスの名前、どうしようかな……。