【完結】Azur Lane for Answer   作:塊ロック

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いつぞやの約束を果たさなきゃいけなくなったなぁ。


約束

ある日。

珍しく俺は街に出ていた。

 

サンディエゴ軍港の近隣街は俺がここへの配置が決まった当初はそれは閑散としたものだった。

 

ここ数ヶ月で人も物も集まり……街としての機能を発展させた。

しかし、先日のセイレーンの襲撃で一度壊滅の危機に瀕していたが……既に、復興の兆しを見せ始めていた。

 

「こっちよ」

 

声をかけられ、思考を止めて意識を向ける。

……プリンツが、見慣れた軍服ではなくシンプルな私服に衣装を替え笑顔で手を振っていた。

 

「……待たせたか?」

「いいえ、今来たところよ。さ、時間は有限よ?今日は楽しみましょう」

 

そう言うが否や、俺の隣まで移動してするっと腕を絡ませてきた。

 

なんでこうなったんだっけな……。

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 

 

数日前。

 

サンディエゴは復旧作業に追われていた時のこと。

 

「指揮官。約束はいつ守ってくれるのかしら」

 

プリンツが、めちゃくちゃ不機嫌そうに机を叩きながらそう言ってきた。

 

「……約束?」

 

アズールレーン上層部から飛ばされてくる催促や今後の運営計画を整理して、ネルソンに資料要求して一人になったタイミングだった。

執務室のドアが乱暴に開けられたかと思えばプリンツが入ってきたのだから怪訝な顔もする。

 

「惚けるな。デートよ」

「でぇと」

 

はて、なんの話……あっ。

マザーウィル戦での一件を今思い出した。

 

「その顔、忘れてたみたいね」

「……覚えていた」

「百戦錬磨の首輪付きサマが、まさか慕ってる女との約束を忘れるなんてねぇ?」

「覚えていた」

「……それで動揺しないのもちょっと腹立たしいわ」

 

どないせいっちゅうねん。

 

「ねぇ指揮官。いつ暇かしら」

「暇って。今そんな事をしてる余裕は」

「そ ん な 事 ?」

 

あ、駄目だ。

これ選択を間違えると死ぬ。

 

プリンツが笑顔のまま顔の影が増えて目が笑ってない。

 

「……今週末だ」

「そう。楽しみにしてるから」

 

 

 

――――――――――

 

 

 

以上、回想終わり。

 

()()()()

 

声をかけられたので思考を現実に戻す。

……何でリンクスかって?

デートなのに肩書で呼ぶのは無粋、そう言われたから。

 

まぁこれ本名じゃないんだけどさ。

 

「どうした?」

「まだ聞いてないわ」

「何を」

「どうかしら」

 

手を離したと思ったら、俺の前まで出てくるっと1回転。

そして両手を広げた。

 

……何を聞かれているんだ?

なんて答えるべきだ、考えろ。

 

「あー、その」

 

ふと、昨日ロドニーに叩き込まれた事がフラッシュバックした。

そうだ、確かこんな時。

 

今日のプリンツの格好。

いつもの際どいスカートではなく今日はラインの出るパンツルック。

上は黒の肩出しニットである。

露出度的に普段より下がっているが……。

 

「……似合ってる」

「他には?」

「………………」

 

他には……他!?

どう褒めろと!?

お、思い出せ、ロドニーの訓練を……。

 

「い、いつもと違った魅力だ。素敵だと思う」

「……そう?ありがとう」

 

ちょっと上機嫌に。

内心ホッと一息ついたのだった。

 

この調子ならなんとか乗り切れ――。

 

 

 

 

――まさかまる一日ぶっ通して連れ歩かれた上にバーに連れ込まれてしこたま飲むとは思うまい。

 

 

 

 

 

「あははははは!ねぇ〜リンクス〜?飲んでるかしら〜?」

「飲んでる飲んでる痛いからやめろって痛たたたた」

 

バンバンと、隣に座る凄まじく上機嫌なプリンツに背中を叩かれていた。

と言うか何杯目だ。

 

「これくらい良いじゃないのよ〜」

「馬力を考えろ!お前らの方が強いんだから……」

「そう?加賀には俺の方が強いって見栄切ったらしいじゃない」

「何でそれを」

「聞いたもの、加賀から」

 

……そんなに仲良かったの君たち。

 

「それで、やっとその気になってくれたわね」

「……その気?」

「こうやって誰かと飲む事よ。貴方、今まで誰ともしてなかったでしょ」

 

思い返せば食事の席を同じにする事はあっても酒を酌み交わす事なんて無かったな。

 

それこそセレンさ――。

 

「………………」

 

手が止まる。

……その手に、プリンツの手が重ねられた。

 

「なんだよ」

「セレン·ヘイズって奴のこと?」

「………………」

 

図星。

 

「セイレーンに好き勝手される前に、何とか出来て良かったわね」

「――ああ」

 

良かった、か。

あれで良かったんだろうか。

恩師を倒してまで、この世界に居るべきだったんだろうか。

 

「あの時負ければよかっただなんて言ったら、私達のしたこと……全部無駄になるって判って言うつもり?」

 

……そうだ。

こいつらが賭けてくれた命を、軽んじてはいけない。

 

「……大丈夫だ。判ってる」

「本当に?」

「ああ。俺はもう迷わない」

「ふ〜ん……じゃあさ。ケッコンしてよ」

「………………は?」

 

バッ、とプリンツの方を見る。

……テーブルに突っ伏して、寝息をたてていた。

 

「……飲み過ぎだ」

 

俺もちょっとやばいかも。

 

 




プリンツの猛プッシュ。
ケッコンの行方はどうなる事やら。
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