【完結】Azur Lane for Answer 作:塊ロック
……足が痺れる。
どうにも、正座というものは俺には向いていない。
新手の拷問なのではなかろうか。
有澤のやつも一度俺を招待したときに正座させてきて思わず謀ったか、なんて言ってしまったよ。
「………………」
チラ、と目の前に座る着物姿の女性を見る。
彼女は、静かに湯を沸かしていた。
「………………」
この静かな時間。
口を開くのは無粋かとすら思える。
「……お待たせ致しました」
暫くしたら、赤城が口を開いた。
「あー、うん」
……そう、何故か俺はいつの間にか基地に設置されていた茶室で赤城と飲むことになったのだ。
何故か、と言うのは些か語弊があるが……先日プリンツと出かけた事を赤城に糾弾された際に、
「じゃあ、赤城は何が欲しい」
と尋ねたら。
「……赤城も、指揮官様と二人だけの時間が欲しいです」
そう言われた。
以上回想終わり。
「なぁ、本当に……外に出なくても、良かったのか?」
「ここは便宜的にユニオンの領域です。やはり……外に出ては、好気や忌避の視線を感じますので」
「そう、か……」
重桜の船には、未だ疑念が晴れない。
それもそうだ。
開戦を宣言したのはあちらなのだから。
「……やり切れんな。命を賭けて戦ってくれたお前達が、自由に出歩けんとは」
「でも、指揮官様は少しずつ……変えてくださるのでしょう?」
「過大評価し過ぎだ。俺は戦う事しか出来ない」
赤城が静かに茶をたて始めた。
俺も、黙る。
……アズールレーンを一つにすると、柄にもなく大きな口を叩いたが。
実態は、これだ。
レッドアクシズ側のKAN-SEN達に、俺は何をしてやれた。
「どうぞ」
そんな風に考え込んでいたら、目の前に深緑色の茶が差し出された。
いつも煎れてくれる物とはまた違うもの。
「頂こう」
「……あら、作法をご存知で?」
「見様見真似。昔……有澤のやつにな」
「アリサワ……?」
「ああいや、向こうでちょっと世話になった企業の社長でな」
「同じ名前の兵器開発者が確かいらっしゃいましたね」
「……もしかして、グレネード作ってる?」
「いえ……確か、長門様の主砲やらを手掛けていますね」
ナガト、ナガト……どんな奴だっけ。
戦艦か。
大艦巨砲主義は変わってないのね。
「何か、前の世界の知り合い……探したら居そうだ」
「探されます?」
「いや、いいや……その代わり」
一口。
苦い。
「いつか、赤城の故郷にも……行ってみたいかな」
「……大丈夫です。指揮官様なら、いつか……必ず」
「サクラって言うのを見てみたい」
「冬が明ければ、今年も満開になると思いますわ」
「温泉に行ってみたい」
「赤城がお背中流しましょうか?」
「……考えておく」
「ふふふ」
「どうした?」
赤城が微笑む。
何かおかしな事を言っただろうか。
「指揮官様、珍しく要望を口にしていますね」
「え……?」
「指揮官様も、変わられています。この世界を変えるのも、きっとそう遠くは無いのかもしれませんね」