【完結】Azur Lane for Answer 作:塊ロック
場所は北極近海。
ここに鉄血の戦艦、ティルピッツが放置されているとの情報を得た。
今回の目標はティルピッツの保護である。
なお、海域には鉄血艦隊と思しき量産型が集結している。
十分な警戒をされたし。
それから、暫くして。
「第一艦隊、出撃!各員がその義務を果たす事を期待するわ」
旗艦、ネルソンを主軸に後衛艦に重桜の空母、赤城と加賀。
前衛艦隊は重巡洋艦シュロップシャー、軽巡洋艦クリーブランド、駆逐艦綾波の編成だ。
今回の目的は北極方面での鉄血艦隊の動きの調査だ。
『聞こえているな?ミッションスタートだ』
「はいー、指揮官様の愛が聞こえますよ〜」
『赤城、今日はネルソンに従ってくれよ?』
「はぁい」
「指揮官、なんで鉄血が動いてると思うのかしら」
『そうだな…その海域には恐らくティルピッツが放置されている』
「…なんですって?」
どうやら鉄血は戦闘中の不調と航行不能により、ティルピッツを破棄、そのまま離脱していたらしい。
同じ戦艦として、同情を禁じ得ない。
「鉄血の指揮官、トラファルガーに沈めてやろうかしら」
『そこで、ティルピッツを救出しこちらに引き入れようと思う』
「それは何故?」
『戦力が足りないからだ。お前らが居るとはいえうちはまだまだ数が足りない。特に後衛艦隊はあとロングアイランドとロドニーしか居ないのが現状だからな』
「それにしては狙いが大胆というか…まぁ、褒めてやるわ」
『そいつは光栄だ。だが、気を付けろよ…嫌な予感がする』
「たかが不調の艦船一隻引っ張るだけよ、楽勝に…」
「姉さま!ネルソン!構えろ!」
突然加賀が叫んだ。
赤城は即座に反応し哨戒機を飛ばしていた。
「加賀!どうしたの!」
「前衛の三人が何者かに襲われている!」
「流石重桜、感度が良い!」
艦首を前衛艦隊の居た方へ向け、援護のために前進する。
「ヤバイよヤバイよ〜!?」
「キシンの力、思い知るがいい…!」
「!シュロップシャー回避!!」
「ひわわー!?」
前方に水柱。
砲弾が水面に着弾して立ったものだろう。
「クリーブランド!相手は!?」
「ネルソン!こっちからは見えない!空母はどうしてる!?」
「赤城!」
「…見つけた!」
赤城と加賀が即座に攻撃機を飛ばす。
一航戦が得意とする先手必勝のスキルはこの切り替えの速さにある。
あいにくと先手は先方に取られてしまったが。
「これは…!?」
驚愕に目を見開く赤城。
「ネルソンさん!相手は…セイレーンです!!」
「なん」
『セイレーンだと!?』
水柱の向こうから、黒と青の肌の異形がこちらを睨めつけていた。
「ハァイ…遊びましょう?首輪付き」
瞬間、眩い光が視界を埋め尽くした。
「退避ッ!!」
「うわぁぁぁぁぁ!?」
激しい砲火が断続的に雨のように降り注ぐ。
相手はその場から動いていないが、とてもでは無いが狙いながら避けるなどという芸は難しい。
「初めまして、かしら。私はテスター。今回はイレギュラーに用があって来たの」
セイレーンが、こちらへ向けて喋りかけてきた…?
『今増援を向かわせる!少しでも時間を稼げ!』
「イレギュラー?何のことかしら」
指揮官からの無茶振り。
会話ができると言うなら、それに答えて少しでも気を逸らす…!
「あれ、知らない?首輪付きだよ」
「このっ!」
クリーブランド渾身の全弾発射。
直線に放たれる主砲副砲の砲弾は虚しく空を切った。
「早い!?」
「首輪付きって、何よ!!」
主砲発射。
ビッグセブンの名に恥じない火力が、セイレーンに叩き込まれる。
「アッつ!ったく、懲りないのね!」
「嘘!直撃よ!?」
ダメージは見込めない。
指揮官の、セイレーンに対して有効打が無い、と言う台詞を思い出す。
…私達の力が及ばないなんて嘘だ。
「怯むな!全艦砲門開け!」
「加賀、行くわよ!」
「ユニオンの底力、見せてやる!!」
「私も、混ぜてよ」
…水平線の向こうから、紫色の光が飛来した。
「ひっ…」
「シュロップシャー!避けて!!」
クリーブランドが叫ぶ。
しかし、間に合わない。
爆発。
一撃でボロボロになったシュロップシャーがふっとばされる。
「シュロップシャー大破!」
「何ですって!?」
『シュロップシャーを連れて下がれ!あともう少しだ!それまで耐えろ…!』
指揮官の声も悲痛さを帯びてくる。
しかし、増援が来たところでダメージが入らねば…。
「ネルソン!」
「しまっーーーー!?」
砲弾が来る。
「舐めるなァ!!」
主砲斉射。
もう一度レーザーを放とうとした新手のセイレーンに直撃し、態勢を崩す。
…着弾。
「ぐっ…!?」
艦装左舷大破。
航行は可能だが、速度が…。
「全艦隊、シュロップシャーを連れて下がりなさい!殿は私がやるわ!」
「ネルソン!?何を言ってるの!?」
「ここで時間を稼がないと全員全滅する!合理的な判断よ」
「味方を見捨てる事のどこに合理がある!」
たまらずクリーブランドが反発してきた。
「早く…!」
「ごちゃごちゃ煩い」
「うわっ!」
セイレーンの後ろから、多数の量産型の船が現れる。
「万事休すか…」
「良いだろう…どれだけでも掛かってこい!貴様の喉元を噛み切ってやる!」
「沈みなさい。紛い物たち」
「首輪付きも来なかったね…薄情な奴に使われてるねぇ」
さっきから繰り返される、首輪付きと言う単語。
それは何を指しているのか。
「ま、ここで沈めてあげるのも慈悲ってやつかな!!」
「くっ…」
こんな事なら、もうちょっと素直に接してやれば良かったかな…。
「ロドニー、頼んだわよ…貴女の義務を果たしなさい」
『悪いが、その言葉は聞かなかったことにしよう』
数十の弾丸が、今まさにレーザーを撃とうとしたセイレーンを撃ち抜いた。
遂に登場、セイレーン。
彼女たちの狙いとは一体。
次回、白の翼は舞い上がる。