【完結】Azur Lane for Answer   作:塊ロック

7 / 41
俺は革命家ではない。

かつて俺に現体制への反逆への手招きをした男。
彼は結局、何を夢見て戦い、散ったのだろうか。

俺は人の上に立てる器じゃない。

銃を取り、鋼を纏い、死を振りまくことしか出来なかった。

俺は、なんだ?
一体、俺と言う男は…何者なのだろうか。


クローズ・プラン

 

 

暫くして。

 

母港に所属している艦船すべてが講堂に集められていた。

 

 

「指揮官。全員集めたけど、何をするつもり?」

 

「ネルソンか。いやいや、ちょっと決意表明をね」

 

 

背後にネルソンを控えさせたまま、指揮官は壇上へ登る。

 

 

「あー、あー、聞こえてるかな?」

 

 

講堂は静まり返っていた。

 

 

「前回の出撃でセイレーンと遭遇し、何とか撃退する事はできた」

 

 

ひと呼吸おいて。

 

 

「現状の戦力では太刀打ち出来なかった事が事実として上がってしまった。そこで」

 

 

指揮官の背後にスクリーンが垂らされ、映像が映し出された。

 

 

「私が、前線指揮を行いながらこのアーマード・コアネクストに乗り状況の打開を測る」

 

「本気で言っているの?」

 

「ネルソン。質問はまず挙手をしてからだ」

 

「指揮官!」

 

「…その通り」

 

 

そこまで言い切ると、ネルソンは呆れたように天を仰いだ。

 

 

「そこまで馬鹿だったとは…」

 

「ならばここでもう一つ、馬鹿にしか言えないことを表明しよう」

 

「え?」

 

 

現状の装備、戦力は圧倒的に足らない。

 

ならばどうすれば良いか。

 

 

「対セイレーン部隊、アズールレーンを再建する!」

 

「それは、ユニオンとロイヤルだけでって事かしら」

 

 

プリンツから飛んできた質問に、淀まず答える。

 

 

「いいや!鉄血、重桜を吸収し、本来のアズールレーンを取り戻す!」

 

 

そして、このセイレーンによって閉じられた牢獄から脱却する。

 

新たなクローズプラン。

今度は革命家の手に引き寄せられるのではない。

 

 

「諸君、派手に行こう」

 

 

_______________________

 

 

 

 

 

 

 

夜。

 

執務室で、これからの事についてアズールレーン上層部への書類をまとめていた。

 

 

「入るわよ」

 

「ネルソンか。どうした」

 

「どうした、じゃないわ。秘書艦なんだけれど」

 

「そうだったな。じゃあその書類の整理手伝ってくれ」

 

 

机の上の書類の山の一角を指差す。

 

ネルソンは黙々と目を通し始めた。

 

 

「指揮官」

 

「何だ?」

 

「貴方は、今日言ったことに対してどれだけ本気なの?」

 

「100%」

 

「出来るの?」

 

「少なくとも、俺にはその権利と義務がある」

 

 

義務、と言う言葉にネルソンは目を丸くする。

 

 

「驚いた。貴方からそんな言葉が出るなんて」

 

「俺も驚いてるよ」

 

「…ついこの前と、顔付きがまるっきり違うわね」

 

「そうか?」

 

「ええ。無能な男から戦場で生き生きしてる戦士の顔ね」

 

「…あながち、間違ってもないかもな…俺はアレに乗らないと生きられない」

 

「え?」

 

「アイツに繋がれてるのさ」

 

 

 

自分の首を指差して苦笑する。

…黒のチョーカーが巻かれている。

 

その下にある、端子が見えないように。

 

首輪付き。

 

リンクスをある種の統制下に置かねばならない企業連の組織カラードに所属するリンクスを皮肉った呼び方だった。

 

 

「そう…難儀ね」

 

「それほどでも。だから、戦い続けた先の答えを見たいんだ」

 

 

この世界での役割。

 

それを果たすまで、そしてあの世界…人類の進出を望んだ答えの先を見るまでは。

 

 

「そう言えば…その、この前の…謝ってなかったわね」

 

「この前?」

 

「アンタの大切な相棒を、鉄塊扱いして」

 

「…そんな事気にしてたのか」

 

「そ、そんな事をって」

 

「存外、可愛いところがあるんだな」

 

「んなっ!み、見るな!抉るわよ!」

 

「ははは、心配するな。気にしてない」

 

 

しおらしい対応でちょっと可愛い奴だと思ってしまう辺り、まだまだ甘いらしい。

 

 

「ま、そう思うなら俺の下でしっかり働いてもらうからそれでチャラって事で」

 

「ふ、ふん…無能な指揮官じゃないし、仕方ないから従ってあげるわ」

 

「素直じゃないな」

 

「何ですって!」

 

「これから、頼む」

 

「…ええ」

 

 

新生アズールレーン発足の為には何もかも足りないが、こいつらと一緒なら、やっていけそうな気がする。

 

 

(セレンさん…俺、まだ帰れないかな)

 

 

 




こうして、新たなクローズ・プランは表明された。

…と、言ってもそれはかつて成就した作戦にあやかり名づけただけだ。

リンクス・カラードマンと言う男は、結局のところネクストに繋がれたただの首輪付きであった。

しかし、彼の中には恩師と、志を同じくした同志たちの遺志が残っていた。

どこまでも、どうしようもないほどに首輪付きとして生かされた男が、首輪を外すその日まで。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。