【完結】Azur Lane for Answer 作:塊ロック
自分でもこんな事を言うのはおこがましいとは重々承知している。
しかし、私は満たされない日々を送っていたのも事実だった。
「ベル…また貴女は配属の話を蹴ったのね」
「申し訳ございません陛下」
いそいそと午後の茶会の準備をしている最中、目の前で腰掛けている少女…ロイヤル所属戦艦、クイーンエリザベス女王陛下から呆れたように声を掛けられた。
「あの軍港の指揮官はあまり良くない話を聞き及んでおりました」
「そう?ロイヤル出身のそこそこ良い貴族の末裔らしかったけど」
「曰く、奥方がいらっしゃるのに艦船を次々と手籠にされているとか」
「なんですって!?ロイヤルとしての沽券に関わることを…はぁ、まぁ良いのだけれど、貴女がずっと私の側に居るというのも考えものね」
私…ベルファストはメイドであり、主人に仕えるのが本分である。
だがしかし、それと同様に艦船としてのベルファストでもある。
戦場に出ないと言うのもそれはそれで問題になる。
「何ていうか、ベルがここまでワガママを言うのが珍しくてついつい甘くしちゃったけど、そろそろ心を決めなさい?」
「陛下…」
…と、言うやり取りをしたのも随分と懐かしく感じる。
今、自分は北…北極へ来ている。
ロイヤル上層部から一時的に指揮官を付けられ、ベルファスト含む臨時艦隊が結成された。
狙いは、鉄血より先にティルピッツを回収し鉄血へ圧を掛けること。
…だったのだが。
「まさか、セイレーンが現れるとは…」
ボロボロになった艦装は、まだ水上航行するだけの力は残していた。
突如現れたセイレーンにより臨時艦隊は壊滅。
敗走を余儀なくされ、ベルファストが殿となり後衛艦隊を逃したのは良いが。
(ここまでされては…)
満身創痍。
艦装の損傷もさるものながら、生身の体の方にもあちこち傷を負ってしまっている。
透き通るような銀の髪も煤ですっかり汚れてしまっていた。
セイレーンはベルファストに飽きたのか、適当になぶってどこかへ消えてしまった。
(屈辱…ですね)
ふと、気がつく。
「量産型…まさか、包囲されて…!?」
浮かぶ氷塊の影から次々とセイレーンの艦船が姿を表す。
まるで、自分を逃がすまいと包囲するかのごとく。
(申し訳ございません陛下。ベルファストはお暇を頂くことになりそうです)
残りの弾薬もわずか。
出来る事は、何隻か巻き添えにする程度。
だが、ただでやられる訳にはいかない。
何故なら、
「ロイヤルのメイドを、舐めないでください…!」
意を決したその時、
「…え?」
空から舞い降りた白の巨人が、セイレーンを全て薙ぎ払った。
「………これ、は」
『こちらアズールレーン所属ネクスト、ストレイド。ロイヤルのベルファストだな?』
巨人から声がした。
『大方殿でもやったんだろう。君から見て前方のセイレーンは壊滅させた。仲間が待ってる、早く行け』
「ま、待ってください!貴方は…貴方様は、どこの所属の指揮官ですか!!?」
このとき、自分はらしくもなく高揚していたらしい。
後から思い出すだけでも中々に恥ずかしい。
『え…?あー…軍港、サンディエゴ』
それだけ告げると、白の巨人は飛び去って行った。
その姿を、少し呆けて見送ってしまっていた。
そして、ひとつの答えを、私は得た。
「…見つけた。私の仕えるべきご主人様…!」
行かなくてはならない…サンディエゴに!
相応しいご主人様の元へ!
前回の戦闘で序に助けた船が押しかけて来るようです()
女に甘すぎないかこの指揮官。