ドラゴンクエストⅤ 迷い込まれし転生者   作:ひな太郎

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お気に入り数100, UA5000を超えました。ありがとうございます。
ここまで多くの方々に見て頂けるとは思いもしませんでした。
これからも暇つぶしに読んで頂ければ幸いです。


第11話 ピンチ

「ねぇ!アベルはどこに行ったの?」

「…恐らくさっきのガイコツに連れていかれた」

 

予想外の展開だ。ゲームの時は主人公が連れていかれなかったことなんて気にも留めていなかった。自分の中でアベルには何かしらの抵抗やご都合主義があると安易に考えていた。だが現にアベルはここにいない。ビアンカを守ればイベント自体を回避できるという先入観に囚われ過ぎていた。

 

「急ごう、アベルはまだそう遠くには連れていかれてないだろう」

「わかったわ」

 

階段を降り、左右に鎧が飾られている通路を歩く。

この時俺は最悪のケースを考えていた。

 

本来ゲームで存在していたイベントを先ほどのように回避したとする。

そう、回避は出来るのだ。だが問題はそこではない。

今回ビアンカではなくアベルがイベントの被害に合っている。

これは、つまり――。

 

(何かしらの形でイベントは確実に発生するということを暗に示している…!?)

 

…最悪だ。この仮説が正しければ仮に古代の遺跡でパパスが助かったとしても代わりに誰かが死ぬ、ということになる。

いや、まだそうと決まったわけではない。

もしもガイコツイベントの時ビアンカとアベル2人を抱き寄せていたらどうなった?

3人まとめて連れていかれる?それとも俺だけ?

そもそも対象がビアンカからアベルに変わった今、きちんとゲーム通りにシナリオは進むのか?

クソッ、どうする……今後起こり得るだろうイベントはどうすれば――。

 

「ねぇ、ちょっと!聞いてるの?」

 

気づけばビアンカが大きな声を上げていた。

てか、さっきから呼ばれていたようだ。全然気づかなかった。

 

「えっと…何?」

「だーかーら!さっきこの鎧動かなかったかって言ったのよ」

 

ビアンカは1体の鎧を指差しこちらを見ている。

 

はぁ…鎧?え、これ動くの?

……て、考えるだけアホらし。

そんなの動く訳………………あれ?

 

いや!動く!確かこの鎧は――。

 

「……見~た~な~ッ!!」

 

突如、鎧は崩れ落ち中から本体が出てきた。

そうだ、こいつは――。

 

「うごくせきぞうだ!」

 

ビアンカは突然のことで理解が追い付いていないのか。

俺はビアンカの方へ走り出し、そのまま突き飛ばす。

 

「キャッ!!」

 

床に倒れ込むビアンカ、だが――。

 

「うぐッ!」

 

俺の脇腹に激痛が襲い掛かる。

先程うごくせきぞうがビアンカに攻撃しようとするのが見えた。なんとかビアンカを守れたが代わりに俺が攻撃をくらってしまった。

そのまま通路の向かいにある石像まで飛ばされる。

 

「レオン!!」

「俺に構うな!攻撃しろ!」

 

ビアンカは戦闘態勢に入る。

 

「これでもくらえッ!」

 

ビアンカはメラを唱えた。飛んでいった火球は石像の胸元に着弾する。

――が、少し表面がかけただけで大したダメージは入っていないようだ。

 

「そんな…!」

 

うごくせきぞうはビアンカに向かって突進する。

 

「うッ!!」

 

うごくせきぞうの攻撃は命中しビアンカは階段付近まで吹っ飛ばされてしまった。

 

コイツ…結構硬くてダメージも意外とデカイんだよなぁ。

ビアンカはかろうじて立ち上がってるけど、あの様子じゃ次まともにくらえば相当危ないぞ…。

 

うごくせきぞうがビアンカに近づいていく。

俺は剣を抜き、振りかぶりながら叫ぶ。

 

「ビアンカ!頭を伏せろッ!」

 

ビアンカはとっさにしゃがみ込む。

俺は腕を力いっぱい振り下ろし、持っていた剣をうごくせきぞう目掛けて投げつける。

 

こちらの叫び声に気づいたうごくせきぞうは振り返る。

と、同時に投げた剣がうごくせきぞうの顔面に直撃した。

 

「ギ、グギッ…」

 

直撃した剣はそのまま階段付近にある窓ガラスをぶち破り、外へと落ちていった。

後で回収しないとな……それより――。

 

(き、効いてる?)

 

よく見ると敵の右目が欠損している。

そのせいか腕を振り回しビアンカに攻撃を仕掛けているものの、一向に当たる気配がない。

好機と思った俺は腰にぶら下がったナイフを右手に取り、うごくせきぞうへと接近する。

 

強く握りしめたナイフを敵の頭部へと突き刺す。

ズガンッ、とかなり手ごたえのある攻撃が敵を貫く。

 

(この感覚…もしかして『会心の一撃』か?…この手応え!)

 

倒した!そう、確信してしまった――。

 

 

ベキッ!!!

 

(…………………え?)

 

 

 

 

倒したと思った。

故に慢心してしまった。

今までの傾向から大丈夫だと判断してしまった。

 

 

では何故、俺は壁に吹き飛ばされているのだろう。

では何故、ビアンカが心配そうに駆け寄ったがすぐにその表情は恐怖の色に染まったのだろう。

では何故、俺の体は痛みなど感じていないのにピクリとも動かないのだろう。

 

あれ?俺どうなってんだ?

敵の攻撃をくらった左腕を見てみる。

 

…なんだ、これ?

 

 

そこには原形を留めてはいるものの、赤黒く腫れ上がりバキバキに砕かれた上腕があった。

 

(あれ……なんかヤバくね?)

 

 

 

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