ドラゴンクエストⅤ 迷い込まれし転生者   作:ひな太郎

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第19話 ドワーフの住む洞窟

村を出た俺たちは、ここから西にあるドワーフの洞窟へと向かい始めた。

 

武器を購入している時、その隣で風呂に浸かる骨の爺さんに話しかけられ、ドワーフの話を聞かされた。

何でも『鍵の技法』というモノを編み出したばかりに、当時の村長により村を追放されたとのこと。

以来、西にある洞窟を住み家としているようだ。

 

そして妖精たちの噂によると、北の方には閉ざされた氷の館が存在する。

この館の中に入るにはドワーフが持っている鍵の技法が必要だろう、と俺たちの中で結論が出たので向かっているところだ。

 

 

何度か敵と遭遇したが今は俺、アベル、ボロンゴ、ベラの四人パーティ。

これ程メンバー数が揃っているのは心強い。

加えてアベルの装備がブーメランになったことで、処理スピードも向上した。

 

全体攻撃、強ェ。

てかこの世界のブーメランって何で敵にぶつかっても戻ってくるの?

一種のイリュージョンだよ。

 

そんなこんなで道中は難なく切り抜けることが出来、ドワーフの住む洞窟が見えてきた。

 

 

 

「そう言えば気になってたんだけどさぁ」

 

ベラが唐突に口を開く。

 

「レオンってさ、人間界では私の事見えてなかったのにどうして私が居るって分かったの?」

「うぇ!?」

 

不意の質問に声が裏返ってしまった。

 

てか、やっぱり気になってたんかーい。

こっちに来て視認出来るようになってからは特に指摘もされなかったからちょっぴり安堵してたんだが。

どうしよう。まともな言い訳なんて用意してないんだが。

 

「いや、何かこうボヤ~っと見えた、て言うか……」

「ふーん。まあ、ポワン様もレオンには何か感じていた見たいだし、不思議じゃないのかもね」

 

歯切れの悪い俺の返答を他所に、ベラはどこか納得した様子で特にそれ以上聞いては来なかった。

 

 

実はこの件に関して俺にはある憶測があった。

ドラクエ5において妖精の姿を認識出来るのは幼少時代の主人公、そして成長した主人公の息子と娘。

つまり子どもになら妖精の姿を見ることが出来る、という事だ。

 

今の俺の年齢は9歳。十分条件には入るはずだ。

 

 

では何故、俺には妖精の姿を認識できなかったのか――。

恐らく、精神年齢(・・・・)が子どもでは無い、というのが俺の見解だ。

 

子どもと言うのは「無邪気」なものだ。

だが成長するにつれ誰しも、良い意味でも悪い意味でも様々な事を覚える。

そういった経験を重ねていく事で大人になっていく……という心の成長という意味であれば、俺が妖精を認識出来ない事にも納得がいく。

 

まぁ、俺の前世での生活なんて大したことないけどな。

日頃からゲームばかりでまともな人生体験なんて積んではいなかったが、人間関係の面倒臭さや人の心に潜む悪感情なんて物は嫌でも知っていく訳で。

 

しかも現実に限らずオンラインゲーム上でもマナーの悪い輩とかいるし。

 

 

とまぁ要するに、真の意味で「無邪気な子ども」にしか妖精を見ることが出来ない、ということを俺は言いたかったのだ。

 

はぁ……無邪気に家庭用ゲームに没頭していた小学生時代に戻りたい。

 

 

少しセンチメンタルな気分に浸ったところで、俺たちは洞窟の前へと到着した。

 

 

 

 

 

 

「こんな所に洞窟があるとはね~。あ!中は少し暖かいわ」

「風も入ってこないしな。洞窟は地熱の伝導も早くないし、ある意味自然界の断熱材だよな」

「レオン兄ちゃん、たまに難しい事言うよね」

 

到着と同時に、そのまま洞窟の中へと入っていく。

 

少し奥へ進むと道中に看板が立っており、その先の道は二股に分かれていた。

 

「何て書いてるの?」

「んーっと…『無用の者立ち入るべからず!』て書いてあるわね」

「俺たちは用があるから関係なし。行くぞー」

 

そう言いながら俺は右側の道へと歩き始めた。

 

「ちょっと!相談もなしに勝手に行かないでよ」

「フッ、この手の選択は得意なんだよ。俺の勘に任せてくれ」

 

もちろんそんな都合のいい勘なんて持ち合わせていない。

前世の記憶に基づく脳内マップを辿っているだけだ。

因みに左を通っても進めなくはないのだが、ただの遠回りになるだけなので気を付けよう。

 

そうして進んでいると前方にぼんやりと灯りが見えてきた。

近付くとそこは部屋の入口のようで、左右には大きなロウソクが立てられている事が分かった。

 

そのまま部屋の中を覗くと――。

 

「キュピ!?」

 

一匹のスライムが現れた。

それを見たボロンゴはすぐさまスライムへと飛びついた。

 

「ガウッ!!」

「ヒエ!?おっちゃん助けて~ッ!!」

 

驚いたスライムは大きく後ろへと飛び跳ね、ボロンゴの一撃を回避し、そのまま部屋の奥へと逃げて行った。

 

「アベル!ボロンゴのやつ止めろ!」

「ボロンゴ、めッ!!」

 

今にもスライムを追いかけて行きそうであったボロンゴは、アベルの言葉を聞いた瞬間、戦闘態勢を止めた。

 

「なんじゃ?騒がしいのう」

 

声のした方を見ると、例のドワーフがそこにいた。

 

 

 

 

 

 

「なるほどの。それで鍵の技法を」

 

俺たちはここに来た経緯をドワーフに伝えた。

ドワーフは眉間にしわを寄せながら吐き捨てるように愚痴り出した。

 

「ったく、呆れたもんじゃザイルの奴は。元々ワシはポワン様に追い出された訳じゃ無いのに勘違いしよって。あまつさえ、盗みまで働くとはのう」

 

そう言うとドワーフは一呼吸置いて頭を下げた。

 

「妖精の村から来た御方よ。お詫びと言っては何だが鍵の技法を授けよう。そしてワシの孫にキツイお灸を据え、正しき道に戻してやって下され。どうか、この通りじゃ」

「そんな、頭を上げてください!大丈夫です、任せてください」

 

ベラがドワーフを安心させるよう自信に満ちた返事をする。

 

「俺たちにとっては春風のフルートが最優先だ。だが爺さん、アンタの孫もきちんと連れ戻す。約束する」

「僕たちに任せて!」

「本当にすまぬ。ありがとう」

 

 

 

少しして、ドワーフは部屋の奥の方へと行きタンスの中を漁る。

そして一つの巻物を手に取り、俺たちのところへと戻ってきた。

 

「それは?」

「鍵の技法じゃ」

 

なんとまさかの回収イベント回避。

有難いっちゃ有難いんだが、こうもあっさりだと何とも拍子抜けだ。

まぁ爺さんの手元にあっても不思議ではないか。

 

するとドワーフは俺に巻物を差し出した。

 

「えっと、これどうすれば」

「皆で中身を見てみなさい」

 

そう言われ、俺は恐る恐る巻物を開く。

その横からアベルとベラが覗き込む。

 

俺も巻物の中をジッと見つめ、その瞬間――不思議なオーラが俺たちを包み込んだ。

それと同時に巻物が突然、ポロポロと崩れ落ち次第に消滅していった。

 

 

俺たちは互いに何か変化が起きたか確認するように顔を見合わせており、その光景をドワーフはクククと笑いながら見ている。

 

「成功じゃよ。どうだ、試しにこれを見てみ」

 

そう言ってドワーフは小さな鍵付きの木箱を俺たちの目の前に持ってきた。

 

すると――。

 

 

(おお!何だこれ)

 

分かる。

この木箱にかけられた鍵の構造、どうすれば鍵を解除出来るのか。

鍵穴を見た瞬間に、頭の中で図面が展開される。

 

それはアベルとベラも同じようだ。

 

「何か不思議だね!」

「ヤダ!私、何かイケない事してるみたいで罪悪感が……」

 

目をキラキラさせるアベルを他所に、ベラは後ろめたさからか項垂(うなだ)れている。

 

「別にいいじゃねーか、悪用するわけでも無ぇんだから。え、もしかして悪用するんですか?こっそり誰かの家に忍び込んで、また飯でもつまみ食いするんですか?」

「しないわよ!する訳ないでしょ!!……て、何でレオンがそれ知ってるのよ!?」

 

 

 

ベラをからかいつつも、俺たちは鍵の技法を手に入れることが出来た。

 

 

そして、次はいよいよ――。

 

(二回目のダンジョン、か)

 

 

レヌール城の時みたく、下手をこかないよう気を付けなければ。

 

それに俺の力が今後どこまで通用するのかも分からない。慎重に行くべきだ。

だが、確実に強くはなっていっているはずだ。

 

俺は職業のせいか、MPを除くステータスは低い。

だがレベルが上がったことによって、俺は改めて自身がこの世界唯一のスキル持ちであることを認識した。

活路があるとすればココしかない。

 

 

俺は再度確認するようにステータス画面を開いた。

 

 

――――――――――――――――――――

名前:レオン 性別:男 レベル:15

 

職業:村人

HP:48/56

MP:88/134

攻撃力:37

守備力:23

 

呪文:なし

スキル:カウンター

    スロウ

――――――――――――――――――――

 

 

 

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