ドラゴンクエストⅤ 迷い込まれし転生者   作:ひな太郎

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第2話 決意

「おいパパス!何度言ったらわかるんだッ!もうちっと道具を丁寧に扱わんか!」

「私としては普通に扱ってるだけなのだが。」

 

ギャーギャーと親父とパパスが言い合ってる。

いい加減ケンカやめろよ。

 

 

 

アベルたちがこの村に来てから3カ月ほど経った。

ゲームでもそうだったが、やっぱりパパスは村の皆から慕われる存在になっていた。

それも当然だろう。

たまに迷い込んでくるモンスターをいつもパパスが撃退しているのだ。

元々戦える者はいるが、パパスと比べるとなぁ。正直安心感が全然違う。

親父だって認めてるクセに何かにつけてパパスに突っかかりケンカしてる。

 

 

「はぁ…。」

「レオンにいちゃん、げんきない?」

 

 

アベルが首をかしげてこっちを見ている。

 

「んなことないぞ、安心しな。」

 

 

現在俺は、俺んちの庭でアベルと砂遊び中だ。

…いや俺は遊んでないぞ。

6歳とはいえ精神年齢でいうと20代後半といったところだ。むしろアベルの子守りをしてると思ってもらっていい。

 

 

そして1つ分かったことがある。

 

俺はこっちの世界に来てからアベルたちに出会うまで、現在の時系列がわからなかった。

ゲームではアベルが6歳の時から物語が始まる。

だが目の前にいるアベルの幼さから見ると到底6歳児には見えない。

だからこの前本人に聞いたんだ、…そしたら。

 

 

 

「んーー。…みっつ!」

 

 

 

 

 

 

(まさか今が、物語が始まる3年前とはな~。)

 

正直、こうしてアベルと交流を持ったはものの何をしていいのやらよくわからん。

だってよ…このままコイツが6歳になればいずれ物語は進みだし、ビアンカとレヌール城行って、妖精の村行って、ラインハット城行ったらヘンリー攫われて、パパスが死ん……ッ!!

 

 

……そうだよな。

 

「パパス、死ぬんだよなぁ…。」

 

今はああやってウチの親父とケンカし合ってるけど、ゲマに殺されるんだよな。

そしてアベルは……。

 

……クソッ、なんだこの気持ち。

画面越しじゃなく実際にコイツ等に出会い触れ合ったせいなのか、考えただけで胸が締め付けられるように苦しい。

 

 

何故か、あの日の夜に見た夢がフラッシュバックした。

顔はよく見えなかったが、今では夢の中の男の子はアベル…のような気がする。

 

 

うん、そうだよ。親父が目の前で殺されもすれば悲しいに決まってる。

ゲームでは主人公なんて喋らないから本人の感情なんて考えたことがなかった。

だが、ここは現実だ。

 

 

アベルはきっと、大泣きしていたに違いない。

父親を殺され、奴隷生活を強いられ、石像にされ、やっと見つけた母親も目の前で殺され…。

青年時代のアベルは我慢していたはずだ、コイツに降りかかる理不尽なこの世の中を。

 

 

 

 

アベルの砂遊びを見ながらそんなことを考えていた。

 

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

その夜、俺はベッドの上で考えていた。

 

 

「このままだとパパスは確実に死ぬ。」

 

そしてアベルには、壮絶な災難が降りかかる。

こうして関りを持った以上アイツの辛い顔は見たくないし、パパスだって死なせたくない。

だが、どうすればいい。

 

パパスにラインハット城に行くことをやめさせるか?

…いや、理由もなしに了承するとは思えない。

 

アベルをサンタローズ村に残させるか?

…いや、それだとパパスだけでラインハット城に行くことになる。

もしもアベルがいなくてもヘンリー誘拐事件が起きるとするなら、むしろこの村が滅んでしまう。…待てよ、パパスが殺された理由ってアベルの命が危険だったからだろ?だったらパパスだけラインハット城へ向かうのはむしろ好都合?

だがヘンリーの誘拐に気付かなかったらどうなる?

タイミング的にも訪問していたパパスに疑いの目はかかる。

 

 

 

クソッ…考えれば考えるほど頭が痛くなる。

アベルたちの運命を変えられるとしたら、可能性は俺だけなのに。

せめて、俺が戦うことが出来れば………ん?

 

 

「…そうだよ。俺が戦えば…。」

 

 

俺が……アベルとパパスを守れば!

 

「でも、出来るのか?」

 

正直怖い。

なにせ俺は平和な世界で暮らしてきたただの大学生だったんだ。

ここに来ても、ただただ何もせず暮らしてきただけだ。

モンスターだって、スライムですらまだ戦ったことがない。

 

 

でも、俺が――。

 

 

「俺が、運命を変えて見せるッ!」

 

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

 

次の日。

 

 

「旦那様、お客様ですよ。」

「む?誰か来たのか……てレオン君か、どうした?」

 

 

「パパスさん。俺に剣を教えてください!」

 

 

 

 

 

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