「レオン、気が付いたか!」
…あれ?俺どうなったんだっけ?
気づけば俺は自宅のベッドに横になっていた。
そしてパパスの顔が見え、心配そうにこちらを見ている。
「パパスさん…。」
「大丈夫か?稽古中、急に倒れたんだが覚えているか?」
そういえば稽古してたんだっけ。
パパスの木刀を吹っ飛ばした後、急に体が重くなって倒れたんだったな。
「ふむ、特に怪我はないようだな。レオンよ、稽古中呪文を使ったか?」
え、呪文?
「いえ……何でですか?」
「いや、こうしてレオンの様子を見ていたのだが、どうにも『MP枯渇状態』に酷似していてな…。ステータスを確認してもいいか?」
MP枯渇?初めて聞く言葉だ。
「わ、わかりました。」
俺はステータスを表示しパパスに見せた。
「うむ。はやりMPが0になっているな。…しかし、レオンはまだ呪文を覚えていないな。なぜ枯渇したのだろうか。」
MPが0…。
もしかして、スキルの影響か?
…………あッ!!
…マズいッ。スキルの欄を見られる。
俺はこのスキルをなんとなく隠したかった。
何せこの世界ではイレギュラーな力だ。
もし周囲にバレでもしたらどのようなリスクがあるのか想像がつかない。
俺は固唾を飲んでパパスの様子を伺った。
しかしパパスは何事もなかったかのようにステータスを見るのをやめ席を立った。
「ふむ…。私もよくは分からぬが、もしかしたら呪文が発現する兆候なのかもしれんな。まあ今はゆっくり休むといい。それでは私は失礼するよ。」
バタンと部屋のドアが閉まる。
…あれ?
スキルの欄を見逃した?
いや、有り得ないだろう。
パパスは呪文の有無を確認した。
スキルは呪文のすぐ下に記載されているから目には入るはずだ。
「もしかしてこれ、俺しか見えない感じ?」
*****
――翌日。
「みてー!むし!」
「うおぅ!?…でけーな。」
今日はパパスとサンチョが外出しているため絶賛アベルのお守り中である。
子どもは元気だなー。
俺にもあんな時代があったもんだとしみじみと感じる。
まあ今の俺も子どもだけど。
はしゃぐアベルを見ながら昨日のことについて考える。
(MP枯渇状態…。そして、なぜMPが0になったか。)
恐らくスキルだ。
本来この世界には存在しない力ではあるけど、発動条件に加えMPを消費することでスキルを使用すること出来るのだと思う。
俺の最大MPは30だ。
それが0になった……つまり『カウンター』を使用するにはMP消費量30が必要になる。
「…めっちゃ消費するじゃん。」
だが昨日の様子からして自分と相手との戦力差がかけ離れていたとしてもそれに対抗できる唯一の切り札にもなる。
だが俺のMP量からして現状は使用することは不可ということがわかった。
スキルの練習をしたくても倒れてしまえば元も子もない。
「当面の課題はMP量の増加ってとこか。」
はやりレベルを上げないことには話にならないようだ。
遊んでいたアベルがこっちに来た。
そして座っている俺の横にトテンと腰かけた。
「えへへッ」
こうして一緒に遊んでいるせいかアベルは結構俺に懐いていた。
「どした?なんか良いことでもあったか?」
んーん、とアベルは首を横に振った。
「さいきんね、おとうさん げんきなんだ!」
「いっつも元気じゃね?」
「レオンにいちゃんが げんきにした!」
ん?どゆこと?
「おとうさんとね いろんなとこ あるいてたときは ちょっとげんきなかった。でも レオンにいちゃんと ケーコしてると わらってる!」
そうなのか?うーん、俺にはよくわからんな。
でも…。
ニコッ!
こんな眩しい笑顔してコイツが言うんだ。きっとそうなんだろう。
コイツの笑顔、失わせたくないな…。
守る。
大切なものを奪わせはしない。
(強くなってみせるッ。)