「よう坊主、もう帰りか。」
「おっちゃん。今日は軽くって思ってたんで。」
「そうか。にしてももう2年くらいか?これではどちらが警備員か分からんな。」
「ハハ、やめてくださいよ。」
アベルたちが村を離れかれこれ2年が経ち、俺は9歳になっていた。
今はサンタローズ洞窟での特訓を終え帰路についているところだ。
この2年で大分モンスターとの戦闘にも慣れた。
と言ってもここのモンスター限定だけどな。
だが爆発的に成長しているかというとそうでもない。
これが今のステータスだ。
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名前:レオン 性別:男 レベル:12
職業:村人
HP:48/48
MP:110/110
攻撃力:32
守備力:20
呪文:なし
スキル:カウンター
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レベルは12まで上がった。
あ、今2年で7しか上がってないのかよとか思っただろ。
これでも結構頑張ってたんだよ。
だってゲームみたいに数分で決着つくような戦闘なんてこの世界には存在しない。加えて経験値だって少ない。
だがHPを損なわないよういつだって真剣勝負だ。ダメージ痛いし。下手すりゃHP0になるよ。嫌だよ。そこまでボコされたくねぇよ。ダメージ痛いし!
ステータスはMPの成長量が凄い。それ以外は……あれだけど。
まあスキル『カウンター』に30も持ってかれるから大助かりだ。呪文はまだないけど。
てか、スキルの存在を知ってからと言うものの未だに『カウンター』1つしかない。
普通こういうのって何個も発現するもんじゃないのだろうか。
もしかしてずっと1つだけ?
レベルだって2桁いったのに?
…もう少し様子見だな。
あ、そうそうモンスターからお金は落ちなかったよ。
となると武器や道具はどうやって買えばいいの?
大人になったらどうやって宿に泊まればいいの?
てかお金稼ぐ手段ってあるの?
ボク9さい!わかんない!
なんてくだらない事考えてたら家に着いた。
あれ?なんか村の入口が騒がしいな。
人が集まってる。
その中の1人が大きな声を上げた。
「パパスさん、あんた生きてたんだね!」
お!!
帰ってきたのか。
遠目から見えるがアベルのやつ、少しはデカくなったな。
「なに!?パパスだと!」
うおっ!勢い良く玄関から出てきたな親父。
パパスとアベルがこっちへ歩いてきた。
「よう、パパス!やっと帰ってきたな!」
「やあ、久しいな。」
「あんたとはケンカばかりしてたが、いざいなくなると物足りないったらありゃしねぇ。」
「ワッハッハ!少しは落ち着けて良かったのではないか?」
「ヘッ!相変わらず減らず口だな。まあ、またつもる話でも聞かせてくれよ。」
親父も素直じゃねぇな。
また会えて嬉しいの一言くらい言えばいいのに。
何だかんだ言って結構親父とパパス仲良かったしな。
「レオン兄ちゃん!」
「うおっと!」
アベルが抱きついてきた。
「よう!元気だったか?」
「うん!元気だよ!でもレオン兄ちゃんに会えなくてちょっと寂しかった!」
「ハハハ、そっか!じゃあまた一緒に遊ばないとな。」
「やったー!ヘヘッ!」
まったく、可愛い奴だな。
でもこうしてまた元気な姿を見れて正直ホッとした。
よし、コイツには今度俺直伝光る泥だんごの作り方を教えてやろう。
こうしてアベルと再会を果たした。
それと同時に今日が始まりの日ということを認識した。
*****
その夜、家族と晩ご飯を食べていた。
「何しけた面してんだレオン。」
「え、あーいや別に。」
「どうしたの?具合でも悪いの?」
母さんが心配そうな目でこちらを見ている。
「全然!大丈夫だよ。」
俺は考えていた。
アベルが6歳になった今、物語が始まるという事を。
そして悲劇を回避するためには俺自身が2人の旅に同行する必要があるという事を。
そのためにはこの村を、この家を離れることになるのだが…。
(賛成してくれるかな。)
俺は意を決して口を開いた。
「あのさ、話があるんだけど…」
すると親父が話を遮った。
「まぁ待てレオン。大事な話は飯食ってからでもいいんじゃないのか。」
うっ、何でわかるんだよ。変に勘がいいんだよな親父。
とりあえず今はご飯を食べることにしよう。
母さんが食器を片して台所から居間に戻ってきた。
親父が腰かけてる隣の席に腰を下ろし、俺に目を向けた。
「で、どうしたのレオン。」
「あー、あのさ。俺昔から強くなりたくてパパスさんに剣教えてもらってたじゃん?それでここ2年は洞窟でモンスターと戦ったりしてさ、今じゃ洞窟内だと敵なしなんだ。でも思ったんだ、もっと強くなりたいって。村の外には俺の知らない世界や強いモンスターがいっぱいいるんだろ?俺、見てみたい。そして旅してみたい。だから今日パパスさんが村に戻ってきた時頼んだんだ。パパスさんの旅に同行したいって。そしたら、親父たちに了承もらったら同行してもいいって言ったんだ。だからさ頼むよ。俺に、冒険に出る許しをください!」
何となくそれっぽい理由を並べてみたんだがどうだ?
期限付きでもいいからパパスとアベルに同行さえ出来ればこっちのもんなのだが。
「ふん。そんなことだろうと思ったよ。いいぞ、行ってこい。」
て、あれ~!?意外とあっさり。
「お母さんは少し心配だけど、パパスさんと一緒なら大丈夫よね。気を付けてね。」
えー。母さんもそんな感じ?
「いいの?なんで、そんな…。」
「普段のお前を見てると想像くらいつく。お前ももう9つだ。いつまでも村にいても仕方ないだろ。」
「私たちのことは気にしないでいってらっしゃい。でもたまには顔を見せに帰ってきてね。」
ハハ、この両親はホント自由というか何というか。
でも信頼してくれているのは嬉しかった。
「ありがとう。親父、母さん。」
*****
「はぁ…まさか本当に了承をもらうとはな。」
「ヘヘッ、レオン兄ちゃんといっしょー!」
次の日、俺はパパスたちの家の前にいた。
旅の了承をもらったことを伝えるためだ。
ていうかパパスのやつ、俺の両親から許可が下りないだろうと踏んで提案してきてたのか。
「まあ決まったものはしょうがない。ところでレオンは隣町のアルカパに行ったことあるか?」
「いや、ないけど。」
「そこに住むダンカンという知り合いがいてな。その女将と娘をこれから送っていくのだが折角だ、同行しないか?」
「ぜ、是非行きたいです!」
よし!正直アルカパの町自体興味があって行きたかった。
だがそれよりもレヌール城イベントに同行できるのは嬉しい。
ちなみにアベルの洞窟イベントはスルーした。
まあコイツなら1人でも大丈夫だろうと思ってたしな。
「よし、それではそろそろ行くか。2人を呼んでくる。」
そういえば、何気にビアンカとは初対面だな。
確かゲームでは美人設定だっけ?
ふむ……期待。
扉が開いた。
女将さんとビアンカが出てきた。
おお…やっぱビアンカ可愛いな。
「では、行くとしよう。」
――物語が始まる。
次章「幼年期・アルカパ編」