ドラゴンクエストⅤ 迷い込まれし転生者   作:ひな太郎

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幼年期・アルカパ編
第8話 アルカパの町


「これはパパス殿。アルカパへようこそ。」

「やあ、ご苦労さん。」

 

アルカパの町に到着した。

うわー!やっぱサンタローズ村よりも町って感じだな。でっけー!

あとで色々見て回ろっと。

 

 

宿屋に入りカウンターから見て右手にある部屋へと進む。

奥のベッドにはダンカンが寝ていたのだが俺たちに気づいたのか起き上がった。

 

「おお、これはパパスさん。わざわざすまないねぇ。」

「ちょっとアナタ!無理してはダメよ。」

「寝たままで結構ですよ。見舞いに来ただけです。」

 

女将さんとパパスはダンカンの側へ行き話をしている。

 

「レオン、アベル。もし退屈ならその辺を散歩してきてもいいぞ。」

「じゃあ、ちょっと出てきますね。」

 

パパスに返事をし部屋を出ようとする。

 

「ボクもレオン兄ちゃんについてく~!」

「んじゃ一緒に行くか。」

 

部屋から出ようとしたがビアンカがこちらを見ていることに気が付いた。

えーと、誘った方がいいかな?

 

「あー、キミも一緒に来る?」

 

ビアンカは少しびっくりした様子を見せたが直ぐに目を反らした。

 

「…いや、私はいいわ。」

 

あれ?ゲームだとついて来るはずなんだが。

まあ本人がいいと言うんだ。ここで無理に連れてくこともないだろう。

 

俺とアベルは部屋を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

「お店がいっぱいだ~!」

「時間もあるしゆっくりまわっていこうぜ。」

 

アベルと一緒に店をまわっていく。

敷地面積で言えばサンタローズ村よりも少し小さいがモノが多い分アルカパの方が見ていて楽しい。

 

「おっちゃん、これくれ!」

「はいよ、毎度あり。」

 

実はアルカパに行く前に両親から少しお金をもらっていた。

好きなもの買っていいぞといわれたのでありがたく使わせてもらう。

ちなみに今は道具屋にきており、やくそうやキメラの翼を買っていた。

これもレヌール城へ向かうことを考慮してのことだ。

 

「それと、ほらアベル。」

「やったー!ありがとー!」

 

アベルにクッキーを手渡した。

まさか道具屋にお菓子や軽食も売ってるとはな。戦闘だけ考えるのでなく、観光も楽しまないとここはもったいない。

 

来た道を引き返していると木の後ろから誰かがこちらを見ているのがわかった。

あれは…。

 

「あー!ビアンカだ!」

 

アベルが声をあげる。

ビアンカもビクッと焦った様子だった。

ハハ、やっぱ子どもだな。一緒に来たかったみたいだ。

俺はビアンカに近づきクッキーの入った袋を差し出した。

 

「食うか?」

 

ビアンカはじっとクッキーを見つめ少し照れた様子でクッキーを受け取った。

 

「あ…ありがと。」

 

 

 

 

 

 

 

 

俺達は木陰に腰かけ少し休んでいた。

 

「俺はレオン。アベルと同じ村に住んでるんだ。よろしく!」

「私はビアンカ。よろしくね、レオン!」

 

なんだ、結構気さくに話してくれるじゃないか。

 

「さっき、なんで隠れてこっち見てたんだ?来たいなら一緒に来ればよかったじゃん。」

「そ、それは!……レオンのこと知らなかったし、ちょっと恥ずかしかっただけよ!」

 

んなムキになって言わんでも。

でも実際村にいたときもすれ違いもしなかったし、会うタイミングがなかったのだからしょうがないか。

 

「ビアンカ照れてる~!」

「照れてないわよ!」

 

2人ともワーワー言い合ってる。

うへー、なんだか子守りが2倍になった感じがして兄ちゃんちょっと辛いわー。

 

「それじゃ、ここからは私が2人を案内してあげるわ!ついてきて!」

 

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

ビアンカに色々案内してもらい日も傾いてきた。

 

「そろそろ宿に戻るか?」

「そうね………あら?」

 

ビアンカが何かに気づいた。

川を挟んだ橋を越えたところで2人の男の子が遊んでいる。

…いや、あれは。

 

(ベビーパンサーか。)

 

そういえばコイツ等がいたな。

あれだ。あまりにもアルカパの町が楽しすぎてこのイベントを忘れていた訳じゃない。うん。全然。決して。

 

ビアンカが駆け寄っていく。

 

「ちょっとアナタたち!やめなさいよ!その子が可哀想でしょ!」

「何だよ、いーだろ別に!この猫、変わった声で鳴くからおもしれーぜ!」

「それでもダメよ!その子を渡しなさい!」

 

面白がる男の子に対してビアンカが怒気を含んだ声をあげる。

 

「この猫渡せだってよ。どうする?」

「そうだなー。別にあげてもいいけどさ……そうだ!レヌール城のオバケを退治してきたなら考えてもいいぜ!」

「いいわよ。やってやろうじゃないの!約束よ!」

 

フンと怒った表情でビアンカは踵を返す。

 

「待ってよビアンカ~!」

 

アベルがビアンカの後を追う。

ビアンカって結構感情のままに動くんだな。

 

俺も2人の後を追った。

 

 

ビアンカとアベルは宿の前まで戻っていた。

そしてビアンカは声を荒げた。

 

「アベル!レオン!今夜レヌール城に行くわよ!」

「え~!ボクたちだけで~!」

「何よアベル!それでも男の子なの!」

 

ギャーギャーとビアンカが騒ぎアベルに怒りを向ける。

アベル、災難な子。助け船を出すか。

 

「まぁまぁビアンカ落ち着けよ。行くにしてもまず準備が必要なんじゃないか?」

「うっ…まあそうね。」

 

色々言い聞かせ、徐々にビアンカの興奮は収まった。

そして俺たち3人はレヌール城に行くまでの段取りなどを話し合った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「うしっ、まあこんなとこだろ。」

「うん!」

「ええ、それじゃ今夜決行よ。」

 

 

さあさあ本格的なダンジョンは初めてだが…。

 

(俺の力がどこまで通用するか試してやる。)

 

 


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