時代巡り、勇者と共にありし者   作:折れたサンティの槍

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主人公含めたダクソキャラクターが活躍する作品は良く見るけど、ストーリーやエンディングにおいて重要な役割を持つ"彼女"が活躍する作品はあんまり見ないなぁ…と思ったので、少し妄想してみました。
リハビリ的なものも兼ねてますし、低啓蒙の妄想文ですが、よろしければ暇つぶしにでも。

後から加筆、修正などがあった場合は一応前書きに書いておきます。
内容が大きく変わる事は無いでしょうが。


かつての少年と、火守りの従者

自分(おれ)がまだ中学一年生だった頃。

自宅から中学校までの通学路から少し外れた場所にポツンと建っていた骨董品屋に、ちょっとした冒険心と中二的な琴線が触れて足を踏み入れた事がある。

当然と言うか、様々な娯楽に溢れている現代に生きる自分(おれ)の気を惹く様な物は見当たらず、「適当に雰囲気を味わってから帰ろう」なんて思いながら店内をぶらついていた。

 

そして自分(おれ)は、運命的な出会いを果たしたのだ。

 

それは店の隅の棚の下段で少しの埃を被っていた十数冊の本。

表紙に丁寧な手書きの英語で書かれている【The story of the Age of fire】がこの本のタイトルで、適当っぽい日本語で書かれた【火の時代の物語】というのが日本語訳なのだろう、だいぶ古びた見た目の本だった。

ペラリペラリと内容を確認してみると、なんと全て手書きの英語だった。

おそらくは他の十数冊全ても同じ様な内容だろう。

 

普通の同年代の人間であれば、こんな本を見つけたとしても興味を向ける事はほぼ無いだろう。

しかし、溢れんばかりの中二心を持っていた当時の自分にとっては格好の獲物であり、この本の持つ雰囲気が気に入り、こんな本を読めたりした日には……なんて考えたりしたのである。

何より、ここで逃したら次は無いんじゃないか、という直感の様なものが囁き、すぐさま購入を決断。

猛ダッシュで家に帰って、お年玉の一万円札とリュックを引っ張り出した後古本屋に再び訪れ、一万円で【火の時代の物語】十数冊を手に入れたのだった。

それからは、この本を読みたいが為に英語を猛勉強する事になり、結果英語の成績は学年トップにまで上がった。

 

……そういえば、本を買ってから一週間後ぐらいには何故か店終いされてしまっていて少し寂しさを覚えたんだけど、あの何となくどんな時代でも生き抜くのが上手そうなニヤニヤ笑うハゲ頭の男は元気にしているだろうか……。

……なんとなく元気にしている気がする。

 

それはともかく、そうして英語を勉強していき、高校生に進級した頃には自分(おれ)はその本を読める様になっていた。

 

 

 

この本に書かれた物語の内容は、いつの頃かもわからない、人が死なず神が死ぬという【火の時代】と呼ばれるとてつもない時代の事や、そんな時代に存在した様々な人物たち……そして三人の英雄の事を書いたものだった。

 

一人は不死院で上級騎士に助けられ、使命を継ぎ、太陽の騎士に憧れ、人間性を捧げた最初の【はじまりの火を継いだ者】。

 

一人は多くを失い、失ったことすらも思い出せなくなり、それでも友の名を忘れる事無く語り継いだ、玉座を去った【絶望を焚べる者】。

 

一人は残り火を求めた火のない灰、様々な者たちの持つ使命に手を貸し、その最後を見届け、死に祈った【火継ぎを終わらせた者】。

 

 

 

……自分(おれ)は、この物語は実際にあった事だと思っている。

それは"この物語はフィクションです。"と書かれていなかったから、などでは無く。

根拠と呼べるものなんて何一つ無い感覚的なもので、それこそこんな事を誰かに馬鹿正直に話してしまえば、失笑を貰う事間違い無いだろう。

それでも自分(おれ)は、この本に込められている様に感じられる、"残り火"の様な小さな熱が偽物だとは思えなかったし、思いたくなかった。

だから誰もが作り話だと笑ったとしても、自分(おれ)は、自分(おれ)だけは、この物語が真実であると信じ続けたい。

 

……それはそれとしてこの物語、布教のつもりで英語のわかるクラスメイトに貸してあげたのだけど、どうやらファンタジーものの小説としては結構面白いらしい。

しかし調べてみても、これの他には何処にも同じタイトルの本は他に見当たらず、また筆者らしき存在すらもわからないらしい。

 

この物語の筆者……"Fire Keepers"……"火を守る者たち"、あるいは"火に付き添う者たち"だろうか。

英雄と共に在り続けた、物語の筆者でもあるこの人物は、一体何者なのだろうか。

 

……布教用に、日本語訳などしてみようか……。

 

 

 

《人理継続保障機関フィニス・カルデア》という組織にスカウト(拉致?)されたのは、そんな事を考えた数週間後の事だ。

 

 

= = = = = = = = = =

 

 

『告げる』

『汝の身は、我が元に、我が命運は、汝の剣に』

『聖杯の寄るべに従い、この意、この理に、従うならば応えよ!』

 

ふと、誰かに呼ばれる様な声が聞こえた気がして、顔を上げた。

 

崩れた建物の残骸、溶けて形の変わった石柱、果てまで続く山脈……そして、長い時を経て詰みあがった灰の荒野とそこに咲く名も知らぬ花々。

 

そんないつもと変わらぬ光景(・・・・・・・・・・)視覚以外で(・・・・・)感じ取りながら耳を澄ます。

 

『誓いを此処に!』

『我は常世総ての善と成る者』

『我は常世総ての、悪を敷く者!』

 

どうやら気の所為では無かったらしい。

 

そして───。

必死の表情で、拙いながらも声を上げ、此方に向けて必死に手を伸ばす。

そんな少年の姿を、目隠しの頭冠越しに見た気がした。

 

ふぅと溜息を一つ吐き、立ち上がる。

 

何らかの触媒を用いた召喚である事はわかるが、いくつか疑問と浮かぶ。

あんな古い時代の物が今の時代に存在するのか、触媒を使うなら何故不死の英雄たちでは無く自分なのか。

───何故、人理焼却などというモノが起こっているのか。

 

「……いろいろと、気になる事はありますけれど」

 

自分を呼ぶ声の主は人類史の終わりに立ち向かう者であり、多くの困難に直面するであろう。

悲しみ、苦しみ、痛み、絶望に───。

 

 

 

 

 

ならば、決して折れぬ様に寄り添おう。

 

曲がらぬ様に導こう。

 

「まぁ、直接助けを求められたのであれば、応えない訳にもいかないですし。私が呼ばれたと知ったなら、継いだ方も、焚べた方も、灰の方もその内来て下さるでしょうし」

 

その呼び声に応えましょう。

 

『汝、三大の言霊を纏う七天』

『抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ───!』

 

火防女(わたし)とは、常に寄り添い、導き、仕える者であるが故に───。

 

 

= = = = = = = = = =

 

 

「サーヴァント・キャスター、貴方の呼び声に応え、ここに参上致しました。

…おや、この格好は一番最初の……いえ、此方の話です。

コホン…ただ仕えるだけだった私が力になれるかはわかりませんが、求められてしまった以上全力で応えましょう」




ハゲ頭の男……一体何エナで、何屈で、何脚の何ッチなんだ……。

あ、続きません。
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