~クリスside~
これは……あたしの昔のことだ。
あたしはパパとママと一緒に外国に行った。
どうやらNGO?の活動で行くことになったらしい。
でも……そこからだった。地獄が始まったのは…
ある日、パパとママが突然爆発した。
どうやらパパとママが歩いてたところに地雷が仕掛けられていて、それをパパとママが踏んでしまったらしい。
それでパパとママが死んでしまって、あたしはそこの大人たちに捕まった。
あいつらはあたしが『痛い』と言っても『やめて』と言っても聞いてくれなかった。
そしてある日のことだった…
「撃て撃て!!」
突如、銃声が聞こえたんだ。
このときの私はうるさいとしか考えられなかった。どうせすぐ終わるだろうと思っていた。でも、違っていた。
いつまで経っても銃声が鳴り止まない。
それどころかミサイルの音まで聞こえてきた。
そのときあたしは『一体なにが起きてるんだろう?』と疑問に思ってしまった。
普通、あんなのを喰らったら誰だって死ぬに決まっている。でもどうしてこんなにも長く続いているんだろう?
そして…
「ぐはあぁああああああぁぁあ!!!」
一人の大人がドアを突き破って吹っ飛ばされてきた。
当時子供だったあたしは驚いた。いや、今も驚くか。突然こんなことが起きたのだから。そして、その扉から出て来たのは…
《リュゥゥウガァァ!!》
化け物だった。
「ヒィ!!」
そのときあたしは怖くなった。
突然現れた化け物に、恐怖した。あたしは檻の中に居ても、恐怖が半端じゃなかった。
そして、その怪物はあたしが閉じ込められている檻に向かってきた。
「こ、来ないで!!」
あたしは生きるために必死だった。死にたくなかった。でも、目の前の存在に脅えるしかなかった。そしてその怪物はあたしが閉じ込められている檻を破壊した。
「(ガグガク…)」
近くで見てみると、そいつの胸には数字と…昔は分からなかったけど、英語が書いてあった。しかも反対の文字で。今考えるとあれは『リュウガ』って読むんだなって思った。
あの化け物はあたしをしばらくの間見ると、後ろを振り向いてどこかに行ってしまった。
そして部屋を出た後に再び銃撃の音が聞こえた。あたしは怖くて仕方がなかった。急に表れた化け物と、銃の音に…
そしてしばらくして、銃撃の音が鳴らなくなった。あたしは恐る恐るあいつが入って行った部屋を見た。そしてその部屋は地獄と化していた。死んだばっかりの大人の死体。生々しい血の匂いにあたしはその場で吐いてしまった。今思っても、あれは小さい子供が見ていいものじゃなかった。
そして、あの化け物はその場にはいなかった。一体どこに消えたのかと普通は思うが、あのときのあたしはそんなことを考えている余裕なんてなかった。そして、その後、あたしはフィーネに拾われた。
「それなのに…どうして裏切ったんだよ、フィーネ…!!」
結局…大人なんてこんな奴しかいないのか…!!
~響side~
なに…これ…
『お兄さん、今日は何する?』
『いや…得にやることはないが…』
これは…私の記憶?
『お兄さんは、どうして鏡の中に居るの?』
『それは…言えないな』
『えぇ~別にいいじゃん。教えてよぉ~』
『…悪いな。こればっかりは言えない』
『もぅ~意地悪ぅ~』
そうか…これは、私と…リュウガさんの記憶…
『お兄さんは、どうして一人でいて寂しくないの?』
『…寂しいさ。ずっと一人ってのは、つまらないからね』
『そっかぁ~』
一人……そうか、あの時リュウガさんは私に自分の気持ちを優しく、遠ざけて教えてくれたんだ。あの時、本当はリュウガさんは『ずっと一人で苦しかった』ってことを…
『お前、鏡で一人で喋ってるんだって?気持ち悪りぃな!!』
これは…?
『一人じゃないもん!!鏡のお兄さんとお話ししてるんだよ!!』
『何言ってんのお前?鏡に人がいるとかそんなことある訳ないだろ?』
『お前さ、バカだろ』
これは…私の小学生の時の記憶?そっか…思いだした。私は誰かにリュウガさんとお話ししているところを見られて、それからいじめられるようになったんだ…
あれ…場面が変わった…これは…私とリュウガさん?
突然だった。私が倒れた。一体なにが起きたの!?
『――俺を…見つけてくれて…ありがとう…!!』
そんな、泣いているような声が聞こえた後、私の目の前は暗くなった。
―ガバァ!!!―
「ここは…?」
私が目が覚めると、そこは二課のベットだった。あれは…リュウガさんに消されてた私の記憶…そうか…リュウガさんは、私のために私の記憶を…!!
「響くん、起きたのか!?」
すると、部屋に弦十朗さんが入ってきた。
「はい…大丈夫です…」
「そうか…良かった。……翼から聞いている。思いだしたのか?君と…リュウガの記憶を…」
「はい…全部…思いだしました。リュウガさんは、私のために私の記憶を消していたんです」
「?どういうことだ?」
私は、眠っている間に見た自分の記憶のことをすべて弦十朗さんに話した。
「…そんなことが…彼は、響くんがこれ以上いじめられないために、自分から記憶を消したのか…」
「はい……それにリュウガさん。孤独だったんです。鏡の世界は誰一人いない……孤独死してもおかしくなかったのに……」
「それは、君がいたからだろ?君がリュウガと話せたから、認識できたから彼は君を守った…そうなのか?」
「たぶん……」
「だったら、ちゃんと君とリュウガでお話ししないとな。それは君の得意分野だろう?」
「はい…!!…あ、そう言えば未来は…?」
「大丈夫だ。今頃は寮の部屋にいるだろう」
「…そうですか…」
未来…怒ってないかな?
~龍牙side~
クソォ…あの精神異常者…!!やってくれたな…!!
「もう響は俺のことを思いだしてるだろう……俺は…どうすればいいんだ?」
俺はもう…どうするか考えることしか出来なかった。
すると…
『『『『『ギイィイイイイイイイイ!!!』』』』』
大量の怪人が現れた。
「またあいつか…!!変身!!」
俺は、【ミラージオウ】となり、怪人の群れに向かって行った。