この小説は気の向くまま、欲望のまま書き連ねたものです。面白さは全く保証できません。それでも読んでくださる方は、本編へどうぞ。
「は? ……僕の耳がいかれたのかな? もう一回言ってくれないかな、兄さん」
皆様、はじめまして。僕は冥界の上級悪魔の名門、フェニックスの四男をやっています、フレア・フェニックスと申します。ちょっとわかりにくいですか? ではわかりやすく言うならば、フェニックスの種まき鳥ことライザー・フェニックスの下の弟です。もう一つ下には目に入れても痛くないほどにかわいらしいレイヴェルがいますね。……ちょっと高飛車なのが玉に瑕ですが。現在、僕は兄であるライザー兄さんから、飛んでもないことを聞かされているのですが……その内容というのが、
「リアスとの結婚を早めることにした」
こういうものなのです。いや、それはどうよ、と焼き鳥のネギ間を食べながら足りない悪魔経験で考えても非常識でした。いや、あの人って、高校3年じゃなかったでしたっけ?
確か、僕と同年代だったはず……兄さんは成人してますし……そこはいいや。もう納得してましたし。問題なのは、そのリアスさんとの約束の内容で……。
「なんでまた。確か約束では人間界の大学卒業までは待つって話だったんじゃなかったっけ?」
「ああ、そうだ。だけどな、悪魔の未来を決める縁談なんだ。早くすることには問題がないはずだろう?」
そう言う兄さんの顔は自信たっぷりで、断られることは考えてない様子でした。……これは、本当にバカなんじゃないでしょうかね。本人はフェニックス家の才児と呼ばれているからいい気になってるのかもしれないですけど、影では種まき鳥とか、うつけとか呼ばれてるんですよ? もぐもぐと今度はモモ串を食べようと手を伸ばしたら、その手をはたき落され
ました。ちくせう……。
「お前は、共食いをしてどうするんだよ。それに、この話はリアスにとっても悪い話じゃないと思うんだよ。俺のような才能あふれる……」
兄さんの自慢を後ろに聞きながら僕は別邸の食堂を後にすることにしました。フェニックスの家は本邸と別邸とがあります。本邸には兄さんや父さん、つまり僕以外のフェニックス家が勢ぞろいで暮らしています。僕だけが別邸にいる理由は、別に部屋がないとかじゃないんですよ? ちょっと僕が異端すぎただけなんですから。小さいころにちょっと力が制御できなくて、あたり一面を焼け野原にしちゃったので……。
まぁ、そんなわけで安全のために僕が別邸にしてもらったんですよ。という訳で、この別邸には僕と僕の眷属の合計7人しかいません。たまに兄さんたちとか、僕の可愛い妹のレイヴェルとかが遊びにくるんでいいんですけどね。っと、そんなことより、確かめたいことがあるんでした。この縁談、リアスさんは認知してるんでしょうかね。ちょっと連絡してみましょうか。
「ロザ、悪いんだけど、グレイフィアさんに連絡取ってくれない?」
そう言いながら執務室に籠りっきりになっている僕の女王であるロザ、ことローゼリンデに呼びかけながら部屋に入ります。
「また急な用事でもできたの? グレイフィアさんは結構忙しいはずなのだけど……」
多数たまった書類を整頓しながら顔を上げて見てきた彼女には僕は正直頭が上がりません。雑用、書類仕事の多数を引き受けてもらっているのですから。といっても気が向いた時には僕もやるんですけどね。
「いや、そうじゃなくて……いや、そうなのかな。とりあえずグレモリーとうちとの縁談についての変更が伝わってるか聞きたいんだ」
そう僕が告げると、美しい紫色の瞳を曇らせ、銀色の眉をひそめたようでした。割と遠いから詳しく見えないだけなんですけどね。しばらく思案した様子でしたが、軽く頷くと、
「わかったわ。私のほうで連絡を取っておくから、あなたはこっちの書類を処理しといてれるかしら」
そう言って僕に手渡してきたのは僕が未認可の書類。……やりたくないですねぇ。
「いや、僕のほうで連絡をするから……」
「ダメよ。この書類はあなたの認可が必要なの。私じゃ、ここで限界。たまには働いてくれないかしら?」
優しい口調ですけど……目が笑ってないです……。うぅ、仕方ないですね。適当にやってるふりをして逃げ出せば……。
「逃げ出したりしたら、あとでひどいわよ?」
先手を打たれたよう……。おーぼーだーと思いますが、これも身から出たさびとやらです。やるだけやりますか。
「あ、そうだ。食堂に自慢中の兄さんがいると思うけど、適当に追い払っといてね」
ローゼリンデが先ほどまで座ってた席に腰かけて書類に向き合いながら、彼女に声をかけます。視界の端で彼女が頷いたのを最後に、僕の意識は書類仕事のために向けられました。
「終わりましたぁ!」
僕の書類仕事が終わったのはしばらく後。これであとはローゼリンデの報告を待つだけなのですが……。と思っているとこの部屋の扉がノックされました。
「失礼します」
そう言って入ってきたのは先ほどとは雰囲気の違うローゼリンデ。先ほどのを『私』だとするならばこの態度は『公』。つまり僕の眷族としての顔ってわけですね。
「ふむ。話はどうでしたか?」
「結論を申しますと、両家ともに納得済みの事項でした。しかし、ライザー様が強引に押し切った形であることは否めませんでした」
大方予想道理ですね。ここからの兄さんの行動を考えるならば……そうですね。
「今、グレイフィア様はどこにいらっしゃいますか?」
「魔王様のそばにいらっしゃるようでしたが……リアス様に対してこのことを報告に行くとのことでしたので、今は人間界におられるかと……」
「ふむ……であるならば兄さんがリアス様に会いに行くならば明日が妥当……ですか」
「そうではないかと思われます。先ほど本邸に寄った際には楽しそうに語っておられましたので」
これはひと悶着ありそうですね。僕としても未来の義姉になるかもしれない方に迷惑はかけられません。ここは兄さんの暴走をいさめるために僕も人間界に行くとしましょうか。
「ローゼリンデ。グレイフィア様に、明日には僕も調停役として顔を出すということを伝えておいてください。僕から伝えることは以上です」
「御意。それでは失礼します」
優雅に一礼して去っていく。明日の、放課後でしたっけ。終わったらお菓子でも買ってきましょうかね。ふふふ。うまく兄さんの諌め役というのにこじつけて表に出られるんですから、お菓子の買いだめをしておかなくては。東京銘菓のひよ○とか。ああ、卵も食べたいですね。焼き鳥も備蓄が切れてたはずなので買い足さなくては。明日が楽しみですね。
「あ、お目付け役として私も行きますから、それをお忘れなく」
なん……だと……。自由がないじゃないですか! というか、いつ戻ってきたんですか……。
「それは……ロザで確定ですか? ほかの眷族ではいけないのですか?」
「決定よ。他の眷族だとフレアを甘やかすじゃない。」
orz これじゃ買い物が自由にできないじゃないですか。無駄だとは思いますけど、ちょっと反抗してみますか。
「リヤナじゃダメ? キリカは? 景虎は? 奉先だっているじゃん。なんならエリスもいるし。ロザがやらなくてもいいんじゃない?」
そう言うと彼女はため息をついて、
「リヤナは優しすぎてフレアに甘いからダメ。キリカは享楽主義でお目付け役には適さない。景虎は忠実すぎるから諌めないじゃない。奉先は面倒臭がって目を離すから。エリスはあなたが簡単に買収できるでしょ?」
「ぐぬぬ……」
全滅でした。うう、今ばかりは忠実な眷族が憎いです……。
「何がぐぬぬよ。……仕方ないわね。少しだけなら、寄り道してもいいわ。あくまで常識の範囲内でね。後、私の目の届くところにいてくれればそれでいいわ」
明らかに沈んだ様子を見せた僕に対して呆れた様子ながらも譲歩してくれたようですね。これだからロザのことが好きなんですよ。ああ、明日が楽しみですねぇ。
イッセーside
現在、俺の前には部長と部長の婚約者を名乗るチャラ男が座っている。少し離れたところにはメイドさん、グレイフィアさんが立っている。部長が激しく抵抗しないのをいいことに髪の毛をいじったり、肩を抱いたりしてる。くっそ! 俺だって部長にそんなことしたいのに!
「いい加減にして頂戴! あなたとは結婚しないと、何度言ったらわかるのよ!」
そう言ってライザーの手を払いのける部長。なんかほっとしたぜ。
「そうは言ってもな、リアス。こっちも遊びじゃないんだ。この縁談には悪魔の未来がかかって……」
そこまで言ったライザーがふと視線を外す。それにつられて俺も見てみると、部室の床には新しい魔方陣が浮かんでいた。これって、フェニックスの魔方陣か……?
「やっと来ましたね……」
グレイフィアさんの安心したような声が響いた瞬間、ライザーが出てきた瞬間よりはおとなしい、しかし盛大な炎をまき散らした。そこから出てきた人物は、
「ぅわっちぃ! 火力をミスりました! ぎゃー! 僕の買ってきたお菓子が燃えてるじゃないですか! 最悪ですよ、まったく!」
騒がしい金髪だった。なんだこの人……。
「なんで……なんでお前がここにきてるんだ、フレア……」
ぼそりと消えるような声色でつぶやいたのはライザーだった。フレアって、あの子のことか……?
「ふぅ。ようやく収まりましたか……。どうして僕がここにいるか、ですか? そんなの決まってるじゃないですか。人間界のお菓子を買うため……もとい、兄さんの暴走を止めるためですよ」
本音が駄々漏れになってんぞ……。
「あ、そういえばリアス様の眷族の方々は初めましてですね。僕は其処にいる種まき鳥……もとい、焼き鳥、失敬。ライザー・フェニックスの弟のフレア・フェニックスと申します。以後、お見知りおきを」
そう言って優雅に一礼をするけど、全然取り繕う気がなかったよな、あれ。ライザーを見るとこめかみに青筋浮かべてるよ……。
「で? お目付け役とはどういう意味だ?」
不機嫌そうに告げるライザー。それに対し、癖の強い金髪を持つ少年は、
「だって、暴走しますでしょ? 兄さんは沸点低いんですから。そうなったら話し合いも何もないと思って、グレイフィア様にわざわざ無理を言ってここまで来てるんですよ?」
そう語るフレア……さんの後ろには銀色の髪を持った美人が控えていた。って何だあの人! すっげぇきれいなんだけど!? 回答を求めて回りも見ても全員あっけにとられてて回答が返ってきそうにない。
「ちっ。よけいなお世話だよ」
「だったらよかったんですけどね。あ、僕たちのことは気にせずにどうぞ、話し合いを続けてくださいな」
そう言ってグレイフィアさんの隣に行って会話を始める二人。気のせいかフレアさんが咥えてるのは焼き鳥に見えるんだが……。
「なぁ、木場。あの人って……?」
部長たちが話し合ってるうちに木場に聞いてみる。なんか困ったら木場って感じになってきたな。
「僕もうわさでしか聞いたことがなかったんだけど……。あの人はフレア・フェニックス氏。確か、部長と同い年だったはずだよ」
「え……てっきり中学生ぐらいかと思ってた」
「あはは……彼はすごい童顔だからね……。本人の前で言ったらだめだよ。気にしてるみたいだから。彼の噂って言うのが結構すごくてね。彼の眷族は6人だけで使い切ってしまった、とか、フェニックス始まって以来の逸材とか。生まれてくる時代が違えば魔王になっていた、とまで言われる化物だよ」
「え……」
それってどういうことだ? つまりは、それだけ強力な眷族がそろってて、そこで言い争ってるライザーより強くて、魔王様レベルってことかよ!? どんだけ強いんだよ、あの人!
「ほかにも、気まぐれとか、フェニックスなのに鶏肉が大好物だったり、とか。あの人のうわさ話は後を絶たないよ」
へ~。いろいろ面白い人なのかな。それより、あの後ろに控えてる美人のことについて知りたいんだけど!?
「後ろの人はたぶん眷属の誰かだと思うんだけど……。ごめん。あの人はうわさ話は出回るんだけど、実像がつかめない人なんだ」
なんか、残念だな。
「ここまで平行線とはな。仕方がない。こうなったらレーティングゲームでケリをつけるとしよう。異論はないな」
「ええ、もちろんよ。あなたの鼻を明かしてやるわ、ライザー!」
いつの間にか、そんなことになってた。どうしよう、話を聞いてなかった……。
フレアside
ふむ、やはりこうなっちゃいましたか。なら仕方ない。できる限り公平に、公平に。
「では、その意志はこの私が確かに聞き届けました。細かいルールや日時などは追って伝えます。いいですか」
「ちょっとお待ちを」
そう言ってまとめに入ろうとしていたグレイフィアさんを遮ります。ここまでは打ち合わせ通り。サーゼクスさんは縁談破棄をしたいようですからね。ちょっと頑張りますか。
「どうしましたか、フレア様」
「ええ、この状態では些か不公平に過ぎるかな、と思いまして」
そこでいったん言葉を切ります。そして兄さんの顔色を見て、何かを言おうとする前に、
「というのも、兄さんは眷属が16人そろっているのに対し、リアス様は未だにルークとナイトを1つずつ残しています。これは明らかな不利、でしょう。他には、兄さんの戦績があげられます。兄さんは今、勝ちのほうが多い状態です。それだけではありません。実際のレーティングゲームを経験しているということはそれだけでリアス様に対してアドバンテージをとれることになりますからね。これらを鑑みて、より公平な試合にするためには、一定以上の訓練期間と、誰かとの模擬戦を組むのが妥当かと思います。あ、さらに付け加えるならば、兄さんは相手方の情報を調べてはいけない、というハンデもいかがでしょうか。不死であるならばそれぐらいのハンデがあってしかるべきではありませんか?」
いや~。この場の空気を微妙に無視した感じはいいですね。癖になりそうです。両陣営ともにゆっくり考えているみたいですね。といっても実はこれ、昨日の連絡の段階で決まってたことなんですよね。後はお二人の合意さえあれば……
「私は構わないわ。ここまでハンデをつけてくれるのだもの。異論があるはずがないわ」
「俺も構わない。だが、条件がある」
ん? 雲行きが……怪しい……?
「その条件とは、どのようなものでしょうか、ライザー様」
「なに、リアスの訓練と模擬戦の相手にフレアを指名するだけだ。一切の不都合はないだろう?」
…………。ああ、なんだ。そんなことか。言われるまでもないよ。こんな面白そうなこと、首を突っ込まないわけがないじゃないか。ロザを見ても動じた様子はない。
「とのことですが、フレア様……?」
「構わないですよ。むしろ望むところです」
ふふふ。この僕の大胆不敵な笑みを見て、撤回したって遅いんですからね。
「そ、そうですか。それでは、ゲームの開始は15日後の深夜といたします。これ以降、規定に関する事に抵触することは禁止です。それでは、私はこれで失礼いたします」
そう言って去っていくグレイフィアさんでした~。相変わらずクールな方ですよね。
「リアス。俺の弟を訓練に貸してやるんだ。無様な戦いはするなよ」
そう言ってこちらをチラリとみて兄さんも帰って行きました。さて。リアス様との打ち合わせが残ってますね。
「フレア? いいかしら」
「ええ、もちろんいいですよ? ああ、そういえば紹介してませんでしたっけ。こちらは僕の『女王』ローゼリンデと言います。細かなことは全部彼女に任せちゃってるので。打ち合わせは彼女とお願いしますね」
その言葉と妙な軽さから奥にいた普通そうな男子生徒がこけましたね。……ああ、あれが今季の赤、ですか。結構面白そうかもしれないですね……。
「紹介に預かりました、ローゼリンデです。では、まず、訓練の日程についてですが……」
ローゼリンデの話を聞きながら、僕はどんな訓練をつけるべきか、今からゆっくりと描いていくのでした。
ってなわけでした。
フレア君の眷族は3人クロスキャラとなっております。2人は名前しか出てませんけど。基本的にはフレア君が爆走します。作者の気まぐれで更新がかかるので、あまり速度には期待しないでください。
次回も読んでくださる心の広い方がいましたら、また次回、お会いいたしましょう。