フレアの眷属紹介を兼ねています。
12月の雹作品の中で最長です。
それでもいいという方は本編へどうぞ。
「ってなわけで、グレモリー眷属の修業を手伝うことになったから。そういうことでよろしく」
「おい、ちょっと待て」
つまらない説明をローゼリンデに丸投げしようとしたら奉先に襟首つかまれたでござる……。首、しまってます……。これは……死にましたね。
「ちょ、ちょっと……それ、死んでない?」
「あ。」
「は、早く、早く離してください! そのままでは主が死んでしまいます!」
「あっはははは! フェニックスだから大丈夫でしょ。あ、リヤナ。お菓子とって」
「そんな場合じゃないでしょ! とにかく奉先は離してあげて!」
「あ、ああ。わかった。悪い、大丈夫か?」
「フレア、大丈夫?」
………………。ぷは! あ~……死んだ死んだ。作品1回目の死亡が眷属による首絞めとは思わなんだ……。ん? 僕はいったい何を言ってるんでしょう?
「あ~……大丈夫。1回しか死んでないから」
「そう。なら、しっかり説明してね。またふざけたら説教するわ」
これはひどい脅迫を見ました。うう、この調子ならだれも味方してくれないんですよねぇ……。
「ふぅ……わかりました。で、質問あるの?」
「うわ、ものすごい面倒臭そうに言ってる……」
だって面倒臭いですもん。そんな呆れた顔をしないでくれますかね、リヤナ。
「せめて、しっかりとした経緯を説明してくれ……」
あ、奉先がへこんでる。仕方ないですね。では、簡単に説明してあとはローゼリンデに丸投げで。
「えっと……。兄さんの暴走でリアス様との結婚が即時に実行されることになる。僕がお菓子と焼き鳥買うついでに調停役として人間界に出向く。あからさまに不公平で面白くなさそうなレーティングゲームを行うと聞いたから介入してハンデをつけさせる。そのハンデの内容が、僕たちが特訓と模擬戦を行うことで決定。ちなみに指示したのは兄さん。だから『僕は、悪くない』」
「私、ふざけるな、って言ったんだけど? なんでかっこつけてるのよ」
「ほら、簡潔だったでしょ? だからいいじゃん」
「確かに簡潔だったのですが……」
景虎ちゃんはどーしてそんな微妙そうな顔をしてるのでしょうねぇ……。キリカはまだ笑ってますし。奉先は苦笑いしてますし。リヤナは呆れ顔でお菓子を運んでますし。エリスはどうでもよさそうな感じで紅茶を飲んでますけど、ちらちら心配そうに見てますし。ローゼリンデは……あ、額に青筋浮かべてらっしゃる……。
「それで? 日程はどうなってるのかしら?」
「あ、それはロザに聞いて」
これで丸投げ完了ですね。ナイス、エリス。ツンデレはいいですねぇ。助かります。
「はぁ……。日程は明日の朝から。人間界にあるリアスさん所有の山で行うそうね。そこに転移するための準備は出来てるから、結局、あなた方には事後承諾になってしまったわね」「あ、リヤナ、僕にもお菓子~。エリスは紅茶頂戴?」
「っ……。修行内容はあちらで眷属の出来を見てから決定することにするわ」「あ、うん。はいどうぞ」「ったく。はい。あんまり困らせないようにしなさいよ?」
「うぐ……。模擬戦はあちらの眷族に雰囲気を味わわせればそれで良しとするわ」「やっぱ、東京銘菓はおいしいですよね~。」「うん、ホントにおいしいよね」「あなたのお菓子選びのセンスは認めてあげるわよ」
「いい加減に真面目に聞いて! なんで半分聞いてないの!? ねぇ、リヤナ。なんで聞いてくれないのかしら? エリス? そのエルフ耳は飾り? そしてフレア? ふざけたら説教って言ったわよね?」
「「「すいませんでした」」」
こわっ……。ちょっと真面目になりましょうか……。巻き込んだ二人は……ごめんなさい……。
「まったく……。もう1度説明なんかしないから。じゃ、そういうことで、しっかりお願いね。あ、私にもお菓子と紅茶頂戴」
「結局食べるのね。とりあえず全員に配ったら?」
キリカの提案によって全員にお菓子と紅茶が配られましたね。ま、堅い話はおしまいにして、ゆっくりとしますか。ん? そう言えば……
「眷属が全員そろったのって久々じゃなかったでしたっけ?」
「ん? ああ、そういえばそうだった気がすんな」
「フレアが働かないからよ、奉先」
「たまに気まぐれで働いてるでしょう? ローゼリンデ」
「気まぐれでしか働かない『王』ってなによ……」
ああ、そんな目で見ないでよ、エリス。涙が出ちゃう。いえ、嘘泣きですが。
「たまにはゆっくり休ませてあげてね? フレア」
「リヤナは優しいですね……善処します」
「そこは、仕事を変わるというところではないのですか、主!?」
おかしなことをいいますね、景虎は。
「あはは。そんな暇があったら」
「焼き鳥を食べるんでしょ?」
「お、さすが僕の親友。キリカはよくわかってますね」
「でしょ? ……でも、そんなこと言ってよかったの? ローゼリンデさん、怒ってるんじゃない?」
「もう、あきらめてるわ……」
どこか達観した目で遠くを見つめるローゼリンデ。他の眷族のフォローも入ってますけど、
「だが、僕は謝らないぃぃぃ!」
「いや、謝れよ。このダメ『王』」
こんな感じで、ローゼリンデの胃と、僕の頭にダメージを与えつつ、特訓前日の晩は過ぎていくのでした。
イッセーside
死ぬ……マジで死ぬ……。ようやく、別荘に、ついた……。
「み、水……水を……」
「イッセーさん! 大丈夫ですか!? 今、水を持ってきます!」
ああ、アーシアはいい子だなぁ……。息も絶え絶えになっている俺の前には部長が怪訝そうな顔で、
「おかしいわね。確かに時間は指定していたはずなのだけど……」
とおっしゃってる。誰を、待ってるんでしょうか……。
「イッセーさん! お水、持ってきました!」
「ああ、ありがとう……。アーシア……。」
「おっと。一気飲みはすんじゃねぇぞ、兄ちゃん」
ああ、そうだな、ゆっくりと……? 今の声、誰だ……?
「い、いつからそこに!?」
「あらあら……」
「まったく気が付きませんでした……」
「っ……」
警戒態勢に入る木場、そして驚くみんな。俺も、驚きたいんだけど、何より、水だ……。
「いつからって……さっきそこの嬢ちゃんが水を持ってきたあたりからだぞ? ここについたのは……あ~……ざっと2時間前ってところじゃないか?」
そんなに前からいたのか。あれ? ってことはこの人……。フレアさんの眷族なのか?
「えっと……フレアの眷族でいいのよね?」
おびえながら部長が聞く。なんでおびえてるんだろ、と思って振り向くと、中華風の鎧を着た筋肉の壁があった。徐々に顔を上げていくと、そこには、
「うわぁ!」
般若がいた! やべぇ! すっげぇ怖い! アーシアも足が震えてるよ……。俺もさっきとは別の意味で足が震えてきたぜ……。
「そ、そんなに驚くなよ……。クソっ! だからこんな役目はやりたくなかったんだよ。誰だよ、くじ引きにしようとか言ったやつ。……フレアだったか。あいつ、くじに細工したんじゃねぇだろうな……」
ぶつぶつとつぶやきながらさらに怖い顔になってる……。やべぇ、ちびりそう……。
「あの……」
「あ゛あ゛!?」
「ひぃっ!」
あ、朱乃さんまで……。この人やべえよ、俺たち、殺されるんじゃね……。全員腰を抜かしてるみたいだし。
「ちっ。まあいい。まずは……」
って、こっちに手を伸ばしてきた!? 俺からってこと!? ああ、父さん母さん。ごめん。俺、親孝行できなかったよ……。死ぬ前に、あの焼き鳥野郎をブッ飛ばしたかったな……。
「大丈夫か? 過呼吸気味だぞ。ゆっくり息をしろ。なんならここにビニール袋がある。これを口に当ててろ」
あれ? 助け、起こしてくれただけ……? 過呼吸の心配までしてくれてるし……。この人、もしかしていい人?
「あ~……申し訳ねぇが、俺についてきてくれるか。フレアの野郎、じゃなかった。俺の主のフレア・フェニックスが特訓用のスペースを作ってこっちで待ってるんだよ」
そう言って少し先に立って手招く。みんな行動と顔の差にギャップを感じてるのか、呆然として、誰も動けない。
「おい! さっさとしねぇか! 時間は有限なんだぞ!」
やっぱこえぇ! 額に青筋浮かべなくてもいいじゃないですか……。
森の中をしばらく進むと、そこには明らかに山の平地の広さの上限を超えた空間が広がっていた。その中心部には6人が立っている。
1人は腹を抱えて転げまわってるけど……。てか、フレアさんだった。他の人は案内役の人に向けて憐れんだような目を向けてる。いや、違った。赤い髪の女性は転げまわってこそいないけどお腹抱えて笑ってた。……どういう状況? と戸惑っていると、
「てめぇ、フレア! やっぱりくじに細工しやがったな! キリカも、協力してここに映像投影してたんだろ!? そうなんだろ!? よし、その喧嘩、言い値で買ってやるよ!」
案内役の人大激怒しちゃった~! どこからか変わった形の武器を取り出してあっちに向かっていこうとするも、
白い服の美人に止められた。……物理的に。………………は?
「え……」
「な、なんで……」
「嘘……」
「「「…………」」」
みんなもその光景が信じられないみたいだ。俺も信じられない。小猫ちゃんみたいな前例があるとはいえ、あれは異常じゃないか!?
見えないほどの速度で振るわれた武器。
踏み込んだ際に足元にできたクレーター。
どう見たって軽そうには見えない獲物なのに、あんな細い腕の女の子が、顔色1つ変えずに、片手で受け止めているのだから。
それも、ただ腕を掲げているだけで。あの大男の全力を。信じられねぇ……。
俺たちが唖然としていると、あっちでなんかの相談があったのか、フレアさんが殴られた。思いっきり。地面にクレーターが出来た……。あれ、大丈夫なのかな……。と思っていると、ローゼリンデさんがこっちに向かってきた。
「すみません。お見苦しいところをお見せしました。ここの説明をしますね。ここは、フレア様の『僧侶』が作成した修行用の空間です。時間こそ支配できませんが、ほかのものはいかようにも変えられるので、要望があれば、おっしゃってください」
「え、ええ。わざわざありがとう。……その、あれ、大丈夫なの?」
部長が指を指した先にはぼこぼこにされてるフレアさん。『王』の威厳ってなんだっけ……。その問いにニコリと笑って
「大丈夫です。軽いスキンシップですから」
「え、でも」
「スキンシップです」
「あ、ハイ」
有無を言わせない笑顔で強引に納得させた……!
「フェニックスですしね」
どこか疲れた表情でつぶやくローゼリンデさん。……苦労してるんだなぁ……。
しばらくして、ようやく私刑が終わったようで、全員こっちに向かってくる。フレアさんは現在見た目には一切の傷を負っているようには見えないが、白いワイシャツに血がついてるのは誤魔化せない。
ふと、木場のほうを見ると、フレアさんの眷族のほうに目を奪われているようだ。視線の先には、……エルフ?
「あはは。ごめんなさいね。ちょっとふざけすぎたようです」
ちょっと!? あれでちょっとって言えるんだ!? てか笑って許せるんだ……。みんなドン引きだよ、こっちは。さっきの赤い髪の女性はまた笑ってるし……。
「兎にも角にも、眷属を紹介しませんとね。名前と得意分野がわからないと、何をするにも不便ですよね? ってことで『女王』『戦車』『騎士』『僧侶』『兵士』の順で行きます」
有無を言わさず始まる眷属紹介。自由人だなぁ……。
「まずは『女王』のローゼリンデ。長いんでロザって読んだりしてますね。たぶん1番負担掛けてます。」
「そう思うんだったら仕事してくれないかしら」
ローゼリンデさんの疲れたような突っ込み。諦めてるんだろうなぁ。心なしか、どっちともの眷属の視線が暖かくなった気がした。
「だが、断る。『神器』こそ持ってませんが『女王』らしく、どんなことをやらせても優秀な結果を残してくれる、最終兵器。困ったらロザに頼りましょう。」
「うれしいけどうれしくないわ……」
「それにしてもこの赤い鎧、長い銀髪とあっているのですが、スカート風なのはなぜでしょうかね……」
「趣味よ! 悪いかしら!?」
顔を真っ赤にして叫んだ。すっごいかわいかった……。
「次はリヤナ……リンドリヤナ・ブッドレアですね。え? 長い? だからリヤナって呼んでるんじゃないですか」
誰も言ってないのに……。あ、この子はさっき武器を受け止めてた人だ。人間離れした美しさの人だなぁ……。いや、悪魔なんだけど、それを差し置いても別格って感じ。
「駒消費の面では1番重い子ですね」
「重くない! 私、体重は眷属の中で1番軽いの!」
「だから駒消費って言ったのに……」
「あう……」
ローゼリンデさんに続いて、リヤナさんまでも真っ赤になってしまった。ある意味恐るべき人物だな、フレアさん。
「僕唯一の『戦車』で、条件を付ければ僕を含めた中で最強ですね。絶対攻撃と絶対防御を併用してる、恐ろしい子です。近づかなければ負けることは無い! 勝てもしませんけど。そんな凶悪な能力とは裏腹にとても優しい子ですよ。甘えてみたらいかがですか。失敗した際の命の保証は出来かねますけど」
まじで! って命の保証はないのかよ! そこじゃなくって!
「絶対防御……?」
「絶対攻撃……だって……?」
そこだよ。もし本当なら無敵じゃないか! つぶやいた部長や、木場も信じられないのか、口を開けっ放しにしている。かくいう俺もびっくりしてるよ……。全員に注目されたリヤナさんは恥ずかしそうに頬を染めてるけど……。
「そうそう。まぁ、条件付き、条件付き。力押ししかしてませんから技量はないですしね」
さらっと流して次に行こうとするあたり、慣れてるんだろうなぁ、この反応。
「さて、次は『騎士』である景虎ちゃん。本名は長尾景虎と言います。祖先は軍神とか呼ばれていたとかいなかったとか。優名な戦国武将だそうですよ」
有名な戦国武将……? 長尾っていたっけ? と思っていると朱乃さんが、
「上杉謙信、の初名ですね……。そんな子までいるとは……」
上杉謙信!? 俺でも知ってる! 超有名な武将だ! その子孫ってすげぇ!
やっぱ強いのかな。なんかすごく堂々としてるし、強そうだ。
「悪魔歴が1番短いので、1番弱いですね」
……え?
「ちょ、フレア! せめてもう少しオブラートに包みなさい! ああ、景虎も切腹しようとしないで! そして煽るな、奉先!」
先ほどまで黙ってた耳のとがったきれいな女性が焦って切腹を止めようとしてる……。ああ、なんか、ひどい……。そしてその元凶は一切悪びれることもなく、言葉を続けた。
「でも『騎士』を二つも消費してますから、才能はあるんですよ」
その言葉を聞いて一気に明るくなる景虎さん。わかりやすいひとだなぁ。刀もしまったし。流血沙汰にならなくてよかったよかった。フレアさん、いい人なのかも。
「その才能がいつ開花するか、キリカと賭けてます」
前言撤回。この人最低だわ。みんなのフレアさんを見る目が一気に冷やかになった。眷属の才能開花を賭け事に使うなよ……。当の本人はやる気出してるみたいだけどさ。
「あと、この子、見た目髪の毛の長い男の子ですけど、実は女の子ですよ」
まじで!? 名前が厳ついし、背も高いし、顔は中性的だし、上杉謙信の子孫っていうからてっきり男かと思ってた! そっか、女の子だったのか。それにしては……
「胸がない、と思った人は名乗り出なさい。即刻、斬首します」
……まだ、セーフ、だよね? 周りを見ても冷や汗をかいてる人ばかりだった……。この話は、タブーのようだ……。そんな俺たちをよそに、紹介は続く。
「まあ、家系的にいろいろあって、男装をしなくてはいけなかったんだとか。おかげで女の子らしくないと嘆いてますよ。ものすごく生真面目で僕に対する忠誠心は1番高いです」
紹介が終わると同時にこちらに向けて礼をしてきた。ほんとに礼儀正しいんだな……。男と間違えると怖そうだけどさ。
「ではでは。この空間を作ったキリカ・ニトゥレスト。『僧侶』ですね。この子も2つ消費です。有名な魔女なんですが知りませんか?」
そこでいったん口を閉ざす。会話術なんだろうなぁ……。結構話聞きやすいし。
「『魔女食いの魔女』って言うんですけどね。」
瞬間、アーシアがへたり込んで、部長が臨戦態勢に入った! え? え? これ、どういう状況? 先ほどまで笑っていた赤毛のキリカさんは、一切動じていない。
「とりあえず、落ち着いてください。今は味方ですし、リアス様では勝てませんよ」
そう落ち着いた様子で咎めるフレアさん。というか、あれ、挑発じゃね……?
「へぇ。なら、試してみましょうか……?」
部長の周りから紅いオーラが立ち上る。うう、怖い……。と震えていると、こつ然とそのオーラが消し飛んだ。部長も何があったかわからないようで、目を白黒させている。
「この程度に反応できないんじゃ、景虎にも勝てないよ? そもそも、ライザーさんに勝つための修業をしている段階では手も足も出ないからやめとくといいんじゃないかな?」
そう言ったのはキリカさん。さっきのにぱーとした満面の笑みとは違って、見てるこっちが不安になるニマニマした感じの顔だ。なんか、すごく、寒い、です……。
「ハイ、そこまで。聞きたいことがあるなら個人的に聞いてください。その際どうなるかは知りませんけど。……続けますね。当然の様に魔法のエキスパートです。反面接近されるとどうしようもないのですが、弾幕はパワーだぜ! とばかりに、バカスカ打ち込んできますから、接近すら容易ではありません。何となく、性格に僕と似たり寄ったりなところがあるんで、仲はいいんです」
ああ、さっき理解させられたよ。フレアさんがぼこぼこになってるあたりでな……。先ほどまであった寒い空気はフレアさんの言葉によって何とか軽減したけど……なんだったんだろう、あれ。木場も、小猫ちゃんも、朱乃さんも知らなかったようだし。アーシアにでも聞いてみるかな。
「魔女ってことで他の眷族の方はいつ裏切るかとひやひやしてるようです」
「あはは! だから私、1人になることってないんだよね~。」
明るく告げるキリカさん。それでいいのか、フレア眷属!
「そう。全面の信頼をおいているわけじゃないならいいの。その魔女は危険すぎるわ」
部長が厳しい目でキリカさんをにらむ。だけど、俺、そんな悪い人に見えないんだよなぁ……。
「そうそう、これまでの人生では気分次第で学校に行ったりしてたみたいなんで、勉強で聞きたいところがあれば聞いてみたらいかがですか? 答えてくれるとは限りませんけど」
つまり、この15日ぐらいの勉強を教えてもらえるかもしれないのか。……部長が許してくれなさそうだけど、時間があったら聞きたいな。一応進学校だから、授業についていくので精いっぱいだからな。
「次。眷属唯一の男にして、唯一の『神器』持ち。元テロリストの、『兵士』呂布奉先ですね」
再びの爆弾発言。テロリストって……。明らかに全員の目が厳しくなる。
「テロリストって……それ、暴露していいの?」
「安心しろ。魔王様にも許可は取ってある。俺の知ってる情報とともにな」
そっか。ちゃんとしてたんならいいのかな。と、先ほどのコントじみた光景を思い浮かべて、そう思った。ていうか、呂布か……三国志、最強の武将だったっけ。
「この人を転生させるのに7つも駒を使いました。なんでしたっけ、確か『過の団』とかいうような組織の英雄が集まる所の幹部だったんでしたっけ? 漢字が違うような……。まあいいですか」
「それはよくないわよ! しっかり覚えてなきゃダメでしょう!」
あ、部長が突っ込んだ。なんか、俺はもう、驚きすぎて感覚がマヒしてきました……。小猫ちゃんも麻痺してるのかぼんやりと部長を見つめるのみだった。
「大丈夫大丈夫。魔王様にはちゃんと言ってあるんで。代表と馬が合わなくて逃げてきたとか言ってましたね」
「テロリストにも、いろいろあるんですね……」
ああ、小猫ちゃんが非常識の住人に!
「わかってくれるか、娘っ子。どこでも、俺の先祖の名前が付いて回ってなぁ……」
小猫ちゃん相手に愚痴り始めちゃったよ……。ほんとに苦労したんだな、あの人。
「あと、すごく、怖いです。見た目だけですけど」
聞いてないのをいいことに本人が気にしてるであろうことを言いやがった! この外道! って、やっぱ怖いのは見た目だけなんだな。
「最後はもう1人の『兵士』であるエリスです。見てわかる通りエルフですね」
やっぱエルフか。耳とがってたし、きれいだし、やっぱそうだよな。木場がピクリ、と反応した。
「なんでもハイエルフとかいう精霊種で、遠距離の達人です。一応逃げられるように近接も鍛えてるみたいですけど。なんとこの子、『変異の駒』使用です」
ん? 『変異の駒』?
「部長、『変異の駒』ってなんですか?」
「複数個の駒の価値を持つ駒のことよ。大体、上級悪魔の10人に1人は持ってるわね。今ここにいない、私のもう一人の『僧侶』も『変異の駒』で転生させたの」
ってことはすごい強いんだろうな。その『僧侶』。今から会うのが楽しみだぜ!
「ちなみに通常の駒に換算するなら8個ぐらい持ってかれたらしいです。でも、眷属の中では弱い方なんですよね。もともと長命種だからでしょうかね」
またそうやって弱いって言っちゃってるし……まぁ、ほかの眷族がおかしいだけなのかもしれないんだけどさ。あれ?
「なんで、長命種だと、弱い方になるんですか?」
お、木場ナイス。てかちょっと怒ってない? いつもの笑顔が引きつってるぞ。
「悪魔とおんなじですよ。時間があるから、ゆっくりしちゃって、成長が遅れるんです。磨けば光るんで、今回の特訓をこちらも利用させていただきますね」
景虎さんの説明が入る。フレアさんも頷いてることから、その通りらしいな。
「続けます。金髪ロングは一般的なエルフの特徴で、例にもれず、ほかの種族が大嫌いらしいです。私たちはいいんだそうですが。基準がわかりません」
そう言ってフレアさんは言葉を切った。エリスさんは一つ鼻を鳴らすと、後ろを向いてしまった。少し耳が赤くなってるのが見えるな。照れてるってことでいいのか……。素直じゃない人なんだなぁ……。
なんか、木場が落ち込んでるような気がする。一体どうしたんだろう。
「これでおしまいです。今度は、そちらの眷族を紹介していただけませんか?」
その後、俺たちの紹介が終わったころには日が傾いてしまい、今日の特訓は座学のみとなってしまったのだった。
という訳で、いかがでしたでしょうか。苦労人な眷族も、実は普通じゃない。一筋縄ではいかない、それがフレアクオリティ。
クロスキャラはローゼリンデ、リヤナ、キリカの3名でした。他はオリキャラとなっております。
思った以上に好評だったようで、ちょっと頑張りました。
話の展開上今回は焼き鳥成分少なめでお送りしました。
次回は大量に消費される予定です。
それではまたいつか。