「何が起きたんだ?」
パーパルディア皇国監察軍東洋艦隊所属の竜騎士レクマイアは懲罰のためにフェン国へ向かうが視線の先に煙が立ってるのに違和感を覚え呟く。
この日はフェン国の軍祭であり多くの武官が集まる日である。
そんな日に煙が多数立ち込めているのは事故でも起こしたのかと思ってしまう。
「事故か?反乱か?何があったんだ?」
監察軍ワイバーンロード部隊20騎は、港に近付きながら上昇し辺りを見渡す。
煙の発生源は城、街、港に停泊中の船と各地で発生して自らの視界に写るものは破壊し尽くされており反乱ではなく襲撃にあったかのようにも見える。
「隊長!あれは何ですか!?」
僚騎であるケルクが指を指し大声で叫ぶ。
指差す先には3本の民家よりも大きな足があり頭はバッタのような形と眼、そして下部には三つの蠢く触手のようなものがあった。
全高はフェンの王城よりも遥かに高い。
「なんだあの巨大な兵器!?いや生き物か!?」
あまりにも規格外すぎて一瞬思考停止をする。
始めて見る物で兵器なのか生き物なのかわからない物が我が物顔で歩いているのだ。
『こちらワイバーンロード隊、フェンへの奇襲は先を越された。フェンは壊滅状態である』
魔導通信機を手に持ち後続で来る監察軍艦隊に連絡を入れる。
この連絡を入れても艦隊は恐らくこの区域に入るだろうがそんなことよりもこの得体のしれない物が気になる。
「いったい、何なのでしょうか、あれは……?」
「分からん。我が国のものでないことは確かだ」
「味方……なのでしょうか。我々よりも先にやってくれたのですから……」
そうであるのならいいがどうにもそうにも見えない。
あの得体のしれない物は我がパーパルディア皇国のものでもなく、フェンの隣国のガハラでもない。他国の兵器でもないようだ。
ただなんとも表現したがいものがレクマイアは感じた。
ただの直感であるが。
「帰還するぞ。我々の仕事は終わった――」
有無を言わさない口調でレクマイアが言った時、唐突に起きた。
得体の知れない三脚の物体の口から蒼白い閃光が走ったと思ったら近くにいたワイバーンロード一騎が墜ちた。
「なっ!?」
悲鳴に近い声を出す。
世界最高峰であるワイバーンロードが不意討ちとはいえ一瞬で堕とされたのだ。
背筋が凍る。
あれは確実に兵器だ。生き物ではない。
同じような現象が三回起き四騎目が損失した時、生き残っているワイバーンロード10騎がその兵器に向け突進した。
「い、いかん!待て!『攻撃中止!攻撃中止!』」
魔導通信機を使って連絡するがもう遅かった。
先程の光でまた一騎、一騎と墜とされ消滅させられていく。
今まで一部だけ被弾してたからか身体の一部だけ残っていたのだが光に呑み込まれた僚騎は跡形もなく消滅させられた。
魔導通信機を聞き取れたのか残りの6騎は上昇し兵器の周りを旋回する。
残りは、14騎だ。
最強のワイバーンロードが6騎喰われたのだ。
「た、隊長!どうしますか!」
ケルクが叫び指示を待つ。
一瞬とはいえ6騎墜とされたのだ。
どうするか、考えていると手が震える。
ビビっている?たかが一つの兵器に?
こちらは最強のワイバーンロードを持っているんだ。
『攻撃をする、まずは頭、顎、足の順に攻撃せよ!』
『了解!』
レクマイア含む8騎、旋回して待機している6騎が攻撃を開始する。
まずは6騎のワイバーンロードが頭部へ導力火炎弾を放つ。
6個の火炎弾が飛翔し、兵器がワイバーンロードに向き光を放つ。
2騎がワイバーンロードの翼を光線に貫かれ墜ちる。
それと同時に火炎弾は着弾し煙をあげた。
「ば、馬鹿な!石頭なのか!?」
攻撃した竜騎士は声を荒げて言う。
被弾した頭部には延焼するどころかコゲ跡はなく銀色に輝いている。
あの頭部は石か金属か、燃えない物体で構成されているようだ。
4騎はそのまま下へ潜り込み次は顎下の触手三本に火炎弾を撃ち込む。
火炎弾は触手に当たって燃え上がり痛みを感じ取ったのか振り回し3騎を掴みとり地面に叩きつけて地面に血をペンキのように撒き散らす。
回避した一騎はそのまま低空で飛びつつ後ろへ目を向けた。
頭部へ攻撃した火炎弾の煙は消えており効果は薄い。だが顎下の触手は着弾した一本は燃えておりまだ悶え苦しんでいるように見える。
弱点は顎下の触手だ。
『こちらケルス!触手は弱点である!』
一騎生き残ったケルスは魔導通信機を使い連絡をする。
それと同時に同じように低空で入れ違う形で8騎が兵器へ近づく。
「よし!まずは足の間接を狙え!次は弱点である触手だ!」
4騎に別れ左右に回る。
間接部位に狙いを定める。
「放て!」
火炎弾が膝と見られる箇所と頭部との付け根へ発射される。
発射と同時に上から触手が叩きつけてくるがレクマイアは避ける。
お返しとばかりかレクマイアのワイバーンロードは至近距離での形で火炎弾を発射し触手が燃え上がる。
「よし!このまま上手くいけば!」
レクマイアは触手の他に火炎弾を放った足の間接や頭部との付け根へ目をやると着弾したが燃えておらず効果は薄いと見られた。
この兵器を破壊するには触手部位しかない。
しかし気がつけば回りには5騎しないない。
このまま続ければ全滅してしまう。
「倒せるが倒せない状況か……!」
ワイバーンロードが息切れを起こしている。
魔力切れだ。
ワイバーン種は離陸、移動攻撃全てに魔力を消費する生物だ。
ワイバーンロードは品種改良をしており通常より燃費が悪い。
相手の触手は二本燃え尽きており使いものにならないだろう。
あと少し!あと少しなのに!
倒せるかもと思っていたが時間がない。
刺し違えてもいいが倒せる保証はないしこれ以上の損耗は無意味だろう。
命を投げ出すか生き残ることを優先するか……
「……くそ!『攻撃終わり。全騎帰投せよ。謎の巨大兵器は健在なり』」
レクマイアは生き残ることを優先し無念の魔導通信を行い全騎へ伝達する。
後続の艦隊や本国は傍受しているだろう。
この後の我々の処分はどうなるだろうか。
魔力切れで帰投せざるを得ないが残っているのは僅か6騎である。
処刑か左遷か、いや今は生きてることに感謝しなければならない。
巨大な兵器に背を向け本国へと向きへ帰るレクマイア達。
後ろからの不意打ちにかけられるのかと心配するが攻撃されることはなかった。
あの兵器は一体なんだったんだろうか?どこの国の兵器だろうか。
頭の中で思考を巡らすレクマイア達5騎と合流するケレス騎1騎の計6騎は魔力が尽きないことを願いながら本国へ向け帰投した。
これがパーパルディア皇国と侵略者との初めての交戦となった。
はい、流れは決まってるのに中々ペンが進まないマンです。
これがパーパルディア皇国航空隊との初めての接触です。
シュミレしてもどうあがいてもこうなる未来しか見えなかったですね(おや?意外と強い……?)
次回は監察軍艦隊です!