この話作るのに三回くらい作ってはボツ作ってはボツと繰り返してた思い出。
中央暦1936年10月3日
「待て、お前たち何者だ!?」
パーパルディア皇国のとある港町で兵士が不審船を見つけ、そこに乗っていた夫婦に問いかけた。
不審船は小型の帆船であり、夫婦の服装はかなりボロボロになっている。
見る限り海外から来た異邦人、難民だろう。
「お、俺たちはアルタラス王国から逃げてきたんだ!た、助けてくれ!」
「また難民か……」
兵士は溜め息を付きながら彼らを見る。
ここ最近アルタラス王国等の南方島国の文明圏外国からくる難民が多く流れ着き、彼等はその対処に当たっていた。
最初に来たのは9月26日の朝のシオス王国からの難民であった。
それから次々難民が流れ着き、取り調べをすると皆同じ台詞を言う。
『化け物が攻めてきた』と。
「ば、化け物が攻めてきたんだ!デカイ三脚の化け物と空飛ぶ魚が!」
ほうら、同じ台詞が出た。
『化け物』『三脚の化け物』『空飛ぶ魚』
この三つが絶対出てくる。魔物でも攻めてきたというのか。
「そんなもん聞き飽きた!お前たちはこれから収容所に連行する!」
「そ、そんな……」
「いや……ここまで逃げ切ったのに」
収容所送りは第3外務局からの指示であり、兵士はその命令通りに難民夫婦を連れてくために近づき、引きずり下ろす。
夫婦は青ざめ、一週間も漂流していた疲れがあり力が入らないため抵抗すらもできず、収容所へ連れていかれることになった。
このような出来事は今後も起こることになり、大量の難民が流れ着き大半は収容所や奴隷の運命に辿ることになった。
これを回避出来ているのは商船に乗ってきた貴族か商人、軍のみであった。
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中央暦1936年10月5日
「なるほど、貴国はそのようなことがあったのだな」
パーパルディア皇国パラディス城の談話室にて二人の男が大きなソファーに座り対面で話をしていた。
一人はパーパルディア皇国皇帝ルディアス。
「嘆かわしいことだ、念願のロデニウス大陸統一を果たしたというのにすぐ手放す羽目になるとは」
もう一人はロウリア大王国の第34代目大王、ハーク・ロウリア34世。
ロウリア王国はパーパルディア皇国の裏からの軍事支援を貰い、その軍事力によりクワ・トイネ公国およびクイラ王国に宣戦布告。
圧倒的な国力の差を見せつけ両国を武力制圧し、ロウリア王国はロデニウス大陸を統一を果たした。
これを記念してハーク・ロウリア34世はロウリア王国をロウリア大王国へと改名することを宣言し、一時反政府勢力などの不安定があったものの安定していった。
しかし中央暦1936年9月20日、突如空から円柱が首都に落ち、そこから出てきたのは三脚の昆虫の顔を持つ巨大な化け物であった。その化け物は謎の光線を放ち瞬く間に首都を焼き払った。
ロウリア軍は陸海空全てをもって対処をするが、化け物にはロウリア軍の武装では手も足も出ず、ワイバーンでも『空を飛ぶ魚』とも言うべき化け物にも手も足も出ず、大陸は謎の化け物の手に落ちた。
突如の混乱により多くの国民は死に、または逃げ遅れた者が大勢おり、パーパルディア皇国に逃げ切れたのは政府と僅かな軍と国民のみであった。
「それは気の毒であろう。我が軍も先月そいつらにやられたという報告も出てる。最初聞いたときは嘘の報告かとおもったが、貴国の状況を聞けばどうやら嘘ではなさそうだな」
「ほぅ、貴国もか」
ルディアスはワインを飲み自軍とその化け物と交戦した報告経緯を軽く語る。
最初は滑稽だったが今ではそうでもなくなったのだ。
そして化け物を作ってるのは伝説のラヴァーナル帝国もしくはそれを発掘した神聖ミリシアル帝国、その兵器だと思われてる。
「恥ずかしながらな。だが戦ったのは旧式を使っている監察軍だ。最新鋭を装備してる正規軍なら一捻りだ」
「それは素晴らしいことだ」
ルディアスのこの言葉は第3外務局の見解であり、自慢の軍ならばその化け物を倒せることを自負してる。
「……貴殿の頼みならロデニウス大陸奪還の支援を出してやろう」
ルディアスは立ち上がり窓から城下町を見下ろしながら、要望があれば参戦するという。
これにはロウリア34世には驚きと歓喜の表情が出たが、ルディアスが振り向き、その表情を見てロウリア34世の表情が落ちる。
「だが対価は必要だ。何を出してくれるのだ?」
対価、参戦させるための対価をロウリア34世は考える。
人的資源か、国か……
「……穀物地帯の関税撤廃でどうだ?」
出せる物は妥協してこれぐらいだ。国なんておいそれ渡せれないし、奴隷を出すことも出来ない。
国土全て取り戻せたら無尽蔵に出てくる食糧でなら交渉のカードを出せる。
「駄目だな、その地の租借だ」
租借、つまり人と血を流した国土を貸すとは言えほとんどパーパルディア皇国の領土となるということだ。
期限は……言わずとものようだ。
「……わかった」
国土復興のためロウリア34世は苦虫を噛み潰したかのような表情で条件を呑み、ルディアスは笑みを浮かべた。
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「くそ!誰も信じてくれねぇ!」
裏道に置いてある木の箱を蹴り飛ばし、大きな音を立たせて崩す一人の商人がいた。
この商人はロウリア大王国にて商売をしていたが、突如化け物の襲来に遭い命辛々に逃げ延びた数少ない人物である。
そんな商人だが酒場にて南の文明圏外国はどうなっているのか、という話が持ちかけられており、商人はその生き証人として当時の地獄のような出来事を話したが、あまりにもおとぎ話すぎて誰にも相手にしてもらえなかったのである。
「……また手が震えてきた」
右手の震えが止まらない。酒ではなくこれはあの時の記憶が甦り震えているのだ。
まるで子供がアリを潰すようなあの遊びが受けられているような感であった。
早くこの場から遠ざかりたい。
あと数日したら神聖ミリシアル帝国へ渡航する予定だ。
「……随分流れ星が多いな」
震える手を押さえながら夜空を見上げると、そこには放射状に広がるように出現する大量の流れ星、流星群の姿があった。