特に理由もなくアイドルデビューした最強系主人公が東京喰種のストーリーをぶっ壊す話 作:偽馬鹿
需要があるのかは不明。
爆破した。
いや正確には羽赫をぶっぱした。
せっかく作り直したドアだが、背に腹は代えられない。
さらばドア、さらばにゃんこ達。
俺は旅に出るぞー!
「くそっ!追え!!」
「待て!」
待たない。
とにかく全力で突っ走って逃げる。
クインケは一応握っているが、これってメンテどうすればいいんだろう?
マイフレンドに丸投げしてたから分からぬ。
とにかく逃げる。
人間と喰種。
こっちの方が速いに決まってる。
全力ダッシュで逃げ切ってみせる。
と思ったら足に激痛。
見ればなんか貫通してる跡。
背後を見ると銃の形をしたクインケを構える捜査官の姿。
というか有馬さんだった。
「やばいわ」
やばい。
もしかして狙われてたりする?
更にやばい。
全力で逃げなくちゃ。
甲赫を展開して葉っぱ部分を平らにする。
そして勢いよくぶん回して加速。
重いからって動くのに使えないわけではないのだ。
まあすぐ収納するけど。
初速を出した俺は一気に距離を取る。
路地裏に飛び込んで射線から外れる。
そりゃそうだ。
あんな正確に撃ってくるスナイパー相手にまっすぐ逃げるのはどう考えても悪手だ。
しかしふと思う。
あれだけ正確なら、頭をぶち抜けば終わりだったんじゃない?
……まあいっか。
生きてるわけだし。
さてこれからどうしようかと、喰種の肉片を齧りながら考える。
いや、近くにいたからつい。
もぐもぐ美味しい。
何か忘れてる気がするけど、今はそんな場合じゃないと思う。
多分だけど。
しかしこれからどうしよう?
にゃんこ達はケージの中だから迷子になることはないだろうけど、どうなるか心配。
うーん心配。
それと同時にこんな夜中に駆け出して行った2人も心配。
大丈夫だろうか。
色んな意味で。
いや、アカリちゃんがいるし酷い目にあう可能性はほぼないだろうけど。
とはいえ、やっぱり気になる。
もぐもぐしてるお肉を手放し、周囲の匂いをうかがう。
どうにか2人の匂いをかぎ分けようとしてるわけだが。
うーむ……多分こっち!
雰囲気で感じた方向に走る。
勿論路地裏をジグザグに移動しながらであるが。
「―――――!」
「―――――!」
暫く走ると、なんと本当に見つかった。
ラッキーである。
言い合いしてるみたいだけど、何話してるんだろ?
気になる。
気になるけど、今ゆっくりしてる余裕はない。
とにかく逃げる必要があるわけで。
と思って踵を返そうとしたら、衝撃の光景を目の当たりにする。
なんと、アカリちゃんが、ケイちゃんに、キスしていた。
え、なんで?
いや本当になんで?
ううん、まさか百合とは思わなかった。
いや、もしかして俺がこんな格好してるせいで百合に目覚めたとか?
ごめんね可愛くてさぁー!
じゃない。
マジか。
想定外。
けどまあ、いいか。
見た目的には保養になるし。
というかそんなこと言ってる場合じゃないわ。
逃げなくちゃ。
ごめんねアカリちゃんとケイちゃん。
2人で幸せになってね!
脱兎のごとくその場から駆け出す俺。
いやなんだか浮気を目撃した女の子みたいなムーブしてるけど、俺何やってるんだ……?
まあいっか。
とりあえず、社長には報告しなくちゃなぁ。
仕事できなくなっちゃいましたって。
「マジか」
本社に行くと、なんと既に周囲を喰種捜査官に囲まれていた。
え、なに、もしかして俺のせい?
マジか。
そいつはやばい。
俺のせいで人生台無しとか責任感じまくり。
「あ、知ってたよ」
「マジか」
と思ったら背後から社長とマネージャーが出現。
衝撃の真実を口にした。
マジか。
というかさっきからそれしか口にしてないな俺。
それだけ驚いたってことなんだけど。
「というより、わたしも喰種だよ?」
「マジか」
「月山……知ってるかどうかわからないけれど、結構有名な喰種の名家だよ」
知ってる。
というかマジか。
そういえば気にしてなかったけどムーンマウンテンプロダクションって名前だったね、うちの芸能会社。
ああ、がっつり喰種!
どっぷり嵌ってましたわ。
おのれマネージャー。
許さな……いや、拾ってくれたし、許すわ。
「というよりもですよ?」
「ん?」
「どす黒い血に塗れた服を着た子供を拾う人間が普通だと思います?」
思いません。
ごめんなさい。
ありがとうございました。
マネージャーに完全論破されてしまった。
これは悔しい。
「というわけで逃げなさい、スバル君」
「え?」
「私がサポートします。行きましょう、スバル君」
え?
あまりの超展開について行けない。
なんで社長がこの場に残るのかとか、なんでマネージャーと一緒なのか。
よく分からない展開である。
「いやね、実は前々から目をつけられていてね。今回ついに強硬手段に出られてしまったわけだ」
「しまったわけなんですか」
「わけなのだよ」
どうやら面が割れているから逃げない、ということらしい。
社長はあまり戦闘が得意というわけではないとか。
それなら一緒に逃げればいいのに。
そう言うと、社長は笑いながら言う。
「若い子の負担にはなりたくないのでね。それに、君たちなら面が割れていないはずだ」
「でも」
「行きますよ」
食らいつこうとした俺をマネージャーが引き離す。
いや力強っ!
俺が負けるって相当強いんじゃない?
やっぱり喰種かマネージャー。、
この数年間気付かなかったとは不覚である。
というか俺、俺顔割れてるじゃん!
意味ないって、これ!
と思ったらマネージャーがニッコリ笑って言う。
「変装、得意でしょう?」
「え、うん。まあ」
「頑張ってくださいね」
有無を言わさず。
どうやら俺は頑張らないといけないらしい。
失敗したら死ぬから頑張らなくちゃ。
スタスタと歩く俺達。
そしてマネージャーは俺に一枚の紙を渡してきた。
「何これ」
「新しい戸籍です。確認してください」
「仕事早いな」
「ええ、マネージャーですから」
名前は
ほとんど同じだ。
名前の呼び方さえ変わらなければ大丈夫だろう。
しかし。
ケイちゃんとアカリちゃんと別れなくてはならないのは辛いことだ。
折角唾つけて……もとい友達になったのに。
まあきっと幸せになってくれるでしょう。
2人で。
いやどうだろう?
やっぱり百合の間に挟まった方がいいのでは?
変な思考にズレた。
話を戻そう。
ともかく、この場所から避難しなければならないのだ。
向かう先はわからない。
ただただマネージャーに連れられて進むだけだ。
しかしスムーズに進むもんだ。
俺だって路地裏に結構詳しくなった気になってたが、これほどのスピードで動くのは無理だ。
目標が決まってない、ジグザグに進むだけならまだしも、目的地に向かうのにこうやって迅速に動くのは苦手だ。
行き当たりばったりと言ってもいい。
しかし、なんだか連れられて歩くのが懐かしい気持ちになる。
まるで、はるか昔にこうやって連れられて歩いたかのような気持ち。
いや、昔って言ってもこの身体なのかどうかも分からないけど。
「こちらです」
「うわぁ……」
開けた場所に出たら、なんと大きな屋敷が見えた。
しかもいつか見たような形。
ああ、多分月山家の屋敷って奴だな?
なんで?
「こちらで匿ってもらう算段がついてます」
「仕事早い」
そりゃ安心だ。
なんせマネージャーの仕事だ。
抜かりはないはずだ。
そうでなかったら俺は既に死んでいるはず。
それくらいには信頼してる。
……そんなわけで。
俺は月山家の使用人兼学生として、雇われ学生になったのであった。
……ああ、それにしても。
あいつらは大丈夫なのか?
ちょっと心配になってきた。