特に理由もなくアイドルデビューした最強系主人公が東京喰種のストーリーをぶっ壊す話   作:偽馬鹿

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マネージャー便利過ぎ問題。


事件

スタンスタンと剣を振るう。

赫子を出さずに木刀で叩き合う。

剣を払う突く打つ削る。

うん、あれの使い方を思い出す。

そういえば家に放置してきてしまったが、どうなったのか。

なんか大変なことになってそう。

 

「中々使えますね」

「慣れてるもんで」

 

執事さんの内の1人に鍛錬の相手をしてもらってる。

どうやら甲赫の使い手のようで、慣れた手つきで鋭い攻撃を繰り出してくる。

いや本当に強い。

これまで戦った内の5本の指に入るくらい強い。

いやまあ、雑魚としか戦ってないと言えばその通りなんだけど。

 

木刀を振り上げ、相手の攻撃を誘う。

しかし相手はその誘いに乗らずに普通に的確な攻撃を繰り出してくる。

いや、これつらい。

普通に負けるわ。

お強い。

持ち手を短く持って柄の部分も使ってどんどん弾くけど、手数で押される。

 

「……まいりましたっ!」

 

もう無理―!

両手を上げて降参のポーズ。

完全に技量で負けている。

というかいつものメイド服姿で戦うのもどうなんだろ、と思いつつ。

まあいいかと思ってる自分もいる。

 

「ふむ、筋はいいな」

「あ、ありがとうございます」

 

終わった後にタオルを投げてくれる執事さん。

いい人だ。

あいつらは人に気を使わなかったからな。

ああいや、多分気が使えなかったんだろうけど。

それくらい余裕がなさそうだった。

 

 

 

いやーそれにしてもユウマさんはいい人だなぁ。

 

 

 

「何ですか? それは自分がいい人ではないように聞こえるのですが」

「わひゃあっ!?」

 

ちょっと漏らしたら唐突に背後からマネージャーの声がした。

怖い。

というか昨日の件から更に怖く感じる。

やべー奴だよ絶対。

前からそんな気はしてた。

 

え、俺もやばい奴?

そうかなぁ?

よくわからないなぁ。

よくわからないって言ってるでしょ!

……誰に言い訳してるんだか。

 

とにかく。

いきなり後ろから声をかけて来たマネージャーを軽く睨む。

 

「もうっいきなり声かけてこないでよねっ! びっくりしたじゃん!」

「猫被るのは忘れないんですね」

「これが素ですぅー!」

 

いや素ではないんだけど。

反射的に答えてしまった。

まあ、半分くらい本当だからいいんだけど。

最近どっちが本当の自分か分からないこともあったりなかったり。

嘘だけど。

 

「それよりも、そろそろ時間ですよ」

「え? あ、そっか」

 

汗をぬぐいながら思い出す。

そうだ、カラオケ行くんだった。

この間、誘いを断り切れずにカラオケに行くと約束してしまったのだった。

うん、なんで約束しちゃったのかよくわからない。

 

まあしかたない。

約束しちゃったからには俺の歌唱力を見せつけるしかない。

驚け慄け平伏するのだ。

はーっはっはっは!

 

 

 

「はぁー……」

 

失敗した。

よくよく考えてみれば俺、レパートリーが自分の曲しかねぇじゃん。

それでうっかり原曲キーで歌ったもんだからバレかけた。

なんとか誤魔化してその場を切り抜けたが、怪しんでる奴がいるかもしれない。

 

どうしようか。

マネージャーに頼んで消してもらうか?

……いや、本当に消しかねないからやめておこう。

仕事が完璧すぎるんだよなぁあの人。

 

ううん、仕方ない。

放置で。

暫くして噂が広がってなければセーフだろう。

そうだ、そうしよう。

 

 

 

「あ、記事に出てる……」

「アウトですね」

 

翌日、週刊誌に俺の写真と少年Bの証言が載っていた。

うん、これはアウト。

どうしよう?

 

「この会社は既に潰してあるので、流通の可能性はほぼ0です。ご安心ください」

「わーいお仕事早ーい」

「恐縮です」

 

仕事早過ぎ笑えない。

いや、会社潰すってどうやったの?

え?

聞きたくないからやっぱりやめて。

 

「少年Bは地下に隔離してありますが、いかがいたしますか?」

「えっ?」

「このまま転校したことにしますか?」

「えっ」

「えっ」

 

これは危ない。

危険が危ない奴。

社長がブレーキ役だった奴だなこれ?

怖っ。

社長なんでこんな人物を横に置いてたの?

度胸あるなぁ。

いや、あったんだなぁ、か。

 

しかし。

本当に社長は死んだのだろうか。

なんか殺しても死なない気がしてならない。

……なんか逆に怖くなってきた。

 

「というかいいよ。普通に解放してあげて」

「よろしいので?」

「いいったらいいの!」

 

自分も似たようなことやった気がするけどスルー。

というか何やってるんだマネージャー。

もっとこう、手心をあげてもいいんじゃないかな。

 

念押しした。

絶対にトラウマになるようなことはしないって。

うんまあ、俺のせいでもあるし?

いやほとんどマネージャーのせいなんだけどさ。

 

「はい、問題なく」

 

にっこりと笑うマネージャー。

いや、本当にそう?

既にやっちゃったぜ、ってことなのかな???

 

 

 

……うんまあ、いっか。

あとは何とかするでしょ、マネージャーだし。

俺に迷惑かけることだけはしないだろうしね。

 

 

 

 


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